すっくと狐

すっくと狐

妖怪が集まりやすい「異形の地」にある学校に通う女子高生の松下実花と、実花を嫁として見初めた稲荷神唱が、妖怪によって引き起こされる事件に巻き込まれる様子を描いた怪奇ロマンス作品。

正式名称
すっくと狐
ふりがな
すっくときつね
作者
ジャンル
怪談・伝奇
 
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概要・あらすじ

主人公の松下実花たちが住む町で、連続して水死体が見つかるという事件が起こった。実花の通う学校のプールでも事件が起こり、学校の近くにある七ツ森神社を取り壊そうとした祟りだという噂も流れていた。そんな中、実花と友人の上杉弓弦は、七ツ森神社の守り神だと名乗ると出会う。によれば、七ツ森神社近くの山の頂上にある鳥居を、年に一度のある日、最初に飛び越えた妖怪は、力を得て神位を上げることができるという。

この地区で起こっている事件は、鳥居を狙って集まった妖怪の仕業だった。力が衰えていたは、丙午生まれで狐の力を高めることができる実花に目をつける。実花は友人たちを守るために、といっしょに鳥居を飛び越えるのだった。

登場人物・キャラクター

松下 実花 (まつした じっか)

ショートカットのボーイッシュな女子高生。妖怪の力を高める「丙午(ひのえんま)」生まれで特に火の気が強く、狐の力を強める性質を持つことから唱に見初められる。唱の力を強めるため、唱といっしょに鳥居を飛び越えたことがきっかけで、人には見えない妖怪の姿が見えるようになったが、唱の許嫁という理由から様々な妖怪に狙われることになる。 自分以外の人間をあまり省みようとしない唱とは、当初は衝突を繰り返していたが、次第に相思相愛の仲になる。

(となう)

膝まで届く長い黒髪に褐色の肌をした男。普段は人間の姿をしているが、正体は七ツ森神社に祀られている稲荷神で、土をつかさどる玄狐。その姿は、普通の人間には見えない。松下実花といっしょに鳥居を飛び越したことで、本来持っていた強力な力を取り戻した。元々は外つ国の出身で、人間と妖怪の間に生まれたハーフ。 七ツ森神社の鎮守をしているが、松下実花以外の人間には興味がない。妖怪に対しては乱暴な性格で、唱に対して反感を抱く妖怪も多い。

上杉 弓弦 (うえすぎ ゆづる)

ウェーブのかかった長い髪の儚げな美少女。松下実花のクラスメイト。幼い頃から普通の人間には見えない妖怪などを見ることができる能力を持っている。能力のために仲間はずれにされることもあったが、ありのままの自分を受け入れてくれた実花とは親友になる。妖怪から身を守るために幼い頃から弓道を続けており、弓が得意。 学校でも弓道部に所属している。

(かのう)

七ツ森神社と同じ地区にある数珠掛神社に祀られている稲荷神。お調子者で軽い性格。唱とは古くからの知り合い。登場当初は松下実花のことを気に入り、唱とトラブルになったが、唱とは基本的に友好的な関係。

(あとう)

七ツ森神社と同じ地区にある夜ノ森神社に祀られている稲荷神。願い事ばかりの人間を嫌っており、姉である小刑部姫を冷たくあしらっている唱にも反感を抱いている。そのため登場した当初は唱たちと敵対していたが、鳥居を巡って他の妖怪たちと戦ううちに協力するようになる。

小刑部姫 (おさかべひめ)

与の姉の白狐。唱に好意を抱いており、唱の許嫁になった松下実花に嫉妬していた。そのため登場した当初は、実花たちに何度か危害を加えようとしていたが、弟の与と同じく、次第に唱と協力するようになる。

中村 草太 (なかむら そうた)

松下実花の通う高校の男子生徒で、実花や上杉弓弦とは幼なじみ。基本的に妖怪を見ることはできないが、実花や弓弦と仲がよいことから事件に巻き込まれることも多い。

破邪鏡 (はじゃきょう)

『すっくと狐』に登場する妖怪。九十九神の一種で、古い鏡に取り憑いている。低級な妖怪なら封じ込めてしまうほどの力を持つ。鏡を磨いた松下実花のことを気に入り、何度か実花の危機を救った。

白鵺 (はくや)

『すっくと狐』に登場する妖怪鵺。七ツ森神社の近くにあり、周辺の稲荷神たちが守っていた、人間の世界と妖怪の世界を区切る「門」を奪い、人間の世界を自分の物にしようとしていた。学校に潜り込み、松下実花と親しくなることで唱と実花を引き離そうと画策する。

榊 みか (さかき みか)

松下実花たちのクラスに転校してきた女子高校生。数珠掛神社に新しく入った宮司の娘であり、妖怪を見ることができる。妖怪のことは毛嫌いしているが、神格である稲荷神には好意的で、唱には出会った時から好意を抱く。叶のことはどうでもよく思っていたが、事件に巻き込まれているところを助けられるうち、次第に叶にも好意を向けるようになる。

銀狐 (いんふー)

唱とそっくりな顔立ちと浅黒い肌をもつ、白髪の男。正体は外つ国の妖狐であり、唱の異母兄。唱とは異なり、純血の妖怪。松下実花の住む町に現れ、「招鬼法」を使って住人たちを鬼に置き換え、自分の国をつくろうと画策した。唱とはかつて一人の女性を巡って争ったこともあり、日本に現れた時は敵対関係になるが、弟であることから情も持ち合わせている。

(えんじゅ)

密教系の修行を積んだ青年。体が弱く、病に侵されている。権力者の元で下働きのように振るまいながら稲荷神が体内にもつ「珠(しゅ)」を集め、それを自分の体に取り込むことで不老長寿となり、生きながらえようとしている。狐狩りの現場を唱に見つかり、敵対することになる。陽気な性格だが、目的のためなら他人や狐を平然と殺害する。

場所

七ツ森神社 (ななつもりじんじゃ)

松下実花の通う高校の近くにある、水を司る玄狐が祀られている神社。「異形(いなり)の地」に建てられており、付近に集まる妖怪たちを抑えつける役割を持っている。しかし、現在は祈る人々が減り、宮司もおらずに廃れているため、その役割を果たせなくなりつつある。

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