株式会社徳川家康

株式会社徳川家康

武将たちが激しい覇権争いを繰り広げた戦国時代の戦いを、現代日本のビジネス社会に舞台を置きかえて描いた作品。社会貢献を旗印として理想に燃える企業と、卑劣な手段を駆使して業界トップの座を奪取しようとする企業との争いが、スポーツ・食品・サルベージ・バイオ開発などの分野で繰り広げられる。1990年代初頭の時代背景とともに、サスペンスとユーモアとアクションシーン盛りだくさんで進行するビジネスマン漫画。1991年には、TBSにて松方弘樹主演でドラマ化もされている。

正式名称
株式会社徳川家康
ふりがな
かぶしきがいしゃとくがわいえやす
作画
原作
ジャンル
社会問題
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

東京の大手総合商社「徳川商事」の総帥・徳川家康は、自社スーパーマーケットの全国制覇を目指し、女子野球チーム「アマゾネス」を誕生させて、全米チャンピオンチームとの対戦を目論む。しかし、ライバルである大阪の総合商社「近江商事」は、これに対抗するチーム「タイコーゴールド」を編成して徳川商事に戦いを挑む。

近江商事側の卑劣な手段により「アマゾネス」は監督の隼剣太郎を拉致されてしまうが、迎えた東京ドームでの決戦の日、そのベンチには、ユニフォーム姿の家康の姿があった。

登場人物・キャラクター

徳川 家康 (とくがわ いえやす)

江戸幕府の初代将軍・徳川家康と同姓同名の、徳川商事の総帥。企業人として財界トップのカリスマであり、企業戦略の企画力と実行力に卓越した才能を持つ中年男性。決して金儲け主義に走らず、社会貢献や環境保護を第一に考える人格者。

徳川 竹千代 (とくがわ たけちよ)

徳川家康の娘で、名前は徳川家康公の幼名から名付けられた。徳川商事の社長秘書として父親の家康を支えるスタイル抜群の独身女性で、家康譲りの行動力と的確な判断力を持つ。女子野球チーム「アマゾネス」では、コーチとして大声を出し、ノックをするスポーツウーマンでもある。

徳川 秀忠 (とくがわ ひでただ)

徳川家康の息子で、徳川商事の専務を務めている。アメリカ帰りのやり手ビジネスマンで、現実的な経営方針を主張し、理想論を語る家康としばしば対立する。しかし、父親からの信頼は厚く、新規事業では重要な職務を任されることとなる。

隼 剣太郎 (はやぶさ けんたろう)

徳川商事のグループ会社「スーパーアオイ」で商品管理を担当する男性社員。元プロ野球選手で、現役時代はセーブの日本記録を打ち立てたほどの名投手。その華やかな前歴を買われて女子野球チーム「アマゾネス」の監督に抜擢される。

若松 (わかまつ)

徳川商事の部長で、秘書課を取り仕切っている中年男性。背が低く、メガネをかけちょびひげを生やした一見冴えない人物だが、徳川家康の人格に心酔しており、彼の言いつけならば文句を言いながらも何でもてきぱきと処理する有能な部下。家康が心を許す懐刀的存在の側近。

江戸 ありさ (えど ありさ)

徳川商事の秘書課に勤務する女性。第一秘書を務めている。前職は海外要人を警備するSPで、読心術が得意で英語通訳もこなし、柔道三段という多芸多才。また、スタイル抜群の美女でもある。細かいところにも気が付く性格で、徳川家康からの信頼も厚い。

本多 (ほんだ)

徳川商事の名古屋支社で支社長を勤める青年。年齢は若いが的確な判断力と素早い行動力に定評があり、徳川家康からもその実力を買われている。近江商事との「弁当戦争」では八面六臂の活躍で中心的な役割を果たす。

風巻 まみ (かぜまき まみ)

女子野球チーム「アマゾネス」のエースピッチャー。元女性プロボウラーで、アンダースローから投げる豪速球を武器に相手の打者をきりきり舞いさせる。野球の試合で大活躍すると同時に、徳川商事のオフィスでは有能なOLとして働く。

紀尾井 恵子 (きおい けいこ)

女子野球チーム「アマゾネス」のキャッチャー。超肥満体の大女で、前職は「凶器つきナックルボンバー」を得意技とする、ペイント極悪女子プロレスラー。普段は関西弁で冗談ばかり言って周囲を笑わせる、陽気で明るい性格。

平川 一恵 (ひらかわ かずえ)

50メートルをわずか4.8秒で駆け抜ける俊足の女性。女子野球チーム「アマゾネス」のトップバッターとして採用された選手で、守備位置はセンター。前身は平凡なOLだったが、その韋駄天ぶりから「通勤快速」というあだ名で呼ばれていた。

淀 きみよ (よど きみよ)

近江商事の会長で、グループ全体を統括する「近江コンツェルン」の総帥。弱小スーパーを大企業に発展させたやり手の近江商人として有名な女性。グループ傘下の「スーパータイコー」のチェーン店網の全国展開を目指し、徳川商事と全面対決する。

淀 秀頼 (よど ひでより)

淀きみよの息子で、近江商事の社長を務めている青年。側近からは「若社長」と呼ばれている。母親のきみよから溺愛されており、母親に似てライバル会社に勝つためには手段を選ばないという性格の若者。悪酔いして女性に絡むという悪癖がある。

石田 仙二 (いしだ せんじ)

近江商事の専務を務めている、淀きみよに忠誠を誓う側近の中年男性。きみよの命を受けて東京に乗り込み、ありとあらゆる手を弄して、徳川商事傘下の「スーパーアオイ」と女子野球チーム「アマゾネス」の進撃を食い止めるための策略を謀る、卑劣な性格のビジネスマン。

真田 浩一 (さなだ こういち)

女子野球チーム「タイコーゴールド」の監督を務める、元プロ野球選手の男性。現役時代は汚いプレーで知られ、当時のライバルであった隼剣太郎に試合でビーンボールをぶつけて、彼を引退に追い込んだ経歴を持つ。ゆがんだ性根と卑劣な性格をした悪人。

甲賀 (こうが)

近江商事の調査課で働く男性社員。ヘッドハンティングをしたり、ライバル会社の企業秘密をさぐるなど、裏の仕事を任されている人物。英会話も堪能で催眠術が得意。蛇のような目つきをしている。

青井 亜里沙 (あおい ありさ)

東京の会員制高級クラブ「葵」のママを務めている女性。クラブの奥にある日本間をしつらえた「VIP専用ルーム」は徳川商事が重要人物の接待に用いている。徳川家康とは特に親しい間柄で、その関係を徳川竹千代から疑われている。

朝霧 えい子 (あさぎり えいこ)

東京の会員制高級クラブ「葵」のチイママ務めている女性。実は石田仙二の愛人で、妹の朝霧ゆう子を使ったり、店で接客した時に得た徳川商事の内部情報を、近江商事側に提供する産業スパイ行為をしている。

朝霧 ゆう子 (あさぎり ゆうこ)

青山のインテリアデザイン事務所に勤める女性デザイナー。高校時代の同級生だった風巻まみの紹介で徳川商事の社員となるが、実は朝霧えい子の妹であり、近江商事の産業スパイでもある。良心の呵責に悩みながらも石田仙二の指示のままに行動する。

J・マーチン (じぇいまーちん)

全米アマチュアチャンピオンの女子野球チーム「アイランダーズ」のオーナーを務めている、大柄で肥満体の中年白人男性。陽気な性格で、来日した際、徳川家康の接待を受けて意気投合した好人物。ただし、野球の試合とじゃがたら丸引揚げにおいては、家康のライバルとなる。

加藤 清十郎 (かとう せいじゅうろう)

「関ヶ原農協米穀センター」の理事長を務めている男性。全国的に有名な米の銘柄「セキホマレ」の生みの親で、米作りにかけては一切の妥協を許さない頑固な性格。たとえ大金を積まれても動じずに筋を通す、頑固一徹の老人。

加藤 静 (かとう しずか)

加藤清十郎の娘。夫と離婚し、現在は父親の世話をしている。T大学で考古学を専攻した才媛で、品川京介教授のゼミの教え子でもある。和服がよく似合うしとやかな雰囲気の美女で、茶道の腕を買われて徳川商事からお茶のアドバイザーとして招聘される。

品川 京介 (しながわ きょうすけ)

T大学の教授で、海洋考古学を専門とする学者でもある中年男性。公海に沈没したじゃがたら丸に積まれていた財宝などに詳しく、研究費用のスポンサーとしてサミエル・メイヤーがついている。大学のゼミでの教え子であった加藤静の紹介で徳川家康と出逢う。

サミエル・メイヤー (さみえるめいやー)

世界的な大金持ちで、「メイヤー財閥」の総帥の座に就いている白人男性。バミューダに豪華な別荘を所有しており、J・マーチンが進めるじゃがたら丸の引揚げに多額の費用を出資する大スポンサーでもある。近江商事所有のサルベージ船を使って徳川商事に戦いを挑む。

柳生 三郎 (やぎゅう さぶろう)

オーストリアで真珠採りの潜水夫をしている青年。素潜りで水深100メートル以上の記録を持つ。精悍でりりしくたくましい身体つきで、正義感が強い性格。マイク・アダムスとはかつて「素潜り世界選手権」で優勝を競いあったライバル同士。

マイク・アダムス (まいくあだむす)

J・マーチンに雇われてじゃがたら丸の発見に努めているプロダイバーの白人男性。全米一の素潜り深度記録を誇る。伝説のプロダイバーとして知られるジャック・マイヨールの教え子でもある。柳生三郎とはかつて「素潜り世界選手権」で優勝を競いあったライバル同士。

洪 錦凱 (こう きんがい)

「香港の経済を牛耳る男」と目される香港在住の中国人で、「洪コンツェルン」の会長を務めている。恰幅が良く不気味な雰囲気を持った怪人物で、サミエル・メイヤーとは古くからの友人同士。世界中のお茶の味を知り尽くした通人。

李 玉環 (り ぎょくかん)

「洪コンツェルン」で洪錦凱の秘書を務めている中国人女性。楊貴妃の本名と同じ「玉環」という名前が自慢で、抜群のプロポーションにいつもチャイナドレスをまとっている。洪の信頼が厚く、古来から伝わる中国茶道「茶芸」の作法に通じている。

テッド・フリーマン (てっどふりーまん)

ラスベガスでイベントなどを開催する会社に勤める白人男性。サミエル・メイヤーの依頼でお茶の世界一を決める「グリーンティー・コンテスト」の運営担当となった。前夜祭や料理の手配など何でもてきぱきとこなす有能な青年。

ビッグ・ジョー (びっぐじょー)

ケン・山中の相棒の青年で、ラスベガスで裏稼業に手を染めているギャングの一員。眉を剃り落とした長い顔が特徴の不気味な容姿の大男。ケンと組み「グリーンティー・コンテスト」で事前に裏工作をして一稼ぎを企む悪党。

ケン・山中 (けん やまなか)

ビッグ・ジョーの相棒の青年で、ラスベガスで裏稼業に手を染めているギャングの一員。普通はバーで仲間と賭けダーツをして稼いでいるチンピラ。日米の混血で、日本語を流暢に話すことができる。ジョーと組み「グリーンティー・コンテスト」で事前に裏工作をして一稼ぎを企む悪党。

ボス

ラスベガスの暗黒街に暗躍するギャング団の頭目の男。ラスベガスのホテルで開催される「グリーンティー・コンテスト」に目をつけ、手下のビッグ・ジョーとケン・山中に命じて八百長を仕掛け、一攫千金の謀略の罠を張り巡らせる。

スティーブ

ラスベガスにある高級ホテル「ホテル・サムソン」のサブ支配人を務めている白人男性。競馬などのギャンブル依存症で、ボス率いるギャング団に多額の借金を抱えている。ギャング団にその弱みに付け込まれて悪事に手を染めてしまう。

服部 保 (はっとり たもつ)

静岡県浜松市の浜名湖近くで、「杜仲うなぎ」を養殖している食品会社の社長を務める中年男性。長年の研究により、天然ものと変わらない品質の養殖うなぎの育成に成功した。服部半蔵の末裔でもあり、竹串や名刺を手裏剣のように投げる忍術も披露する。

酒井 (さかい)

徳川商事の前身会社「徳川茶園」静岡県牧之原工場の責任者。初代社長の時代から長く勤めている老齢の男性。職人気質のタイプだが温厚な性格をしている。バラの栽培を趣味としており、徳川家康の依頼を受けて「青いバラ」の完成のために協力する。

キム・リン (きむりん)

クアラルンプールで通訳とガイドを務めているマレーシア人の女性。4か国語を操る才色兼備で、マレーシアの護身術「シラット」の使い手でもあり、暴漢を一撃で退散させるほどの腕前を持つ。徳川家康が進める「青いバラ」作りの協力者。

チャーリー・フジタ (ちゃーりーふじた)

コロンビアのボゴタ市内で暗躍する麻薬マフィアのメンバーの1人。闇の世界で陰謀や策略を計画する悪のプロ。白人と日本人との混血青年で、爆薬と語学の天才と評されている。その才能を買われてホセ・ゴンザレスとともに日本に派遣される。

ホセ・ゴンザレス (ほせごんざれす)

コロンビアのボゴタ市内で暗躍する麻薬マフィアのメンバーの1人。破壊と殺りくのプロとして恐れられている存在。大柄な殺し屋として名を馳せた白人の青年で、その実力を買われてチャーリー・フジタとともに日本に派遣される。

武藤 晋介 (むとう しんすけ)

徳川商事の科学技術研究所で、所長を務める科学者の男性。科学全般に造詣が深く、徳川家康の命を受けて「青いバラ」の栽培に科学面から尽力する。妻と幼い子供の3人家族で、仕事で多忙ながらも家庭を大切にするマイホームパパ。

平山 (ひらやま)

警視庁外事課の男性刑事。ジミー・マクドナルドに協力し、チャーリー・フジタとホセ・ゴンザレスを逮捕しようと悪戦苦闘する正義感の強い人物。素早い身のこなしと的確な判断力で麻薬マフィアを追い詰めていく。

ジミー・マクドナルド (じみーまくどなるど)

国際警察(インターポール)から、麻薬犯罪撲滅のために派遣され来日した金髪の白人男性刑事。射撃の名人でもある。平山をはじめとした日本の警視庁と協力し、チャーリー・フジタとホセ・ゴンザレスの2人の麻薬マフィアを追い詰めていく。

集団・組織

徳川商事 (とくがわしょうじ)

東京に本拠を構える総合商社。社長である徳川家康の指揮のもと、主力事業体である「スーパーアオイ」の全国展開に力を入れている。社会貢献を企業理念としプロスポーツチーム興行や財宝発掘など幅広い事業を展開する大企業。ライバル企業は近江商事で、多くの事業でことごとく対立している。

近江商事 (おうみしょうじ)

大阪に本拠を構える「近江コンツェルン」の核となる大企業。会長である淀きみよの指揮のもと、全国制覇を目指している。ライバル企業の徳川商事とは正反対に、「企業戦争に打ち勝つためには手段を選ばない」という反社会的な企業方針をとっている。

アマゾネス

徳川商事が、自社グループの「スーパーアオイ」の宣伝を目的に創立した、アマチュア女子野球チーム。日本各地のスポーツウーマンたちを集めて結成された。巨人軍OBと戦い、タイコーゴールドと日本一決定戦を戦った後、アイランダーズとのアマチュア女子野球チーム世界一決定戦に挑む。

タイコーゴールド

近江商事が、自社グループの「スーパータイコー」の宣伝と、打倒アマゾネスを目標に創立したアマチュア女子野球チーム。金色に輝くユニフォームが特色で、アマチュア球界の逸材をそろえたスーパースター軍団としてアマゾネスと日本一をかけて対決する。

アイランダーズ

J・マーチンがオーナーを務めるアメリカのアマチュア女子野球チーム。アマチュア全米No.1の強豪球団で、3年連続世界一という偉業を達成している。アマゾネス対タイコーゴールドの勝利チームと世界一の称号をかけて対決するために来日する。

場所

じゃがたら丸 (じゃがたらまる)

江戸時代初期の朱印船で、当時の長崎代官であった末次平蔵が所有した「末次船」の中の一隻。明で仕入れた極上の「白磁の壺」を積んだままバミューダ海域で沈没。海底に眠る秘宝をめぐって、徳川家康とJ・マーチンとのサルベージ競争の対象となる。

サンタ・マリア号 (さんたまりあごう)

NASA(アメリカ航空宇宙局)のスペースシャトル。機内のスペース・ラブ(実験室)では完全な真空と無重力という、地上では不可能な環境における、人類に有益な実験が可能。徳川商事の申請した「青いバラ」栽培のための実験材料も搭載される。

その他キーワード

青いバラ

自然界には存在しない、青色のバラの花。これまでに世界中のマニアが栽培に取り組んだものの、青色の色素を出す交配が困難で、品種改良がことごとく失敗に終わっている。そのため、「実現不可能な夢」を意味する言葉ともなっている。徳川家康は、この「青いバラ」の栽培を成功させるために情熱を傾ける。

SHARE
EC
Amazon
logo