東独にいた

東独にいた

東ドイツの特殊部隊「多目的戦闘群」に所属する女性軍人のアナベル・フォードールと、反政府組織「フライハイト」のリーダーであるユキロウ・フジサキ。所属やゆずれない思想という秘密を抱えながらも惹かれ合い、しかし敵対関係でしかいられない二人の切ない恋愛模様を描く。「ヤングマガジンサード」2019年第6号から掲載の作品。

正式名称
東独にいた
ふりがな
とうどくにいた
作者
ジャンル
軍隊・軍人
 
恋愛
レーベル
ヤンマガKCスペシャル(講談社)
巻数
既刊5巻
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あらすじ

第1巻

東ドイツの特殊部隊「多目的戦闘群」に所属している女性軍人のアナベル・フォードールは、街の小さな本屋で店主を務めるユキロウ・フジサキに恋心を抱いていた。しかしユキロウは反政府組織「フライハイト」のリーダー「フレンダー」であり、驚異的な身体能力を誇る多目的戦闘群メンバーを引き抜く目的でアナベルに近づいていたのだ。アナベルの恋心を利用し、フライハイトへの勧誘を試みていたユキロウだったが、フライハイトの爆破テロの標的となった軍の建物が、アナベルの育ての親の職場であることに作戦決行直前に気づく。しかし爆破テロが成功した結果、アナベルの育ての親は焼死し、アナベルがフレンダーを憎むようになったことで、二人の溝は決定的なものとなってしまう。

第2巻

テロ活動を活発化する反政府組織「フライハイト」を掃討するため、外国に派遣されていた東ドイツの特殊部隊「多目的戦闘群」のメンバーが招集された。先日、アナベル・フォードールがフライハイトのメンバーに襲撃されたことから、アナベルの身近にフライハイトの幹部が潜伏しているのではないかと議題に上がる。アナベルは即座に心当たりがないと否定するが、アナベルの挙動からウソを見抜いたイシドロ・ガルシアの独自捜査の結果、ユキロウ・フジサキが秘密警察に捕えられる。それをきっかけに、ユキロウ救出に動くフライハイトと、フライハイト掃討に動く多目的戦闘群メンバーの直接対決が始まる。

登場人物・キャラクター

アナベル・フォードール

東ドイツの特殊部隊「多目的戦闘群」に所属している軍人の女性。黒髪のロングヘアで、青い瞳を持つ。ユキロウ・フジサキに好意を抱いており、ユキロウに会う時は、わざわざ軍服からOLのような服に着替えている。非常に甘党で、ジャムをそのままスプーンですくって食べるのを好む。幼少期に両親がアナベル・フォードールを置いて西ドイツに亡命したため、現在は育ての親と実の親子のように暮らしていた。しかし、反政府組織「フライハイト」のテロによって育ての親の職場が爆発炎上し、二人が死亡したことでフライハイトの指導者である「フレンダー」を憎むようになる。

ユキロウ・フジサキ

日系人の青年。銀髪のショートボブヘアで、赤い瞳を持つ。表向きは小さな本屋を営んでいるが、反政府組織「フライハイト」のリーダーとして活動しており、構成員からは「見知らぬ人」という意味の「フレンダー」と呼ばれている。東ドイツの反体制派を導く偉大な指導者として尊敬されており、特に末端の構成員からは、人質がフレンダーの悪口を言っただけで手酷い拷問を加えるほど信奉されている。アナベル・フォードールをフライハイトに引き入れようと考えていたが、アナベルの育ての親の職場をそうと知らずに爆破テロの標的としてしまい、アナベルから恨みを買って以降は彼女の殺害を視野に入れ始めた。しかし、殺害指示の際に表情を隠すなど、ユキロウ・フジサキ自身はまだアナベルに惹かれている様子がある。

クロード

東ドイツの特殊部隊「多目的戦闘群」に所属している軍人の男性。黒髪の丸刈りで、非常に短気ながらクロード自身は忍耐強いと思っている。アナベル・フォードールとは子供の頃からの付き合いで、アナベルの育ての親とも面識があり、気やすく会話をする関係だった。記憶力に優れ、一瞬すれ違っただけの相手の顔を記憶し、再会した瞬間に照合できる特技を持つ。イーダとは犬猿の仲。

イシドロ・ガルシア

東ドイツの特殊部隊「多目的戦闘群」に所属している軍人の中年男性。白いベリーショートヘアで、褐色の肌を持つ。左目の周囲だけが四角く皮膚を切り取られたようになっており、左目も機能していないために白く濁っている。心理学者でもあり、行動心理学によって捕虜から情報を引き出している。外国に派遣されていたが、反政府組織「フライハイト」の掃討作戦のために東ドイツに呼び戻された。捕虜に対して紳士的に接しており、拷問をよしとしていない。

イーダ

東ドイツの特殊部隊「多目的戦闘群」に所属している軍人の女性。非常に筋肉質な体格で、オールバックにした長い金髪をうなじでまとめている。エッポと共にレバノンに派遣されていたが、反政府組織「フライハイト」の掃討作戦のために東ドイツに呼び戻された。クロードとは犬猿の仲。

エッポ

東ドイツの特殊部隊「多目的戦闘群」に所属している軍人の男性。肩までの金髪に、左右大きさの違う大きな垂れ目が特徴。多目的戦闘群の議事録係であり、複数メンバーが集まって会議や話し合いをする際には逐一タイプライターで記録している。頭の回転が早く、反政府組織「フライハイト」の攪乱作戦の目的にもいち早く気づいた。一方で非常に口が悪く、クロードとイーダに無礼なあだ名を付けては痛い目を見ている。

エミリア

反政府組織「フライハイト」の構成員の女性で、5歳の息子がいる。金髪でサイドだけを縦巻きロールにしている。情報部隊を指揮しており、部下たちへの作戦伝達と爆発計画の実行などを主に行っている。アナベル・フォードールに接触を続けるユキロウ・フジサキが、アナベルに情を移してしまわないかと心配している。

ノアゾン

反政府組織「フライハイト」の構成員の中年男性。黒髪をぴっちりとした七三分けにしている。作戦立案を任されており、ユキロウ・フジサキのオーダーに合わせて最適な部隊を選択して作戦を組み立て、戦闘部隊への指示などを行っている。時間厳守を座右の銘としており、秒針が重なるタイミングで約束の場所に現れるほど几帳面な性格をしている。

アルベルト・コンラート

東ドイツで政権をにぎる、ドイツ社会主義統一党の政治家の初老男性。肥満体で頭髪が薄い。民主化運動の高まりによって活発化した反政府組織によって拉致された。自分より立場が弱いと認識した相手には非常に傲慢かつ居丈高な態度を見せ、逆に相手が優位に立っているととたんに萎縮した姿を見せる。軍人嫌いで、アナベル・フォードールたちから周辺警護を申し出られた際にも拒絶した。

集団・組織

多目的戦闘群 (まーたんずしゅらはとぐるっぺ)

東ドイツの非正規特殊部隊で、アナベル・フォードールが所属している。メンバーは国家主導で行われている身体改造の末に選出され、さらに生物学に基づいた改造を施される超人部隊といわれている。ビデオカメラで撮影できないほどの速度で敵対者を殺害したり、大通りを挟んだビルからビルへと飛び移ったり、爆発炎上する現場でも無傷で生還するなど、驚異的な身体能力を誇る。多目的戦闘群の略称として「MSG」とも呼ばれており、所属者の身体能力の高さから「神軀兵器」とも呼ばれている。

フライハイト

ユキロウ・フジサキが率いている反政府組織。1970年代に発足しており、ベルリンを本部に全国14県に支部を置き、中央集権をしいている。構成人数は400~800人相当いると考えられ、戦闘部隊や情報部など、各自の得意な分野で役割を担っている。軍事組織と同様の戦力を持つとされており、作戦の成功率やその方法から、構成員の練度も非常に高い。

書誌情報

東独にいた 5巻 講談社〈ヤンマガKCスペシャル〉

第1巻

(2019-12-20発行、 978-4065178980)

第2巻

(2020-05-20発行、 978-4065195536)

第3巻

(2020-12-18発行、 978-4065217221)

第4巻

(2021-04-20発行、 978-4065229293)

第5巻

(2021-08-19発行、 978-4065243503)

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