獣王星

獣王星

西暦2436年、バルカン星系の死刑惑星キマエラに落とされたトール・クライン。彼が過酷な自然環境で生き残りをかけて戦い、出生の秘密とひた隠しにされてきたキマエラの真実を知る壮大なSF長編。少年期と青年期の二部構成。

正式名称
獣王星
ふりがな
じゅうおうせい
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
 
サバイバル
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概要・あらすじ

舞台は西暦2436年。地球から150光年離れたバルカン星系のスペースコロニーのユノで育った双子の兄弟、トール・クラインラーイ・クライン。彼らは特権階級の両親に育てられ、エリートとして何不自由のない生活をしていた。ある日、二人は両親を殺され、重罪を犯した囚人が送られる死刑惑星キマエラに落とされる。

そこは、過酷な自然環境で、戦い、奪い、殺しあう獣にならなければ生き残れない世界だった。この世界には4つのテリトリーがあり、その頂点に立つものを獣王と呼ぶ。獣王になると、キマエラと第二惑星ヘカテを自由に行き来できる権利を得るという。両親殺害と自分たちをキマエラ送りにした首謀者オーディンに復讐するため、トールキマエラのトップ、獣王を目指す。

登場人物・キャラクター

トール・クライン (とーるくらいん)

銀髪でブルーグレイの瞳を持つ白人。初登場時は11歳。一握りのエリートのみが住めるスペースコロニーのユノで、双子の弟ラーイと共に育つ。両親はイオ研究所のトップ科学者。父はユノの次期首相と噂されていた。活発で運動神経が良く、負けず嫌い。思ったことをすぐ口に出してしまう、陰日向のない性格。 頭の回転も速く、両親を殺され、死刑惑星キマエラに落とされてからも、高い生命力と強運で過酷な状況にも順応していく。キマエラのテリトリーのひとつ茶輪(オークル・リング)の頭(トップ)になってからは、銀鷹(シルヴァーク)の異名を持つ。

ラーイ・クライン (らーいくらいん)

主人公トール・クラインの双子の弟。トールと同じ、銀髪でブルーグレイの瞳を持つ11歳の少年。スペースコロニーのユノでは成績優秀な優等生。臆病でおとなしい性格。女の子にモテるものの、断るのはいつもトールの役目。同じ種の地球人に比べ、最先端技術をもつバルカン星系人がなぜ短命なのか理由を知りたいと、イオ研究所の科学者を目指す。 死刑惑星キマエラに落とされてからは、泣きごとばかり言い、トールの足を引っ張るだけの存在に。茶輪(オークル・リング)のセカンドに捕まった時、トールに隙を作ってもらい、逃げることには成功するが、崖から落ちて死んでしまう。

ティズ

キマエラで生まれ育った少女。黒髪、黒い瞳を持つ。ショートカットで、一人称は「オレ」。快活でストレートな性格。初登場時は黄輪・女(サン・リング フィメール)のセカンドであり、トップ代理を務める。トール・クラインをひと目で気に入り、夫に指名するものの断られてしまう。その後、トールに命を助けてもらい、黄輪・女(サン・リング フィメール)のセカンドを辞め、トールについていくことを決める。 ボスとしてもトールを認め、のちにトールが茶輪(オークル・リング)の頭(トップ)になった時には、セカンドとしてトールを支える。トールの子供を最初に産むといい、一途にトールを想う。

ザギ

白人の少年。辺境星域イリアド出身の囚人。グループ抗争で、相手グループのヤサを爆破し、壊滅に追い込んだことでキマエラ送りに。外からきた囚人にしては珍しく野童の巣で暮らす。トールとラーイが野童に囲まれているときに、自分が二人の面倒を見ると名乗りを上げ、庇護者(ガーディ)になる。 何も知らない二人にキマエラの習慣や掟、植物の習性など様々なことを教えていく。物静かで賢いが、時折、冷酷さを見せる。生き残るために弟を捨てろとトールに助言する。のちに白輪(ブラン・リング)の頭(トップ)・白狼鬼(ブラン・ロウ)となって、トールと再会する。

サード

黒髪、赤茶系の肌を持つ端正な顔立ちの青年。長い髪を後ろでひとつにまとめている。茶輪(オークル・リング)のサード。飄々としているが、頭のキレも運動神経も良く、いつでも頭(トップ)になれる実力を持つ。本名を明かさず、サードを名乗る謎の多い人物。トールが獣王になるためにサポートをしていく。 かなりの策士で、自分に惚れた女性を利用し、茶輪(オークル・リング)のトップを挑発したり、トールに無謀な挑戦(命がけのボス戦)をするように仕向ける。第三惑星レア出身の軍人で、オーディン暗殺計画に失敗し、キマエラに落とされたとトール告白する。

オーディン

スペースコロニーであるユノの首相で、バルカン星系の事実上の指導者。トールの両親を殺害し、トールとラーイをキマエラ送りにした首謀者。61歳、髪はオールバックで恰幅の良い老人。

カリム

白輪(ブラン・リング)のセカンド。茶色の肌を持つキマエラ人。斬糸(テグス)の使い手で目の大きい美人。白輪(ブラン・リング)へ向かうザギと出会い、以後行動を共にする。ザギをボスとして崇拝しており、異性としても特別な感情を持つ。ザギにとって特別なトールに嫉妬するが、自分のことを好きだと言ってくれるトールにしだいにほだされる。

チェン

黄輪・女(サン・リング フィメール)の頭(トップ)。剣の使い手でスタイルの良い美人。黄輪・女(サン・リング フィメール)のセカンドを辞めると言い出したティズを連れ戻すため、茶輪(オークル・リング)にきてトールと対決する。怒っていることが多いが、潔く負けを認める度量はある。茶輪(オークル・リング)のサードに惚れ、夫に指名するが、逃げられてしまう。 キマエラでは、貴重な女からの求愛を断る男性はいないので、女性として最大の侮辱を受けたことになる。

ユウキ

黄輪(サン・リング)の頭(トップ)。眉が太く、熊のような大男。人柄が良く、人望も厚い。チェンと同じ野童の森出身で、チェンにベタ惚れ。夫に指名されるものの、当のチェンは茶輪(オークル・リング)のサードのことが好きで、よく邪険に扱われている。

コリン

黄輪(サン・リング)のテリトリー近くの洞穴で暮らす白髭の老人。7歳の時、野童の群れからはぐれたティズを助け、10歳まで一緒に暮らす。ユノ出身の下っ端の官僚。オーディン暗殺計画に失敗し、キマエラ送りになる。

野童 (やどう)

『獣王星』の登場する子供たちの呼び名。キマエラで生まれた子供。この星では5~6歳で母親に捨てられ、子供たちのみで群れを作って生活する。15~16歳になると、野童の群れから独立しなくてはならない。トールは初めて野童を見たとき、自分は違う獣の瞳をもった人種だと感じる。

浮浪 (ふろう)

『獣王星』の登場する人物の呼び名。不定期にしか輪に税を納めない人々。税を納めれば、輪管轄の街の出入りを許される。

場所

刃塔 (だがー・ぱごだ)

『獣王星』に登場する建物。キマエラの大陸のほぼ中央に建てられた細長く高い塔。他の惑星に行く際の発着場となり、第二惑星ヘカテへ行く際もここを利用する。

キマエラ

『獣王星』の舞台となる惑星。通称獣王星。重罪を犯した者が送られる極秘の死刑星。バルカン星系で唯一、環境改造(テラ・フォーミング)されていない惑星でもある。30度~50度もの酷暑の昼が181日、マイナス40度の極寒の夜が181日続き、肉食植物のはびこる過酷な環境。肌の色に分かれた4つのテリトリーがあり、独自の掟で縛られている。 4つのテリトリーのトップに立つ者を獣王と呼ぶ。第二惑星ヘカテに行くことができるのは獣王か、30歳まで生き残ったものだけ。

ユノ

『獣王星』の舞台となる惑星。トールとラーイが11歳まで過ごしたスペースコロニー。ユノには連邦委員会が置かれ、バルカン連邦の首都と言える。環境は整備されており、医療も最先端。ただ、居住人数に限りがあるため、一握りのエリートしか住むことはできない。

その他キーワード

ムーサ

『獣王星』に生息する植物。地中深くに根をはり、発芽するとあっという間に成長する。発芽の際には強固な岩盤の砦をも突き破り、毎年、何百人もの死者が出る。全長は200メートルにもなり、枝や肉厚な葉を茂らせ、ドーム状の樹海を作る。地中から水をくみ上げてくれるので、人間には欠かせない植物。また、ムーサの樹液は、キマエラに生息する肉食植物除けに使われる。

カリプト

『獣王星』に生息する樹。樹液は12時間生き続け、呼吸器より入り込み、生き物の体液を吸う。キマエラ人はカリプトの樹液を袋に入れて持ち歩き、大きな動物を捕まえるときに使う。樹液をとる際、息を止めていないと危険。

ベラ・ソナー (べらそなー)

『獣王星』に生息する植物。キマエラで最も凶暴な肉食植物。地中を移動し、振動を感じるとトゲのついた葉で襲ってくる。他の肉食植物が嫌がるムーサの樹液も、ベラ・ソナーには効かない。弱点は球根。

(りんぐ)

『獣王星』に出てくる用語。キマエラで特権階級のものが所属するテリトリーの名前。肌の色で分かれた4つのテリトリーがある。それぞれ茶輪(オークル・リング)、黄輪(サン・リング)、白輪(ブラン・リング)、黒輪(ナイト・リング)と呼ぶ。各輪には、トップ、セカンド、サードが存在し、三人の許可がなければ輪に入ることはできない。 輪に入ることができれば、極寒の冬を砦で過ごすことができ、生き残る確率が高くなる。各輪には女版「フィメール」も存在する。

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