暁のイージス

暁のイージス

鋼鉄の義手を右手に持つ「イージスの楯」こと楯雁人を主人公とした『闇のイージス』の完結編。テロリスト・蝶(バタフライ)との戦いを中心に展開する。同じ原作/作画による作品『ジーザス』や、原作:たかしげ宙/作画:DOUBLE-Sの『死がふたりを分かつまで』と作品世界を共有している。

正式名称
暁のイージス
ふりがな
あかつきのいーじす
作画
原作
ジャンル
アクション
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概要・あらすじ

闇のイージス』から1年。世界は蝶(バタフライ)の蒔いた「種」があちこちで芽吹き、蝶(バタフライ)の模倣者達がもたらす渾沌に揺れていた。「イージスの楯」楯雁人は、蝶(バタフライ)の過去を追いアメリカを彷徨う。彼が何処から来て、なぜ彼のような存在が誕生したのか。そして彼がどんな世界を生み出そうとしているのか。

次第に明らかになる2039部隊と、蝶(バタフライ)の過去。背中に十字の傷を刻印された「紋章」の戦士たち。そしてついに東京を舞台に最後の戦いが始まる。

登場人物・キャラクター

楯 雁人 (たて かりと)

右手の鋼鉄の義手で銃弾をも受け止める伝説の「護り屋」で、「イージスの楯」の異名を持つ。蝶(バタフライ)への復讐と「不殺の誓い」の間で悩み、揺れている。元警視庁特殊部隊SATの隊員で、爆発物処理と近接戦闘のエキスパート。テロリスト・蝶(バタフライ)によって背中に十字の傷を付けられ、妻子と右腕を奪われた。 炎を見るとそのときのトラウマで、失った右腕に激しい「幻痛(ファントムペイン)」が走る。蝶(バタフライ)に傷を付けられた人々の中で、唯一思惑通りに動かず、そのため蝶(バタフライ)から特別視されている。殉職した事になっており、殉職時の階級は巡査部長、2階級特進して警部。法的には死人である。

アナ・リドル (あなりどる)

楯雁人のパートナー。黒髪に黒衣の少女。依頼の窓口であり、情報収集担当でもある。本名は「アナ・キタガミ・マドニア」。コーサ・ノストラの幹部の孫娘と、日本人医師の間に生まれたハーフ。実は極秘医療研究機関「GAZER(ゲイザー)」がアナの母親に対し、不妊治療という名目で行った秘密実験によって生み出された天才児。 雁人が不在の間、来島ちひろと2人で「護り屋」を続けていた。

甲斐 彰一 (かい しょういち)

東大卒のキャリアで、警視庁公安部の警察官。階級は警視正。楯雁人の義兄(殺された妻・晴美の兄)であり、親友にして戦友。「蝶(バタフライ)を追い詰める日まで、互いの生命を省みず、どちらかが倒れたらその屍を踏み越えて前に進む」という約束を交わしている。末期の癌を患っており、「不殺の誓い」によって蝶(バタフライ)を殺せない雁人に代わり、自らの生命と引き換えに蝶(バタフライ)を殺そうとするが失敗。 雁人に後を託す。

(ばたふらい)

国際指名手配中のテロリスト。楯雁人の妻と息子と右腕を奪った張本人。一流の破壊工作員であるとともに、「テロリストメイカー」と呼ばれるほど多数のテロリストを養成する教官でもある。「完璧ならざる世界」を憎み、破壊活動を続けている。『闇のイージス』において海ほたるを占拠し雁人達と死闘を演じたが、雁人によって手錠で手を繋がれ共に海中に沈む。 しかし自ら腕を切断し、そののまま行方をくらましていた。これと目を付けた「素質」のある人物の背中に十字の傷を刻み「紋章」とする。雁人もまた「紋章」を刻まれた人間の1人だったが、「不殺の誓い」によって蝶(バタフライ)の思惑通りのテロリストあるいは殺人者にはならなかった。 蝶(バタフライ)はその事に大いに興味を持ち、そのうち執着するようになる。元々はベトナム戦争当時、秘密工作をするために集められた囚人部隊にいた日系アメリカ人。作戦の中止と同時に秘密を護るため殺されそうになるが生き残る。しかしアメリカ政府によって妻子を人質にとられ、息子に爆弾を仕掛けられたのを前にして逃げ出す(これこそが蝶(バタフライ)が雁人の息子に爆弾を仕掛け、解体させようとした理由であり、それでもなお雁人が絶望しなかった事が、雁人への執着の原因となる)。 その後2039部隊に参加し「蟻(アント)」の名前を与えられる。この部隊でメンバー達の特技を吸収し、様々な技術を習得したが、この部隊も非合法活動を行う非正規部隊であったため、またしても指揮官によって全滅させられそうになる。 だがそれを察知した「蟻(アント)」は、指揮官を倒し窮地を脱する。蝶(バタフライ)は元々この部隊指揮官のコードネームであったが、「蟻(アント)」が蝶(バタフライ)を倒した事でその名を受け継いだ。

来島 ちひろ (くるしま ちひろ)

楯雁人の助手。『闇のイージス』において“天使”の手によって、妹野坂亜紀共々暗殺者としての訓練を施されており、卓越した戦闘能力を持つ。雁人のアシスタントとして、バックアップに回ったり潜入調査をする事も多い。雁人が蝶(バタフライ)の調査のために渡米すると、「10の依頼を成功させる」という目標を自らに課し、アナ・リドルと共に「護り屋」の仕事を続けていた。 防弾コートと右腕に装着した防弾グローブ(肘の上まで覆う)という装備で、雁人と同じ徒手スタイルで戦うが、追いつめられるとナイフや銃器も使用する事もある。

ウリエル

エシュロン担当のCIA職員。分析官のため、さまざまな情報にアクセスできる。蝶(バタフライ)の過去を探る楯雁人に電話でコンタクトを取り、情報を提供する。しかし、自分の手を汚さず、情報も小出しにする態度に雁人が怒り、コンタクトを断ち切られそうになる。マフィアに生命を狙われた娘の護衛を雁人に依頼、これが成功した後は協力的になり、さまざまな形で彼をバックアップするようになる。

ジーザス

『ジーザス』シリーズの主人公でもある。伝説の殺し屋。24(トウェンティフォー)を壊滅させた後「カダス共和国」で教師をしていたが、臓器売買ブローカーに誘拐された教え子の行方を追って日本に舞い戻ってきた。その過程で楯雁人と何度も対立したり共闘したりしている。深淵(アビス)に捕らえられた雁人を救出するようウリエルによって依頼されたこともある。 ジーザスもまた蝶(バタフライ)によって背中に十字の「紋章」を刻まれた者であり、最後は雁人やゼロと共に蝶(バタフライ)との決戦に向かう。

ゼロ

『闇のイージス』において、幾度となく楯雁人と戦い、時には共闘した殺し屋。脳の神経近くに弾丸が入っており、それが元で痛覚や味覚を失った。その治療のために日本から離れていたが、蝶(バタフライ)との最終決戦を前にアナ・リドルによって呼び戻される。

守渡 陽子 (もりと ようこ)

南新宿署生活安全課の刑事、階級は巡査部長。正義感が強く、出会った頃は「裏社会」で生きる楯雁人に反感を持っていたが、何度も共闘するうちに信頼するようになり、雁人からも「たった1人、信じられる警官」と呼ばれている。蝶(バタフライ)から楯雁人を動かせる人物と見込まれ、アメリカ出張帰りの旅客機内で捕虜にされる。

レイチェル・雨宮・ハンター (れいちぇるあまみやはんたー)

20歳にしてオックスフォード大で経営学の学位を取った、誇り高く聡明で責任感が強い女性。全米3位の業績を持つ民間警備会社「HSE」の最高経営責任者。『闇のイージス』において、楯雁人をヘッドハンティングしようとして怒りを買うが、風船爆弾によるバイオテロを阻止するために動く雁人に同行するうち、考え方を改める。 『暁のイージス』においてはウリエル達と共に雁人をサポートするようになる。

火山 律子 (ひやま りつこ)

警視庁公安部外事三課(国際テロ専門部署)理事官。小柄な中年の女性で、階級は警視。甲斐彰一を対テロ特捜課の主任としてスカウトする。かつては楯雁人を「テロリストになりうる」として敵視していたが、『闇のイージス』での海ほたる事件以降、多少は認識を改める。しかしテロ対策のためなら手段を選ばず、しばしば雁人を利用しようとする。 政府中枢にも顔が利き、「魔女の婆さん」の異名を持つ。最終決戦を前に自分の負けを認め、雁人、ジーザス、ゼロ達を蝶(バタフライ)との対決に送り出す。

オルガ

蝶(バタフライ)の過去を探す楯雁人を幾度となく襲撃し、蝶(バタフライ)の過去を知る人間を次々に殺す謎の白人女性。実は2039部隊の生き残り、「蟷螂(マンティス)」ことアルフレッド・クインの養女。美しい声の持ち主だったが、不慮の事故により声を失い、絶望の中で蝶(バタフライ)の十字の傷を刻まれて戦士となった。

集団・組織

2039部隊

『暁のイージス』に登場する架空の組織。アメリカ国防総省所属の暗殺や破壊工作を行う秘密部隊。J.F.K暗殺もその仕事と言われる。隊長は「蝶(バタフライ)」ことジョナサン・ブレナン、元グリーンベレーの大尉。狙撃手の「アルフレッド・クイン」。「毒蜘蛛(タランチュラ)」こと近接戦闘のスペシャリスト、イレーネ・サルドーニ。情報工作の専門家、「蠍(スコルピオ)」こと、フランク・ルーデル。 「甲虫(ビートル)」こと爆発物のプロ、カシアス・マシスン。これに後ほど「蟻(アント)」こと後の蝶(バタフライ)(2代目)が加わる。「蟻(アント)」は優秀で、1年足らずで他のメンバーのスキルを吸収する。しかし部隊が邪魔になってきた政府によって隊長以外全滅するようなミッションが与えられ、一同は南米のジャングルの中で窮地に陥る。 隊長への絶対的服従心故か、逆らう気も起きなかった他の隊員たちであったが、「蟻(アント)」は隊長・「蝶(バタフライ)」に挑み、これに勝利する。かくして「蟻(アント)」は「蝶(バタフライ)」の名を受け継ぎ、「完璧ならざる世界」に復讐するため歩き始めた。

場所

深淵 (あびす)

『暁のイージス』に登場する架空の施設。テロ容疑がかけられた人物を拉致し、非公開に尋問するアメリカ国防総省の極秘収容施設の1つ。もちろん米国内では違法なため、人権に煩くない第三国に設置されている。そのうちの1つ「カダス共和国」に置かれた施設を深淵(アビス)と呼ぶ。殺気を感じさせない狙撃手に撃たれて倒れた楯雁人は、蝶(バタフライ)を支援する、元2039部隊の「蠍(スコルピオ)」こと、フランク・ルーデルによってここに搬送、監禁される。 その最下層には蝶(バタフライ)の十字の刻印(傷)が刻まれた囚人たちが集められていた。

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