氷上の恋人たち

氷上の恋人たち

さえないフィギュアスケート選手の女子高校生・北原めぐみが、ある日、二人の男性フィギュアスケート選手と出会う。これをきっかけに真剣にスケートに取り組み、ライバルたちと競い合いながら交流を深めていくめぐみの姿を描いた青春スポーツラブストーリー。

正式名称
氷上の恋人たち
ふりがな
ひょうじょうのこいびとたち
作者
ジャンル
スケート
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あらすじ

第1巻

北原めぐみ仲根エリ子は、同じ高校と同じスケートクラブに通う親友同士で、めぐみは優秀なエリ子を羨ましく思いつつも、平穏な日々を送っていた。そんなある日、めぐみは高校の番長として知られる不良・山崎剛に痴漢されるが、そこを1学年上の穂高涼に助けられる。その日からめぐみの日常は一変し、フィギュアスケートのペアを探している涼からはその相手として誘われ、剛からは熱烈なアプローチを受けるようになる。めぐみは二人の男性の思いもよらぬ行動に戸惑いながらも、剛の淋しげな雰囲気に惹かれてしまう。一方、密かに涼に思いを寄せるエリ子は、めぐみと涼の関係を快く思わず、めぐみとエリ子のあいだには次第に距離ができていく。そんなある日、剛といっしょにいたところを他校の不良生徒達に絡まれためぐみは、その場から逃げようとして、不良生徒の一人に大ケガを負わせてしまう。

第2巻

北原めぐみが起こした傷害事件は、めぐみをかばった山崎剛が起こしたものとして広まってしまった。これにより剛は一度無期停学になりかけるが、めぐみが教師たちに真実を話した事で、処分は一週間の停学となった。しかし、仲根エリ子の忠告も無視して剛とかかわり続けるめぐみは、エリ子に愛想を尽かされ、避けられるようになってしまう。そんな折、めぐみは穂高瞳に誘われ、川中湖で行われるスケート合宿に行く事になる。そこには剛も訪れており、めぐみは剛がかつてスケート選手であった事を知るが、めぐみは彼の再度の告白を断り、2月のインターハイに向けて必死に練習に取り組むのだった。その練習場で知り合った小笹聖子の導きと、差出人不明のアドバイスが書かれた手紙のお陰で、めぐみは見事インターハイで3位入賞を果たす。そしてめぐみは、インターハイ終了直後、剛の本名が「やまざきごう」ではなく「やまざきたけし」であり、剛と聖子が2年前までペアを組んでいた事、聖子は現在でも剛を思っている事を知る。

第3巻

山崎剛こそが、長年目標にしてきたスケート選手であると知った穂高涼は、北原めぐみと共に、剛にもう一度スケートをしてほしいと頼むものの断られてしまう。小笹聖子もまた、めぐみを誘拐してまで剛を呼び出してもう一度ペアを組みたいと望むが、やはり断られてしまう。その直後、剛の仲間である勝矢がバイクで仲根エリ子の両親の車と接触事故を起こし、エリ子の母親が亡くなり、エリ子の父親は重傷を負う。穂高瞳の計らいで、父親が退院するまでのあいだエリ子は穂高家で暮らす事になるが、周囲を省みないエリ子の傲慢な態度に嫌気がさした涼は、エリ子とのペア解消を考えるようになる。しかし、めぐみの気づかいによってそれは回避され、めぐみとエリ子はとうとう仲直りするのだった。そんな中、聖子に好意を抱く石渕順は、剛が二度とスケートのできない身体になれば聖子も剛を諦めるのではと考えて剛を襲撃する。この時、剛はとっさに足をかばって手にケガを負うが、この行動から、自分はまだスケートをしたい、という事に気づく。剛は2年前、日本スケート会長である父親が、自分のために不正を働いたのがきっかけでスケートへの意欲をなくしていた事をめぐみと涼に明かし、それでも今はめぐみとスケートがしたいと告白する。

登場人物・キャラクター

北原 めぐみ (きたはら めぐみ)

清水一高1年B組に在籍する女子で、フィギュアスケート選手。等級は4級で、のちに6級まで進級する。前髪を目の上で切り、顎の高さまで伸ばした金色のボブヘアにしている。あだ名は「めぐ」。明るく元気だが、ややドジでそそっかしい性格。フィギュアスケート選手としての腕は今一つで、高校でも目立たない存在だった。しかし、高校1年生の秋に山崎剛と穂高涼に出会ってからは、剛には熱烈にアプローチされ、涼にはペアを組んで滑りたいと申し込まれて生活が一変。 その過程で、周囲に流されやすく、選手としてもさえない自分を変えたいと願うようになり、スケートに熱心に取り組むようになっていく。仲根エリ子とは小学生の頃から親しく、一緒にバレエ教室とスケートクラブに通っており、のちに共にバレエはやめて、スケートに絞った。 優秀なエリ子を尊敬しつつ、コンプレックスを感じている。

山崎 剛 (やまざき たけし)

清水一高2年D組に在籍する男子で、北原めぐみの思い人。元フィギュアスケート選手でもあり、父親は日本スケート会長を務めている山崎治一郎。前髪を左寄りの位置で斜めに分け、胸まで伸ばしたロングウェーブヘアにしている。その後、髪を切り、耳の下まで伸ばしたウェーブがかったボブヘアになる。校内では札付きの不良として知られており、通称「番長」「不良番長」。 本名は「たけし」だが、親しい人物からは「剛」の別の読み方である「ごう」と呼ばれる事が多い。そのためめぐみと穂高涼は、長らく「山崎剛」と書いて「やまざきごう」という名前であると誤解していた。ちゃらちゃらとした軽薄な人物に見えるが、どこか淋しげな雰囲気を漂わせている。めぐみが高校に入学した春に学校で偶然ぶつかって以降、関心を持ち、めぐみと会話するきっかけを作ろうと電車で痴漢行為をして面識を持つに至った。 しかし当時はめぐみの名前を勘違いしており、長らくめぐみの名前が「仲根エリ子」であると思い込んでいた。そのため、めぐみにはエリ子に思いを寄せているのだと誤解されていた。フィギュアスケートは子供の頃、父親に無理やり習わされる形で始め、中学3年生までは小笹聖子とペアを組み、非常に優秀な選手として知られていた。 しかし、中学3年生の頃、父親が自分と聖子のペアを欧州選手権に出場させようと不正を働いた事を知り、以降はスケートへの意欲をなくして不良になってしまった。めぐみと親しくなり、また自分をライバル視している穂高涼に刺激を受け、最終的にはめぐみとペアを組んでスケートに復帰する事になる。

穂高 涼 (ほだか りょう)

清水一高2年A組に在籍する男子。北原めぐみの友人で、穂高薫の弟。前髪を右寄りの位置で斜めに分け、耳の下まで伸ばしたボブヘアにしている。世話焼きで心優しい性格。めぐみとは、ある日高校の廊下でぶつかり、めぐみに掃除用の水をかけられた事で知り合った。その後、電車でめぐみが山崎剛に痴漢されて困っていたところを助けたあと、スケート教室でお互いの名前を知り親しくなった。 2年前に国体を観戦した際、当時の自分と同じ中学3年生の男女ペアの滑りを見て、感動したのがきっかけでスケートを始めた。その後、薫の指導でめきめきと上達し、プロスケート選手を志すようになった。自分がスケートを始めるきっかけになったペアに勝利する事を目指しており、特に、ペアの男性側である「やまざきたけし」という選手をライバル視している。 そのため、いっしょにペアを組んで滑る女性選手を探しており、まずは2月に開催されるインターハイに出場したいと考えていた。ペアの女性選手とは、結婚してもいいくらいに親しくなりたいと考えており、自分に合わせて滑ってくれる選手を探している。そのため最初は、選手として完成されている仲根エリ子よりも、めぐみが自分にふさわしいと考えていた。 しかし、傲慢ではありながらも真剣に自分を思うエリ子と滑るうち、彼女を信頼するようになっていく。

仲根 エリ子 (なかね えりこ)

清水一高1年B組に在籍する女子で、北原めぐみの友人。スケート選手で、等級はめぐみより1つ上の5級。のちに6級に進級する。前髪を左寄りの位置で斜めに分け、胸まで伸ばした茶色の巻き髪ロングヘアを赤い髪飾りでツーサイドアップにしている。落ち着いた性格のしっかり者で、スケート選手としても非常に優秀。しかし、少々傲慢な自信家で、無意識に他人を見下すところがある。 めぐみとは小学生の頃から親しく、いっしょにバレエ教室とスケートクラブに通っていたが、のちにバレエはやめてスケート一本に絞った。ある日、スケートクラブにやって来た穂高涼に憧れ、思いを寄せるようになる。しかし、涼が自分よりもめぐみを気に入り、さらにめぐみは自分の忠告も聞かずに不良である山崎剛と付き合うようになった事から、めぐみとのあいだには次第に距離ができてしまう。 のちに自分の傲慢さに気づき、それでもなお友達でいようとするめぐみの思いを理解し、和解する。

小笹 聖子 (こざさ せいこ)

帝高校に通う2年生の女子。高校1年次に国体とインターハイを制した優秀なスケート選手でもあり、中学3年生までは山崎剛とペアを組んでいた。前髪を眉上で切り揃え、胸まで伸ばして切り揃えたストレートロングの姫カットをカチューシャでまとめている。穏やかで落ち着いた性格ながら非常に美しく目立つ存在で、毎日スケートクラブの夜間練習に参加しては、始発まで練習するなど、スケートに対して熱心。 しかし、2年前に剛とのペアを解消してからは高校にはあまり真面目に通っておらず、たいてい午後から登校している。北原めぐみとは、彼女がケガを負わせた帝高校の生徒の見舞いに行った際に病室で出会い、その直後にスケートクラブの夜間練習で再会し親しくなる。その後インターハイで剛と再会し、剛とめぐみが知り合いである事も知る。 剛と再びペアを組みたいと強く願っており、剛を説得するためであれば、めぐみを利用する事もいとわない。石渕順に思いを寄せられているが、長らく剛に執着していたために順の思いを受け入れる気がなかった。しかし、最終的には自分ではなくめぐみを選んだ剛から離れ、順と交際するようになる。

穂高 瞳 (ほだか ひとみ)

穂高涼の姉。2年前に引退した女子フィギュアスケート選手で、当時は日本でNo.1のスケーターとして、オリンピック選手としても活躍した。髪型は前髪を真ん中で分けて額を全開にし、肩につくほどまで伸ばした内巻きセミロングヘア。明るく親切な性格をしている。北原めぐみと仲根エリ子とは、二人の所属するスケートクラブに自身がコーチとして就任した事で知り合った。

森 よし子 (もり よしこ)

大阪府にある桜田高校に通う2年生の女子で、フィギュアスケート選手。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、桃色の癖のあるショートカットの髪型で、明るく気さくな性格をしている。小笹聖子とは知り合いで、北原めぐみとは、インターハイに出場した際、聖子の紹介で知り合った。山崎剛に憧れており、剛が2年前にスケート界から姿を消した事を不思議に思っていた。

石渕 順 (いしぶち じゅん)

帝高校に通う2年生の男子。前髪を眉上で短く切った、癖のあるショートカットヘアにしている。ゴルフ部の部長を務めており、同時に帝高校の番長でもある。以前はボクシング部に所属していたため、喧嘩も非常に強い。小笹聖子に思いを寄せており、聖子の頼みであればどんなことでもする。聖子が山崎剛を思うあまりふさぎこんでいるのを快く思っておらず、剛が怪我をして二度とスケートができない身体になれば、聖子が剛への思いを断ち切る事ができるのではと考えるようになっていく。

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