百人の半蔵

百人の半蔵

服部半蔵の百人の後継者達によって支配された架空の日本を舞台に、自分からすべてを奪った半蔵達に復讐を果たすため立ち上がった少年、極楽浄土無縁之助の戦いを描く時代劇アクション。「月刊少年チャンピオン」2014年12月号から2016年2月号にかけて連載された作品。

正式名称
百人の半蔵
ふりがな
ひゃくにんのはんぞう
作者
ジャンル
バトル
 
時代劇
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あらすじ

第1巻

1702年。日本は武士ではなく、百人の「服部半蔵」に支配されていた。彼らは「大鬼神」と呼ばれた初代の服部半蔵によって育てられ、その名を受け継いだ強力な忍者達であった。20年前の1682年、大鬼神を自分達の手で殺した「百人の半蔵」は「半蔵の乱」を起こして徳川幕府に勝利。それ以来支配者となった彼らは、ある者は国を作って王になり、ある者は徒党を組んで暴れ回り、ある者は欲求のままに殺戮を繰り返すという、極悪非道の限りを尽くすようになっていた。そして少年、龍次の暮らす能登国も、首屋の服部半蔵に支配されていた。ある日、首屋の服部半蔵に父親の首を斬られた龍次は、その首を取り戻そうとして殺されかけたところを、謎の少年に助けられる。極楽浄土無縁之助と名乗るその少年は、半蔵達を倒すために戦っており、この度首屋の服部半蔵を殺しに来たのだという。そんな無縁之助の姿に感激した龍次は、助けてくれたお礼として、父親の形見の刀を無縁之助に贈る。そして無縁之助はこの刀で首屋の服部半蔵を殺し、その後も糸屋の服部半蔵勝負屋の服部半蔵を倒す事に成功する。

第2巻

「百人の半蔵」のうちの三人を倒した極楽浄土無縁之助は、紅摩夜達「地下幕府」の頼みで、今度は元師匠である千切り屋の服部半蔵と戦う事になった。しかし無縁之助は、千切り屋の服部半蔵が決して悪人ではない事を理解しており、たとえ自分が勝利しても、彼を殺さないでほしいと摩夜に頼む。だが千切り屋の服部半蔵は、無縁之助に敗北後、生き続ける事を拒否。人斬りである自分には相応の最期があると言い、無縁之助の目の前で摩夜に斬り殺されるのだった。その後、加賀国に到着した無縁之助達は、黄助の弟分である信太に出会う。信太は病気の母親のために、加賀国の領主である暗闇屋の服部半蔵から金品を盗み出す計画を立てており、無縁之助達はその計画に協力する事になる。しかし信太は、お金こそ手に入れたものの、計画実行中に暗闇屋の服部半蔵に殺されてしまう。これを知った黄助と無縁之助は暗闇屋の服部半蔵を倒すが、その直後、突如現れた三人の服部半蔵と共に、かつての友人であるタンポポが無縁之助に襲い掛かって来る。スキをつかれた無縁之助は斬られ、大ケガを負ってしまう。

第3巻

戦屋の服部半蔵武器屋の服部半蔵は、お互いをリーダーとして「百人の半蔵」のうち関東に住む半蔵と、関西に住む半蔵の二つの軍に分かれて戦う戦争ごっこ「半蔵戦争」を行う計画を進めていた。一方その頃、極楽浄土無縁之助はケガから回復し、紅摩夜達と別れて、再び一人で半蔵殺しを再開していた。しかしこのところ、半蔵の数が急激に減少している事に疑問を抱いていた。そんなある日、無縁之助は元信濃藩の侍大将である菊川久兵衛と、その娘である菊川獅子丸に出会う。二人は現在、主の仇をとるため肉屋の服部半蔵を追っているらしく、協力を頼まれた無縁之助は、仕方なくいっしょに行動する事になる。その途中で、忍犬である獣屋の服部半蔵と出会い、仲間にした無縁之助達は、ついに肉屋の服部半蔵の居場所を突き止める。しかしそこには、やはりタンポポが待ち受けていた。無縁之助は、自分の事をすべてく覚えていないらしいタンポポに疑問を抱くが、戦ううちにタンポポの肉体はすでに肉屋の服部半蔵に乗っ取られている事を理解する。怒りに燃えた無縁之助は、久兵衛と共にタンポポを斬る事で肉屋の服部半蔵を倒すが、タンポポと同様に肉屋の服部半蔵に乗っ取らていれた獅子丸も死亡してしまう。

第4巻

1702年12月。「半蔵戦争」が関ヶ原で行われると知った「地下幕府」は、これを好機とし、「半蔵戦争」の中心人物である戦屋の服部半蔵武器屋の服部半蔵を倒す計画を立てていた。一方その頃、極楽浄土無縁之助菊川久兵衛獣屋の服部半蔵の三人もまた、関ヶ原へと向かっていた。そしてとうとう「半蔵戦争」が始まり、もとより遊び半分、戦争ごっこのつもりで来ている半蔵達は、派手な戦いを繰り広げていた。無縁之助はそこに乱入して戦いを始めるが、突然見知らぬ剣士の大石内蔵助に斬りつけられる。「半蔵惨殺隊長」を名乗る彼は、無縁之助の命を粗末にする戦い方を子供の戦い方であると感じて腹を立て、本来味方同士であるにもかかわらず攻撃して来たのである。これによっていったん引いた無縁之助は、内蔵助の言う子供の戦いのなにがいけないのか理解できず悩むが、そこに合流した久兵衛と獣屋の服部半蔵から、無縁之助は自分らしい戦いをすべきだと励まされ、元気を取り戻す。そして三人は、協力して戦屋の服部半蔵に戦いを挑む。

登場人物・キャラクター

極楽浄土 無縁之助 (ごくらくじょうど むえんのすけ)

「百人の半蔵」達と戦いを繰り広げる少年剣士。前髪を眉上で短く切り、ぼさぼさの癖のある短髪にしている。左目には釘が突き刺さって見えず、隻眼。実年齢は13歳だが、果心居士から力を与えられた際に肉体が成長しており、容姿は18歳程度。本名は「縁之助」だが、9歳の頃、当時の師匠であった千切り屋の服部半蔵から、その名前では弱そうに見えると指摘された事で「無縁之助」に変え、その後「極楽浄土無縁之助」を名乗るようになった。明るく豪快な性格で、どこか異常な雰囲気を漂わせて、スリルを感じるほどに強くなる特異体質。そのため、左目に刺さった釘を自分の手で脳に至るほど深く突き刺す事で、人工的にスリルを作り出して戦っている。父親は「半蔵の乱」の生き残りの武士で、自分を助けてくれた忍びの娘と結婚して、無縁之助が生まれた。しかしその後、両親を殺されて天涯孤独になったところを千切り屋の服部半蔵に拾われた。その後、10歳まで千切り屋の服部半蔵と暮らすが、彼が自分のもとを去った1701年、12歳の頃肉屋の服部半蔵に逆らい、「地獄穴」と呼ばれる場所に捨てられる。その際、果心居士に出会って寿命の四分の三を差し出す代わりに「百人の半蔵」に復讐するための力を与えられた。また、その副作用で身体が成長し、現在の容姿になる。その後は「百人の半蔵」を残さず倒すために、一人で戦い続けるようになったが、その過程で仲間を得て、精神的に成長していく。

紅 摩夜 (くれない まや)

「半蔵の乱」の生き残りで結成された組織「地下幕府」に所属する若い女性。右月鬼丸の世話役として、同じく世話役の黄助、青の二人を加えた四人で「切り込み隊」として「百人の半蔵」達と戦っている。前髪を目の上で切り揃え、顎の高さまで伸ばしたボブヘアにしている。胸が非常に大きく、眼鏡をかけている。気が強く、セクシーな雰囲気を漂わせた姐御肌。ある日、鬼丸達と共に加賀国へ行き、糸屋の服部半蔵と戦おうとするが、鬼丸があっさり倒されてしまう。そこで、世話役達には戦闘能力がないため撤退を決意するが、そこに現れて自分達の代わりに糸屋の服部半蔵を倒した極楽浄土無縁之助を気に入る。以来、無縁之助を「ダーリン」と呼び慕うようになる。実は忍で、一人でも十分戦えるほどに強い。しかし「地下幕府」は、忍である「百人の半蔵」に壊滅させられた経緯から忍をよく思っていないため、世話役として活動させられている。

黄助 (きすけ)

「半蔵の乱」の生き残りで結成された組織「地下幕府」に所属する若い男性。右月鬼丸の世話役として、同じく世話役の紅摩夜、青の二人を加えた四人で「切り込み隊」として「百人の半蔵」達と戦っている。坊主頭で、もみあげを長く伸ばし、顎ひげを生やしている。背が高く、細い体型で明るくノリのいい性格。ある日、鬼丸達と共に加賀国へ行き、糸屋の服部半蔵と戦おうとするが、鬼丸があっさり倒された事で撤退を決意。だが、そこに現れて糸屋の服部半蔵を倒した極楽浄土無縁之助を摩夜が非常に気に入ってしまった事で、無縁之助を追いかけるようになる。以来、加賀国で別れるまでは、仲間として無縁之助といっしょに行動していた。出身は加賀国で、現在は加賀国で義賊として暮らす信太とは、兄弟同然に育った。そのため信太とは血のつながりはないものの、兄のように慕われている。

(あお)

「半蔵の乱」の生き残りで結成された組織「地下幕府」に所属する男性。右月鬼丸の世話役として、同じく世話役の紅摩夜、黄助の二人を加えた四人で「切り込み隊」として「百人の半蔵」達と戦っている。前髪を上げて額を全開にし、耳の高さで切り揃えたボブヘアにしている。口ひげと顎ひげを長く伸ばし、がっしりとした体型をしている。寡黙で落ち着いた性格の持ち主。ある日、鬼丸達と共に加賀国へ行き、糸屋の服部半蔵と戦おうとするが、鬼丸があっさり倒されてしまう。そこで、世話役達には戦闘能力がないため撤退を決意するが、そこに現れ、自分達の代わりに糸屋の服部半蔵を倒した極楽浄土無縁之助を、摩夜が非常に気に入ってしまった事で、無縁之助を追いかけるようになる。以来、加賀国で別れるまでは、仲間として無縁之助といっしょに行動していた。

菊川 久兵衛 (きくかわ きゅうべえ)

元信濃藩の侍大将を務める男性。前髪を眉上で短く切った短髪で、前髪と、それ以外の部分の髪の毛で髪色が違う。頰はこけており、顎ひげを生やして背が高く、痩せている。明るいが飄々としており、なにを考えているのかわからないところがある。相手の剣筋をあやつる剣の流派「円魔流」の使い手で、もともと信濃国の城主に仕えていたが、肉屋の服部半蔵により国を潰され、城主一家は、民を守るため自分達の首を差し出す事となった。その際、城主一家全員の首を斬る仕事をした事で深く傷つき、以来、侍であるにもかかわらず、剣が抜けない身体になってしまった。その後は肉屋の服部半蔵に復讐するため、娘の菊川久兵衛と共に肉屋の服部半蔵を追っていた。そんなある日、二人で茶屋で休憩したところ、偶然同じ店にいた極楽浄土無縁之助に、自分達の支払いを押し付ける事を思いつく。しかし、それに気づいた無縁之助が怒って追いかけて来た事により、無縁之助の実力と、無縁之助もまた肉屋の服部半蔵を追っている事を知り、協力して戦う事になった。実は今でも剣は問題なく抜けるが、その事実は隠している。

菊川 獅子丸 (きくかわ ししまる)

菊川久兵衛の娘で、少女剣士。前髪を上げて額を全開にし、胸の高さまで伸ばしたストレートロングヘアを、頭の高い位置でポニーテールにしてまとめている。明るくまじめな性格だが、男装して性別を偽って行動しており、一人称も「僕」。父親の九兵衛と共に信濃国を潰した肉屋の服部半蔵を追っている。ある日、二人で茶屋で休憩したところ、偶然同じ店にいた極楽浄土無縁之助に、久兵衛が勝手に会計を押しつけてしまう。それに気づいた無縁之助が怒って追いかけて来た事により、無縁之助の実力と、無縁之助もまた肉屋の服部半蔵を追っている事を知り、協力して戦う事になった。しかし肉屋の服部半蔵との戦闘中、身体を乗っ取られてしまい、自ら望んで九兵衛に斬られて死亡した。

服部半蔵 (はっとりはんぞう)

百の技を使う忍で、故人。ちょんまげ頭に口ひげを生やした、年老いた男性の姿をしている。「大鬼神」と呼ばれて恐れられる最強の忍であったが、強すぎるゆえに120歳になっても後継者がいなかった。それに伴い、1662年に全国から優秀な忍の子供を百人集め、一人に一つ自分の技を継承する形で全員に自分の名を受け継がせ、百人の「服部半蔵」を生み出した。しかし1682年、140歳の時に彼らに反旗を翻されて殺された。

獣屋の服部半蔵 (けものやのはっとりはんぞう)

服部半蔵から技と名を受け継いだ「百人の半蔵」の一人である、オスの忍犬。犬種は柴犬。半蔵からは服部忍術の60番である、動物を兵士と同じ行動ができるよう強化する技「擬人化術」を継承した。背中に刀を背負い、首にはバンダナを巻いている。半蔵になる前はふつうの忍犬として活動しており、忍達は対等な仲間だと考えていた。しかしある日、厳しい任務中に飢えた忍がほかの忍犬を殺して食料にした事により、人間は犬を道具としてしかとらえていなかった事に気づく。そこで主を殺して里を離れ、半蔵の一人となった。しかし半蔵になったのは生きる力を得るためであったため、ほかの半蔵とは仲が悪く、命を狙われている。その後は山城国の山中で暮らしていた。ある日、そこに通りがかった極楽浄土無縁之助に気づき、ほかの動物を使って戦闘を挑む。しかし動物達がやられ、無縁之助との一対一の勝負になった際、無縁之助に犬とは戦えないと言われてしまう。そこで、菊川久兵衛の仕切りで、木の上のてっぺんにいる獲物を先に捕まえた方が勝ち、負けた方は勝った方の言う事を聞くというルールで勝負をするが、なぜかこの勝負に久兵衛も参加し、久兵衛が勝利してしまう。そこで久兵衛に勧誘され、無縁之助の仲間としていっしょに「百人の半蔵」と戦う事になる。

首屋の服部半蔵 (くびやのはっとりはんぞう)

服部半蔵から技と名を受け継いだ「百人の半蔵」の一人である男性。半蔵からは服部忍術の66番である、死体を自在にあやつる事ができる技「死体操り術」を継承した。前髪を上げて額を全開にした角刈りで、顔中にひげを生やした、大きな猿のような容姿をしている。能登国を支配しており、首都の首城(くびじょう)に住んでいる。生き物の首をはねる事が大好きな残忍な性格で、はねた首の収集と鑑賞がなによりの楽しみ。そのため、首城の石垣は首で造られている。能登国で暴虐の限りを尽くしていたが、ある日突然現れた極楽浄土無縁之助によって殺された。

糸屋の服部半蔵 (いとやのはっとりはんぞう)

服部半蔵から技と名を受け継いだ「百人の半蔵」の一人である若い男性。半蔵からは服部忍術の34番である、切れ味の鋭い鉄の糸を自在にあやつる技「鉄糸(てっし)術」を継承した。長く伸ばしたドレッドヘアで、オネエ口調で話す。加賀国を支配していたが、国や領土にはまったく関心がなく、暗闇屋の服部半蔵に譲って、自由に生活していた。そんなある日、右月鬼丸達「地下幕府」の切り込み隊に発見されて戦うが、鬼丸を倒した直後、今度は極楽浄土無縁之助に戦いを挑まれて敗北し、死亡した。趣味は血のお風呂に入る事と、肌の手入れ。嫌いなものは、むさくるしい男性と下品なもの。

勝負屋の服部半蔵 (しょうぶやのはっとりはんぞう)

服部半蔵から技と名を受け継いだ「百人の半蔵」の一人である若い男性。半蔵からは服部忍術の81番である、遠方の出来事や未来の出来事を見通す技「千里眼」を継承した。前髪を目が隠れないように分け、肩につくほどまで伸ばした外はねセミロングヘアで、眼鏡をかけている。穏やかで落ち着いた雰囲気で、丁寧な口調で話す。ある日、友人である暗闇屋の服部半蔵の頼みで、今後暗闇屋の服部半蔵を探しに来るだろう極楽浄土無縁之助や、紅摩夜達「地下幕府」を倒す事になる。そこで、無縁之助達が必ず通るであろう加賀国にある宿場に毒を撒き、住民達を苦しめながら、無縁之助の到着を待っていた。そして住民達を助けようとする無縁之助に、自分との勝負に勝ったら解毒剤を渡すという条件で、将棋崩しで戦う事になる。しかし、「千里眼」を用いてもまるで読めない無縁之助の行動に振り回され、敗北して死亡した。趣味は将棋と花札。

千切り屋の服部半蔵 (ちぎりやのはっとりはんぞう)

服部半蔵から技と名を受け継いだ「百人の半蔵」の一人である中年男性。前髪を上げて額を全開にし、肩につくほどまで伸ばした外はねセミロングヘアにしている。額にはいくつもの釘を刺し、顎髭を長く伸ばしている。また、両目は十数年前、戦いのスリルを高めるために自ら縫い付けたため、見えない。そのため、嗅覚と聴覚のみで戦っている。戦いとスリルを愛する狂った性格ながら、殺人が好きというわけではなく、戦いを挑んで来たもの以外を無理やり殺す事はしない。9年前の1693年、幼い極楽浄土無縁之助と出会い、彼に剣術を教えるようになる。また4年前の1698年、当時「縁之助」という名前だった彼に「無縁之助」に改名する事を勧めた。その後も無縁之助と良好な師弟関係を築いていたが、次第に強力な剣士に成長していく無縁之助と本気で戦いたい、斬りたいという欲求を押さえられなくなっていた。そこで、このままではいけないと判断し、当時10歳の無縁之助のもとを去るが、その3年後、成長した無縁之助と戦い、敗北して死亡した。

暗闇屋の服部半蔵 (くらやみやのはっとりはんぞう)

服部半蔵から技と名を受け継いだ「百人の半蔵」の一人である若い女性。半蔵からは服部忍術の13番である、闇、あるいは影の中を自由に移動できる技「闇走り」と、23番の闇の中に溶け込む技「闇隠れ」を継承した。前髪をかんざしで上げて額を全開にし、肩につくほどまで伸ばした外はねセミロングヘアにしている。胸が非常に大きい。人間の心の闇を垣間見る事が大好きなサディストで、わざと人を傷つけてその反応を見る事を楽しむのが趣味。1702年、糸屋の服部半蔵に代わって加賀国の領主を務めており、現在の生活に特に不満は抱いていなかった。しかし、ある日加賀国にやって来た嚙みつき屋の服部半蔵、鋼屋の服部半蔵、肉屋の服部半蔵から、戦屋の服部半蔵が、一般市民を支配する生活に飽き、半蔵同士での戦争を起こすため、味方を集めている事を知らされる。それを拒否して生き延びようとしたが、直後、極楽浄土無縁之助と黄助に殺害された。

肉屋の服部半蔵 (にくやのはっとりはんぞう)

服部半蔵から技と名を受け継いだ「百人の半蔵」の一人である男性。極楽浄土無縁之助の宿敵。半蔵からは服部忍術の100番である、自信の血肉を他者に植え付け、その者を自身の分身に変える技「肉分身」を継承した。肩につくほどのもじゃもじゃのセミロングヘアで、大量の鋲のついた帽子をかぶっている。口には同様に、大量の鋲のついたマスクをつけ、洋風の服装をしている。下まつげが長い。戦いや人の死を好む、極めて残忍な性格をしている。服部忍術を持つだけでなく、果心居士からも力を得ており、驚異的な肉体再生力を持つ。さらに肉屋の服部半蔵自身の肉体が死亡しても、その時点で誰か生きている人間に「肉分身」を植え付けておけば、そのものの肉体を乗っ取って生き続ける事ができる。この再生能力により何度も致命傷から蘇っており、無縁之助には過去の戦いで何度も斬られているが、まだ生きている。ある日、戦屋の服部半蔵が一般市民を支配する生活に飽き、半蔵同士での戦争を起こすため、味方を集めている事を知らされる。そこで、鋼屋の服部半蔵と嚙みつき屋の服部半蔵と共に暗闇屋の服部半蔵を勧誘しに行ったところ、無縁之助と再会。以来、無縁之助の敵として何度も立ちはだかる。

嚙みつき屋の服部半蔵 (かみつきやのはっとりはんぞう)

服部半蔵から技と名を受け継いだ「百人の半蔵」の一人である若い男性。半蔵からは服部忍術の52番である、空間ごとすべてを食らう事のできる技「無限喰い」を継承した。坊主頭で、額には大きな横一本線の傷を縫い付けた痕がある。鼻から下には、大きな金属の、嚙みつけるように歯の形をしたマスクをつけ、鎖帷子を着ている。肉屋の服部半蔵を慕っており、彼の用心棒としていっしょに行動している。ある日、戦屋の服部半蔵が一般市民を支配する生活に飽き、半蔵同士での戦争を起こすため、味方を集めている事を知らされる。そこで、肉屋の服部半蔵と鋼屋の服部半蔵と共に暗闇屋の服部半蔵を勧誘しに行くが、暗闇屋の服部半蔵はそれを拒否したため、殺害を決意する。しかし、返り討ちに遭って死亡した。

鋼屋の服部半蔵 (はがねやのはっとりはんぞう)

服部半蔵から技と名を受け継いだ「百人の半蔵」の一人である若い男性。半蔵からは服部忍術の97番である、あらゆる武器を作り出す技「機械忍術」を継承した。全身を鋼の鎧で包んでおり、素顔は見えない。ある日、戦屋の服部半蔵が一般市民を支配する生活に飽き、半蔵同士での戦争を起こすため、味方を集めている事を知らされる。そこで、肉屋の服部半蔵と嚙みつき屋の服部半蔵と共に暗闇屋の服部半蔵を勧誘しに行く。しかし暗闇屋の服部半蔵は協力を拒否したため、殺害を決意する。その後、暗闇屋の服部半蔵が極楽浄土無縁之助によって倒され、縁之助はタンポポに敗北して気を失ったのを確認したのち、肉屋の服部半蔵、タンポポと共に去って行った。その後、山城国の山中にある古い寺で無縁之助と再戦するが、不利になって逃げ出す。

戦屋の服部半蔵 (いくさやのはっとりはんぞう)

服部半蔵から技と名を受け継いだ「百人の半蔵」の一人である若い男性。半蔵からは目にも止まらぬ速さで移動できる技「韋駄天」を継承した。スキンヘッドで、まろ眉。背が高くすらっとした体型で、洋風の服装をしている。信濃国の山の中で暮らしているが、現在の弱き一般市民を支配する生活に疑問を抱いており、優秀で強い「百人の半蔵」は、もっと強い敵と戦うべきであると考えていた。そこで「百人の半蔵」を関西と関東のものの二つの軍に分けて半蔵同士で殺し合う「半蔵戦争」を開催する事を思いつく。趣味は戦う事と、作戦を考える事。

武器屋の服部半蔵 (ぶきやのはっとりはんぞう)

服部半蔵から技と名を受け継いだ「百人の半蔵」の一人である若い男性。半蔵からは服部忍術の10番である、鉄で作られたものを自由にあやつる事のできる技「磁力術」を継承した。前髪を上げて額を全開にし、髪全体を立てた角刈りヘアにしている。目にはバイザーをつけている。備前国を支配していたが、1702年のある日、戦屋の服部半蔵の意見に同意し、「半蔵戦争」の開催を決意する。そこで自分が関西、戦屋の服部半蔵が関東の半蔵を味方として集める事が決まり、従った者は仲間に、従わなかった者は殺害するという方法で勧誘を始める。

タンポポ

極楽浄土無縁之助のかつての友人で、今は肉屋の服部半蔵の用心棒として行動を共にする少年。前髪を眉上で短く切った金色のもじゃもじゃの短髪にしている。外国人だが、国籍は不明。キャスケット帽をかぶり、シャツにショートパンツという、洋風の服装をしている。「タンポポ」という名前は、その髪型と髪色が花のタンポポのように見える事から名付けられた。2年前の1700年、信濃国の子供達で構成された殺し屋集団に所属していた。そんなある日、山で暴れている少年の退治を命令され、当時千切り屋の服部半蔵と別れて一人きりとなっていた無縁之助と出会う。そこで剣で勝負したところ、タンポポが勝利した事で無縁之助を仲間に引き入れて親しくなった。しかし、やがて組織は「百人の半蔵」の内の一人に目をつけられ、壊滅した。その際に無縁之助とは離れ離れになってしまうが、肉屋の服部半蔵に気に入られ、彼の技である「肉分身」によって肉体を乗っ取られ、記憶も失った。現在では肉屋の服部半蔵のあやつり人形と化しており、真実を知った無縁之助と戦って敗北するが、その後も身体を乗っ取られたまま生き続ける。

龍次 (りゅうじ)

能登国首城に住む少年。ちょんまげ頭で、眉が太い。侍である父親を尊敬していたが、ある日父親が首屋の服部半蔵に反逆して首を斬られてしまう。そのため父親の首だけでも取り返えそうと、城壁に置かれた首を盗み出そうとするが、それを見つかって殺されそうになる。しかし、そこに偶然現れた極楽浄土無縁之助に助けられ、首を取り返す事に成功する。その際に無縁之助の目的を知り、助けてくれたお礼に父親の形見である刀を贈った。

右月 鬼丸 (うつき おにまる)

「半蔵の乱」の生き残りで結成された「地下幕府」に所属する若い男性剣士。世話役の紅摩夜、青、黄助の三人と結成した「切り込み隊」として「百人の半蔵」達と戦っている。前髪を目の上で切り、肩につくほどまで伸ばしたウルフカットヘアにしている。摩夜達と共に加賀国へ行き、糸屋の服部半蔵と戦おうとするが、あっさり倒されてしまった。

信太 (しんた)

黄助の弟分で、加賀国で義賊をして暮らす若い男性。髪型はもじゃもじゃの癖っ毛を刈り上げており、無精ひげを生やし、眼鏡をかけている。病気の母親の治療のためにお金を必要としており、ある日、暗闇屋の服部半蔵の財産に目をつける。そこで最近噂の賞金首である極楽浄土無縁之助と、その仲間達が加賀国を訪れて騒ぎになっているうちに、こっそり暗闇屋の服部半蔵の家に忍び込んで金品を盗む計画を立てる。しかし計画実行前に黄助と再会し、黄助と無縁之助が仲間である事を知る。そこで、無縁之助をおとりとして利用して、計画を実行した。しかしお金は盗んだものの、その途中で暗闇屋の服部半蔵に見つかって致命傷を負わされ、お金を黄助に託して亡くなった。子供の頃の将来の夢は侍になる事だったが、加賀国を出る勇気が出せずに、黄助を密かに羨んでいた。

果心居士 (かしんこじ)

極楽浄土無縁之助や肉屋の服部半蔵に力を分け与えた、謎の老人男性。本人曰く、この世のものであって、この世のものではない存在である。前髪を眉上で短く切り、耳の下まで伸ばした癖のあるボブヘアにしている。口ひげと顎ひげを長く伸ばしている。日本を自分好みの地獄に変えたいと願う残忍な性格で、それを叶えてくれそうな人間に、自分の力を分け与えて暗躍している。特に現在の一般市民が「百人の半蔵」の支配を受け入れ、あきらめて暮らしている日本はつまらないと考えており、再び日本を乱世にするにはどうするべきかと考えていた。そこで「百人の半蔵」を恨む無縁之助を使って、半蔵達を皆殺しにする事を思いつき、無縁之助に力を貸した。

大石 内蔵助 (おおいし くらのすけ)

元赤穂藩士で「半蔵惨殺隊」を組織する若い男性。前髪を目の下まで伸ばして真ん中で分けて額を全開にし、耳の下まで伸ばした癖のあるボブヘアにしている。サングラスをかけて口ひげを生やし、洋風の服装をしている。女好きで、いい加減な人間に見えるが、剣士として高い実力を持つ。半蔵に殺された主の浅野長矩の仇を打つため「半蔵惨殺隊」を結成した。そのため「地下幕府」とは別に動いており、自分達こそが「百人の半蔵」を根絶やしにする者であると考えている。1702年12月、半蔵達が関ヶ原で「半蔵戦争」を行うという情報を得て、混乱に乗じて半蔵達を殺すため参戦する。

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