いろはにほう作

いろはにほう作

コピーライターを目指す少年色埴ほう作の、小学校5年生から中学入学までの生活を描く。最終章は「天才の章」と呼ばれており、ほう作が本物のアホから本物の天才へと変貌する。一発ギャグが多く出てくるのが特徴。

正式名称
いろはにほう作
ふりがな
いろはにほうさく
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
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概要・あらすじ

色埴ほう作は九州の田舎から東京の叔父の家に転がり込んできた少年。やることなすこと全てがアホで、周囲の人間を持ち前のアホさで振り回す。後に頭に強い衝撃を受けて大怪我をするが、そのショックから天才的な頭脳の持ち主と化す。やがて天才物理学者となり、ついには理論物理学の終結となる理論も見つけ出した。

登場人物・キャラクター

色埴 ほう作 (いろはに ほうさく)

九州の馬尻村出身で、小学5年生のときに東京の安田家に居候する。コピーライターやデザイナー志望だが、言葉は強い博多弁で、自分のことを「あて」と呼ぶ。頭にはカッパのような丸いハゲがあり、興奮すると「うずりゃんたま~っ」と叫んで血とウズラの卵を噴射する。興奮時には、自分と同サイズの大便を出すことも多い。 体質的に太りやすく、ダイエットに励むこともあった。小学生ながら性欲旺盛で、女の子の裸に目がない。また、しばしば下半身を露出する。その一方、自分を慕う黒田姫子には当初、冷たい態度を取っていた。後に水のない校内プールに頭から突っ込み、そのときのショックで超天才に変貌する。学校の工作で核ミサイルを作って世間を騒がせた後、東清大学の研究室に入る。 そこで彼の頭脳は覚醒し、理論物理学を終結させる究極の「ほう作理論」を発見した。しかし講演のためアメリカに発つ直前、「行かないで」と訴える姫子のもとに向かおうとした際に空港でまた頭を打ち、元のアホに逆戻りした。もっとも、それはアホを装って友だちと過ごしたいだけなのかもしれない。

黒田 姫子 (くろだ ひめこ)

馬尻村出身でほう作の幼なじみ。頭は良く、面倒見もいい母性あふれる少女である。彼のことを慕って上京し、親の反対を押し切って従姉妹の黒田松恵の家から世田谷区立大中小学校に通う。当初はぽっちゃりしたモンペ姿で、ほう作にも「ブタは好かん」と言われていたが、東京で暮らすようになってからはあか抜けた太めの美少女になっていった。 ほう作だけでなく、学校一のモテ男である乾雄一郎やほう作の悪友である経堂にも好かれるようになるが、彼女はあくまでほう作一筋。いくら罵られても、その愛は最後まで変わらなかった。ほう作も「田舎女は好かん」と言いながらも、姫子の優しさに甘えっぱなし。 天才となって渡米する直前に心変わりしたのも姫子への愛からであった。

須田 日和 (すだ ひより)

ほう作や栗之介の同級生で、栗之介の彼女でもある、物語初期のヒロイン。ほう作が惚れてアタックしたことがあるほか、阿比留にも好かれていた。原宿ではアダルトビデオらしきスカウトに引っかかったこともある。黒田姫子が上京したからはヒロイン交代で出番は激減。小学校の卒業式や中学校の入学式では姿を見せていた。

安田 栗之介 (やすだ くりのすけ)

色埴ほう作の従兄弟で安田家の次男。ほう作のことを最初は哲学や人生を語りたいと期待していたが、いざ対面するとそのアホな容姿と言動に失望する。ほう作も通うことになる世田谷区立大中小学校では「栗之介様」と呼ばれる秀才だが、学内でも何かとほう作に振り回される。それでも彼を見捨てられず、宿題の手伝いをすることもあった。 後半は阿比留猛や豪徳寺経堂の方がほう作との絡みが多くなり、栗之介はしだいに影が薄くなる。須田日和が彼女だが、一緒にほう作のアホさに巻き込まれることも多い。

安田 柿衛門 (やすだ かきえもん)

色埴ほう作の義理の叔父で大日本安田商事の社長。オールバックの髪型で口元にはヒゲを生やし、煙草はパイプをたしなむ紳士。ほう作のことを初めて会ったときから高く評価しており、どんなにアホなことをしてもいい方へと解釈する。その一方、優等生である息子の栗之介のことは「ほう作くんが天才のモーツァルトなら、お前は凡人のサリエリだ」と評価が厳しい。 また、妻の梨子のことを愛しており、若い頃の写真をいつも持ち歩いている。

安田 梨子 (やすだ なしこ)

色埴ほう作の叔母でほう作の父の妹。日本に帰国する前はアメリカに留学している長男の桃太郎の世話をしていた。今はおかっぱ頭に眼鏡をかけた太ったおばさんだが、20年前に柿衛門にプロポーズされた頃はちょっと太めの美人で、今も夫婦仲は円満である。汚いものが大嫌いで当初はほう作のことを嫌っており、ほう作もすぐに怒る梨子のことを怖れていた。 物語中盤以降はやたらと敵対することはなくなったが、ほう作の作ったミサイルをゴミと間違えるなど、ちょっと怖い母ちゃん的な立場に落ち着いた。

安田 桃太郎 (やすだ ももたろう)

色埴ほう作の従兄弟で、長い間アメリカのプリンストン大学でシュワルツ博士のもとで物理学を学んでいた。当初はほう作のアホな態度に仰天していたが、彼が本物の天才であると知るとシュワルツ博士のもとに紹介をする。その後も研究室でほう作と行動をともにし、アメリカへの講演旅行に連れて行こうとした。

阿比留 猛 (あびる たける)

ほう作や栗之介の通う世田谷区立大中小学校のガキ大将で「阿比留一派」の子分たちからは「親分」と呼ばれている。「ナウマン象のふくらはぎ」とも呼ばれる太い足とがっしりした体つきが特徴で、腕っ節も強く足も速い。服装は基本的に半ズボンである。テストの成績はかなり悪く、かろうじてほう作より少し上な程度。 当初はほう作のことを阿比留一派と一緒にいじめていたが、やがて悪友として仲良くつるむようになった。ほう作が空のプールに頭をぶつけて天才になったのは、彼のやりすぎなプロレスごっこでほう作を追い詰めたのが原因である。

豪徳寺 経堂 (ごうとくじ きょうどう)

姓の豪徳寺ではなく名前の経堂で呼ばれる。ほう作や栗之介の通う世田谷区立大中小学校の文芸部メンバーの一人。七三分けの髪型に四角い眼鏡、こけた頬に牙のような犬歯が特徴的なインテリ少年。文芸部の部長である橘ユリ子に想いを寄せており、ほう作が本当はアホであることを照明しようとするが、彼のペースにハマってしまい自身がアホのように思われる。 ほう作のアホさに巻き込まれているうちにやがて、阿比留と同様に悪友としてつるむようになる。また、秋の発表会で白雪姫に扮した黒田姫子に一目惚れし、ほう作みたいな格好をした経作(きょうさく)になったこともあった。

乾 雄一郎 (いぬい ゆういちろう)

ほう作や栗之介の通う世田谷区立大中小学校を代表するプレイボーイで、いつも取り巻きの女の子に囲まれている。ぱっと見は田舎者のブスだけど、取り巻きと違って優しく献身的な黒田姫子に興味を抱き、彼女を自分のガールフレンドの一員にしようとするが、ほう作に邪魔されてばかり。秋の発表会で姫子を白雪姫に推薦したのも彼である。 どうしても自分になびかない姫子とキスしようとあの手この手で挑むが、ほう作だけでなく姫子の惚れた経堂とも恋の争いをするようになる。修学旅行でも姫子にキスしてもらおうとするが、それを阻止する経堂にくちびるを奪われていた。

貧野 (ひんの)

ほう作や栗之介の通う世田谷区立大中小学校に通う貧乏な少年。見た目はボサボサな長髪ですり切れたタンクトップと短パン姿を着用し、どことなくアントニオ猪木を思わせる顔つきをしている。貧野という名字どおりの貧乏な家庭で昼食はいつもなし。貧乏をこじらせて、性格もどこか歪んでいる。 自分でも、ウソつきで性根が腐っているという自覚があるけれど、人の物は盗まないというポリシーはある。食べ物に関する執着はすさまじく、弁当の豆一つでほう作と争っていた。

橘 ユリ子 (たちばな ゆりこ)

世田谷区立大中小学校の文芸部部長。ヴェルレーヌの詩が好きな文学美少女で、アホは嫌いと公言している。だが、彼女目当てで文芸部に入部したほう作のことは「文学的に屈折した奇人」と見なしている。逆に、ほう作のアホを証明しようとして彼のギャグに巻き込まれる豪徳寺経堂のことをアホなのではないかと思ってしまう。

花井先生 (はないせんせい)

ほう作や栗之介の通う世田谷区立大中小学校5年生の担任教師。ウェーブのかかったセミロングの髪型に、胸の谷間を強調した服を着た美人教師。しつけには厳しく、自分のアパートに呼んでまでしてほう作のアホさを正そうと試みるが失敗に終わる。

森田 健太郎 (もりた けんたろう)

ほう作や栗之介の通う世田谷区立大中小学校6年生の担任教師。明るく朗らかな男性教師で、当初はほう作にも好意的だったが、家庭訪問ほか、様々な形でほう作に翻弄されてしまう。ほう作が天才になってからは、彼ばかりが問題に答えるので授業にならずほう作の回答を禁止にしたが、手足を縛られてもちんちんやウンコで問題に答えるほう作にとうとうブチギレしてしまった。 俳優の森田健作がモデル。

色埴 傑作 (いろはに けっさく)

九州の馬尻村で農家を営むほう作の父親。安田梨子の兄でもある。ビン底眼鏡にオールバック気味の髪型で、息子と同じく上の口に2本の大きな歯が目立つ。厳格な性格で、一緒に馬尻村に来た栗之介や経堂には厳しいが、ほう作には甘いところがある。瞑想と称して布団でいびきをかいて寝る趣味がある。

色埴 うずら (いろはに うずら)

九州の馬尻村で農家を営むほう作の母親。傑作は「パピイ」でうずらは「マミイ」と呼ばれている。顔つきは息子のほう作によく似ている。心優しい母親で、息子が安田家に迷惑をかけていないか心配している。

シュワルツ博士 (しゅわるつはかせ)

世界的な物理学者で、アメリカのプリンストン大学から来日し、日本の東清大学との共同研究グループを率いる。天才となったほう作の話を聞き、弟子の安田桃太郎を通じてほう作を自身の研究グループに加える。一目見てほう作が本気で怯えるほどの怖い顔だが心は優しく、ほう作の奇行も楽しいこととして受け止めている。 そんな博士が近寄れないようにと勉強するうちにほう作の天才ぶりは加速度を増し、ついには理論物理学を終結させる「ほう作理論」の完成へと至った。ほう作が元のアホに戻ると彼の理論を代わりに全世界に伝えることとなる。ほう作との別れ際に「ほう作理論で論証されているパラレルワールドで、次元相互間の接点はあるか?」と問いかけたとき、ほう作が「あてはよその次元の者で、よその次元のことを聞かれてもわからんばい」と答えたのを聞いて、彼がアホを装って友達と過ごすことを選んだことを悟る。 そして、そのことを秘密にしてアメリカに帰国した。

集団・組織

世田谷区立大中小学校 (せたがやくりつだいちゅうしょうがっこう)

世田谷区にある小学校で、九州から転校してきたほう作や姫子もこの小学校で学ぶ。屋外にプールがあるけれど、冬は水が抜かれている。ほう作たちの卒業式は第51回卒業式と看板に書かれていた。

東清大学 (とうきよだいがく)

東京大学を思わせる造りの名門大学で、シュワルツ博士を招いて半年間の研究チームが結成された。これに博士の推薦でほう作が加わり、やがて「ほう作理論」が完成された。当時としては最新鋭のコンピュータと研究員が用意されていたが、覚醒したほう作とそれをサポートするシュワルツ博士に割って入れる者はいなかった。

場所

馬尻村 (うまじりむら)

『いろはにほう作』の舞台であるほう作や姫子の故郷。九州にある農村で鉄道は敷かれておらず、交通手段は路線バスのみ。ほう作の家には犬のマリアンヌ、鶏のミッシェルとリンダ、亀のアレクサンダー3世が飼われている。村の行事としては年に一度の相撲大会がある。また、村長の息子の肥沼ため造(こえぬまためぞう)のように上京したほう作のことを快く思っていない人たちもいる。

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