皇帝戦士斑鳩

皇帝戦士斑鳩

魔性の病が蔓延する、乱世の日本に降り立った1人の若者が、世を支配する野望を抱いた強大な物部一族に挑む和風ファンタジー作品。古代日本を舞台にしているが、キャラクターの造形などに西洋的なファンタジー要素が盛り込まれている。

正式名称
皇帝戦士斑鳩
ふりがな
こいていせんしいかるが
作者
ジャンル
時代劇
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概要・あらすじ

血と暴力が支配する暗黒の古代。池辺の宮に生まれた厩戸皇子は、世の支配をもくろむ魔琳が送り込んだ魔衆によって命を狙われるが、生来の不思議な力によって間一髪で危機を逃れる。13年後、魔性の病が蔓延し、乱れ切った世の中で荒野を旅する1人の少年がいた。斑鳩と名乗るその少年は、病魔に冒された妹の菜々を治療してもらうため池辺の宮へ向かい、そこで自身と瓜二つの容姿をした厩戸皇子と出会う。

国の将来を憂え、病気に苦しむ民を献身的に看病する厩戸皇子の姿に心を打たれた斑鳩は、刺客の放った毒槍によって倒れてしまった彼に成り代わり、厩戸皇子として生きることを決意するのだった。

登場人物・キャラクター

斑鳩 (いかるが)

優れた剣の使い手である少年。病に冒された妹の菜々を治療してもらうために、厩戸皇子が住む池辺の宮を目指して旅をしていた。まだ若いが剣術の腕は本物で、鳳凰の型から繰り出されるダイナミックな剣筋を駆使し、権勢を笠に各地で暴れまわる物部守屋の兵士を瞬時に倒せるほどの実力者。粗野なうえに口も悪いが正義感は強く、弱者を放ってはおけない優しい性格。 荒れ果てた世を見続けたことで、自身の無力さに絶望し、やるせない気持ちと厭世感を抱いていた。しかし、池辺の宮で自分にそっくりな厩戸皇子と出会い、彼の民を想う気持ちと、国を救おうとする姿を見て心を打たれ、厩戸皇子が刺客の攻撃に倒れた後に、厩戸皇子に成り代わることになった。その正体は、間人皇女の命を受けた威彦の庇護のもと、平民として育てられていた厩戸皇子の双子の兄弟。

厩戸皇子 (うまやどのおうじ)

池辺の宮に住まう皇子で、用明天皇の息子。流行り病によって乱れ切った世を憂え、病魔に冒された人々を天竺伝来の種痘で治療し続けている人格者。治療を求めて池辺の宮までやって来た、自分と容姿がそっくりな斑鳩と運命の出会いを果たす。斑鳩に対し「一人の命を救えないものはこの国を救えない」と語るなど、非常に穏やかで慈悲深い性格。 成人の証となる「立志大成の儀」を4日後に控えていたが、魔琳の送った刺客の攻撃で深手を負い、傷を押して民の治療を続けたことで様態が悪化し、命を落としてしまう。

魔琳 (まーりん)

頭部をすっぽり覆った仮面をつけ、マントを羽織った性別不詳の人物。異形の神であるドルイド神を奉じ、「ドルイドの民」と称する海の向こうから日本へと渡って来た一族の長。用明天皇の権勢の衰えに乗じて天下を奪おうとする物部守屋に協力し、魔衆と呼ばれる異形の兵士を使って厩戸皇子の暗殺などを実行する。鳳凰の型を使いこなす得体の知れない斑鳩に脅威を感じ、ドルイド神からの託宣を受け、斐燕を対戦させた。 必要とあらば部下を殺害してドルイド神に生贄として捧げることもいとわないなど、冷酷非情な性格。

威彦 (たけひこ)

大臣の蘇我馬子に仕える男性。剣の達人で、13年前まで間人皇女の護衛隊長をしていた。池辺の宮で生まれたばかりの厩戸皇子が魔衆に襲われた際、厩戸皇子の不思議な力に助けられ、母子ともどもを逃がすことに成功する。その後は、間人皇女の命を受けて斑鳩を引き取り、平民として育てるかたわら剣術を仕込んでいた。 斑鳩からは良き父親として、とても尊敬されている。

間人皇女 (はしひとのひめ)

用明天皇の正妃で、厩戸皇子の母親。穏やかな性格をした聡明な女性。13年前に厩戸皇子と斑鳩の双子を生み、彼らを魔琳らの手から守るため、斑鳩を護衛隊長の威彦に預け、2人を別々の地で育てることになる。13年後、厩戸皇子に成り代わった斑鳩の正体を一目で見破った。

用明天皇 (ようめいてんのう)

日本を治める帝で、厩戸皇子の父親。大らかで温厚な性格をしており、「立志大成の儀」を執り行った際、厩戸皇子に成り代わった斑鳩が「お神酒」を飲んでしまうなどのミスを犯しても、笑って見逃した。

斐燕 (ひえん)

ドルイド神を奉ずる「ドルイドの民」で、魔琳に仕える「四鬼神」のひとり。剣術を得意としており、突くことに特化した細身の剣を扱う。斑鳩を巧みな剣さばきで圧倒し、魔琳のもとに連行した。性格は傲慢そのもので、相手を見下して徹底的に軽んじるタイプ。

蘇我 馬子 (そがの うまこ)

大臣(おおきみ)として用明天皇に仕える男性。誠実な性格で、用明天皇の治世を支えているが、世の混乱に乗じて勢力を伸ばす物部守屋の台頭を抑え切れなくなっている。身を削って民の救済をしようとする厩戸皇子をいたく心配していた。厩戸皇子が命を落とした後に、彼に成り代わることを斑鳩に依頼した。

刀自古 (とじこ)

蘇我馬子の娘で、明朗快活な少女。厩戸皇子に成り代わった斑鳩に対し、教養面の指導をした。無教養で覚えの悪い斑鳩のことを山猿扱いしていたが、厩戸皇子のように国を救いたいという胸のうちを語る斑鳩に、徐々に惹かれていく。

物部 守屋 (もののべの もりや)

大連(おおつむじ)として用明天皇に仕える男性。狡猾な野心家で、魔琳と手を組み、用明天皇に成り代わって世を支配しようとしている。天下取りの障害となる厩戸皇子の暗殺を何度も試みる。

菜々 (なな)

斑鳩の妹で、年端もいかない少女。流行り病に冒され、明日をも知れない衰弱した状態になる。厩戸皇子に治療を施してもらうため、斑鳩は彼女を連れて池辺の宮へと向かった。

場所

池辺の宮 (いけべのみや)

厩戸皇子が住んでいる館。流行り病に苦しむ民が、厩戸皇子による救済を求めて日本全国からやって来る。13年前に間人皇女がここで厩戸皇子と斑鳩を生み落としている。

その他キーワード

魔衆 (ましゅう)

魔琳の配下である異形の者の総称。甲冑を着た兵士のような姿をしており、翼を生やして飛ぶことができる。左腕に付いた鉤爪で敵を切り裂き、右腕からは炎を射出して、あらゆるものを焼き尽くす。

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