田舎のホームセンター男の自由な異世界生活

田舎のホームセンター男の自由な異世界生活

うさぴょんの小説『田舎のホームセンター男の自由な異世界生活』のコミカライズ作品。日本のホームセンターで働いていた鳴海優は、地球の神、ゼウスとアルステイティアの女神、ビクティニアスの賭けごとに巻き込まれ、異世界に転移させられてしまう。仕事で培ってきた知識と技術、転移時にもらったスキルを駆使してさまざまな物を作り、異世界の人たちと交流しながらDIY生活を送る優の姿を描いた異世界ファンタジー。「月刊少年エース」2018年11月号から掲載の作品。

正式名称
田舎のホームセンター男の自由な異世界生活
ふりがな
いなかのほーむせんたーおとこのじゆうないせかいせいかつ
原作者
うさぴょん
漫画
ジャンル
ファンタジー
レーベル
角川コミックス・エース(KADOKAWA)
巻数
既刊11巻
関連商品
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あらすじ

異世界に転移して兎人族と出会う

日本の田舎町のホームセンターで働く鳴海優は、徹夜明けの仕事中に突然視界が真っ白となり、何もない空間に飛ばされた。そこに現れた女神のビクティニアスは、自分が地球の神、ゼウスとの賭けごとに勝利したため、優をビクティニアスが管理する世界「アルステイティア」に転移する人間に選んだことを告げる。神同士の契約のため優にはいっさい拒否権はなく、神の加護によって11種類のスキルが付与された。付与されたスキルはレベルが低いうえに、生産系のものばかりだったためビクティニアスから心配されるものの、付与をやり直すこともできず、そのまま優はアルステイティアに転移させられる。アルステイティアで目を覚ました優は、兎(うさぎ)のような耳を持つ兎人族のメイに話し掛けられた直後、ホブゴブリンに襲われる。優はメイを逃がして一人で戦うことを選択し、運も味方してホブゴブリンを倒すことに成功。優はメイを助けたことで兎人族に認められ、兎人族の集落で暮らし始める。そして集落の現状を見て、ホームセンターで働いていた経験と知識、転移の際にもらったスキルを使い、集落の改善を住民たちに提案するのだった。

奴隷となった獣人たちの解放のために

兎人族の集落の改善のため、海の近くでしか手に入れることのできない資材が必要となり、鳴海優は兎人族がかつて住んでいた海沿いの村へ出発する。この村では、兎人族が人間に攻撃されて追い出されたため、村には優だけが向かい、村で悪事を働く人間やゴブリンを退治する。その後、駆けつけた沿岸騎士団に人間たちを引き渡した優は、騎士団の人間から逃げ遅れた兎人族が奴隷にされていることを知る。兎人族だけでなく奴隷となったすべての獣人の解放を願う優は、奴隷の情報が集まる沿岸騎士団の拠点となる街、ポータリィムへ向かう。ポータリィム代表で騎士団司令のランスロットとの交渉に臨んだ優は、獣人の解放の見返りとしてポータリィム改善の知識と技術を提供する。しかし、ランスロットは優の提案に一定の理解を示すが、成果が見られるまで解放することができないと返答。そこで優は、ランスロットから提案された衛生面の改善と馬車の改良に着手する。さらに獣人解放に反対する人間を黙らすため、反対派全員と決闘することを優が提案すると、ランスロットは街一番の強者である自分を倒せば誰も文句は言えないと、優との一騎打ちを強引に決める。

獣人の街を目指して

沿岸騎士団の拠点となる街、ポータリィムの代表で騎士団司令のランスロットと、獣人の解放とお互いの不可侵を取り決めた優は、派遣大使のアデリナと共に兎人族の集落に戻る。優は解放される獣人を受け入れるため、集落とは別の場所に獣人の街を作ることを提案し、兎人族に協力を仰ぐ。優の指導で街建設の準備が進む中、必要な資材の採取に向かった森で異形な姿をした魔熊を見つける。兎人族の集落で魔熊は天災のような恐ろしい魔物だと聞いていた優は、街を作るうえで大きな障害となると判断して、魔熊討伐のための準備に取り掛かる。準備が整ったところで魔熊の出現の知らせが届き、優は兎人族の狩猟班を連れて魔熊狩りに出発する。

人間の王様と交渉するために王都へ

魔熊を退治して安全が確保されると獣人の街作りが本格的に始まり、鳴海優の指導を受けた兎人族たちによって住居やトイレ、家具などが作られていく。ある日、街の入り口で人間が負傷して倒れているのを発見した兎人族は、かつて自分たちを村から追い出したグレイタス王国の人間であることを承知のうえで助け、王国騎士団の部隊長、フリードから事の顚末を聞き出す。フリードたちは王様の命令で馬の魔獣の討伐に向かっていたが、魔熊によって撤退を余儀なくされたことを知った優は、馬の魔獣と魔熊はすでに退治されて亡骸は自分が回収済みであることをフリードに伝える。話を聞いて態度を変えたフリードから優は商機を見出し、王様と直接交渉するために王都グレイタスへ向かう。

王様との交渉と人材発掘

グレイタス王国の王国騎士団の部隊長、フリードたちと王都に着いた鳴海優は、冒険者ギルドでさまざまな情報を入手して、国王のアクシオン・フィン・ド・グレイタスとの交渉に臨む。アクシオンは人間の王として優に対して高圧的な態度で接していたが、優がビクティニアスを呼び出して親しそうに話していることや、さらにビクティニアスが優を友人と言ったことで態度を一変させる。それからは優を対等の人間として扱い、馬の魔獣との交渉に入る。アクシオンの事情を聞いた優も納得したこととで交渉が成立すると、優はもう一つの目的である買い付けのために王都を巡る。アクシオンからザイルターグを案内役として紹介され、ザイルターグの実家である工房や市場を回って資材や家畜などを購入する。さらにザイルターグ、ザイルターグの姉、ディナ、ザイルターグの父親、王都の職人、冒険者を引退した移住希望者を仲間に加え、優は獣人の街に戻るのだった。

ダークエルフ族に関する依頼

グレイタス王国の王都から獣人の街に戻る途中、鳴海優は複数の動く石像(ゴーレム)に襲われている、ダークエルフ族の集団を発見する。ゴーレムを破壊した優は、ダークエルフ族の女王、エメルラルダからの要請を受けて自分たちの仲間に加え、数日後に獣人の街に到着する。住民たちは王都からやって来た優やダークエルフ族を歓迎し、全員で協力して街作りを進めていたある日、優はエメルラルダからゴーレムに襲われていた事情や、ダークエルフ族の国、シュテンツェンのことを聞かされ、祖国の状況を確認するため現地までの護衛を依頼される。さらに、女神のアイラセフィラからゴーレムの調査依頼を受け、ゴーレムを確認するためにシュテンツェンに行く必要ができたため、優はエメルラルダの依頼を引き受ける。優がシュテンツェンへ向かう準備を進めているとビクティニアスが現れ、アイラセフィラの依頼とは別の依頼をされる。

獣人の街「ヴィンターリア」

ダークエルフ族の国、シュテンツェンに関する依頼を無事完了し、グレイタス王国に事情や今後のことを説明するため、鳴海優は沿岸騎士団の拠点となる街、ポータリィムに立ち寄る。到着早々にランスロットと再戦するアクシデントがあったものの、優はランスロットと有益な交渉を行うことができた。その後、シュテンツェンの件で落ち込むビクティニアスのために食事会を開いたり、王都からやって来た騎士にも説明したりして優は獣人の街に戻る。ポータリィムに集まった元奴隷の獣人たちもいっしょに戻ったため、獣人の街の住人が大幅に増えことで発展を遂げる。そんなある日、周囲から獣人の街の名前を決めるように言われた優は悩みに悩むが、ビクティニアスアイラセフィラの助言によって「ヴィンターリア」と名づけるのだった。

ヴィンターリア王国の建国

獣人の街を「ヴィンターリア」と名づけ、多様な種族が暮らす街として評判が広がり、ヴィンターリアの周辺にさまざまな種族が集まってきて集落を作り始める。その後、ヴィンターリアも王都と遜色ないほど発展を遂げ、気づけば新しい国として考えなければならない状況となる。屋台骨となる産業や交易、政治を担う人材などを熟考した結果、国として十分やっていけることを確認すると、全会一致でアデリナがヴィンターリア王国の初代国王となる。ただし、正式に国として認められるには、いずれかの国王の立ち合いの下でビクティニアスの宣誓が必要となるため、優は準備を整えてアデリナと共にグレイタス王国の王都へ向かう。国王のアクシオン・フィン・ド・グレイタスとの会談ではひと悶着(もんちゃく)あったものの、アクシオンはヴィンターリア王国の建国を認め、さらにグレイタス王国と同盟を結ぶことも決める。建国の条件をすべてクリアした優は、さっそくビクティニアスを呼んで宣誓を行って承認式を始める。

関連作品

小説

本作『田舎のホームセンター男の自由な異世界生活』は、うさぴょんの小説『田舎のホームセンター男の自由な異世界生活』を原作としている。原作小説版は、うさぴょんが「小説家になろう」に投稿していたもので、『ようこそ幻想世界(アルステイティア)へ ~田舎のホームセンター男はなんでも出来て一人前です』というタイトルだったが、『田舎のホームセンター男の自由な異世界生活』のタイトルに変更されてKADOKAWA「MFブックス」から刊行された。イラストは市丸きすけが担当している。

登場人物・キャラクター

鳴海 優 (なるうみ まさる)

異世界「アルステイティア」に転移させられた男性。地球の神、ゼウスとの賭けごとで勝ったアルステイティアの女神、ビクティニアスに転移対象者に選ばれ、強引に転移させられてしまう。年齢は36歳ながら、転移の際にビクティニアスによって27歳に若返り、中年太りのメタボ体型だったが標準的なスリムな体型に変えられた。転移前は日本の田舎町にあるホームセンターで働いており、物を売るだけでなく何でも屋として、職人たちから仕事を教わっていたため、物作りの知識と経験は豊富。DIYが趣味でもあるため、時間を忘れるほど物作りに集中し、材料になる物があれば危険な場所にも平気で出向く。アルステイティア転移後に助けてもらった獣人たちへの恩返しのため、ビクティニアスから付与された物作りに役立つ多くのスキルを使って、獣人たちの集落の改善業務に励んでいる。生真面目(きまじめ)で誠実な性格で、不思議と人を惹(ひ)きつける魅力がある。鳴海優自身が持つ知識を異世界の住民にも教え、いっしょに物作りをしていくうちに、多くの人から信頼され頼られるようになる。

ビクティニアス

異世界「アルステイティア」を管理する女神。創生を司(つかさど)っている。アイラセフィラの姉。地球の神、ゼウスとの賭けごとに勝ち、地球に住む鳴海優をアルステイティアに転移させる。アルステイティアの文明や文化が400年以上停滞していることを憂いており、優にはアルステイティアを発展させる起爆剤になって欲しいと思っている。ふだんは天界にある「神々の間」で、優やアルステイティアのことを観察しているが、何かあるたびにアルステイティアに下りて来る。優のことは当初は観察対象だったが、優の人柄に触れていくうちに特別な感情を持つようになる。

ヘラ

地球を管理する女神。ゼウスの妻。ゼウスと異世界「アルステイティア」の女神、ビクティニアスの賭けごとに巻き込まれた形でアルステイティアに転移させられる鳴海優のために便宜を図ったり、転移後の優をビクティニアスといっしょに天界にある「神々の間」で観察している。

メイ

兎人族の少女。異世界「アルステイティア」に転移させられ、行き倒れていた鳴海優を助けた。天真爛漫(らんまん)な優しい性格で、優のことを兄のように慕っている。お転婆なところがあり、物作りの材料集めで遠出する優について行こうとするが、そのたびに危険な目に遭うため留守番をさせられている。また、優がなかなか帰って来ないと機嫌が悪くなる。

ランスロット

グレイタス王国の騎士団に所属する男性。アデリナの叔父(おじ)。沿岸騎士団の拠点となる街、ポータリィムの代表と沿岸騎士団司令を務めている。「英雄」と評されるほどの武勲を挙げており、戦闘能力は非常に高い。冷静沈着で大局的な判断ができ、約束を必ず実行する優秀な為政者だが、本質は強い者と戦うことを願う戦闘狂。獣人の解放や資材について交渉にやって来た鳴海優の強さを一目で見抜き、決闘するたびに優の強さに驚愕(きょうがく)する。

アデリナ

ランスロットの姪。年齢は19歳。規格外の能力を持つ鳴海優に興味を示し、監視する名目で派遣大使となって沿岸騎士団の拠点となる街、ポータリィムから獣人の集落へと向かう。素直な性格で人見知りもしないため、すぐに獣人たちと信頼関係を築き、特にメイとは仲がいい。行動原理が「自分にとって面白いかどうか」で、物作りの材料集めで遠出する優について行こうするが、メイ同様に留守番させられることが多い。騎士団には所属していないが将軍クラスの戦闘能力を持ち、率先して魔獣と戦っている。指揮能力が高く、獣人や人間たちからの信頼も厚い。為政者としても適任なため、優が中心となって建国したヴィンターリア王国の初代国王となる。

アイラセフィラ

異世界「アルステイティア」を管理している女神。魔法を司っている。ビクティニアスの妹。穏やかな優しい性格で、ふだんは天界にある「神々の間」でほかの神といっしょにアルステイティアを観察している。アルステイティア発展に大きく貢献している鳴海優に興味を持ち、優の願いを聞き入れ、下界に下りた時は人間や獣人たちに魔法の基本的なことを教えている。

アクシオン・フィン・ド・グレイタス

グレイタス王国の国王を務める男性。威厳とカリスマ性がある。交渉力や判断力にも優れているが、尊大で傲慢な一面がある。王位の即位式で女神のビクティニアスと会っており、信仰している。最初、鳴海優のことを一般人だと思って雑に接していたが、ビクティニアスから優が友人だと伝えられると、優とは対等の立場で接するようになる。

ザイルターグ

グレイタス王国の騎士団に所属する男性。親しい人たちからは「ザーグ」と呼ばれている。国王のアクシオン・フィン・ド・グレイタスから直々に王都滞在中の鳴海優の案内役兼連絡役を指名された。実家は工房を経営しており、時おり手伝わされていることもあって物作りや在庫管理を得意としている。優と意気投合し、獣人たちとの相互技術交流を行う部隊長として獣人の街へと派遣される。世話好きな性格で、街に到着後は優が作った試作品の検証や、アデリナの勉強をサポートするなど任務以外のことも手伝っている。

エメルラルダ

シュテンツェン国王の国王を務めていたダークエルフ族の女性。動く石像(ゴーレム)にシュテンツェンが襲われた際、エレーナをはじめとする臣下と共に脱出し、別のゴーレムに襲われているところを鳴海優に助けてもらう。獣人の街で暮らしている時に、ビクティニアスからシュテンツェンには生存者がいないことを聞かされ、優にゴーレムを一掃するために王都の爆破を依頼する。その後は再建できる日が来るのを願い、獣人の街で暮らしながら王としての矜持(きょうじ)や政治などをアデリナに教えている。

エレーナ

エメルラルダの近衛騎士を務めるダークエルフ族の女性。祖国のシュテンツェンが動く石像(ゴーレム)に襲われた時にエメルラルダや仲間と共に脱出し、別のゴーレムに襲われているところを鳴海優に助けてもらう。エメルラルダからの信頼は厚く、優が生存者のいないシュテンツェン王都をゴーレムもろとも爆破する際に、王都の最後を見届ける任を受ける。その後は再建できる日が来るのを願って、獣人の街で暮らしながらエメルラルダの警護、住人の狩猟の付き添い、街作りの手伝いなど忙しい日々を送っている。

場所

アルステイティア

鳴海優が転移させられた異世界。人間以外にも獣人や幻獣、魔物などさまざまな生き物が住む幻想世界で、ビクティニアスやアイラセフィラなど多くの神によって管理されている。王位継承や建国など重要な行事の際には、神が天界から下界に降りて宣誓を行う必要がある。

その他キーワード

獣人 (じゅうじん)

兎人族や狐人族といった半人半獣の種族。人間に住処(すみか)を奪われて奴隷として働かされているか、見つからないように小さな集落を作って暮らしていることが多い。鳴海優が兎人族の集落の改善、獣人の奴隷の解放、人間と獣人のあいだに不可侵の約束を取り付けたことで、獣人が集まって暮らすようになり、そこへ人間やエルフ族など、多くの種族の加わって獣人の街や国ができ上がった。

クレジット

原作

うさぴょん

キャラクター原案

市丸 きすけ

書誌情報

田舎のホームセンター男の自由な異世界生活 11巻 KADOKAWA〈角川コミックス・エース〉

第1巻

(2019-02-25発行、 978-4041080122)

第9巻

(2022-08-26発行、 978-4041127186)

第10巻

(2023-02-25発行、 978-4041134269)

第11巻

(2023-09-26発行、 978-4041141144)

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