ミュジコフィリア

ミュジコフィリア

京都の芸術大学を舞台にして、音楽にコンプレックスを持って入学した漆原朔を中心に、現代音楽に取り組む若者たちを描くドラマ。

正式名称
ミュジコフィリア
ふりがな
みゅじこふぃりあ
作者
ジャンル
その他芸能・音楽
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概要・あらすじ

京都芸術大学に入学した漆原朔は、なかば強引にアオカンアラマキに現代音楽研究会にひき込まれる。そこには朔が音楽を遠ざけてきたきっかけとなった、異母兄の貴志野大成と、そして朔の憧れる大成の彼女、小夜がいた。大成は天才作曲家として注目される存在であり、朔はそんな大成を一途に愛する小夜との間で苦悩する。

しかし、子供の頃からモノの形や色が「音」として頭の中で鳴っていた朔は、それらが現代音楽を通して表現出切ることを知る。そして朔と同じように自然の音を理解する女性、浪花凪やもうひとりの異母兄弟、三木蓮太郎が現われて、朔は秘めた才能を開花させていくのだった。

登場人物・キャラクター

漆原 朔 (うるしばら さく)

京都芸術大学に入学。父親は著名な作曲家、貴志野龍。腹違いの兄は若手天才作曲家と期待される貴志野大成。この二人へのコンプレックスで音楽を遠ざけてきたが、実は朔には自然のなかの「音」を理解し、モノの形や色が「音」ととして聴こえる特殊な才能を持っていた。現代音楽に目覚めて朔の人生は変わっていく。

貴志野 大成 (きしの たいせい)

作曲界の大御所、貴志野龍の息子。京都芸術大学の作曲科の逸材として注目されている。漆原朔とは腹違いの兄弟で仲違いしている。冷徹な性格で感情に左右されず、恋人の小夜が妊娠した時ですら音楽のことしか頭になかった。一方で、父親の呪縛からは逃れられないでいる。

小夜 (さよ)

京都芸術大学で現代音楽研究会にてバイオリンを弾いている。恋人である貴志野大成の兄弟漆原朔のことは弟のように思っている。大成の子供を身篭るが、大成の作曲家として活動の邪魔になってはいけないと朔に頼んで堕胎しようとするほど大成を愛している。

浪花 凪 (なにわ なぎ)

京都芸術大学大学のピアノ科に籍を置いているが、歌手としての才能があり、漆原朔と同じように自然にある音や物を理解し、声で表現する能力をもっている。朔に想いを寄せるが、歌手としてスカウトされ東京に進出することになっていく。

御木 蓮太郎 (みき れんたろう)

中学生だが、ダウン症で見かけ以上に幼くみえる。父親は貴志野龍であり、漆原朔と貴志野大成とそれぞれ腹違いの兄弟となる。蓮太郎もまた朔や浪花凪のように自然のなかにある音を感じるとる能力がある。

椋本 美也子 (むくもと みやこ)

京都芸術大学作曲家の准教授。現代音楽研究会の顧問をしている。漆原朔がでたらめに弾くピアノに現代音楽が追求している「未聴感」を発見し、漆原朔を現代音楽の世界へ引き込んでいく。

青田 完一 (あおた かんいち)

京都芸術大学現代音楽研究会のメンバー。大学には六浪して入り、入学してからも常に留年の危機にある。女好きで自己主張の強さといい加減さで、先生や生徒からも要注意人物とされている。しかし、見かけに反してその才能は繊細で将来性を持っている。漆原朔を何かと使い走りさせる。

アラマキ

京都芸術大学大学現代音楽研究会のメンバー。打楽器の担当の女性。大柄でドレッドヘアーが特徴。アオカンの作曲演奏には欠かせない存在。アラマキもアオカンの才能を買っており、良いコンビになっている。巨乳であり、その点を現代音楽の気鋭ジャン・ギランに気に入られる。

ジャン・ギラン

フランス人。伝説のロックバンドのヴォーカル&ギタリストだった。商業主義に陥ることを嫌い、独自の現代音楽を追求する。椋本美也子の要請で来日して、漆原朔と感性の交流を深める。アオカンが大ファンであるが相手にしなかったが、アラマキの巨乳には深く関心を示す。

貴志野 龍 (きしの りゅう)

貴志野大成と漆原朔の父親。作曲界の大御所。息子の大成に大きな期待をよせており、その大成へのアドバイスが仇になって皮肉にも大成の音楽家生命を奪う事態に発展する。漆原朔にとっても幼少時代からの大きな精神的障害になっている存在。

湯浅 譲二 (ゆあさ じょうじ)

著名な作曲家。武満徹らと共に活動し多くの作曲分野で活躍している。音楽を「音響エネルギー体の空間的・時間的推移」と捉え、「コスモロジー」「未聴感」という言葉が重要なキーワードになっている。漆原朔の内側にある音楽を「未聴感」として捕らえる。実在の作曲家、湯浅譲二がモデル。

場所

京都芸術大学

京都市左京区岩倉に位置する架空の国立大学。明治時代に設立された音楽学校と美術学校が統合されて1949年に設立。ここに通う漆原朔やアオカンといった現代音楽研究会のメンバーがこの物語のメインになる。実在の京都市立芸術大学をモデルとしている。

その他キーワード

未聴感 (みちょうかん)

『ミュジコフィリア』に登場する用語。対立する言葉は「既聴感」。音楽の創作には、人を感動させ、魅了させる要素以外に、今まで聴いたことのない新しさ、「未聴感」が必要であると湯浅譲二が説いている、その事を指す。天才と呼ばれながら貴志野大成は父親のコピーから越えられず、逆に無才と言われて育った漆原朔は「未聴感」の音を生み出す。

現代音楽 (げんだいおんがく)

『ミュジコフィリア』の登場する音楽のジャンル。その定義は曖昧で、抽象的であり、他の時代の西洋音楽史の区分のように、様式によって区分けされたものではない。一般に、西洋クラシック音楽の流れにあり、20世紀後半から現在に至る音楽を指している。

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