東京流星群

東京流星群

弱小プロ野球チーム「東京流星群」の新球団社長としてやって来た車椅子の事業家、美駒了子がチームを改革していく姿を描いた作品。同時に、問題を抱えた所属選手の成長も描かれている。「good!!アフタヌーン」2014年48から2016年第2号にかけて連載された作品。

正式名称
東京流星群
ふりがな
とうきょうりゅうせいぐん
作者
ジャンル
野球
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あらすじ

第1巻

プロ野球チームの東京流星群は万年最下位で人気は低迷しており、復刻ユニフォームでの試合を開催するなどイベントを行なっても、観客はほとんど入らない状態だった。そんな中、突如球団社長の西岡誠が辞任。次の球団社長に、美駒了子が就任した。球団職員の犬森ゆかりらは、西岡が辞任する原因となった金銭トラブルの噂による選手の士気の低下や、畑違いの事業家の了子が球団社長に就任した事に不安を覚える。だが、職員らの不安をよそに、了子はさっそく、成績に波があって素行の悪いマイケル・スコットを改心させ、自信を喪失していた金谷を復活させるなど、見事な手腕を発揮し、ゆかりら球団職員の信頼を得ていく。そんな中、東京流星群の中では人気がある桑田の成績が低下し、ついには二軍落ちする事となってしまう。了子から二軍球場での桑田の様子をレポートする業務を任されたゆかりは、そこで練習中にうつろな目をして座り込む桑田の姿を目撃する。そんな桑田をゆかりは叱咤激励し、さらに江夏のリハビリを受ける事で、桑田はやる気を取り戻し、改めて一軍に復帰。実はゆかりと桑田の件も了子の緻密に練り上げた計画だったのだ。

第2巻

プロ野球チームの東京流星群に所属する矢貫行路は、その自由気ままな言動から、二軍選手ながらも高い人気を誇っていた。そんな中、矢貫は故障者と入れ替えで一軍登録される事になったが、チームプレイを完全に無視したプレイを続けていた。さらにはベンチから監督の顔を盗撮し、おもしろおかしく編集した動画をインターネット上にアップロードし、謹慎処分を受けてしまう。しかし矢貫はまったく反省せず、相変らず自由な言動を繰り返していた。そんな中、美駒了子から指示を受け、話し合いに出向いた犬森ゆかりと共に、矢貫は草野球チームの指導を行う事となった。そこで矢貫は改めて初心に戻り、自分は野球が好きである事を再確認する。謹慎明けに試合に戻った矢貫は、グラウンドで野次を浴びつつも、チームメイトのミスをカバーし、ピッチャーのノーヒットノーランに貢献する。そして矢貫は観客の前で、これまでの振る舞いを詫びるのだった。(エピソード「ショートストップ・矢貫行路」)

矢貫行路と同期の小森大海は、自身を輩出した高校から多大な期待を寄せられていたが、なかなか結果が出せずに、プレッシャーを感じていた。個人練習も許されず、チームにもいま一つ馴染めない小森は、どんどん自信を失っていく。そんな中、プロ野球チーム、東京流星群の二軍寮では、急遽卓球大会が行われる事となった。卓球が得意な小森は大会で大活躍し、一躍ヒーローになる。これによりチームメイトとの絆を深めた小森は、前向きな気持ちを取り戻していく。やがて、矢貫と小森は同時に一軍登録される事となる。そしてゲームの勝敗が決まる大事なシーンで、小森は代打を任される。(エピソード「セカンド・小森大海」)

登場人物・キャラクター

美駒 了子 (みこま りょうこ)

元女優で故人の美駒優の娘。4月1日生まれで、年齢は22歳。父親はプロ野球選手で、優とは入籍しないまま美駒了子をもうけた。幼い頃に、父親が出場している試合を優と共に観戦していた際、飛んで来たホームランボールでケガを負い、以降は車椅子で生活をする事になったが、この事実は世間にはいっさい公表していない。10代でさまざまな事業を成功させており、経済界のアイドルとして知られる有名人。 つねに冷静で頭の回転が速く、自分の計算通りに物事を進める才能に長ける。格上の相手に対しても臆さず、自分の道を貫くその姿勢から、メディアからは名前に「様」付けで呼ばれており、了子の発言は「了子様語録」として語り継がれている。白雪とは、事業を開始した10代の頃からの付き合いで、仕事もプライベートもほぼ行動を共にしている。 西岡誠のあとを継ぎ、弱小プロ野球チーム、東京流星群の新しい球団社長に就任してからは、その手腕を発揮し、球団の立て直しに尽力する。

白雪 (しらゆき)

美駒了子の秘書を務める若い女性。仕事中でもメイド服のようなフリルの付いた服を身につけており、コスプレ界では有名な存在。了子が10代の頃に起業した頃からの付き合いで、彼女が車椅子生活を送る事になった経緯も知っている。

犬森 ゆかり (いぬもり ゆかり)

プロ野球チーム、東京流星群の球団職員として働く女性。年齢は24歳。若いながらも主任の役職に就いている。祖父が東京流星群の元選手で、幼い頃から試合の話を聞かされていた事から、東京流星群のファンになった。その後、就職先に率先して東京流星群を選ぶほど、球団への愛情は深い。隠し事のできないまっすぐな性格の持ち主。

金谷 (かねたに)

プロ野球チームの東京流星群に所属する男性。控えのキャッチャーを務める。足腰が強く、丈夫な身体をしている事から、マイケル・スコットがマウンドに立つ時のみ、女房役を任されている。マイケルからは見下されており、サインをいっさい無視するなど酷い扱いを受けているが、金谷自身に実績がないため、何も言えずにいた。高校時代は甲子園で活躍したが、打撃面でプロの厚い壁に阻まれ、それが守備にも悪い影響を及ぼしている。 しかし、美駒了子の提案を受けてマイケルと勝負し、見事勝利。それ以降は自信を取り戻し、チームの勝利に貢献するようになる。

マイケル・スコット (まいけるすこっと)

プロ野球チームの東京流星群に所属する外国人男性のピッチャー。東京流星群の主力選手の一人で、球速はつねに160キロを超える事から、「球速の黒船」の異名を持つ。3年契約で10億円の年俸をもらっているが、好不調の波が激しく、通算防御率は4.08と結果を出せていない。そのため、吉松初ら古株のファンからは不評を買っている。 自分が出る時にしか試合に出られない金谷を見下し、金谷からの指示はすべて無視している。さらに思い通りにいかない時には、ベンチを破壊するといった問題行動が目立つ。美駒了子からの提案で金谷と勝負をし、負けた事で心を入れ替えた。

桑田 (くわた)

プロ野球チームの東京流星群に所属する男性。守備位置はファースト。高校時代は強打者としてその名を知られていた。甲子園では2本のホームランを打っている。実力、人気共に高いが、最近では成績がまったく振るわず、ついには初めての二軍落ちを経験した。実は3年前に膝のケガを負い、それ以降心が萎縮して動けなくなってしまっていた。 犬森ゆかりの説得を受けて奮起し、江夏の指導のもとリハビリした結果、無事一軍復帰を果たす。

矢貫 行路 (やぬき こうじ)

プロ野球チームの東京流星群に昨年入団した男性。守備位置はショート。入団会見の際に、アロハシャツを着てウクレレを持ってきた強者で、発言も行動も自由気まま。見た目が整っているうえに、その予測できない破天荒な言動から女性ファンが多い。そんな女性ファン達を、メディアは「矢貫推し女子」と呼んでおり、彼女達は矢貫行路を「ヤヌッキー」の愛称で呼んでいる。 ほかの選手のケガにより一軍に選手登録されたが、初めての一軍の試合で監督の表情を動画撮影し、おもしろおかしく編集してネット上にアップロードした事で、謹慎処分を言い渡される。実力はあるものの今一つ野球に熱中できず、だからといって実家の養鶏所を継ぎたくない思いからフラフラしていたが、謹慎中に草野球チームの指導をした事で初心を思い出す。 以降はチームプレイを意識し始め、勝利に貢献するようになっていく。同時期に入団した小森大海と仲がいい。

小森 大海 (こもり ひろみ)

プロ野球チームの東京流星群に昨年入団した男性。守備位置はセカンド。一軍と二軍を行ったり来たりしている。おとなしく、自分の意思をはっきりと口にできず、未だ成績を残せていない事に強いプレッシャーを感じていた。自身を輩出した高校から多大な期待を寄せられている。同時期に入団した矢貫行路と仲がいい。特技は卓球。

西岡 誠 (にしおか まこと)

プロ野球チーム、東京流星群の前球団社長を務めていた男性。東京流星群の成績不振に加え、以前から選手の大リーグ移籍金を私的流用している疑いをかけられ、球団社長の座を追われた。しかし、実際は自身が後援会長を務めていた美駒優の娘である美駒了子にあとを継いでもらいたいと考えており、疑惑は自身が退陣するための口実に過ぎなかった。

吉松 初 (よしまつ はじめ)

プロ野球チーム、東京流星群のファンの男性。下町区の商工会議所会頭を務めており、「流星スタジアム」で行われる試合では、実況解説者としてたびたびゲスト出演している。強かった頃の東京流星群を知っており、当時を思い出しては懐かしんでいる。

江夏 (えなつ)

美駒了子の足の相談医を務める女性。小柄ながらも非常にパワフルな性格の持ち主で、了子から桑田のリハビリを任された時には、スパルタ指導を行った。

美駒 優 (みこま ゆう)

美駒了子の実母。元女優で、プロ野球選手とのあいだに未婚の状態で了子を出産した。のちに自ら命を絶った。

集団・組織

東京流星群 (とうきょうみーてぃあーず)

下町区を地元とする弱小プロ野球球団。ホームは「流星スタジアム」。戦後、「戦争の空襲で焼け出された人々に夢を!!」という理念を掲げて立ち上げられた。昭和39年(1964年)にはシーズン終了間際で13連勝し、大逆転でリーグ優勝を果たすなど、活気のあるチームだった。しかしその後50年はリーグで3位が数回、近年は最下位の常連という散々な成績を残している。 それに伴って人気も衰え、全盛期の昭和39年当時のオールドユニフォームで試合をするイベントを催しても、ほとんど観客が入らない有様である。しかし、美駒了子が新たに球団社長に就任してからは、少しずつ人気が復活しつつある。

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