オーバーレブ!

オーバーレブ!

怪我によって陸上選手の夢を絶たれた主人公・志濃涼子が、自動車を運転する楽しさに目覚め、再び走り出すという物語。山口かつみの代表作。

正式名称
オーバーレブ!
ふりがな
おーばーれぶ
作者
ジャンル
ギャンブル・賭博
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概要・あらすじ

インターハイ出場を目指し、短距離走に打ち込んでいた高校生・志濃涼子は、アキレス腱断裂により無残にもその夢を断たれた。情熱の行き場を失った彼女は、その喪失感から立ち直れずにいたが、ある日、クラスメイトの武内徹に連れられて向かった埠頭で、華麗なドライビングを見せる女性に出会う。その女性・森田佐和子は、夏の終わりに峠で見かけ、密かに涼子が憧れていた人だった。

車の運転経験などないのに、佐和子に奨められるままハンドルを握り、アクセルを踏み込んでいく涼子。ひとしきり走り終えた彼女は、怪我で失われた情熱の行き場を再び見出していた。佐和子と一緒に走るという約束を交わした涼子は、愛車となるMR2を購入し、普通自動車免許を取得して、走り屋の世界に飛び込んでいく。

登場人物・キャラクター

志濃 涼子 (しの りょうこ)

高校時代、陸上部に所属するスプリントの選手だったが、競技中の怪我により選手生命を断たれた。情熱を注いだ陸上を失い、代わりになるものを探していたとき、武内徹に誘われて行った埠頭で森田佐和子と出会う。そのときの体験で車の魅力に一気に惹き込まれた涼子は、免許を持っていないにも関わらず、赤岡の経営する解体屋でスクラップ寸前のMR2を購入。 その後、苦労しながら普通自動車免許を取得すると、本格的に走り屋の世界にハマっていく。高校卒業後は地元の一流企業に就職するも、車熱が高じてたった1日で退社し、MR2を購入した赤岡自動車に再就職。日常のすべてを車に注ぎ込んでいった。 やがて、走りを通じて片山愛香や橘沙璃と意気投合。元々素直で努力家の涼子は、彼女らに走りの技術と楽しさを教えられながら、また次々と現れるライバルたちとのバトルを経験することによって次第に運転技能を上達させていった。愛車は全編通してトヨタ AW11 MR2 1.6 G-Limited。一度だけエンジンブローを起こしており、そのときに他車種の同型エンジンに換装している。

森田 佐和子 (もりた さわこ)

ランジェリーパブ・フィオリーナのナンバー1ホステスで、来店した武内徹の兄・武内タカオに惚れたことから車に乗り始める。天才的な運転センスの持ち主で、特にドリフトが得意。免許取得からわずか2ヶ月で志濃涼子を魅了し、ギャラリーを沸かせるほどの華麗なドリフトを披露した。 基本的に目立ちたがり屋かつ好戦的で、ファッションも運転も派手なものを好む。が、それらに以上に負けず嫌いな性格であり、水面下の努力を嫌々ながらも怠らないことが彼女の強さの理由である。愛車は日産 シルビア系列で、登場時はS13だったが、志濃涼子が海に沈めたため、以後S14に乗り換えている。

片山 愛香 (かたやま あいか)

中西急便でトラック運転手を務める女性。幼少の頃からスピードに憑りつかれており、その走りは自他の危険を顧みず、速さのみを求めたものだった。だが、あるバトルで双方がクラッシュする大事故を起こし、それ以後は安全かつ速い走りを追求するように変化。志濃涼子との出会いは、路上教習で危険な走りをしている彼女を牽制したことがきっかけ。 最初は険悪なムードだったが、森田佐和子とのバトルや、その後の走りによって打ち解け、涼子の仲間兼良き教え手となる。佐和子とは対照的に、知識と経験に裏打ちされた理論的で緻密な運転を好み、グリップ走行が得意。愛車はホンダ EG6 シビック SiR。登場時はサンルーフタイプだったが、重量とボディ剛性の問題からノーマルルーフ仕様に乗り換えた。

橘 沙璃 (たちばな さり)

外交官を務める父の仕事の都合で、フランスから転居してきた帰国子女。おっとりした性格かつ世間知らずなため、突拍子もないことを言い出したり、周囲を誤解させたりすることがある。音楽に優れた才能を持ち、それをドライビングに応用して走るのが特徴。森田佐和子とは違った意味での天才肌であり、コースを楽曲になぞらえるその走りはスムーズ&リズミカルで、佐和子や片山愛香に比肩するほど速い。 帰国時に横山峠で噂になっていた「音速の美少女」と間違われたこと、父親が赤岡と長年の友人だったことなどの縁で、志濃涼子らと出会い、共に走る仲間になる。愛車はプジョー 106 Rallye。 元々は父親名義の車で、一時は娘の事故を恐れる父によって売却されたが、父を説得し、自ら買い戻した。

武内 徹 (たけうち とおる)

志濃涼子の中学時代からの友人。スーパードライバーである兄・武内タカオの影響で車への造詣は深いが、運転技能はそこそこ。その自覚があるためか、高校卒業後は相模原工大に進学し、技術者として車に関わろうとしている。長らく涼子に恋心を抱いており、それとなく伝えようとするが、涼子が相当鈍いことや常に何らかの邪魔が入ることからその想いは伝わっていない。 愛車は15万円で購入したホンダ GA2 シティ。

麻生 拓郎 (あそう たくろう)

森田佐和子が務めるランジェリーパブ・フィオリーナのビラ配りをしていた志濃涼子に出会い、ひと目惚れした。「褐色の弾丸」を自称しているが、運転技能はかなり低レベルで、涼子とのバトルではカーブを曲がりきれずにガードレールに突っ込む。ただ、車への愛情は本物で、収入のほぼすべてを愛車につぎ込むほど。 後に、涼子が麻生拓郎の住むアパート・立川荘に偶然引っ越してきたことから、彼女を取り巻く仲間のひとりとなる。愛車は日産 S13 シルビア K's 2000cc。ボディカラーはライトニングイエローだが、周囲からは「うんこ色」と呼ばれている。

三上 勉 (みかみ つとむ)

無改造車で改造車にバトルを挑み、勝利すると相手の車をノーマルに戻すという行為を行っていた三上智の弟。兄と志濃涼子がバトルしたことで知り合った。武内徹、麻生拓郎とともに涼子に好意を寄せる三人組のひとりだが、三年近いダートレース経験があり、車に関する知識と運転技能では頭ひとつ抜けている。 愛車は三菱 CJ4A ミラージュ サイボーグ ZR。

ボブ

志濃涼子が独り暮らしを始めたアパート・立川荘の住人のひとり。走り屋歴はそこそこ長いが、腕前は並。赤岡が開催した赤岡道場で、志濃涼子らと共に運転技能を学んだ。普段は村上タイヤ店で働いている。愛車はトヨタ JZA80 スープラ RZ。

猿谷 (さるたに)

志濃涼子が独り暮らしを始めたアパート・立川荘の住人のひとり。関西出身で、本人曰く「六甲ではならしたクチ」らしいが、それが活かされている描写はない。赤岡道場で涼子らと共に運転技能を学んだ。普段は岩見金属で働いている。愛車は日産 RPS13 180SX Type X。

赤岡 (あかおか)

自動車解体業、有限会社赤岡自動車を経営する人物で、志濃涼子の雇用主。真昼間から酒を飲んだり、涼子の尻を触るなど、一見ただのダメ親父だが、かつてパリ-ダカール・ラリーのチーフメカニックを務めたほどの凄腕である。走り屋ではないが運転技能はハイレベルで、赤岡道場を開催し、涼子や武内徹らを指導してレベルアップに協力した。 表にはあまり出さないが、涼子のことをかなり気に入っており、一歩離れた位置から彼女の成長を見守っている。

その他キーワード

MR2 (えむあーるつー)

『オーバーレブ!』に登場する実在の自動車。正式名称はAW11 MR2 1.6 G-Limited。1984年に製造開始されたトヨタのミッドシップ(エンジンが車体の中央に配置されている構造)車。国産としては初のミッドシップ車で、Mはミッドシップ、Rはランナバウト(小型)、2はツーシーターであることを表している。志濃涼子の愛車で、本来の読み方は「エムアールツー」だが、彼女は「ミスター(Mr.でミスターと読むため)」という愛称で親しんだ。

シルビア

『オーバーレブ!』に登場する実在の自動車。森田佐和子の愛車で、正式名称はS14 シルビア K's Aero(後期型)。日産自動車が1993年から1998年まで製造販売したFR車(後期型は1995年から製造)で、シルビア系列としては6代目に当たる。K'sは同車種のグレードで、トランプのJack、Queen、KingのうちKing(特別仕様車)であることを表す。 なお、作中に登場するS13やS15は、それぞれS14の前後に製造された車種である。

シビックEG6 (しびっく いーじーしっくす)

『オーバーレブ!』に登場する実在の自動車。片山愛香の愛車で、正式名称はEG6 シビック SiR。本田技研工業によって1991年から1995年まで製造販売されたFF車で、通称「スポーツシビック」。シビック系列としては5代目。SiRはグレードで、当時の名機B16A型 DOHC VTECエンジン搭載であることを表す。 作中でリプリーらが乗るシビックタイプRは、EG6の次の世代のEK9をベースに、メーカーによるレーシングチューンが施された仕様車である。

プジョー 106 (ぷじょー いちまるろく)

『オーバーレブ!』に登場する実在の自動車。フランスの自動車メーカー、プジョーの1番ベーシックライン車で、1991年から2003年まで製造販売された。橘沙璃愛用のFF車で、Rallye(ラリー)は106の競技参加用特別仕様車のひとつ。810㎏というコンパクトな軽量ボディに1600ccのDOHCエンジンを搭載し、軽快な機動性を持ち味とする。

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