新妹魔王の契約者

新妹魔王の契約者

上栖綴人の小説『新妹魔王の契約者』のコミカライズ作品。成瀬澪と成瀬万理亜を義理の妹に迎えたことで、男子高校生の東城刃更は、戦いや陰謀に巻き込まれることとなった。刃更たちの絆や恋愛、魔族や勇者との戦いを描いたバトルアクション。「月刊少年エース」2013年7月号から2017年6月号にかけて掲載された作品。

正式名称
新妹魔王の契約者
ふりがな
しんまいまおうのてすためんと
原作者
上栖 綴人
漫画
ジャンル
アクション
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

二人の義妹は魔族

高校生の東城刃更は父親である東城迅の突然の再婚によって、二人の義理の妹、成瀬澪成瀬万理亜といっしょに暮らすことになった。新居に引っ越した刃更は、朝になれば澪が起こしてくれて、裸エプロンのような格好で万理亜が出迎えてくれるような、騒がしくもにぎやかな新生活を送りながら、新しい家族のために奮闘する二人の義妹と親交を深めていく。新生活開始から1週間たったある日、迅が仕事の出張で家をあけることになり、刃更はしばらくのあいだ澪と万理亜の三人で暮らすことになる。しかし、迅がいなくなった途端に澪と万理亜の態度が急変し、刃更を呼び出してこの家から出ていってほしいと告げる。突然の急変に困惑する刃更に対し、澪は自分の正体が魔王の後継者であること、万理亜は淫魔サキュバスであることを明かす。魔族であると同時に先代魔王・ウィルベルトの娘である澪は、ゾルギアの勢力から強大な魔力を狙われているのだと語る。サキュバスの催眠術をかけて刃更を追い出そうともくろむ万理亜と澪に対し、刃更は自分が魔族と敵対する「勇者の一族」であることを明かす。澪と万理亜に別れを告げて迅に詳細を聞いた刃更は、元はふつうの中学生として生きていた澪が魔族に養父母を殺されていたこと、それを知った迅が騙されたフリをして澪たちを匿っていたことを知る。事情を知った刃更は家から出て行った澪と万理亜を追い、マンティコアに襲われてピンチに陥っていた彼女たちを助ける。家族として澪を守ると決めた刃更は万理亜の提案を受け、お互いの居場所が把握できるように澪と主従契約魔法を交わすこととなる。

澪の暴走と刃更の過去

何があっても澪を守ると決意した東城刃更は、成瀬澪とのあいだに主従契約魔法をかけてもらうが、主側になるはずの澪が手違いで僕側になってしまう。さらにこの主従契約の影響によって、澪はある条件のもとに呪いが発動する体質になってしまう。その後、澪が通う聖ヶ坂学園高等部に転校した刃更は、そこで同じ勇者の一族である幼なじみの野中柚希と再会。柚希は勇者の一族の使命として澪の監視者を担う立場から、魔族に狙われる澪にこれ以上かかわらないよう、刃更に警告する。それでも澪を一人の家族として守っていくという思いを変えない刃更の言葉を聞いた澪は、彼とさらなる信頼関係を結びたいと思うようになる。そんな中、刃更はクラスメートと親しくなって楽しい学校生活を送っていたが、早くも澪を狙うゾルギアの勢力が動き出し、刃更はおだやかな日常を壊されてしまう。毎晩のように敵から澪を守ろうと戦う刃更を心配する柚希は、戦いの原因となっている澪を屋上に呼び出して倒そうとするが、そこに謎の白仮面の魔族が出現。白仮面との戦いの中で澪をかばった刃更は深い傷を負い、倒れてしまった。そんな刃更を見て巻き込んだことを悔やむ澪は、彼を家に連れ帰って手当てしたあと、一人で白仮面に戦い挑もうとする。一方、気を失ったままの刃更が見たのは、5年前に住んでいた勇者の里と同胞たちを襲った、過去の悲劇の夢であった。

つかの間の休息と新たな刺客

白仮面との戦いに決着がつき、東城刃更ラースと協定を結んで、魔族側の情報を得るようになる。そんな中、つかの間の平穏が戻ってきた刃更は成瀬澪成瀬万理亜と共に、再びにぎやかな日常を送っていた。また、監視役を命じられているはずの野中柚希も澪への警戒を解いていき、澪の命を狙わなくなった柚希に対し、刃更は安心感を覚える。そんな柚希から突然デートに誘われた刃更は、休日に二人でショッピングに出掛けることになる。デートを邪魔するつもりはないと思いつつも、二人の様子が気になって万理亜と共に尾行する澪だったが、ショッピングに慣れていない柚希は店員のセールストークに圧倒されてしまう。店員に言われるままの柚希たちを見かねた澪は助け船を出し、柚希は澪に感謝しながら自分の洋服を選んでもらうことになる。今日だけはふつうの女の子として刃更と過ごしたいと願う柚希をよそに、勇者の一族から派遣された勇者たちが街を訪れ、ある目的のために動き出していた。さらに、澪を狙う魔族が街に襲来したことで、刃更たちに新たな危険がせまっていた。ひとときの休息を楽しんでいた柚希の前には、勇者の里から来た野中胡桃が現れる。以前暴走した澪の魔力を見た勇者の一族は、彼女を監視対象ではなく消滅対象に切りかえていた。その動きを察知した刃更は、かつての友人である早瀬高志たちと再会し、澪の命を狙う彼らと決闘を繰り広げることとなる。圧倒的な戦力差を埋めるために、万理亜は刃更と澪の契約の力を強める方法を提案。これにより、二人の主従契約は新たな段階へと進み、戦力は一気にアップされる。

勇者の一族との戦い

勇者の一族との決闘に向けた特訓も始まり、神槍「白虎」をはじめとする強大な力を持つ早瀬高志たちに対抗すべく、東城刃更はある作戦を立てる。そして迎えた決戦当日、街中に集まった刃更たちは高志と対峙し、高志と成瀬澪の力で周囲と隔絶するための結界が張られる。決闘開始直後、刃更の作戦どおりに澪と成瀬万理亜は高志を足止めするための時間を稼ぎ、刃更は野中胡桃と一対一で戦えるように誘導したうえで、胡桃に攻撃を仕掛ける。一方、高志をビル内に誘導した澪と万理亜は高志の攻撃に圧倒されながらも、ビル中からかき集めた水を利用して足止めに成功する。一見、作戦はうまくいったように見えたが、故郷の仲間を傷つけたくない刃更はその思いが命取りになり、霊操術の籠手を繰り出して反撃に出た胡桃に追い詰められてしまう。一方、澪を守るために強敵に立ち向かい、胡桃のことも見捨てなかった刃更の姿に胸を打たれた野中柚希は、新たな決意を胸に高志に立ち向かう。圧倒的な実力の高志を前に、柚希が命懸けで戦おうとしていることに気づいた胡桃は刃更に助けを求めようとするが、彼は傷つき倒れたままだった。澪は柚希、万理亜と連携しながら攻撃を連発させるものの高志の防御は破り切れず、歯が立たないまま力尽きてしまう。高志の刃が柚希に向いた瞬間、胡桃の力を借りて駆けつけた刃更がそれを止める。立ち上がった刃更は、彼が5年前に勇者の里を離れた瞬間からうずまいていた高志の怒りを止めるべく、新たな決意を胸に高志と刃更自身の5年間に決着をつけようとする。高志と一対一の激闘を繰り広げる刃更は、神槍「白虎」と高速槍術を駆使した高志の防御を破るために、何度も魔剣ブリュンヒルドを振って高速の連撃を仕掛ける。一気に不利になった高志の脳裏に浮かんだのは、故郷で仲間たちと過ごした日々と、平穏な日常を壊した悲劇の過去だった。

新たな日常とゾルギアの陰謀

勇者の一族との戦いは一旦手打ちとなり、東城刃更たちは仲間同士の絆を深めながら、平和な日常を取り戻していた。そんなある日、刃更が帰宅すると故郷に帰ったはずの野中柚希が訪れていた。成瀬澪の監視レベルが下がったことで再び街に戻るのを許された柚希は、東城迅の勧めで刃更たちの家で暮らすことになる。新たな日常が始まると同時に刃更への思いをさらに強める柚希は、ここぞとばかりにアプローチを繰り返し、澪は嫉妬や対抗心に駆られるようになる。一方、澪や刃更たちを監視し続けていたゼストは、彼らと勇者の一族の戦いで得た情報をゾルギアに報告。澪の魔力を狙うゾルギアの陰謀により、ゼストは再び人間界に渡り、ある計画に乗り出そうとしていた。そんな中、学校でラースと情報交換をしながら着替えていた刃更は、いつの間にか校内に侵入していた成瀬万理亜を発見。またよからぬことを企んでいるのだろうと、授業を休んで万理亜を捕まえた刃更だったが、彼女は澪の護衛を兼ねた調査と称して校内を探っていた。万理亜に導かれて女子更衣室に入ってしまった刃更は、プール授業を終えた女子たちが入ってきたことで、とっさに澪のロッカーに隠れる。ロッカー内に刃更と万理亜が入っていることに気づいた澪は、柚希への嫉妬から彼に対して後ろめたさを感じ、その心の迷いは催淫の呪いを発動させてしまう。さらなる強化のチャンスだと気づいた万理亜の提案により、刃更と澪はシャワールームで主従契約の強化を始める。

万理亜の裏切りと捕らわれの澪

成瀬万理亜の提案により、東城刃更野中柚希主従契約魔法を交わし、さらなる戦力の強化を図る。だが、平和な日常を取り戻したかに思えた刃更たちにはゾルギアのさらなる魔の手がせまり、因縁の戦いと裏切りが交錯しようとしていた。ゼスト成瀬澪の友人をあやつって呪いを発動させ、弱った彼女を誘拐しようとする。刃更は澪を連れ去るゼストを追うが、彼の斬撃は突如乱入した万理亜の手によって止められる。澪はそのまま、ゼストたちによって魔界にあるゾルギアのアジトに連れ去られ、捕らわれの身となってしまう。予期せぬ万理亜の裏切りに困惑する刃更は、学校で彼女と密談を交わしていたラースを問い詰め、ゾルギアの居場所をつき止めようとする。ラースと口論になった刃更は戦いに敗れ、そのまま気絶して彼に捕らわれる。一方、拘束した澪が秘める魔力を抽出しようともくろむゾルギアは、急な王命を受けて王城に戻ることになる。留守を任されたゼストは、気絶したままの刃更を差し出そうとするラースに、ある取り引きを持ち掛けられる。ゼストはゾルギアのアジトの場所を知るラースを始末するために、今まで隠し続けていた真の力を発揮して彼に不意打ちを仕掛け、そのまま刃更をアジトの中に連れ去る。一方、万理亜の裏切りを知った澪はその理由を問い詰めようとするものの、彼女は冷たい言葉を残してその場を去ってしまう。澪や刃更を裏切ったことに強い罪悪感を覚える万理亜は、何も知らずにふつうの人間のように生きる澪との出会い、そして彼女と養父母を襲った悲劇のことを思い出していた。

ゾルギアとの決戦

ゼストラースを倒したあと、成瀬万理亜にアジトの奥に捕えた東城刃更の精神を支配するように命じる。万理亜は命令どおりにサキュバスの力で刃更を快楽のとりこにしようとするが、目覚めた刃更は抵抗し、ゾルギアとゼストに利用されている彼女を説得しようと試みる。万理亜と相対する刃更は彼女の真意を確かめようとするが、母親のシェーラを人質に取られていることで、ゾルギアに従う以外の選択肢はなかった。さらに、ゾルギアに従っているあいだにその恐ろしい力を感じ取っていた万理亜は、みんなで束になってもゾルギアには勝てないと語る。サキュバスとしての本来の力を解放した万理亜は大人の姿に変身し、葛藤に苦しむ彼女を救おうとする刃更に、容赦のない攻撃を次々と繰り出す。一方、ゼストと対峙する野中柚希は、救出した成瀬澪と連携してゼストの土魔法に対抗しながら猛攻を仕掛ける。一度はゼストを追い詰めるが、戻ってきたゾルギアの乱入により、戦況は一気に不利になる。敗北したゼストをゾルギアが処刑しようとした瞬間、駆けつけた刃更がそれを止める。ゾルギアの精神操作と威圧感に圧倒された澪たちが動けなくなったことで、戦いはゾルギアと刃更の一対一の勝負となる。ゾルギアは新たな武器として魔剣ガルムを使って容赦のない猛攻を繰り返し、刃更は圧倒的なガルムの力の前に苦戦を強いられてしまう。

澪の覚醒と魔剣の解放

ゾルギア成瀬万理亜の心を折るために、人質として捕えていたシェーラを始末したあとの映像を見せる。シェーラを救えなかったことを悟った万理亜は、一気に戦意喪失して立ち上がれなくなる。さらに、映像を見て過去に養父母を失ったトラウマを思い出した成瀬澪は、その身に秘められていた魔王の魔力を暴走させる。それを見たゾルギアはアジトの仕掛けを発動させて澪の魔力を吸収するが、彼の片手を一瞬で焼き払うほどの魔力を発動させた澪は、怒りのままに殺そうとする。だが、復讐心にとらわれた澪が後悔を抱えたまま生きてほしくないと願う東城刃更は、彼女を説得してその暴走を止める。膨大な魔力を解放した澪は気を失い、再びゾルギアと対峙した刃更は魔剣ブリュンヒルドに封印された邪精霊の力を解放し、すべてのリスクを背負って命懸けでゾルギアを倒そうとする。刃更はゾルギアの猛攻に追い詰められながらもくじけることなく立ち向かい、激しい攻防の中で重傷を負って気絶した刃更は、夢の中で東城迅の言葉を思い出す。迅から受け継いだ人としての強さと悪を切り裂くための力を手にした刃更は、復活して再びゾルギアと対峙。大切な家族を守りたいという刃更の強い思いはブリュンヒルドにさらなる力を与え、その刀身には澪の炎の魔力が宿るのだった。

関連作品

小説

本作『新妹魔王の契約者』は、上栖綴人の小説『新妹魔王の契約者』を原作としている。原作小説版は角川スニーカー文庫から刊行され、イラストは大熊猫介が担当している。

登場人物・キャラクター

東城 刃更 (とうじょう ばさら)

男子高校生で、父親の東城迅と二人暮らしをしている。右眼の下に傷痕のような痣があり、全身にも痣や傷痕があちこちにある。少々お人よしな好青年ながら、勇敢で正義感の強い性格の持ち主。迅の唐突な再婚により、成瀬澪と成瀬万理亜を義妹として迎え、家族となる。迅が出張に出た途端に澪と万理亜の態度が急変し、彼女たちの正体を知る。この時のショックと澪たちが迅を騙していたことへの怒りから、勇者の一族としての血が覚醒。当初は魔族とのかかわりも避け、ふつうの高校生として暮らしていたが、迅を通して澪の事情や過去を知り、勇者の立場に縛られずに家族として彼女を守り続けると誓う。これ以降は澪と万理亜の三人で同居するようになり、澪と主従契約魔法を交わして彼女の主となった。その後、澪のそばにいるために彼女が通う聖ヶ坂学園高等部1年B組に転校する。澪と主従契約を交わして以降は、魔族との戦いだけでなく万理亜のイタズラやトラブルに巻き込まれることが多く、にぎやかで騒がしい日常を送っている。かつては故郷の勇者の里で暮らし、将来を期待される逸材だったが、5年前に起こった事件で無次元の執行を暴走させ、勇者の資格を失って迅と共に追放された。これらの出来事が大きなトラウマとなっていると同時に、大切なものを守るためならばなんでもするという、現在の信念につながっている。武器は右手から具現化する魔剣ブリュンヒルドを使用し、戦闘タイプは突進力と疾風の斬撃を得意とするスピードタイプの「神速剣術使い(インフィニットスレイヤー)」。もともとは勇者として鍛え上げられた身であるため、魔族相手でも臆さず、仲間を狙う者には毅然として立ち向かう。目的のためなら、魔族のラースと協定関係を結ぶなど自らの手を汚すことも厭わない。また、非常時の頭の回転が速く、敵の罠にもいち早く気づいてあえて騙されたフリをしてスキをうかがうなど、優れた決断力や実行力を持っている。

成瀬 澪 (なるせ みお)

聖ヶ坂学園高等部1年B組に在籍する女子。成瀬万理亜の姉で、東城刃更の義理の妹。赤毛の長髪をツインテールにまとめている。スタイル抜群の巨乳美少女で、ファンクラブのメンバーからは「澪姫」と呼ばれているなど、学園のアイドルとして人気が高い。ふつうの少女のように振る舞っていたが、東城迅が出張に出た途端に自分が魔族であり、ウィルベルトの娘であることを刃更に明かす。勇者の一族の力を目覚めさせた刃更に追い出されるものの、魔族に襲われていたところを彼に助けられ、再び同居するようになる。ウィルベルトから引き継いだ強大な魔力を秘めており、炎の魔法をあやつる。物心ついた頃からウィルベルトの手配で人間界に移されたため、少し前までは魔王や魔族のことを知らず、彼の部下でもある養父母と共にふつうの人間として生きていた。しかし、ゾルギアにより養父母が殺害され、護衛役として派遣された万理亜を通して、自分の正体を知る。万理亜と逃亡生活を送る中で、一軒家の拠点を得るために迅と知り合い、結果的に刃更と同居し始めると同時に、彼に守られるようになる。万理亜の提案によって刃更と主従契約魔法を交わすが、手違いによって僕側となり、特定の条件で催淫の呪いが発動するようになった。戦闘タイプは魔力を活用した魔力タイプだが、逃亡生活を続けていたために刃更や万理亜ほどの戦闘力は持たない。勇者の一族との決闘に向けて刃更や万理亜と特訓を繰り返すうちに、少しずつ力の使い方を覚えていく。素の戦闘力だけでなく刃更との絆を深めることで、主従契約を強化させてさらなるレベルアップに成功した。養父母を目の前で惨殺されたことがトラウマになっており、トラウマが発症すると魔力が暴走することもある。自分と万理亜を守ってくれる刃更には好意を抱き、野中柚希への対抗心から、性的な接触も許している。性感帯は胸で、バストサイズは90センチのGカップ。

成瀬 万理亜 (なるせ まりあ)

成瀬澪の妹で、東城刃更の義理の妹。切りそろえた銀髪のロングヘアで、ふだんは丸い髪飾りを左右につけている。当初は澪と同様にふつうの少女のふりをしていたが、その正体は魔族の穏健派から澪の護衛役として送られたサキュバスで、催眠術をはじめとする精神に関する魔術をあやつれる。エロネタが大好きでイタズラ好きな性格だが、従者としては有能で護衛だけでなく家事全般もこなせる。日常においてはエッチな妄想に走ったり、悪ふざけで卑猥なトラブルに巻き込んで周囲を振り回したりすることが多く、やり過ぎたときは澪や刃更から制裁を受けている。澪を守ると決断した刃更に、二人が互いの居場所を感知できるように主従契約魔法をかけた。戦闘タイプは屈強な拳を使ったパワータイプで、小柄な体型からは想像できないほどの怪力で敵を叩きのめすなど、格闘戦にかけては高い実力を発揮する。実は澪を守るフリをしてゾルギアの計画に手を貸しており、主従契約魔法をかける際に彼女が主ではなく僕となって催淫の呪いが発動する体質になったのも、彼女をゾルギアに差し出すために仕向けたことだった。ゼストが呪いで弱った澪を連れ去れるように手助けをするが、本当は人質に取られているシェーラを守るために、仕方なくゾルギアに従っているだけであった。また、ゾルギアに従ううちにその驚異的な力を感じ取り、束になっても敵わないとあきらめている。魔界で刃更と対峙して激闘を繰り広げるが、内心では澪のことも彼のことも慕っているために殺せず、彼らと共にゾルギアと戦う道を選ぶ。サキュバスとしての力を解放すると、大人の女性の姿に変身し、戦闘力も格段にアップする。バストサイズは64センチのAAカップ。

野中 柚希 (のなか ゆき)

聖ヶ坂学園高等部1年B組に在籍する女子で、東城刃更の幼なじみ。水色のセミロングの一部を、三つ編みと白いヘアバンドでまとめている。クールな性格で感情を表に出すことは少なく、ふだんは冷静な口調ながら、時折関西弁になる。幼少期から刃更に好意を抱いている。勇者の一族の一人で、聖ヶ坂学園に転校してきた刃更と再会する。勇者の里から派遣された成瀬澪の監視役でもあり、必要に応じて彼女を始末するという任務を担っている。このため、澪とは当初から仲が悪く、刃更を巡って対立することも多い。魔族との戦いに巻き込まれる原因となる澪に近づかないようにと刃更に警告し、戦いが激化して疲弊する彼を放っておけず、一度は澪を殺そうと狙う。しかし、ラースが乱入したことで中断し、いくつかの戦いを経て澪とは和解して、それからは協力し合う場面も多くなる。勇者の一族との戦いでは妹の野中胡桃と早瀬高志に味方するものの、仲間のために戦い続ける刃更に胸を打たれ、命懸けで高志に挑む。この戦いが終わったあとは東城迅の計らいで東城家に引っ越し、刃更たちと同居するようになる。これ以降は澪への対抗心もあって刃更への積極的なアプローチが増え、全裸で彼の朝風呂に乱入するなど、大胆な行動にも出ている。また、澪と対等な条件になるために刃更と主従契約魔法を交わし、彼の僕となった。故郷では感情を捨て、ひたすら強くなることに専念していた。誰よりも戦いを苦手とするにもかかわらず修行に明け暮れ、胡桃に心配されていた。これらの過酷な修行の果てに霊刀「咲耶」を授かっており、戦闘時は右手から具現化する具現化武装として使用する。持ち前の器用さから、細かく弱点を突くような攻撃が得意。性感帯はお尻で、バストサイズは79センチのCカップ。

東城 迅 (とうじょう じん)

世界で活躍する写真家の男性で、東城刃更の父親。細かいことを気にしないおおらかな性格で、眼鏡を掛けている。元は勇者の一族の一人で魔族からも恐れられる最強の勇者だったが、5年前に起きた魔剣ブリュンヒルドの事件により、息子の刃更と共に勇者の里を追放された。刃更と共にふつうの人間として生きているが、5年以上のブランクがありながら、勇者としての実力は現魔王のレオハルトと互角とされる。突如の再婚で成瀬澪と成瀬万理亜を家に招き、刃更にも紹介するが、新居に引っ越してしばらくして、出張のために家をあけるようになる。万理亜の催眠術で騙されていたように思えたが、実は騙されたフリをしていただけで、彼女たちの正体や事情を把握したうえで保護していた。澪たちの事情と過去を刃更に話したあとは魔界に渡り、魔族の現魔王派について独自に調べている。刃更に対して技術だけでなく勇者としての強さや信念を教えた人物であり、それらは成長した刃更にしっかりと受け継がれている。喫煙者。

ラース

聖ヶ坂学園高等部1年B組に在籍する男子で、転校してきた東城刃更が最初になかよくなった。「滝川八尋」を名乗っているがその正体は魔族であり、魔族の穏健派が現魔王派に送り込んだ二重スパイでもある。ふだんは明るい高校生のフリをしているが、本来は白い仮面をかぶってスーツをまとった男性の姿で、高い戦闘力を誇る。冷淡な性格に見えるが、心根は義理堅い良識人。魔界での異名は「仮面の貴公子」。レオハルトの命令で人間界に渡り、魔界と行き来しながら成瀬澪の監視役を務めている。魔力で生成した攻防一体の球体やバリアをあやつって戦うほか、自分や他者のダミーを作って敵を欺くこともできる。白仮面の魔族として暗躍する中で、澪を精神的に追い詰めて魔力を覚醒させようとしたことで刃更に正体を知られ、情報交換をしながら裏で協力し合うという協定を結ぶようになる。学校では刃更のことを「バサっち」と呼んでいる。実は澪の養父母が経営していた孤児院の出身であり、二人を殺害したゾルギアには個人的な恨みを抱き、殺す機会をうかがっていた。澪が魔界に連れ去られたあとは刃更にゾルギアの居場所を問われて戦闘状態になるが、この際に魔界に案内する代わりにゾルギアを自らの手で始末するという取り引きを、刃更と交わしている。気絶した刃更をゼストに差し出すフリをして、彼をゾルギアのアジトに送り出し、捕まっていたシェーラを救出してダミー人形でゾルギアを欺く。その後は刃更に敗北して逃亡したゾルギアを捕え、目的を果たした。

ウィルベルト

魔界をおさめていた先代魔王で、成瀬澪の父親。重力魔法の使い手であり、実力者でありながらも和平を望んで魔界の戦争を終結させたことから、魔族の中にも信頼や尊敬を寄せる者が多い。幼い澪のことを人間界に送り、保護と養育を自らの部下に任せている。のちに病死したが、その強大な魔力は澪に引き継がれている。

ゾルギア

魔界の高級魔族の男性。レオハルトを新しい魔王に祭り上げて裏から魔界を動かす「枢機院」を束ねる老人で、色欲を司る。かつて愛していた人を生き返らせようと数々の禁呪に手を染めたために姿が変わっていき、現在は醜い老人の姿になっている。人間界で生きる成瀬澪の養父母を殺害し、彼女に宿る魔王としての魔力を狙っている。元は澪の監視役を担っていたが任務を放棄し、彼女の力を手に入れて神になることを企むようになった。術や魔法を使うことなく相手の精神を支配する能力に長けており、威圧感だけで圧倒して動きを封じることもできる。ゾルギアへの強い憎悪を抱く者であっても巧みな精神操作で手駒にするなど、交渉力にも優れている。腹心のゼストをはじめとする刺客を人間界に送り込むほか、裏では澪を誘拐するためにシェーラを捕えて脅した成瀬万理亜を、手駒として利用していた。万理亜の働きによって一度は澪を手に入れるものの、暴走した澪の予想外の力や、東城刃更の奮闘とラースの暗躍によって、野望は潰えてしまう。刃更との戦いに敗れたあとはゼストを見捨てて逃亡するが、ラースに捕まって死亡した。剣術の達人であり、本気を出すときは魔剣ガルムで戦う。

早瀬 高志 (はやせ たかし)

東城刃更の幼なじみにして親友の男子高校生。三白眼が特徴で、白いパーカージャージを着用している。勇者の一族の一人で、危険視されるようになった成瀬澪を討伐する任務のために、野中胡桃と共に街を訪れる。刃更が起こした過去の悲劇を繰り返さないために、つねに冷静かつ冷徹に任務を遂行しようとする。そのため、障害になる者はたとえ同胞であっても排除し、特に魔族相手には容赦がない。勇者として将来を嘱望された刃更が、魔王の娘である澪を守ろうとするのを快く思わず、彼が過去の悲劇を忘れて過ごしていたことにも苛立ちを覚えている。また澪のことは、敵視している魔族というだけでなく刃更を惑わす元凶と見ており、憎悪に近い敵対心を抱いている。戦闘タイプはスピードタイプの「高速槍術使い(クィック・ランサー)」。武器は四聖獣の白虎を宿した伝説の神器である霊槍「白虎」を使用し、スピードを生かした鉄壁の防御と神速の槍術を得意とする。白虎の性質上、西の方角を背にして戦わなければ力が半減する。澪の命を巡って刃更たちと決闘することになり彼との対決を望むが、足止めを任された澪と成瀬万理亜のコンビと対峙。一度は澪の水攻めに遭うものの二人を返り討ちにし、刃更と一対一の激戦を繰り広げる。刃更に強い怒りを抱く一方で、野中柚希と同じく彼の追放をまったく納得しておらず、刃更が里から出て行く際には必死に引き止めようとするなど、誰よりも実力を認めて信頼していた。刃更との決闘に敗北したあとは和解して里に戻り、澪の命も狙わなくなる。

野中 胡桃 (のなか くるみ)

野中柚希の妹で、勇者の一族の一人。水色のロングヘアをポニーテールにまとめ、ふだんはパーカーとスパッツを着用している。クールで冷淡に見えるが、心根は優しく姉思いな少女。勇者の里の命令で、監視対象から消滅対象に変わった澪を討伐すべく、早瀬高志と共に派遣されてきた。昔から姉の柚希を「お姉」と呼んで慕っており、過酷な修行に打ち込む彼女を心配していた。昔は東城刃更を「刃更兄ちゃん」と呼んで兄のように慕っていたが、里を襲った過去の事件のせいで柚希がつらい思いをしていたと知っていることから、その思いを知らずに成瀬澪と行動を共にする彼を敵対視し、怒りをあらわにしている。澪の討伐だけでなく、刃更を倒して柚希を里に連れ戻す目的で、高志と共に刃更たちとの決闘に参戦。澪と成瀬万理亜に高志の足止めを任せた刃更と一対一で戦い、一度は刃更を追い詰めるものの敗北。そのままビルから落ちそうになったところを刃更に救われると同時に、彼のことを誤解していたと悟って和解し、高志との決戦場に導いた。決闘が終わったあとは高志たちと共に里に帰り、澪の命も狙わなくなる。和解した刃更に対してはそっけない態度を取ってしまうこともあるが、本音では信頼している。戦闘タイプは澪と同じく魔力タイプだが、精霊と交信して自然現象をあやつって戦う「精霊魔術師(エレメントマスター)」。具現化武装として、「霊操術の篭手」も使用する。性感帯は脇で、バストサイズは76センチのCカップ。

長谷川 千里 (はせがわ ちさと)

聖ヶ坂学園の養護教諭を務める女性。白衣をまとった黒髪ロングヘアの巨乳美女で、眼鏡を掛けている。クールでサバサバした性格をしており、男子生徒からの人気も高い。転校してきたばかりの東城刃更を気に掛け、彼が悩んでいるときにはよく相談に乗って助言を与えてくれる。経験豊富そうな見た目だが実は非常に奥手で、生徒から恋愛相談をされたときは心底対応に困っている。バストサイズは98センチのIカップ。

斯波 恭一 (しば きょういち)

勇者の一族の男性で、一族の中で最も高い実力を誇る。つねに笑顔を浮かべているが、底知れぬ恐ろしさを秘めている。実力の高さに対して人格にやや問題があるため、野中胡桃と早瀬高志の任務には戦力としてではなく、お目付け役として同行する。東城刃更たちとの決闘にも同行するが、高志から邪魔や乱入を警戒されて結界の外にはじき出されたため、結界が弱まるまでは中に入ることはできなかった。決闘終了後は高志たちの敗北を認め、彼らを連れて勇者の里へ帰っていった。過去にある問題を起こして何年も座敷牢に入れられていたことがあり、これらの事情を知る刃更も、真正面から戦うことは避けようとするほどの危険人物。戦闘タイプは氣功格闘士で、自分や周囲の氣をあやつるが、詳細や実力は未知数。

大場 清斗 (おおば せいと)

勇者の一族の一人で、東城迅に匹敵するほどの才能を持っていた青年。しかし魔族に異常な憎悪を抱き、過激な敵対心を抱いてすべて根絶やしにすべきという危険思想を持つため、一部からは恐れられていた。強さを求める早瀬高志からは懐かれて多くの影響を与えていたが、彼の母親からは警戒されていた。魔族の全滅までは考えていない長老たちに苛立ち、封印されていた魔剣ブリュンヒルドを無断で持ち出すが、いっしょに封じられていた邪精霊も解放してしまう。この邪精霊に乗っ取られる形で暴走して同胞たちを次々と殺害し、巻き込まれそうになっていた野中柚希を守ろうとした東城刃更が発動した無次元の執行によって、周囲一帯もろとも消滅する。これらの出来事は刃更をはじめとする多くの同胞たちの心に爪痕を残し、野中胡桃や高志が刃更を恨む原因にもつながっている。

レオハルト

ウィルベルトの死後、魔王となって君臨している魔族の男性。人望も厚く、部下からも信頼されている有能な魔王で、最強の勇者である東城迅と対等に戦えるほどの実力を持つ。魔族の穏健派と対立しているものの、レオハルト自身は野心家ではなく、陰謀やいがみ合いの絶えない現在の魔界を憂いている。魔界を完全統一した際には、裏で暗躍する高級魔族たちの悪事を暴こうと考えている。

ゼスト

ゾルギアの腹心である、魔族の女性。銀髪のショートヘアでスタイル抜群な、褐色肌の美女の姿をしている。攻守ともに強力な土魔法を使用し、岩石の固まりを自在にあやつって攻撃したり、相手を拘束したりできる。ふだんはほかの魔族を油断させる目的で、真の実力を隠している。ゾルギアの命令により、人間界に渡って暗躍し、成瀬澪の友人をあやつって弱った彼女をさらおうともくろむ。成瀬万理亜の働きもあって澪を魔界に連れ去ったが、救出に来た野中柚希と澪の連携の前に敗北。それを見たゾルギアに見限られて殺されそうになるが、東城刃更に救われた。ゾルギアの敗走後は澪の要望で助けられ、魔族の穏健派に引き取られた。これ以降はメイドとして東城家に身を寄せながら、恩人である刃更たちに忠誠を抱くようになる。バストサイズは87センチのEカップ。

シェーラ

成瀬澪と成瀬万理亜の母親。かつては最強のサキュバスであったが、万理亜を産んでからは彼女によく似た幼い少女の姿になっている。ゾルギアが澪を手に入れるための人質として、魔界にある彼のアジトの地下牢に捕えられていた。ゾルギアによって始末されたと思われたが、それはラースが仕込んだダミーであり、本物は東城刃更と取り引きを交わしたラースによって救出されていた。ゾルギアとの戦いが終わったあとは、無事に万理亜と再会を果たす。

その他キーワード

無次元の執行 (ばにしんぐしふと)

東城刃更の必殺技で、対象を消し去ることができる。勇者の一族の中でも、刃更にしか使用できない特別な技。相手の攻撃に対するカウンターとしてのみ使用可能で、物理技、魔法技を問わず相手の攻撃を弾いたり散らしたりできる。強力な能力だが、5年前に大場清斗を止めるために刃更が使用した際に暴走し、敵味方問わず広範囲を消滅させてしまった過去がある。これが原因で刃更は勇者の資格を剥奪され、無次元の執行を長らく使用できなくなっていた。成瀬澪を魔族から守るための戦いの中で再び使われるようになるが、刃更はよほどのことがない限り使わないようにしている。何度か使用しているうちに、敵の攻撃の定義を広げることによって、カウンター以外でも発動可能になった。

魔剣ブリュンヒルド (まけんぶりゅんひるど)

勇者の一族が暮らす勇者の里にある森の深部で封印されている、伝説の魔剣。太古の昔に邪精霊を封印した時に使用された。魔族を殲滅(せんめつ)しようとする大場清斗によって封印が解かれたが、同時に封印されていた邪精霊まで解放してしまい、心を乗っ取られて同胞を惨殺するという惨劇を起こした。その後は持ち主がいなくなるが、強い力を持つ東城刃更を新たな使い手として選んだ。刃更に渡ったあとも邪精霊の封印を解くことでより強力な力を放てるが、邪精霊に精神を乗っ取られるというリスクがある。

勇者の一族 (ゆうしゃのいちぞく)

遙か昔より、神族から特別な力を与えられた人間の一族。魔界に住む魔族をはじめ、「魔」によってこの世に害をもたらす者と戦い続けた勇者と、その子孫たちが集まっている。日本では東城刃更の故郷でもある「勇者の里」という田舎村に集落があり、魔族と戦う任務を中心に、あちこちに勇者が派遣されている。田舎暮らしが長いために都会の物事に疎い者が多いが、ふつうの人間にはない特別な戦闘力を持ち、男女問わず幼少期から魔族と戦うための厳しい修行を受けている。また、修行を積んだ実力者には魔剣や霊刀といった特別な武器が与えられる。

主従契約魔法 (しゅじゅうけいやくまほう)

魔力によって主従関係を結び、どこにいても互いの位置を把握できるように契約を交わす魔法。契約した者同士は、互いの絆を深めることで契約を強化し、それぞれの戦闘能力を上げることも可能。本来は配下が主に逆らわないようにするための魔法であり、僕となった者が主となった者への後ろめたさや翻意を抱いたときに魔力の属性に応じた呪いが発動し、場合によっては命を落とすようになっている。成瀬万理亜が使用する主従契約魔法の属性は「色欲」であり、僕が主に対して後ろめたさや反抗心を抱くと、首に痣が現れて催淫状態となってしまう。当初は東城刃更と成瀬澪に万理亜の主従契約魔法がかけられるが、予定とは異なって刃更が主、澪が僕となった。のちに万理亜の提案で刃更と野中柚希のあいだでも、同様の主従契約が交わされた。

クレジット

原作

上栖 綴人

キャラクター原案

大熊 猫介

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