天地明察

天地明察

江戸時代、囲碁の名家で知られる安井家に生まれた渋川春海。算術の天才、関孝和との勝負や天体観測での旅路、日本独自の暦作りなど、天文学に関わる渋川春海の生涯を描いた作品。冲方丁原作の時代小説『天地明察』の漫画化作品。

正式名称
天地明察
ふりがな
てんちめいさつ
原作者
冲方 丁
漫画
ジャンル
時代劇
 
その他歴史・時代
関連商品
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概要・あらすじ

囲碁を打つ棋士の家系、安井家の嫡男である渋川春海は、算術における難問の数々を一瞥しただけで解き明かした人物、関孝和の話を聞きつけ、勝負を挑む。しかし、そのために作り出した問題に欠陥があると知り愕然とする。そんな中、天体観測の任を受けた春海は、その旅路で自らの才能を磨き上げ、やがて新たな暦作りという大役に臨むこととなる。

登場人物・キャラクター

渋川 春海 (しぶかわ はるみ)

渋川はプライベートネームで、公の場では本名である二代目安井算哲の名前で呼ばれている。家業で碁打ちをしているが、本人は算術と暦術に興味を抱いていた。後に、当時使われていた宣明暦が誤っており、それに替わる暦として授時暦を採用するための検証作業、三暦勝負に臨む。しかし授時暦を検証している中で誤差が発生し、失敗。 計画は水泡に帰したと思われていたが、関孝和の助言と発破をかけられて再起。授時暦に改良と修正を加え、日本初の国産の暦である貞享暦を編纂する。これによって、800年以上にわたる宣明暦からの改暦を見事に成し遂げた。同名の実在人物渋川春海がモデル。

関 孝和 (せき たかかず)

碁の棋士を生業としていた渋川春海の生き方に多大な影響を与えた人物。多くの難問を一瞥しただけで解き明かすことから算術の天才と称され、春海も絵馬を用いた算術対決を仕掛けたことがある。後に三暦勝負に敗れ途方に暮れる春海と対面し、憎まれ口とともに発破をかけ、自ら研究していた授時暦に関する資料の全てを譲り渡す。 そして、「授時暦を切れ」という言葉と共に、改暦のための新たな暦を作り出すことを春海に託した。同名の実在人物関孝和がモデル。

えん

荒木家の娘。大の武家嫌いで、算術に詳しい人を好む。とりわけ天才的な知識を誇る関孝和に憧れを抱いていた。算額絵馬が奉納されている寺社の掃除を行っているところで渋川晴海と出会い、互いに関孝和に関して語り合ううちに、惹かれあっていく。しかし春海が北極出地から戻ってきたとき、既に彼女は他所に嫁いでしまっていた。 後に春海もことと結婚することになるが、互いに早くして伴侶を亡くし、後に再婚。改暦の儀をそばで見張ることを約束する。

安藤 有益 (あんどう ゆうえき)

会津藩の勘定方。渋川春海のよき理解者で、春海が算術、暦術をたしなんでいることも知っており、関孝和と勝負をしたいと言った時も快く後押しした。後に春海の計らいで関孝和と対面を果たすが、その時は今までにないほど緊張した姿を見せた。同名の実在人物安藤有益がモデル。

酒井 雅楽頭 忠清 (さかい うたのかみ ただきよ)

老中。渋川春海の算術と暦術の才を聞き及んでおり、囲碁よりそちらに興味を抱いていることを知ると、北極出地の調査役に任命する。彼自身は天文学にさほど関心を示してはいないが、それに打ち込む春海の姿勢には非常に高い評価を下しており、北極出地から帰還した後に改暦の儀の総大将に推薦。 必ず成し遂げるように激励した。同名の実在人物酒井雅楽頭忠清がモデル。

伊藤 重孝 (いとう しげたか)

本業は医者だが算術にも通じており、自ら望んで渋川春海の北極出地に同行した。「分野」と呼ばれる唐の占術を、日本全土に当てはめたいという大望を持つ。しかし自分が生きている間にはそれが成立しないだろうことも悟っていた。なお、本作のタイトルにもなっている『天地明察』は彼の発言によるものである。 同名の実在人物伊藤重孝がモデル。

建部 昌明 (たけべ まさあき)

算術と天文学に詳しい書記官で、北極出地の責任者。厳つい外面に似合わず純粋な性格で、計算の一つを間違えると蝋燭を振り回し、暦術の話を振れば少年のように瞳を輝かせる。北極出地に同行した渋川春海に宣明暦が実際の暦とずれが生じていることを認識させるが、旅半ばで病に倒れてしまう。春海と伊藤重孝に調査の続きを任せ、「天球儀を胸に抱いて三途の川を渡りたい」という願いを語った。 同名の実在人物建部昌明がモデル。

山崎 闇斎 (やまざき あんさい)

渋川春海の神道および朱子学の師で、彼を幼名の六蔵と呼ぶ。強面で豪放磊落な性格。酒井からは風雲児と呼ばれている。改暦の儀に臨む春海の相談役として、長く彼を支え続けた。同名の実在人物山崎闇斎がモデル。

こと

家の縁談によって結婚した渋川春海の最初の妻。結婚当初は春海の研究があまりに難解であるため、接し方が分からずに困惑していたが、やがて彼の優しさに触れ、心を開くようになる。無学ながらも、夫のために天文学や算術の話にも付き合うなど仲睦まじい様子を見せていた。しかし、後に若くして病に倒れ、帰らぬ人となってしまう。 彼女の死は春海に大きな影を落とした。

水戸 光圀 (みと みつくに)

御三家の一つである水戸徳川藩の藩主。北極出地を計算によって弾き出した春海に興味を抱き、自ら領地に招く。後に彼を改暦の儀の総大将に推薦。水戸藩を挙げて支援を行うことを約束する。授時暦の誤謬により春海が立場を失ってもそれは変わらず、新しい暦を作るという目的を明かされたときは更なる協力を約束。 当時禁書に指定されていた洋学書を融通した。同名の実在人物水戸光国がモデル。

その他キーワード

改暦 (かいれき)

『天地明察』のテーマ。使用している暦法を、新しい暦法に更新し改めることを言う。本作では、日本国内で800年採用され続けた宣明暦に誤差が生じていることを知る渋川春海が、唐国で使用されている授時暦を基にした新たな暦である貞享暦を生み出し、実際に暦が改まるまでの軌跡が描かれている。

クレジット

原作

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