現実主義勇者の王国再建記

現実主義勇者の王国再建記

どぜう丸の小説『現実主義勇者の王国再建記』のコミカライズ作品。異世界に召喚された男子高校生の「相馬一也」が、「ソーマ・カズヤ」としてエルフリーデン王国の国王となり、異世界でさまざまな改革を行っていく姿を描いたファンタジー。「コミックガルド」で2017年7月から配信の作品。2021年7月に原作小説版がテレビアニメ化。

正式名称
現実主義勇者の王国再建記
ふりがな
げんじつしゅぎゆうしゃのおうこくさいけんき
原作者
どぜう丸
漫画
ジャンル
ファンタジー
 
ラブコメ
レーベル
ガルドコミックス(オーバーラップ)
巻数
既刊10巻
関連商品
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あらすじ

基盤編

大学に合格したばかりの男子高校生の「相馬一也」は、ある日突然、異世界のエルフリーデン王国から勇者「ソーマ・カズヤ」として召喚されてしまう。エルフリーデン王国は魔王領と隣接している大国のグラン・ケイオス帝国から、「魔物との戦争に用いる支援金を提供するか、勇者を召喚して差し出せ」と警告を受けていると知り、ソーマは即座に身の安全を図るため、現在のエルフリーデン王国における問題点の分析と改善案を提案する。その案には実効性があり、同時に現実的でもあると判断した国王のアルベルト・エルフリーデンは、すぐさまソーマに王位を譲ったうえ、娘のリーシア・エルフリーデンと婚約させると発表する。突然のことに困惑するソーマだったが、まずはグラン・ケイオス帝国に提供する支援金の捻出と、より有能な部下を探すための求人募集作業に取りかかる。

1週間戦争 内乱予兆編

新たに宰相に就任したハクヤ・クオンミンの勧めで、ソーマ・カズヤリーシア・エルフリーデンアイーシャ・ウドガルドを連れて城下町へ行くことになった。お忍びでの休日を楽しんでいた三人だったが、ジュナ・ドーマの働く店でソーマに対する不満をあけすけに言う陸軍兵士のハルバート・マグナと、それを諫めている禁軍兵士のカエデ・フォキシアの会話が耳に入る。反乱を企てていると噂されている陸軍大将のゲオルグ・カーマインを賞賛し、その傘下での立身出世を夢見るハルバートの発言に、ソーマはそれ自体が反逆罪になり得る危険な発言だと警告したうえで、思いとどまるように諭す。そんな中、ソーマたちが王都に海産物を運ぶ湾岸都市の建設と陸路の整備を進めていると、アイーシャのもとに「神護の森で大規模な地滑りが起き、ダークエルフの集落の半分が飲み込まれた」との知らせが舞い込む。

1週間戦争 アミドニア公国進軍編

陸軍大将のゲオルグ・カーマインと空軍大将のカストール・バルガスの反乱が決定的なものとなり、内乱の開始に乗じてアミドニア公国の軍勢もまたエルフリーデン王国への進軍を開始した。アミドニア公国は軍備拡大主義が徹底され、国民たちにも反エルフリーデン王国教育がされていることから士気が高く、敗北の可能性を微塵も考えてはいない。その様子を見て、かねてより父親である公王、ガイウス・アミドニアと主張が食い違っていた公女のロロア・アミドニアは、たった数人の部下を連れて城から出奔する。そんな中、アミドニア公国軍が三万の兵を率いて旧アミドニア領アルトムラへ接近していることを知ったソーマ・カズヤは、警戒する動きをアミドニア公国軍に気取られないよう、ハクヤ・クオンミンの案を起用し、冒険者たちを使って秘密裏に周辺住人たちを避難させる方法を取る。

1週間戦争 バルガス・カーマイン領編

陸軍大将のゲオルグ・カーマインの領土において、不正貴族率いる反乱軍と禁軍の戦いが幕を開けた。不正に金銭を横領していたことを追及され、その返済から逃れるために反乱に加担した不正貴族たちは、一向にやる気を見せない陸軍兵に激しいいら立ちを覚える。一方でカストール・バルガスの領土には、ソーマ・カズヤたちが無理やり車輪を取り付けて陸上仕様にした戦艦で攻め入っていた。思いがけない攻撃に戸惑うカストールは、娘のカルラ・バルガスに戦艦の撃沈を指示する。しかしカルラが目にしたのは、ソーマどころか兵士すら一人も乗艦していない異様な空間だった。その頃、空軍の目をかいくぐってカストールと対峙したソーマは、投降させるための最後の説得が通用しないと知り、仕方なくカストールとの戦闘に及ぶことになる。

1週間戦争 アミドニア公国編

エルフリーデン王国での内乱が終結し、さらにソーマ・カズヤから侵略に報復する旨の布告がされたことで、ガイウス・アミドニアは急遽アミドニア公国へと駆け戻ることになった。しかしその道程も、ジュナ・ドーマが率いる海軍特殊部隊「海兵隊」による奇襲が相次ぎ、アミドニア公国軍は進軍当初よりも兵士が激減した状態で、エルフリーデン王国軍と対峙することになった。さらに、無理やり徴兵された町民が逃亡し始めたことで、アミドニア公国軍はさらに混乱を極めていく。そんな中、ガイウスは敗北を察したうえで、息子であるユリウス・アミドニアにアミドニア公国の今後を託して逃がし、玉砕覚悟での突撃を決める。そして、その覚悟を受けたソーマもまた、自らの命を危険に晒す覚悟でガイウスの前に立った。

ヴァン占領編

ガイウス・アミドニアを討ったエルフリーデン王国は、アミドニア公国の首都・ヴァンを占領するに至った。しかしソーマ・カズヤは、ヴァン以外のアミドニア公国領土に侵攻および占領するつもりはなく、戦後処理に専念することにする。一方でユリウス・アミドニアは、対魔族人類共闘宣言を盾に、グラン・ケイオス帝国の女帝であるマリア・ユーフォニアに対し、ヴァン奪還の助力を嘆願する。だが、グラン・ケイオス帝国の介入を予見しているソーマは、ヴァンの住民たちからの反感を治めるため、まずは報道番組「NEWSエルフリーデン」やジュナ・ドーマの出演する歌番組などを放送する。軍拡主義で国民に圧政を敷いていたガイウスたちとは一線を画する自由な雰囲気に魅せられた住民たちは、エルフリーデン王国軍に持っていた悪感情が急激に和らいでいく。

グラン・ケイオス帝国会談編

アミドニア公国の新公王であるユリウス・アミドニアから、ヴァン奪還のための助力を嘆願されたグラン・ケイオス帝国の陸軍総帥、ジャンヌ・ユーフォニアが、ユリウスを伴ってソーマ・カズヤとの領土返還交渉会談に訪れた。自ら領土に侵攻しておきながら、いざ反撃を食らうと大国に泣きつくという、アミドニア公国側の勝手な言い分に憤るソーマの言葉に一定の理解を示したジャンヌは、ユリウスを排除した会談の席を設けることに同意する。その会談で思いがけず魔王領の魔物たちの情報をも得ることができたソーマは、ヴァンを賠償金の支払いによって返還することに合意し、さらにグラン・ケイオス帝国とエルフリーデン王国のあいだで秘密裏に同盟を結ばせることに成功する。その結果ヴァンから撤退することが決定したソーマたちだったが、今度は偽りの反乱を起こしたゲオルグ・カーマインの処罰について向き合うことになる。

関連作品

小説

本作『現実主義勇者の王国再建記』は、どぜう丸の小説『現実主義勇者の王国再建記』を原作としている。原作小説版はどぜう丸が「小説家になろう」や「pixiv小説」に投稿した作品で、オーバーラップ「オーバーラップ文庫」から刊行され、イラストは冬ゆきが担当している。なお、オーバーラップ文庫刊行の小説版のタイトルは『現実主義勇者の王国再建記』で固定されているが、「小説家になろう」などに掲載されているものは、物語の進行に合わせて、『現実主義勇者の王国改造記』『現実主義勇者の大国建造記』『現実主義勇者の帝国建立記』と改題が続けられている。

メディアミックス

テレビアニメ

2021年7月から、本作『現実主義勇者の王国再建記』の原作であるどぜう丸の小説『現実主義勇者の王国再建記』のテレビアニメ版『現実主義勇者の王国再建記』が、TOKYO MXほかで放送された。監督は渡部高志、キャラクターデザインは大塚舞が務めている。キャストは、ソーマ・カズヤを小林裕介、リーシア・エルフリーデンを水瀬いのり、アイーシャ・ウドガルドを長谷川育美が演じている。第1期では1週間戦争集結までが描かれており、2022年1月から放送された第2期では、アミドニア公国の首都ヴァンを返還するグラン・ケイオス帝国との会談からフリードニア王国建国までが描かれている。

WEBラジオ

2021年7月から10月、また2022年1月から、テレビアニメ『現実主義勇者の王国再建記』の連動番組としてキングレコードのレーベル「KING AMUSEMENT CREATIVE」の公式YouTubeチャンネルで、『現実主義言者の王国再声記 HOW A REALIST PERSONALITY RADIO THE KINGDOM ~現国ラジオ~』が毎週金曜日正午に放送。パーソナリティはソーマ・カズヤ役の小林裕介と、トモエ・イヌイ役の佳原萌枝が務めている。

登場人物・キャラクター

ソーマ・カズヤ

エルフリーデン王国の勇者として召喚された少年。つねに冷静沈着で客観的な判断を下すことができる。召喚直後にエルフリーデン王国の窮状を理解し、具体的な対策および改善案を提示したことで、即日、新王に任命された。当初はあくまで暫定国王として振る舞っていたが、次第に国王の自覚を持つようになり、日々そのプレッシャーとも戦っている。歴史好きで『史記』や『三国志』をはじめとする数々の歴史本を精読しており、政治もニッコロ・マキャヴェッリの『君主論』を参考にして行っている。横領や不正を働いていた貴族を追放し、身分にとらわれない人材登用を行ったことで、一部の貴族たちからは王位簒奪者として恨まれ、反旗を翻す機会を窺われている。本名は「相馬一也」。

リーシア・エルフリーデン

エルフリーデン王国の前王女で、ソーマ・カズヤの婚約者。長い金髪をうなじで一つにまとめていたが、のちに肩から下の髪を自らの手で切り、ショートボブヘアとなる。ソーマが王位に就いた際には簒奪を疑い、遠征先から急いで王都へと戻り、勝手に婚約を決められたことで父親のアルベルト・エルフリーデンを責め立てる。しかしソーマの有能さを知り、今は心から好意を寄せている様子が見られる。

アイーシャ・ウドガルド

エルフリーデン王国にある神護の森に住むダークエルフの女性。浅黒い肌を持ち、長い金髪をポニーテールにしている。ソーマ・カズヤが人材募集のために行った玉音放送に応じ、その武力が国内随一と認められて登城した。当初はソーマを主人だと認めずに頭を垂れなかったが、ソーマが神護の森の危機を言い当て、さらにその改善方法まで難なく提示したことに感激して忠誠を誓った。ソーマに好意を寄せている。ダークエルフの族長の娘で、神護の森が大規模な地滑りを起こし、集落の半分が飲み込まれた際には独断でソーマに救援要請を申し出た。

ハクヤ・クオンミン

エルフリーデン王国の宰相を務める青年。肩まで伸びた黒髪を真ん中分けにしている。ソーマ・カズヤが人材募集のために行った玉音放送を聞いた叔父が推薦し、その知識と記憶力が国内随一と認められて登城した。施政者としてのソーマの能力を見極めるため、一度は官位を断ったが、ソーマがポンチョ・イシヅカ・パナコッタを起用したことに感嘆し、あらためて官位を受けたいと申し出た。その後一度はマルクスに預けられるが、その能力がマルクスを凌駕していることを認められ、宰相に就任している。ソーマが国王として体を酷使していることに頭を痛めており、主人の世話が焼けるということで、ジャンヌ・ユーフォニアと意気投合している。

ジュナ・ドーマ

エルフリーデン王国の歌姫。青髪のロングヘアを一部、カチューシャのように編んでいる。先祖にローレライを持つ一族で、万人を魅了する美声と美貌の持ち主。ソーマ・カズヤが人材募集のために行った玉音放送に応じ、その歌声と美貌が国内随一と認められて登城した。ソーマが玉音放送を通じて国民に呼びかける際は、アナウンサーのような役割を担った。実はエクセル・ウォルターの孫娘で、海軍の特殊部隊「海兵隊」のリーダーも務めている。当初はエクセルからの命令を受けた密偵「カナリア」となり、ソーマの王としての資質を探っていた。

トモエ・イヌイ

エルフリーデン王国に難民として暮らしている妖狼族の少女。肩まで伸ばした白髪で、頭部からは大きな狼の耳が生えている。ソーマ・カズヤが人材募集のために行った玉音放送に応じ、鳥獣と会話できる能力を認められて登城した。さらに魔族とも会話をすることができ、この能力が他国に対してエルフリーデン王国最大のアドバンテージになると考えたソーマによって、家族ともども王城に保護されている。また、この保護を受けるために前王であるアルベルト・エルフリーデンの養子となった。

ポンチョ・イシヅカ・パナコッタ

エルフリーデン王国で美食家と知られる男性。肥満体で、つねに汗をかいている。ソーマ・カズヤが人材募集のために行った玉音放送に応じ、食の探究のために世界各地を旅して回り、私財を投じて各地の珍味を食べ歩いたという経歴を認められて登城した。本名は「ポンチョ・パナコッタ」だが、この食材研究の能力がソーマに認められたことでイシヅカの姓を授与され、それ以来「ポンチョ・イシヅカ・パナコッタ」を名乗っている。エルフリーデン王国の食糧問題担当大臣に就任し、エルフリーデン王国では食べる習慣のない食材集めに尽力し、その調理方法を玉音放送で披露した。

ルドウィン・アークス

近衛騎士団長を務めている青年。金髪のロングヘアで、中性的な容姿をしている。つねに笑顔を浮かべ、最初からソーマ・カズヤに対しても好意的に接している。近衛騎士団が、陸軍や空軍に比べて活躍していないことを気にしている様子が見られ、ゲオルグ・カーマインが率いる反乱軍との戦いでは強い闘志を見せた。

アルベルト・エルフリーデン

エルフリーデン王国の前国王の男性。白髪のロングヘアを毛先だけ大きく外巻きにしている。優しい性格で国民からも愛されていたが、一国の王として威厳がなく、他国から強いプレッシャーを受け続けていた。しかし、ソーマ・カズヤをエルフリーデン王国に召喚した際、ソーマが即座にエルフリーデン王国に山積している問題を指摘して改善案を提示した。すると、ソーマの了承を得ないまま新王として指名し、そのまま退位した。またこの時、娘のリーシア・エルフリーデンをソーマの妃として与えることを約束している。

マルクス

エルフリーデン王国の前宰相を務めていたエルフの初老男性。面長で額が広く口ひげを蓄えている。ソーマ・カズヤがエルフリーデン王国に召喚された直後、即座にエルフリーデン王国に山積している問題を指摘し、改善案を提示したことでソーマの能力を認め、新王就任を歓迎している。求人に応じて登城したハクヤ・クオンミンの官位を任された際には、ハクヤの能力がマルクス自身を凌駕していることを悟り、潔く宰相の座を譲っている。

ゲオルグ・カーマイン

エルフリーデン王国の王国陸軍大将を務める獣人族の男性。頭部はライオンそのものだが、体は大柄な人間となっている。アルベルト・エルフリーデンが一番信頼する忠臣にして友人でもあり、リーシア・エルフリーデンにとっても家族のような人物。ソーマ・カズヤによって不正や横領を暴かれた貴族たちを領地に匿い、ソーマに反旗を翻そうと画策している。

エクセル・ウォルター

エルフリーデン王国の王国海軍大将を務める蛟龍族の女性。青髪のロングヘアで、横髪のみ髪留めでゆるくまとめている。家臣たちからは「海姫様」と呼ばれている。孫娘であるジュナ・ドーマを密偵としてソーマ・カズヤのもとに送り込み、ソーマの王としての資質を探っていた。その結果、ジュナから王の資質ありと連絡を受け、いち早くソーマの傘下に入った。

カストール・バルガス

エルフリーデン王国の王国空軍大将を務める半竜人の男性。肩まで伸ばした赤毛をオールバックにして、額から二本の角、背中からコウモリ型の翼が生えている。ソーマ・カズヤが王位を簒奪したと考えており、アルベルト・エルフリーデンに王位を返還させるために反旗を翻そうと画策している。

カエデ・フォキシア

エルフリーデン王国の禁軍に所属している獣人の少女。金髪のショートカットヘアで、頭部から狐の耳が生えている。ハルバート・マグナの幼なじみで、ソーマ・カズヤに反旗を翻そうと計画しているゲオルグ・カーマインに協力する考えのハルバートを強く叱責し、引き止めていた。その際、周辺国家との関係性も深く理解している様子を見せていたため、ソーマからルドウィン・アークスのもとで参謀を学ぶように命じられた。

ハルバート・マグナ

エルフリーデン王国の禁軍に所属している少年。外ハネ癖のある赤毛を肩まで伸ばしている。士官学校時代から飛び抜けた戦闘能力を見せており、元々は陸軍に所属していた。陸軍大将のゲオルグ・カーマインに心酔しており、ソーマ・カズヤに反旗を翻そうと考えていたが、幼なじみのカエデ・フォキシアと言い争っているところをソーマに発見され、ゲオルグに与(くみ)するリスクを説明されたうえで禁軍に転属となった。それ以降、ソーマからは「ハル」と呼ばれており、同年代の友人として接している。

カルラ・バルガス

カストール・バルガスの娘。外ハネ癖のある肩までの赤い髪をしており、額から二本の角、背中からコウモリ型の翼が生えている。リーシア・エルフリーデンの友人で、ソーマ・カズヤが王位を簒奪したと同時にリーシアを手込めにしようとしていると考えており、アルベルト・エルフリーデンに王位を返還させるために反旗を翻そうと計画している。

ガイウス・アミドニア

アミドニア公国の公王を務める中年男性。肩まで伸ばした黒髪をアップにしており、顎ひげを蓄えている。軍備拡大主義者でエルフリーデン王国に奪われた領土を奪還することに心血を注いでいる。そのため、国民には反エルフリーデン王国教育を施し、節制を徹底させて戦争を前提とした街作りを推進し、国民の自由や利便性などは度外視している。ガイウス・アミドニア自身の意見に反対する家臣の意見は、それがどんなに核心を突いていようと却下する自己中心的な考え方の持ち主で、食い下がる者には暴力を振るうことも辞さない。「ガイウス八世」とも呼ばれている。

ユリウス・アミドニア

ガイウス・アミドニアの息子で、アミドニア公国の新公王を務める男性。金髪を襟足だけ肩まで伸ばしている。軍備拡大主義者で、エルフリーデン王国に奪われた領土を奪還することに心血を注いでいる。そのため、国民には反エルフリーデン王国教育を施し、節制を徹底させて戦争を前提とした街作りを推進し、国民の自由や利便性などは度外視している。対魔族人類共闘宣言の制約の網をかいくぐる形でのエルフリーデン王国への侵攻をガイウスに進言したが、アミドニア公国の首都・ヴァンがエルフリーデン王国に占領された際には対魔族人類共闘宣言を盾に取り、グラン・ケイオス帝国にヴァン奪還の助力を嘆願している。

ロロア・アミドニア

ガイウス・アミドニアの娘で、アミドニア公国の公女。黒髪のロングヘアを低い位置でゆるく二つにまとめている。ガイウスやユリウス・アミドニアとは違って文官気質で、国民の生活を重んじた経済中心の政策や人心掌握術を何度も進言していたが受け入れてもらえず、アミドニア公国がエルフリーデン王国に侵攻する直前に姿をくらました。ソーマ・カズヤの行う政策に強く興味を持っており、秘密裏にソーマやエルフリーデン王国の動向を観察している。

マリア・ユーフォニア

グラン・ケイオス帝国の帝国女帝を務める少女。金髪のロングヘアをハーフアップにし、縦巻きロールにセットしている。かつて魔王領からの侵攻で心身を疲弊して世を去った先代皇帝の跡を継ぎ、天性のカリスマ性を生かして帝国を建て直した。品行方正なため、誰にでも公平に接することを心がけている。対魔族人類共闘宣言の提唱者でもあり、「帝国の聖女」とも呼ばれている。

ジャンヌ・ユーフォニア

マリア・ユーフォニアの妹で、グラン・ケイオス帝国の陸軍総帥を務める少女。金髪のロングヘアをポニーテールにしている。理想を掲げるマリアに代わり、現実的な視点でグラン・ケイオス帝国の死角を見通し、支えている。アミドニア公国が対魔族人類共闘宣言の制約の網をかいくぐる形で、エルフリーデン王国へ侵攻した際には尻拭い役として駆り出されたため、ユリウス・アミドニアに悪印象を抱いている。ソーマ・カズヤの行う政策がマリアの政策と真逆なことに不安を覚えていたが、実際にソーマと会談を行ったあとは建設的で理性的な対話のできる人物として信頼を寄せている。

場所

エルフリーデン王国 (えるふりーでんおうこく)

王都パルナムを中心とした人口200万人の中規模国家。人間の国家としては国土面積が世界第2位ながら、資源に乏しく、国力も低い。識字率は読める者が人口の5割、書ける者は人口の3割で、これまで人材を集める方法はコネクションを利用するか筆記試験のみだったため、貴重な人材が埋もれ続けていた。異世界から召喚された勇者が建国した国家とされており、人種差別のない国として知られている。アルベルト・エルフリーデンが前王を務めていたが、現在はソーマ・カズヤが国王を務めている。裕福な家庭であれば一夫多妻も認められているため、ソーマはリーシア・エルフリーデンから「自分を含めて八人までなら多妻を許す」と宣言されている。

神護の森 (じんごのもり)

エルフリーデン王国内の南側に位置する森林地帯で、ダークエルフたちの自治領。神獣たちが守っているという伝説があり、本来は神獣と森の守護者を自称しているダークエルフたちしか立ち入ることができない。しかし大規模な地滑りで、集落の半分が飲み込まれた際には、族長の娘であるアイーシャ・ウドガルドが救援要請を申し出たことで、特例として50名近くの人間が神護の森に入ることが許された。

アミドニア公国 (あみどにあこうこく)

エルフリーデン王国の西側に隣接している国家。ガイウス・アミドニアが公王を務めており、人口は100万人。かつては「アミドニア王国」だったが、先々代のエルフリーデン国王との戦争において国土のおよそ半分を奪われ、その際に「アミドニア公国」と国名を変更した。エルフリーデン王国から領地を奪還し、再び王国を名乗ることを目指している。ゲオルグ・カーマインとカストール・バルガスがソーマ・カズヤに反旗を翻したタイミングで「偽王を討つための援軍」と称して侵攻し、領地を取り戻す算段を立てていた。また、対魔族人類共闘宣言に署名しているが、エルフリーデン王国が署名に参加していないため、対エルフリーデン王国攻略は問題ないと考えている。しかし首都であるヴァンが、エルフリーデン王国に占領された際には奪還のため、対魔族人類共闘宣言の文言を盾に、グラン・ケイオス帝国に助力を嘆願した。

グラン・ケイオス帝国 (ぐらんけいおすていこく)

人口400万人を抱える大国家。マリア・ユーフォニアが帝国女帝を務めている。人間の国家で国土面積と戦力ともに世界第1位で、魔王領とも多くの国境線が接している。対魔族人類共闘宣言に署名しておらず、魔王領と戦う国々に対してなんの支援も行っていないエルフリーデン王国に対し、「支援金を提供するか、勇者を召喚してその人物をグラン・ケイオス帝国に差し出せ」と警告していた。対魔族人類共闘宣言の盟主であり、アミドニア公国がエルフリーデン王国に侵攻した際には、その後始末のためにユリウス・アミドニアから助力を求められ、渋々ながらも介入している。

魔王領 (まおうりょう)

魔王をはじめとした魔物および魔族が取り仕切っている地域。エルフリーデン王国やグラン・ケイオス帝国のある大陸の北側およそ半分の広さを持つ。現在は魔王領の拡大は停止しており、人間の領地に出現する魔物の量も各国で対処できる程度に分散、膠着状態となっている。

その他キーワード

生きた騒霊たち (りびんぐぽるたーがいすつ)

ソーマ・カズヤの持つ固有魔法。手で触れた物に自分の意識をコピーし、最大三つまであやつることができる。軽い物であればあるほど自由自在に動かすことができ、動かしている対象を俯瞰的に見ることができる。また、対象物はソーマの意識とは別に、独立した意識のもとで動かすことが可能となっている。物を媒介することで、複数の物事を同時に考えることができる。

対魔族人類共闘宣言 (たいまぞくじんるいきょうとうせんげん)

魔王領の拡大に対抗し、人類が一丸となって協力し合うため、人類同士の争い停止を宣言した国際条約。「人類宣言」とも称されている。盟主をグラン・ケイオス帝国が務めており、エルフリーデン王国は署名していない。人類同士の争いにおいて武力による国境線の変更を認めず、各国内の諸民族の平等な権利と自決権を尊重し、魔王領から遠方の国は魔王領近接国を支援することを定めている。

1週間戦争 (いっしゅうかんせんそう)

エルフリーデン王国で起こった内乱と、それに伴う侵略戦争の呼称。新王に即位したソーマ・カズヤに反発したゲオルグ・カーマインとカストール・バルガスによる反乱から、かつての領土を奪還しようとアミドニア公国が仕掛けた侵略戦争終結までがちょうど1週間で終結したことから「1週間戦争」と呼ばれている。

NEWSエルフリーデン (にゅーすえるふりーでん)

エルフリーデン王国やアミドニア公国の首都ヴァンに向けて放送されている情報番組。定期的に配信地域周辺の情勢を発信しており、それまで政治については蚊帳の外として扱われていた一般国民にも政治についての知識を与え、また国王の考えを告知する役割を担っている。

クレジット

原作

どぜう丸

キャラクター原案

冬ゆき

書誌情報

現実主義勇者の王国再建記 10巻 オーバーラップ〈ガルドコミックス〉

第1巻

(2018-02-25発行、 978-4865543216)

第4巻

(2019-10-25発行、 978-4865545647)

第5巻

(2020-04-25発行、 978-4865546552)

第7巻

(2021-06-25発行、 978-4865549508)

第8巻

(2021-12-25発行、 978-4824000750)

第9巻

(2022-08-25発行、 978-4824002839)

第10巻

(2023-04-25発行、 978-4824004819)

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