大純情くん

大純情くん

物野けじめ少年の平凡な日常が、徐々に不可思議な出来事に侵食され、ついには人類の存亡に関わる大事件へと発展していく。松本零士が数多く描いた四畳半テーマの作品のひとつ。

正式名称
大純情くん
ふりがな
だいじゅんじょうくん
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
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概要・あらすじ

高層ビルに囲まれ、昼なお暗い旧市街。そこに建つアパートの四畳半に暮らす少年、物野けじめ。両親も無く、たった一人で自活するけじめの前に、島岡と名乗る謎の美女が出現する。夢か現か、神出鬼没の島岡さんと出会って以来、けじめの周囲には、不可思議な出来事が頻発するようになる。

登場人物・キャラクター

物野 けじめ (ものの けじめ)

旧市街のアパートの四畳半に一人暮らしする中学生。両親は居らず、自給自足の自活生活をしている。バイトで食いつなぎ、劣悪な労働条件でも耐え抜く。いつか四畳半生活を脱し、大人物になることを夢見ている。謎の美女、島岡さんと出会って以来、不可思議な出来事に遭遇することが多くなる。

島岡さん (しまおかさん)

物野けじめの前に度々現れる謎の美女。神出鬼没で、困窮するけじめを事ある毎に助け、励ましてくれる。けじめのアパートに住んでいるらしいが、大家のバーサンは島岡という女性は下宿していないと断言している。けじめ自身も実在する人間なのか、夢の中の存在なのか戸惑っている。 調査局の局員が、度々島岡さんの居場所を捜しており、当局から危険視されている存在と思われる。

近藤 イサム (こんどう いさむ)

物野けじめの親友。電車マニアの少年で、豪邸に住み、自室に鉄道模型の大型レイアウトを展開している。けじめのアパートの地底を走る謎の地下鉄道を存在しない路線と看破する。この件以来、けじめと行動を共にし、不可思議な出来事に遭遇することになる。

バーサン

物野けじめが下宿するアパートの家主。夫に先立たれ、一人でアパート経営を切り盛りしている。太った体型や老齢について馬鹿にされると激怒し、包丁を持って追いかけてくる。

北泉 ミライ (きたいずみ みらい)

物野けじめのアパートに引っ越してきた女性。実は能力調査員227号で、アパートに潜入して住民を調査していた。調査員に無能力と報告されれば、極悪の環境で労働を強いられることになる。けじめはミライの殺害まで計画するが、ミライ自身も別の調査官に監視されており、結果的に彼女の窮地を救い、報告書の提出は免れる。

大岩 一郎 (おおいわ いちろう)

旧市街を襲った洪水の際に物野けじめに救われたコンピューター技師。実は秘密調査員GH77788号で、けじめの前に姿を見せる女性、島岡さんの居所を探りに来ていた。だが、けじめとの間に芽生えた友情のために機械化参謀本部を裏切り、抹殺されてしまう。

物野 美雪 (ものの みゆき)

薄暗い旧市街の中で、唯一、1年中日の光が差す部屋に住んでいる女性。偶然拾った花を育てるために日差しを探していた物野けじめと知り合う。けじめと同姓だが、縁戚関係があるかは不明。病床に就いており、自分の心と称して、悲しげな絵を描き続けている。

忠雄 (ただお)

科学大学の学生で、落伍者である旧市街の人間の心理および生活実態をレポートしている。物野けじめを研究対象に選び、その一挙手一投足を模倣する。落伍者と決めつけられたけじめの逆鱗に触れ、畳の藁と石ころを煮て、履き古しのパンツで包んだパンツ稲荷を食う羽目になり、病院送りとなる。

集団・組織

調査局 (ちょうさきょく)

『大純情くん』に登場する組織。正式名称は重科学省調査局で、危険人物の捜査、逮捕を主な使命としている。その権威は絶大で、一般警察を差し置いて強制捜査を展開する。物野けじめの前に現れる美女、島岡さんを執拗に追跡している。

機械化参謀本部 (きかいかさんぼうほんぶ)

『大純情くん』に登場する組織。調査局や機械情報局、秘密暗殺者、都市管理局などを影から操っていると思われる謎の機関。各スタッフに高性能の装備や武器を与えている。裏切り者や不適合者は容赦なく抹殺する。

場所

古代催眠術大事典 (こだいさいみんじゅつだいじてん)

『大純情くん』に登場する書物。島岡さんが所有していると語った古代催眠術の専門書。物野けじめがアパートの廊下で拾う。いつ発行されたのかも分からない古い本だが、各所に名言が記載されており、毎回開かれたページの言葉が、けじめの進むべき道を示してくれる。

アパート

『大純情くん』に登場するアパート。固有名は無く、壁面にただ「アパート」と書かれている。旧市街にあり、築70年以上の二階建て、各部屋は四畳半で、暗い廊下に向かい合わせで配置されている。新都市計画によって、各部屋が独立した玄関のあるアパートに強制的に改造された。だが、4部屋の中央に1個の共同トイレがあるので、使用順などでトラブルが絶えない。

旧市街 (きゅうしがい)

『大純情くん』に登場する街。今なお古い街並みが建ち並び、庶民が暮らしている。四方を高層ビルに囲まれ、その影のために昼間にも関わらず薄暗い。また、ビルの谷間のせいで、強風が吹き抜けるため、低気圧が発生、暴風雨や大雪に見舞われることも多い。旧市街の住民は、高層ビル街の富裕層からは、蔑視の対象となっている。

その他キーワード

地下鉄道 (ちかてつどう)

『大純情くん』に登場する交通機関。物野けじめの住むアパートの地下を高速で走行している。列車が通過する度にアパート床下の縦穴から怪音が響き、幽霊騒動になった。路線図には存在していない謎の鉄道で、誰をどこへ運んでいるかなどは不明。

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