猫とかんざし

猫とかんざし

江戸の町を舞台に、おりんと父親の徹が営むかんざし屋を訪れる、希望や悩みを持つ老若男女が織り成す人間模様を描いた心温まるヒューマンドラマ。「お江戸ねこぱんち」2017年十五から2019年二十一にかけて掲載された作品。

正式名称
猫とかんざし
ふりがな
ねことかんざし
作者
ジャンル
家族
 
ヒューマンドラマ
関連商品
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あらすじ

第1巻

腕のいいかんざし職人のの一人娘で、しっかり者のおりんは、生活力の低い徹を支えながら飼い猫のスズを愛でる日々を送っていた。そんなある日、嫁に行く娘のために依頼したかんざしが気に入らないと、何度も突き返してくる頑固な大店の主人に苦労する徹を心配していたおりんは、大店の主人の娘であるおつると出会う。優しく可憐なおつるなら、徹が作ったかんざしがさぞかし似合うだろうと想像するが、結局かんざしは作り直しとなってしまう。後日、徹は新しいかんざしを完成させるが、そのかんざしをくわえて逃げ出したスズを追いかけ、例の大店へとたどり着いたおりんは、そこで主人と遭遇。勢いに任せて主人へ文句を言ってしまい、一触即発の雰囲気になるも、完成したかんざしをつけたおつるの姿を見て、主人は号泣してしまう。聞けば主人は、依頼したかんざしが完成すれば、いよいよおつるが嫁に行くのが現実になることを恐れ、徹に対し難癖をつけていたのだという。涙ながらに謝罪する主人に対し、かんざしに込めた思いを語る徹を見たおりんは、自分もいつかはかんざし職人になりたいと思うのだった。(第1話。ほか、6エピソード収録)

登場人物・キャラクター

おりん

かんざし職人である徹の娘。しっかり者の少女で、母親がいない中で、徹の生活を陰から支えているため、料理や掃除が得意。飼い猫のスズが大好きで、いつもいっしょにいる。高潔で腕のいい職人の父親、徹のことは尊敬しているが、お客に頭を下げてばかりで、少々情けないと思っている。将来は徹のような腕のいいかんざし職人になるのを夢見ており、徹の一番弟子を自称している。

(てつ)

おりんの父親。かんざし職人を生業としており、近隣でも評判の腕前を持ち、大口の仕事も請け負っている。職人としては一流で、食べるには困っていないが、少々生活力が低く、身の回りのことに関してはおりんにすべて頼りきりになっている。温厚な性格で、他人と争うことはほとんどない。若干女心がわかっていないところがあり、そのことでお客を怒らせてしまうこともある。

スズ

おりんの家で飼われている黒猫。性別は不明。おりんが生まれてからずっといっしょに暮らしている。おりんの傍にいつも寄り添っており、おりんもスズのことが大好き。仕事で忙しい徹にあまり構ってもらえない寂しさと、母親がいない切なさを、スズに救ってもらっていた。勘が鋭く、何かあるとおりんを守るかのような行動を起こす。

大店の主人 (おおだなのしゅじん)

川向こうにある大きな店を営んでいる中年男性。娘のおつるが嫁にいくことになったため、彼女に付けるかんざしを徹に依頼する。完成品に幾度となく文句をつけ、徹に作り直しを要求していたが、それは少しでもおつるが嫁にいく時期を遅らせるためだった。

おつる

大店の主人の娘。可憐な雰囲気を漂わせた女性。婚姻が決まったため、父親といっしょに徹のもとを訪れた際におりんと出会った。

弥七 (やしち)

くし職人の青年。相思相愛だった人気の芸者、つる江に見請けの話がきてしまったことから、思いを伝えるためにかんざしを作ることを決意。徹に頼み込んで弟子にしてもらい、懸命に自分のかんざしを仕上げていた。

つる江 (つるえ)

人気の芸者。店に出入りしていたくし職人の弥七と相思相愛になるが、金持ちの旦那から身請けの話がきている。弥七から思いを伝えられるのを待っていたが、苦楽を共にする意味を持つくしではなく、長寿と健康を願うかんざしを贈られ、弥七の気持ちを察する。

小太郎 (こたろう)

明るい性格の少年。長屋に住んでおり、おりんとなかよしで、よく二人で遊んでいる。その際におりんが落としたかんざしを壊してしまい、おりんがかんざしを直そうと奮闘することとなった。

おケイ

老齢の女性。長屋に住んでおり、徹のもとにかんざしを依頼しにやってきた。亡夫が若い頃、自分に贈ろうとしていたかんざしを断ったことを今も後悔しており、心残りを解消するためにかんざしを作ろうとしていた。

おゆき

小間物問屋の若い娘。おっとりとした心優しい性格をしている。年頃だが未だに縁談が決まらない状態が続いており、おゆきの母親から心配されている。母親ほどの器量がないため、それが強い劣等感となっていた。

おゆきの母親

小間物問屋を営んでいる女性。人目を引く美人。年頃の娘であるおゆきの縁談がなかなかまとまらないことを気にかけており、いい相手を見つけるため、あちこちを奔走している。

お妙 (おたえ)

病弱な少女。胸に病を抱えており、激しい運動を禁じられているため、自宅で寝ながら療養している。散歩中のスズを家に招き入れ、かわいがっていた。その縁でおりんと出会い、友達となる。

お松 (おまつ)

下駄屋に嫁いだ女性。生まれてくる子供に贈るかんざしを作ってもらうために、夫と徹のもとを訪れた。若々しく生き生きとした装飾を望んだため、かんざし職人として成長していたおりんが注文のかんざしの細工を任された。

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