死刑囚042

死刑囚042

死刑囚042号こと田嶋 良平が、死刑制度の廃止に伴い監視下の元集英高校で社会奉仕活動をするという実験に参加し、カウンセラーの椎名や盲目の少女下曽山 ゆめらとの交流を通じて徐々に人間的な感情や社会性を身に着けることで犯罪者の社会復帰を描く社会派漫画。作中で田嶋がゆめのために点字を覚えることに合わせ、単行本のカバーにはタイトルを示す点字が打たれている。

正式名称
死刑囚042
ふりがな
しけいしゅうおしに
作者
ジャンル
社会問題
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概要・あらすじ

大量殺人により死刑囚として服役していた死刑囚042号こと田嶋良平。彼は死刑制度の廃止に代わる新たな制度の実験のため、法務省研究所のカウンセラー椎名の提案で脳に興奮し殺意を抱くと爆発するチップを埋め込まれた上で、24時間の監視体制の元集英高校で社会奉仕活動を行う実験に参加することになる。初めは人間的な感情に乏しく、死刑囚であることから周囲になかなか受け入れられない田嶋だったが、友人として振る舞うようになった椎名集英高校の生徒である盲目の少女下曽山 ゆめ、ゆめのサポートをするボランティアの古家 あやのとの交流を経て徐々に人間らしさや社会性を身に着けていく。

登場人物・キャラクター

田嶋 良平 (たじま りょうへい)

21歳の時に7人の暴力団関係者を殺した凶悪犯罪者として9年もの間服役していたが、死刑制度の廃止に伴い代替えの無償労働の実験に参加し、興奮すると爆発するチップを脳に埋め込んだ上で、カウンセラーの椎名の指導のもと集英高校で清掃と花壇の世話の仕事を始める。集英高校では番号が042号であることから「お死に(おしに)」と揶揄されたり、周辺住民からの反対デモなど周囲から敵対的な姿勢を取られるが、頑なに番号で呼ぶことを拒み一人の人間として接する椎名や、盲目ゆえに田嶋に対し偏見なく接する集英高校の生徒下曽山 ゆめらとの交流を経て、8歳から14歳までの空白の6年間に失ってしまった人間性を取り戻していく。

椎名 (しいな)

法務局研究所のカウンセラーで、死刑囚042号こと田嶋良平に関する実験の責任者。真崎や片桐らのスタッフと共に田嶋を24時間体制で監視、カウンセリングを行う。当初は田嶋の事を実験対象としてしか見ていなかったが、田嶋が徐々に人間的な感情を取り戻していくにつれて認識を改め、公務の場以外ではひとりの友人として接するようになる。 児童心理学者の芝田琴子とはすれ違いのうちに破局していたが、紆余曲折を経て結婚することになる。

下曽山 ゆめ (しもそやま ゆめ)

集英高校に通う女子高生で、古家あやのらボランティアスタッフのサポートを受けながら就学する盲目の少女。死刑囚042号こと田嶋良平に対しても偏見を持たずに、涙していたところに慰めの言葉をかけてくれた田嶋に特別な感情を抱くようになる。CDデビューを促されるほどのバイオリンの腕前を持つが、本人は自分の進路や将来の夢について悩んでいる。

古家 あやの (こうけ あやの)

盲目の少女下曽山ゆめの就学をサポートするために集英高校に常駐するボランティアスタッフであり、ゆめが読む点字の翻訳などを行う。死刑囚042号こと田嶋良平がゆめに接触することは就学の妨げになるのではないかと初めは懐疑的であったが、献身的に校内での仕事をこなす田嶋に次第に惹かれ、点訳を教えるうちに距離を縮めていく。 しかし、それは既婚者であるあやのには許されない恋であった。

笹塚 (ささづか)

法務省における広報担当者で、死刑囚042号こと田嶋良平の実験における広報一切を引き受けている。同僚の椎名いわく「広報イチ主婦ウケする男を」とリクエストした結果派遣されてきたようだが、実際に集英高校の保護者向け説明会では持ち前のロマンスグレーな雰囲気を生かしてしっかりと人心掌握を果たした。 以降、椎名らと一緒に田嶋の実験に参加する。

山口 茂 (やまぐち しげる)

死刑囚042号こと田嶋良平が最後に殺害した山口 京也の祖父で、末期ガンを患っている。田嶋を殺すと言いながら集英高校に乗り込んできたが、田嶋の誠実な仕事ぶりを目の当たりにしたことと、誘拐された際に田嶋に助けてもらったことから田嶋を「バカ息子」と呼ぶようになり、たびたび学校を訪れ人を愛することの尊さを説く。 その後、ガンの進行により息を引き取る前に出版した手記「花」に書かれた内容のおかげで、田嶋は高齢層を中心に支持を受けられるようになる。

田嶋 理恵 (たじま りえ)

死刑囚042号こと田嶋良平の母親であり、幼少期に失踪した息子が帰ってきた後に家庭崩壊が起きたことが原因で、服役中も田嶋への面会を断られていた。実験の事を聞きつけ田嶋の姿をひと目見ようと集英高校を訪れた際に交通事故に巻き込まれ入院するが、そのとき田嶋からもらった唯一の贈り物であるすずらんのキーホルダーを落としたことがきっかけで下曽山ゆめらに出会い、念願叶って田嶋と再会する。

下曽山 みらい (しもそやま みらい)

集英高校に通う盲目の少女下曽山ゆめの妹で、姉とは対照的な活発で明るい性格。後を追って集英高校を受験するほどに姉のことを溺愛している。入学後はさらに心配性が加速し、受験時に起きたトラブルが元で親交を持つようになった中野まりあと共にストーカーまがいの行動で姉を見守るようになった。

山村 (やまむら)

母子を刺殺した後放火するという凶悪犯罪を3件起こしたことで死刑が確定していた快楽殺人者だったが、同じ死刑囚である死刑囚042号こと田嶋良平に次ぐ二人目のテストケースとして実験の検体となることが決定している。しかし、カウンセリング相手として指名した椎名に襲い掛かり、刑務所からの脱走を企てる。

湯川 安貴 (ゆかわ やすたか)

25歳の時に猥褻目的で6歳、5歳、7歳の少女を連れ去り、次々に殺害したのち遺体を山中に遺棄したことで死刑判決を受けていた28歳の青年。死刑囚042号こと田嶋良平と入れ替わりで集英高校での実験に組み込まれることになったが、まるでロボットのように無表情かつ周囲と大いに感覚がズレているためか引き継ぎ作業をする田嶋を困惑させる。

中野 まりあ (なかの まりあ)

下曽山みらいの同級生の女子で、中学校時代は交流がなかったもののたまたま集英高校の受験会場で一緒になってしまう。容姿、性格、環境に多大なコンプレックスを抱えており、下曽山みらいを恵まれた育ちをしていると思い込み一方的に敵視してしまう。そんなまりあに接近してきたジャーナリストの頼みで死刑囚042号こと田嶋良平を盗撮することになるが、みらいの説得で事件に発展する前に阻止され、互いに集英高校へ入学後は交流を持つようになる。

向田 早苗 (むこうだ さなえ)

拘置中に肺梗塞になり警察から不当な操作を受けたことで結果として亡くなってしまった夫の無実を訴えるため、9年前にたまたま隣の房に収監されていた死刑囚042号こと田嶋良平に当時の証言を依頼するために集英高校を訪れた女性。死刑囚の法廷出廷など到底許されることではなかったが、椎名の進退をかけた行動により事態は好転していく。

芝田 琴子 (しばた ことこ)

椎名の大学時代からの交際相手である児童心理学者の女性。椎名とは長い遠距離恋愛の末に破局しており、別の相手との結婚が決まったことで椎名へ招待状を送る。しかし、結婚式直前に破局しており、そのことを知らずに式場へやってきた椎名と再会した際に彼から受けた衝動的なプロポーズを快諾。その後は研究職の傍ら椎名のプライベートを支える。 のちに田嶋良平らを呼んで小さな結婚式を開く。

集団・組織

集英高校 (しゅうえいこうこう)

『死刑囚042』の舞台となる高校。死刑囚042号こと田嶋良平の実験が行われる高校として選出されるが、田嶋が訪れて以来、周辺住民による実験反対のデモやマスコミの殺到などさまざまなトラブルに見舞われることとなる。盲目の少女下曽山ゆめやその妹の下曽山みらい、ゆめのボランティアスタッフである古家あやのらが通うほか、実験スタッフである椎名たちも学校の一室を借りて田嶋の監視を行っている。

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