水は海に向かって流れる

水は海に向かって流れる

高校1年生の熊沢直達は、叔父の歌川茂道の家で個性豊かな面々との共同生活を始めた。直達はそこで、恋をしないと決めた女性、榊千紗と出会い惹かれていくが、実は彼女は、10年前に家族を捨てて駆け落ちした自分の父親の不倫相手の娘であった。何も考えず穏やかに暮らしたい千紗と、何もなかったことにはしたくない直達の心の葛藤を描いた、年の差訳ありボーイミーツガールストーリー。「別冊少年マガジン」2018年9月号から2020年8月号にかけて掲載された作品。「このマンガがすごい!2021」オトコ編で第4位に選出。2023年6月9日実写映画化。

正式名称
水は海に向かって流れる
ふりがな
みずはうみにむかってながれる
作者
ジャンル
親子
 
不倫
レーベル
KCデラックス(講談社)
巻数
既刊3巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

高校への進学を機に、叔父の歌川茂道の家に居候することになった熊沢直達が最寄り駅に到着すると、迎えに来たのは見知らぬ女性だった。「榊千紗」と名乗った女性に案内され、歌川家にやってきた直達は、千紗手作りのやたらと美味しい牛丼、ポトラッチ丼をごちそうになり、彼女の不思議な魅力に惹かれていく。直達が茂道に挨拶に行くと、そこには転職して漫画家になったぐだぐだの叔父の姿があった。そして、歌川家では叔父と直達のほかに、案内してくれた千紗、女装占い師の泉谷兄、大学教授の成瀬が住んでおり、直達は総勢五人の大所帯で、共同生活を送ることになる。そんなある日、直達の歓迎会と海外にいた成瀬の帰国祝いをしようと、歌川家の庭でバーベキューが行われることになる。クラスメイトで泉谷兄の妹の泉谷楓も参加し、食事を進めつつ話に花を咲かせていた一同だったが、茂道の話から直達は、自分が5歳の頃に祖父母の家で暮らしていたことを思い出す。祖父母の家に預けられていた理由を聞こうと茂道に尋ねるが、何となくはぐらかされ、理由を聞くことができないままになってしまった。その後、楓と二人でいた直達は、成瀬と千紗が話し込んでいる姿を目撃。直達がそこにいることに気づかないまま続けられる二人の話に耳を傾けると、直達の父親の熊沢と千紗の母親の高島紗苗は10年前不倫関係にあり、互いの家族を捨てて駆け落ちをした仲だったという衝撃の事実を知ることになる。

第2巻

榊千紗は、10年前に母親の高島紗苗とダブル不倫をしていた男性、熊沢の息子である熊沢直達と、一つ屋根の下で暮らすことになったが、何も知らない直達には、あえて自分から昔のことを言うつもりはなかった。だが、直達も遅れて父親の不倫の過去を知り、自分はどうすべきなのかと、複雑な胸の内を抱えるようになる。千紗の方は、自分たち子供には関係ないというスタンスで、終わったことについていまさら波風を立てる必要はないと考え、何もなかったことにして今まで通り暮らすことを望んだ。しかし直達は、人様の家庭を壊した張本人の息子として、今ももがき苦しんでいる千紗が背負うものを分け合い、半分にしたいと考え始める。詳しい事情を知る一握りの人たちに見守られながら、二人は静かな緊張感の中で共同生活を送り、次第に10年前の不倫劇と、今現在の自分自身に向き合い始める。一方熊沢は、紗苗が自分と別れたあと、家族のもとへ戻らずに今も行方がわからないままになっていることを初めて知ることとなった。責任を感じた熊沢は、10年前の罪滅ぼしとばかりに、こっそりと紗苗を探し始めるが、連絡手段はすべて失っており、簡単に彼女の居場所を探すことはできなかった。ちょうどその頃、直達の母は、こそこそと何かをしようとする夫を発見し、怪しんで逆上。怒りにまかせて振り回したACアダプターが自分の頭に当たり、入院することになってしまう。

第3巻

熊沢直達榊千紗は、駆け落ちして家を出て行って以来、消息がわからなかった高島紗苗に会うため、探偵の調査書を頼りに海辺の町を訪れた。そして、記載の住所に行ってみると、そこには新しい家族と幸せそうに暮らす紗苗の姿があった。紗苗が家から出てきたことで、思わず逃げ出した二人は、直接会うのをあきらめて帰ろうとする。しかし直達は衝動的に踵(きびす)を返し、紗苗の家のインターフォンを押す。玄関に出てきた紗苗は、そこに立つ女性が、自分の娘の千紗であることに気づく。そしていっしょにいるのが熊沢の息子であることを知ると、紗苗は二人を家へと招き入れ、緊張感漂う中、ぽつぽつと言葉を発し始める。言葉少ない紗苗に対し、千紗は一貫して威圧的な態度を取り続けた。紗苗が父親は元気かと尋ねると、自分がめちゃくちゃに壊した家庭を思いやる気持ちはないのかと、千紗は強い口調で怒りを顕(あらわ)にする。一方で、当初こそ怒りをぶつけてやろうと意気込んでいた直達は、終始至って冷静だった。その後、唐突に紗苗の夫の連れ子、ミーちゃんが帰宅。泣いている紗苗を見て逆上した彼女が、ビーズを投げて千紗と直達を攻撃してきたため、二人はその場をあとにし、そのまま海へと向かうことにする。そこで千紗は、父親のサカキンに電話をかけ、10年前のことについて話をする。そして、直達と共に海に飛び込み、びしょ濡れになりながら互いの気持ちを吐き出したことで我に返るのだった。このままでは帰れないと、二人は一泊することを決め、近くに宿を取ることにするが、晩御飯を食べるためファミリーレストランに向かった直達と千紗は、そこで家族揃って食事をしにきた紗苗に再び遭遇してしまう。

登場人物・キャラクター

熊沢 直達 (くまざわ なおたつ)

美術部に所属する男子高校生。高校進学を機に、叔父である歌川茂道の家に居候することになり、榊千紗、泉谷兄、成瀬を含む五人での共同生活を始めた。ある時、千紗と成瀬が話し込んでいるところに遭遇し、千紗の母親の高島紗苗と自分の父親の熊沢が10年ほど前に不倫関係にあったことを知る。詳しいことを知ろうと奔走するが、事情を知っているらしい茂道からはなかなか話を聞き出すことができず、千紗からの「子供は知らない方がいいこともある」という言葉に、一時は知ることをあきらめようとするが、成瀬と話すことである程度理解した。自分と千紗の関係を茂道に打ち明け、その後も共同生活を続けることになる。だが、何もなかったことにして、穏やかな日常を続けたい千紗と違い、自分の父親が人の家庭を壊したという事実を知り、何もなかったことにはできないと考え、同時に自分に一体何ができるのかと思い悩むようになる。時間と共に千紗に惹かれる気持ちは強くなり、何でもないふりをしつつも心を痛める様子の千紗を見て、彼女が背負うものを半分にしていっしょに背負いたいと思うようになる。のちに、紗苗の居場所が明らかになると、自分のためにも母親のためにも、そして千紗のためにも、紗苗に怒りをぶつけたいと思うようになり、千紗と共に紗苗が暮らす場所へと足を運ぶことになる。

榊 千紗 (さかき ちさ)

会社に勤務する女性。年齢は26歳。叔父である歌川茂道の家に居候することになり、泉谷兄、成瀬と一つ屋根の下で生活を共にしている。最近になって、熊沢直達が加わり、いっしょに暮らし始めた。直達が来る日、茂道からの頼みで彼を駅まで迎えに行くことになり、家族写真が印刷された年賀状を確認すると、そこには直達とその母親と思しき女性と共に、10年前に母親の高島紗苗が家を出て行く原因を作った不倫相手の熊沢の姿が写っていた。それにより、直達が元不倫相手の息子だという事実を知ることになり、母親の不倫に再び心を痛め、頭を悩ませることになる。彼女のスタンスとしては「子供には関係ない」という方向で一貫しているため、事情を知らない様子の直達が、余計なことを知って苦しむことがないようにと、つねに秘密を明かさないよう、何事もないかのように行動しようとしている。出て行った母親に対しては、怒りと共に複雑な心情を抱いているが、出て行って以降まったく連絡を取り合っていないため、これまでは心穏やかに暮らしてきた。しかし熊沢が、そうとは知らずに歌川家を訪れ、偶然にも顔を合わせてしまった際には、動揺した様子を見て腹を立て、手に持っていたお盆を熊沢の顔めがけて投げつけ、流血させる事態となった。つねに冷静に見えるが、頭の中では悶々と考えてしまうタイプ。そのくせ、行動を起こす時はつねに唐突なことが多い。母親の不倫が原因で、自分に彼氏はいらない、恋愛は一生しないと心に誓っている。直達や紗苗との関係性について、表面上は気にしていないように振る舞いつつも、処理しきれない思いを背負い続けている。のちに紗苗に会いに行くことになるが、母親を前に怒りをぶつけても収まらない感情に翻弄され、心を痛めることになる。

泉谷兄 (いずみやあに)

泉谷楓の兄。占い師となって生計を立てている。しかし外見がふつうすぎるため、ロングヘアのカツラをかぶり、バッチリメイクの女装した姿で仕事をしている。占いはよくあたるという噂で、評判は上々らしい。歌川茂道の家に居候しており、榊千紗、熊沢直達、成瀬を含む五人で共同生活を送っている。ある日、河川敷で複数の男子中学生が子猫にダーツの矢を投げつけ、乱暴している現場に遭遇。子猫を助けようと中学生を撃退したところで子猫の様子を見に来た直達と知り合い、いっしょに獣医に連れて行くことになった。紆余曲折の末、子猫を「ミスター・ムーンライト」と命名し、歌川家で飼うことになった。おだやかな性格ですべてを達観しているようなところがあるが、ケンカっ早い。

歌川 茂道

熊沢直達の叔父にあたる30歳過ぎの男性。もともとは会社員として働いていたが、現在は転職し、「ニゲミチ先生」のペンネームで漫画家として生計を立てている。転職のことは両親に打ち明けていないため、ばれないように日々びくびくしながら執筆活動を行っている。古くて大きな庭付きの木造家屋で暮らしており、甥の直達が高校入学を機に、居候することになった。実は、直達のほかにも、榊千紗、泉谷兄、成瀬が余った部屋をそれぞれ一部屋ずつ使って同居生活を行っている。気が小さいところがあり、姉である直達の母に対する裏切り行為は死に値すると、子供の頃の姉弟関係を大人になった現在も引きずっている。直達が歌川家に来る予定となっていた日、駅まで自分が迎えに行く約束になっていたが、漫画の進行が大幅に遅れていて外出することができない状況だったため、千紗に家族写真が印刷された年賀状を渡し、その写真の男の子を迎えに行って欲しいと送迎を頼んだ。直達が生活に加わってからは、夜型だった自分の生活を見直そうと、朝方になることを声高に宣言までしていたが、まともに起きることができず、あっさりとあきらめた。10年くらい前、直達が5歳くらいの頃に祖父母の家に預けられたことがあり、当時自分が実家暮らしだったことから、1年程度いっしょに暮らしたことがある。そのため、熊沢の不倫に関する事情についてはある程度知っているが、千紗がその時の不倫相手の娘だということは知らない。

成瀬 (なるせ)

大学教授を務める初老の男性。歌川茂道の家に居候しており、榊千紗、泉谷兄を含む四人で共同生活を送っていた。海外にいたためしばらく不在にしていたが、最近帰国した。その後、熊沢直達も加わり、五人での生活を始めた。千紗の父親のサカキンとは昔からの知り合いのため、10年前に起きた高島紗苗の不倫に関する事情はよく知っている。10年前から現在に至るまで、千紗からの相談を受けることもあり、多くの助言を行ってきた。

泉谷 楓 (いずみや かえで)

熊沢直達のクラスメイトの女子。陸上部に所属している。入学してからの短期間で、すでに三人から告白されたという噂が広まっている。そのため、男子生徒たちからは高根の花のような扱いを受け、女子生徒たちからは、男子と話をしているだけで色目を使っていると言いがかりを付けられるなど、風当たりが強い。ポニーテールの髪型をした美人で、少々のことではへこたれない強い心の持ち主。バッグに猫のマスコットを付けていたことから猫好きと認識されており、子猫を拾った直達から猫の貰い手になってくれないかと声をかけられた。実際猫好きだが、母親が猫アレルギーのため、飼うことができずに現在自宅では亀を飼育中。自分が飼えない代わりにと、子猫の貰い手を探す手伝いを買って出ることにし、兄の泉谷兄に連絡を取った。これをきっかけに、歌川家に出入りするようになり、直達ともなかよくなって関係を深めていく。そんな中、偶然にも高島紗苗と熊沢が10年ほど前に不倫関係にあったことを知ってしまう。直達の複雑な胸中を察し、寄り添うことで助けようと傍観するつもりでいたが、それから始まるごたごたになんだかんだと巻き込まれることになる。そうこうするうちに直達に惹かれていくが、恋愛も友人関係もうまくいかず打ちひしがれる中、直達からの紹介で美術部の藤浪と知り合い、自分のよき理解者として大きな心の支えとするようになる。

熊沢 (くまざわ)

熊沢直達の父親。10年ほど前、高島紗苗と不倫関係に陥った末、息子と妻の直達の母を置き去りにして駆け落ちした。その後、自分は家族のもとへと戻り、妻と直達と共にふつうに暮らしていた。だが、直達が進学を機に歌川茂道の家に居候し始めたため、挨拶をしに出かけた際、偶然にも同じ家で暮らしている榊千紗と顔を合わせてしまう。名前を耳にした瞬間、彼女が元不倫相手の娘だということに気づくが、同時に彼女の母親があれ以来家族のもとに戻っていないという事実を知ることになり、衝撃を受ける。その時、千紗にかけた言葉が彼女の感情を刺激することになり、千紗が手に持っていたお盆を顔に投げつけられたことで流血してちょっとした騒ぎとなってしまう。その後、罪悪感を感じたため、妻に内緒で紗苗に連絡を取ろうとするが、こそこそしているところを妻に見つかり、逆上した妻がケガを負って入院する事態を招いた。自分の行動により再び妻を傷つけたことを重く受け止め、紗苗を探すために探偵を雇うことを決意。紗苗の現在の居場所と状況の調査を依頼し、その情報を自分では見ずに千紗に渡すことで、妻を裏切ることなく千紗の助けになろうとした。

直達の母 (なおたつのはは)

熊沢直達の母親。ほがらかで明るい性格だが、会話の中に「アレ」という言葉が多いため、何を伝えたいかは夫である熊沢にしか理解できないことが頻繁にある。10年前、夫が高島紗苗と不倫の末、自分と直達を置き去りにして駆け落ちをされた過去を持つ。その際には直達を実家に預け、事態解決のために奔走していた。現在は、自分のもとへと戻った夫と共に、穏やかに暮らしており、そこに不倫による確執があるようには見えない。しかし、最近になって夫がこそこそと何かをしようとしている現場に遭遇。逆上し、手近にあったACアダプターを振り回したが、運悪くそれが自分の頭に当たり、入院することになってしまう。検査の結果、大事には至らなかったが、それを見た熊沢は榊千紗のためとはいえ、紗苗に連絡を取ろうとしたことを反省し、考えを改めることとなった。

高島 紗苗 (たかしま さなえ)

榊千紗の母親。10年前に、熊沢と不倫関係に陥った末、夫と娘を置き去りにして駆け落ちした。家を出てしばらくしたあと、千紗の携帯電話に連絡して千紗を呼び出した。千紗は説得すれば帰ってきてくれると母親を信じつつ、待ち合わせ場所のファミリーレストランへとやってきたが、そこには自分だけでなく、当時いっしょに暮らしていた熊沢の姿もあった。そして千紗に自分の気持ちをわかってもらいたい一心で、千紗のことが嫌いになったわけではないと自分の愛情、行動を正当化する言い訳を繰り返した。そのため、千紗からは「うんこみたいなきれいごと言ってるな」と暴言を吐かれ、強い反発を受ける結果となった。その後しばらくして熊沢は元の家族のもとへと戻ったが、高島紗苗自身は家族のもとに戻ることはなく、行方不明のままとなっていた。現状を知った熊沢が、千紗を思って雇った探偵の門司の調査により、居場所が判明。現在は別の男性と、相手の連れ子、ミーちゃんと共に家庭を築き、幸せに暮らしている。

門司 (もじ)

探偵を生業とする女性。熊沢から、高島紗苗を探して欲しいという依頼を受け、現在の居場所と今の状況について調査を行った。熊沢からの要望により、調査結果は熊沢に伝えることなく榊千紗に報告した。その際には、依頼人である熊沢が行動を起こすに至った経緯と彼の気持ちを代弁し、千紗に伝えた。報告書を前にうつむいてしまった千紗の様子を見て、急なことだからと動揺する彼女の気持ちを察し、資料を見てわからないことがあれば連絡して欲しいと自分の名刺を渡し、その場をあとにした。

サカキン

榊千紗の父親。大学教授の成瀬とは古い知り合い。10年前、妻の高島紗苗が熊沢と不倫関係に陥った末、紗苗に出ていかれてしまった。その時、特に声を荒げたり、怒ったりすることはなく、ただ千紗にお母さんが出て行ってしまったという事実だけを淡々と伝え、変わらずに日常生活を続けようとした。最初の3日は宅配ピザなどで食事を済ませようとしたが、その後、状況を理解した千紗が冷蔵庫内の片づけをし、料理を作り始めたことで本来の日常を取り戻していった。当時は、ただ自分のような父親と二人きりになってしまった千紗がかわいそうという気持ちだけを抱いていた。その気持ちは、10年経った今でも変わらず、妻に対する怒りよりも、千紗をかわいそうと思う気持ちの方が強い。不倫や駆け落ちに関しても、そういう世界があることは知っていたが、自分とは関係のない遠い世界のことだと思っていた。今でも他人事のような気さえしており、そんな曖昧な気持ちのまま、10年という時間だけが過ぎてしまった状態にある。

藤浪 (ふじなみ)

熊沢直達や泉谷楓と同じ高校に通う女子。美術部に所属している。以前から、楓のことを知っており、彼女をモデルに絵を描きたいと思っていた。そんな中、直達からの紹介で、昼休みのあいだは楓の時間をもらえることになり、友人として、楓に寄り添うよき理解者として、関係を深めていく。ショートヘアで眼鏡をかけており、さばさばした性格をしている。前向きでオープンな考えの持ち主で、女子としては珍しく楓となかよくなった少数派。楓が直達に思いを寄せていることを見抜き、応援している。

ミーちゃん

小学生の女の子。高島紗苗が現在家族として暮らしている夫の連れ子。下校後に友達の家に遊びに行ったが、友達にあげるシールを忘れたため家に戻ると、涙する紗苗の姿と知らない熊沢直達、榊千紗の姿があった。そのため、「ママを泣かせたふらちなやつらめ」と言葉を発し、少女アニメを真似て「アメリカンドリーム!」と叫びながら、持っていた大量のビーズを投げつけ、二人を攻撃して家から追い出した。

その他キーワード

ポトラッチ丼 (ぽとらっちどん)

榊千紗の得意料理で、やたらとおいしい牛丼。もともと北米の北西海岸に住んでいた先住民が、冠婚葬祭に合わせて宴会をし、呼んだ客と大量の贈り物を交換し合う、「ポトラッチ」と呼ばれる祭があり、自分の気前のよさを見せつけるために高い物を壊したり、乱暴なことをする場合もあるという。時おり、千紗が私財を投げ打ってかなり上等な牛肉を買ってきては、至ってふつうの玉ねぎといっしょに、至ってふつうのめんつゆで、暴力的に煮付けたものを振る舞ってくれる様がこの祭りに似ていることから、この名前が付けられたという逸話がある。

書誌情報

水は海に向かって流れる 3巻 講談社〈KCデラックス〉

第1巻

(2019-05-09発行、 978-4065144510)

第2巻

(2019-12-09発行、 978-4065179086)

第3巻

(2020-09-09発行、 978-4065205877)

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