盾の勇者の成り上がり

盾の勇者の成り上がり

アネコユサギの小説『盾の勇者の成り上がり』のコミカライズ作品。異世界に召喚されるも仲間の裏切りに遭い、人を信じられなくなった岩谷尚文の冒険や戦いを描いた異世界リベンジファンタジー。「コミックフラッパー」2014年3月号から掲載の作品。

正式名称
盾の勇者の成り上がり
ふりがな
たてのゆうしゃのなりあがり
原作者
アネコ ユサギ
作者
ジャンル
ファンタジー
レーベル
MFコミックス フラッパーシリーズ(KADOKAWA)
巻数
既刊24巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

罪人の勇者編(第1巻)

図書館で四聖勇者の伝説が書かれた本を手に取った岩谷尚文は、本に記されていた勇者の一人「盾の勇者」として見知らぬ異世界に召喚される。異世界の王国「メルロマルク」に召喚された尚文は、彼と共に召喚されていた天木錬川澄樹北村元康と出会う。魔法や勇者が存在するこの世界では、次元の亀裂から湧き出す波が襲来する深刻な「厄災の波」が人々を襲っていた。この波から世界を守る勇者として召喚された尚文たちは重大な使命を与えられ、まずはそれぞれの武器を鍛えるために供を連れて旅をすることとなる。だが、尚文の武器として与えられた盾では攻撃ができず、誰からも人気がないこともあり、彼の供を希望したのは女従者のマインだけであった。ほかの勇者を見返してやろうとマインと二人で旅立った尚文だったが、与えられた盾以外の武器を装備することができず、魔物と戦うことすら困難だった。それでも自分に寄り添ってくれるマインに感謝しながら宿に泊まった尚文だったが、彼女に裏切られ全財産を盗まれる。さらにいきなり兵士たちに捕らえられた尚文は、マインのウソの証言によって婦女暴行の冤罪(えんざい)までかけられてしまう。冒険3日目にして裏切りにあった尚文は、国王や錬たちに糾弾されすべてを失ったことに絶望し、誰も信じることができなくなる。意気消沈しながらも生き抜くために一人で旅立った尚文はラフタリアに出会い、奴隷商人から彼女を引き取る。こうして尚文は、パーティの攻撃役として迎えたラフタリアと共に、次の波に立ち向かうべく二人で新たな旅を始める。

第二の波と神鳥の聖人編(第2巻~第3巻)

異世界で盾の勇者となった岩谷尚文は、新たな仲間のラフタリアと共に厄災の波に立ち向かう戦力を整えるべく、旅を続けていた。奴隷紋を刻んだラフタリアと「契約による主従」という浅い関係でしかなかった尚文は、彼女と行動するうちに互いに信頼し合える仲になっていく。ラフタリアは経験を重ねるうちに急速に成長し、尚文の剣となって戦いを支えていた。そんな中、次の波の時期がせまり、武器屋に立ち寄った尚文はラフタリアの勧めで新たな装備を入手。次の波の時期を示す「龍刻の砂時計」の存在を聞いた尚文は教会に向かい、波までの残り時間を確認する。そこには尚文を裏切ったマインと彼を見下す北村元康も訪れており、元康はラフタリアに一目惚れしてしつこく言い寄る。元康たちの挑発に苛立ちを隠せない尚文はその場を離れ、改めて自分自身のために戦って生き残るという決意を胸にする。そんな中、砂時計が示した時間どおりに波が襲来し、空の亀裂からは多数の魔物が降り注いで来る。近くのリユート村が危険と判断した尚文は、村人を守るためにラフタリアを連れて村に急行。なんとか2度目の波を乗り越えた尚文は、商人から買った卵からフィロリアルという魔物を孵(かえ)す。フィーロと名づけられたその魔物は、異常な成長を続けながら巨大な鳥の姿になった。その後、復興を続けるリユート村で、再び遭遇した元康とレース勝負をすることになった尚文は、マインの妨害にも負けず勝利する。村人たちの提案と協力を得て行商を始めることになった尚文は、ラフタリア、フィーロと共に正体を隠しながら、新たな旅に出ることになる。さらに成長したフィーロは翼を生やした少女に変化し、彼女を連れて旅を続ける尚文は人々から「神鳥の聖人」と称されるようになる。

第三の波と第二王女編(第4巻~第5巻)

次々と理不尽な目に遭った岩谷尚文は憎悪に心を奪われそうになるも、自分を信じてくれるラフタリアフィーロを思い出して危機を乗り越える。仲間を守りたいという思いは尚文に変化を与え、やさぐれていた彼は少しずつ笑顔を取り戻していく。行商の旅を続ける尚文たちは、「メル」と名乗る謎の少女に出会う。フィーロと打ち解けたメルは、尚文たちといっしょに王都に行きたいと言い出す。王都に到着した尚文たちは北村元康の一行に遭遇し、マインは再び彼らを決闘させようとするが、それを止めたのはメルだけだった。メルの正体はマインの妹で、メルロマルクの第二王女、メルティ=Q=メルロマルクだったのである。王族を信用できない尚文はメルティを拒絶し、粛々と厄災の波の準備を始める。尚文はラフタリアを先にクラスアップさせようとするが、またしてもオルトクレイ=メルロマルク32世の嫌がらせが待ち受けていた。クラスアップを許さないオルトクレイたちと決別し、他国へ向かおうとする尚文たちだったが、そのためには第三の波を乗り越える必要があった。志願兵の協力を得て人々の安全を確保した尚文たちは戦い続けるが、波はいつまでも収まる気配がなく、次々と湧く魔物に苦戦を強いられる。尚文が元康たちの援護に向かうと、そこには巨大な幽霊船が浮かび、新たな敵のグラスが戦いを見下ろしていた。ソウルイーターの撃破後にグラスと対峙した尚文だったが、彼女の圧倒的な強さはこれまでの敵とは大きく違っていた。グラスには勝てぬまま波が終わり、なんとか生き残った尚文たちはクラスアップのために亜人の国に向かうことになる。

逃避行とラフタリアの過去編(第6巻~第7巻)

旅をしながら行商や人助けを重ねるうちに、民衆からの信頼を得た岩谷尚文の評価は、徐々にほかの勇者を逆転していた。それと同時に、盾の勇者に否定的だった三勇教は尚文たちを執拗に追うようになる。追っ手を退けた尚文は、メルティ=Q=メルロマルクを誘拐した濡れ衣を着せられ、逃避行を続けていた。各地に厳戒態勢が敷かれる中、追い打ちを掛けるようなマインの暴挙により大火事が起こり、尚文たちは麓の村に避難し身を休める。身動きが取れなくなり、メルティの提案で近くに住むヴァンを頼ることになった尚文たちだったが、辿り着いた先はかつてラフタリアイドルに奴隷として監禁されていた因縁の地であった。貴族に匿(かくま)われるも兵士に囲まれた尚文たちはイドルと対峙し、彼を追い詰めたラフタリアの瞳には復讐の炎が揺らぐ、殺意を帯びた切っ先がイドルの首に突きつけられる。尚文の言葉で、一度は怒りを飲み込むラフタリアは、次の瞬間に再び襲いかかってきたイドルを返り討ちにする。生きていたイドルは街の中央でタイラントドラゴンを復活させて街中を襲い出すが、それを滅したのはフィロリアルの女王、フィトリアだった。フィトリアは尚文たちをフィロリアルの聖域に案内し、メルティを人質にして「四聖勇者が和解しなければ皆殺しにする」と告げる。それでも尚文はほかの勇者との和解を拒絶し、その思いを汲み取ったフィトリアはフィーロとの一騎打ち勝負を提案。フィトリアはフィーロに戦い方を教えてメルティを解放し、呪いの盾の浸食を抑える魔法を尚文に与える。フィトリアと別れた尚文たちは、彼女に案内された関所で北村元康に再会する。

三勇教との戦い編(第8巻~第9巻)

三勇教は悪と見なしていた岩谷尚文だけでなく、信仰対象であるはずの三勇者も排除しようと画策する。教皇のビスカが尚文たちに襲いかかり、四聖勇者とその仲間たちは一気に窮地に追い込まれ、絶望的な状況の中で尚文は北村元康たちとの共闘を決意。伝説の聖武器の複製品を持ち出したビスカの猛攻に対し、フィトリアから止められていた呪いの盾を再び発動した尚文は、禍々(まがまが)しい力でビスカを返り討ちにするも、重傷を負って倒れてしまう。尚文が目覚めた頃には三勇教は壊滅に追い込まれ、メルロマルクに帰還した女王のミレリア=Q=メルロマルクは、自らの不在中に起こった数々の非礼を深く謝罪したうえで、尚文に再びメルロマルクを守るために盾の勇者として戦って欲しいと懇願する。それを受ける条件として、尚文はマインオルトクレイ=メルロマルク32世への厳重な裁きを求める。執拗な迫害の中心となっていたオクトレイとマインは、尚文の要望で王族の資格を剝奪され、屈辱的な名前に改名させられる。同時に尚文の冤罪や嫌疑は晴らされ、その事実も国中に伝わるようになった。異世界に来たばかりの頃から続いていた理不尽への復讐を果たした尚文はケガからも回復して、ミレリアが開いた勇者会議でほかの勇者との連携や情報交換を試みるが、なぜか元康たちは情報や本音を隠そうとしていた。クラスアップを終えた尚文たちは、ミレリアの提案により次の厄災の波に備えてカルミラ島でさらなるレベルアップを目指すことになる。カルミラ島に向かう尚文たちは、船の中で冒険者のラルクベルクテリス=アレキサンドライトに出会い、意気投合する。

カルミラ島の戦い編(第10巻~第11巻)

岩谷尚文たちは道中で知り合ったラルクベルクたちと共に、取得する経験値が増加しているカルミラ島で修行を続けていた。尚文は気さくに接してくれるラルクベルクとテリス=アレキサンドライトに好感を持つが、彼らは見たこともない不思議な魔法を使いこなす実力者でもあった。レベルアップは順調に進み、島の自然やにぎやかな食事を楽しみながら、尚文にとっても充実した時間が流れていく。そんな中、海底神殿に沈んでいた龍刻の砂時計が発見され、そこには次の厄災の波までの時間が示されていることが判明。メルロマルクに増援を求めた尚文たちは万全の準備を整え海上の大艦隊と共に、空の亀裂から現れた強力な魔物「次元の勇魚」を迎え撃つことになる。大艦隊の指揮はミレリア=Q=メルロマルクが執るが、ほかの勇者たちは力不足でほとんど役に立たず、尚文たちが孤軍奮闘する状態になってしまう。そこへ駆けつけたラルクベルクたちの協力を得て敵への反撃を開始するも、尚文たちが四聖勇者だと知った途端に、ラルクベルクはその刃を尚文たちに向ける。ラルクベルクとテリスは四聖勇者と対立する立場であり、以前戦ったグラスの仲間でもあった。尚文はラフタリアの援護を受けながらグラスたちと激闘を繰り広げるが、波が終わった途端にラルクベルクはグラスを連れてその場を去るのだった。新たな敵と波の脅威を乗り越えた尚文たちが、カルミラ島で戦いの傷を癒す中、川澄樹の仲間であったリーシア=アイヴィレッドが彼の腕輪を壊したという冤罪をかけられ、チームから不当に解雇されてしまう。自らの理不尽な過去を思い出した尚文はリーシアを放っておけず、抗議のために樹たちのもとへ乗り込む。

霊亀の復活編(第12巻~第13巻)

戦いを終えた岩谷尚文たちは、カルミラ島の活性化が終了すると共にメルロマルクの王城へ戻ることになった。仲間たちから理不尽に追い出されてしまったリーシア=アイヴィレッドの話を聞いた尚文は、強くなって仲間を見返すよう説得し、彼女をパーティに引き入れる。新たな仲間を迎えた尚文たちは、さらなる強さを求めてエクレール=セーアエットや、ほかの勇者たちと共に修行を始める。その修行の中で、リーシアには「気」をあやつる変幻無双流の才能があると判明し、彼女はエルラスラの門下生として特別な訓練を受ける。そんな中、修行を続ける四聖勇者たちに、ミレリア=Q=メルロマルクから新たな依頼が舞い込んできた。それは、メルロマルクのあちこちに現れるようになった謎の魔物を討伐して欲しいという内容であった。城下町でヴァンキールに再会した尚文たちは、強くなりたいと願うキールを一時的にパーティに迎える。村を襲う魔物との戦いの中で、これらをあやつっている元凶は亀のような甲羅を背負った「霊亀」という伝説の四霊であったことが判明する。霊亀の使い魔である魔物に襲われたキールは戦線離脱することになり、謎を解明すべく東の霊亀国に向かった尚文たちは、長らく封印されていた霊亀の復活を知り、再びメルロマルクへ戻る。だが王城では、北村元康たちが行方不明になったという報せを受けたミレリアが頭を抱えていた。行方をくらました元康たちは、屈強な冒険者でも手を焼くほどの強力かつ巨大な霊亀に立ち向かおうと旅立っていた。元康たちを追って再び旅立った尚文たちは、霊亀とそれを裏であやつる強敵との新たな戦いに身を投じる。

霊亀の使い魔と黒幕編(第14巻~第15巻)

伝説の魔獣、霊亀の動向を調査する岩谷尚文たちは、行方不明となった北村元康たちを捜す中で、「人型の霊亀の使い魔」を名乗る美女のオスト=ホウライと出会う。霊亀の暴走を仲間たちと共に阻止した尚文たちだったが、オストから告げられたのは霊亀がまだ生きているという事実だった。さらにオストは、霊亀をあやつってこの世界を滅ぼそうとする真の黒幕の存在を語る。オストと共に行動することになった尚文たちは、霊亀を封印して欲しいという彼女の要請を受け、協力して霊亀に立ち向かうことになる。オストに導かれて決死の霊亀封印作戦を展開する尚文たちだったが、どんどん力を増していく霊亀の前に、苦戦を強いられる。急遽(きゅうきょ)参戦したフィトリアの強力な一撃を受けても、霊亀は復活を繰り返し手に負えない状態だった。対抗する術がないまま、起死回生を期して霊亀の体内に侵入した尚文たちは、冒険者の三人組に遭遇。だがその三人の正体は、以前カルミラ島で戦ったラルクベルクグラステリス=アレキサンドライトであった。ラルクベルクたちの目的がわからぬまま尚文たちはさらに奥に進み、最奥にある霊亀のコアで、一連の事件の黒幕であるキョウに遭遇。キョウはラルクベルクたちと同じ異世界から来た眷属器の所有者で、「本の勇者」でもあった。捕えた元康たちの力を吸収して霊亀の力をあやつるキョウに圧倒される尚文たちが苦戦する中、姿を消していたラルクベルクたちが駆けつける。度を過ぎた侵略行為に手を染めるキョウを止めるべくやって来たと言うラルクベルクたちと共闘する尚文たちは、互いに協力してキョウに立ち向かう。

異世界の無限迷宮編(第16巻)

霊亀事件の真犯人、キョウとの死闘の末に、岩谷尚文たちはオスト=ホウライという尊い仲間の犠牲を経て、暴走していた霊亀を封印することに成功した。深手を負って逃亡したキョウを追って、尚文たちは新たな異世界へと向かう。だが、尚文は転移の途中でラフタリアフィーロとはぐれてしまい、目が覚めた先は見知らぬ牢屋の中で、いっしょにいるのはリーシア=アイヴィレッドだけだった。さらに、理が違う異世界に来たことで二人ともレベル1にリセットされ、戦闘力が大幅に落ちていた。牢屋から抜け出した尚文たちが外に出るとそこには海が広がり、慣れない場所で低レベルの魔物にも苦戦する羽目になってしまう。仲間が散り散りになった状態のまま、なんとか謎の牢獄「無限迷宮」から抜け出そうとする尚文たちは、魔物に襲われてピンチに陥る中で、謎の少女、風山絆に助けられる。絆はこの世界の四聖勇者の一人「狩猟具の勇者」を名乗り、尚文は警戒しながらも彼女の話を聞くことになる。絆はグラスたちの友人でもあり、仲間たちとはぐれた彼女は一人で敵国の無限迷宮に閉じ込められ、何年も一人で生き続けていた。尚文たちはこの世界に詳しい絆と協力して、無限迷宮からの脱出を目指すことになり、周囲の建物の内部を調査し始める。試行錯誤の末に脱出に成功した尚文たちは、絆の助言を受けながら、はぐれたままのラフタリアとフィーロを捜すことになる。

メディアミックス

小説

本作『盾の勇者の成り上がり』は、アネコユサギの小説『盾の勇者の成り上がり』を原作としている。原作小説版はKADOKAWA フロンティアワークスから刊行され、イラストは弥南せいらが担当している。

登場人物・キャラクター

岩谷 尚文 (いわたに なおふみ)

日本に住む大学生の青年。年齢は20歳。ゲームやファンタジーを好むオタクであり、以前は穏やかで少々お調子者な性格だったが、ある出来事をきっかけに人を信用しない荒(すさ)んだ性格に変わっていった。図書館で開いた本を通し、「盾の勇者」として異世界のメルロマルクに召喚される。ほかの勇者たちと共に厄災の波に立ち向かうという使命を与えられて旅立つが、唯一の供となったマインの裏切りによって、財産だけでなく勇者としての信用を失い、冤罪で強姦疑惑までかけられてしまう。絶望から他者を信用できなくなり、恨みから目付きが鋭くなってやさぐれた青年と化し、ストレスから一時期は味覚障害に陥っていた。一人で旅をする中で出会ったラフタリアを攻撃役として迎え、当初は主従関係でしかなかった彼女と信頼関係を築いていく。度重なる理不尽から嫌悪する相手の不幸を喜ぶ悪癖が身についたものの、本来は優しく面倒見のいい性格で、弱い立場の者や不当な扱いを受ける者は放っておけず助けようとする。一方で、マインやオルトクレイ=メルロマルク32世との因縁から王族を信用しなくなり、敵対する相手には容赦なく報復を与えようとし、自らの目的のためなら、時には邪道な行為に手を染めることもある。疑り深くなった反面、ラフタリアやフィーロのように信頼している仲間は大切にし、受けた恩義は返そうとする義理堅い一面もある。虐げられた恨みから戦いの中でカースシリーズ「憤怒の盾(ラースシールド)」に目覚め、強力な戦闘力の代わりに精神が飲み込まれそうになることがある。特技は料理とクラフト技術で、行商の旅の中で宝石などを加工したアクセサリーを作れるようになった。異世界に来る前から乗り物や酒には強く、乗り心地が悪いフィーロの馬車に乗っても平気で、酒の素になるルコルの実を複数食べられるほど。

ラフタリア

ラクーン種の亜人の少女。年齢は10歳。岩谷尚文が最初に購入した奴隷。茶髪のロングヘアで、獣耳と尻尾が生えている。当初はおとなしく臆病な性格だったが、尚文のもとで成長し勇敢でまっすぐな性格に変わっていった。元はメルロマルクの辺境の農村で、家族や幼ななじみのキール、リファナと共に平和に暮らしていた。しかし、厄災の波によって両親と故郷を失い、亜人狩りに遭って奴隷としてイドルに虐げられていた。イドルに飽きられてからは奴隷商人に買われ、尚文と出会う。栄養不良やトラウマからいくつもの病気を抱えており、尚文に買われたばかりの頃はパニック状態に陥ったり夜泣きをすることも多く、魔物との戦闘でも役に立たなかった。それでも尚文と過ごすうちにトラウマを少しずつ乗り越えていき、彼を慕うと同時に身も心も成長していく。レベルアップに合わせて体が成長する亜人の性質から、急激なレベルアップの影響を受け、短期間で大人の美女に急成長した。もともと盾でしか戦えない尚文の攻撃役となるために買われたため剣を武器に戦い、魔力剣や幻覚魔法なども使いこなせる。尚文と共に厄災の波をはじめとする困難の数々を乗り越えたことで、ほかの四聖勇者たちと同等に渡り合えるほどにレベルアップしていった。成長後はませた言動が多くなり、尚文をたしなめたりすることも増えるなど、大人っぽくなっていった。北村元康に一目惚れされ、因縁をつけて一方的な決闘を仕掛けた彼に奪われそうになるが、尚文を信じて元康を拒絶することを選び、自ら戻っていった。これらの出来事は荒んでいた尚文の心を大きく救い、彼とのあいだに強い信頼関係が生まれていく。

フィーロ

「フィロリアル」という魔物の少女。岩谷尚文が買った魔物の卵から孵った。フィロリアルの突然変異種「フィロリアル・クイーン」でもあり、ほかのフィロリアルよりも体が大きく戦闘力も高い。白色に桃色が混じった羽毛を持つダチョウのような大型の鳥獣で、成長と共に人間体に変身することができるようになり、言葉も話せるようになった。人間体の時は金髪碧眼の美少女の姿となる。馬車を牽(ひ)くことや食べることが大好きで、いつも元気で天真爛漫な性格をしている。育ての親でもある尚文のことは「ご主人様」と呼び慕っているが、時おり我儘を言ったり聞き分けが悪くなるなど、子供っぽい一面も見せる。ラフタリアとは仲がいいものの、尚文を巡って対抗心を燃やし合っている。天使のような少女の姿は北村元康に気に入られているが、彼が尚文に無礼を働くということもあって、会うたびに蹴飛ばすほどに嫌っている。基本的に誰に対しても明るく気さくに接するが、尚文に危害を加える者にははっきりと嫌悪を示し、容赦しない。戦闘においては脚力を活かした足技が得意で、尚文のパーティでは切り込み隊長を務めている。ほぼ無意識だが魔法の扱いにも長(た)けており、簡易な魔法や呪術であれば無効化することもできる。このため変身した時に破れない服を着る必要があり、尚文たちによって特殊なアイテムを使った高級服が与えられた。旅中で出会ったメルティ=Q=メルロマルクと意気投合し、親友になった。尚文が始めた行商においては馬車を牽く役を務め、あちこちを回るうちに人々から「神鳥」と評されるようになる。のちに出会ったフィトリアとは1対1の勝負を行い、人間形態における戦い方を彼女から学ぶ。さらにフィトリアに認められ、不思議な力を持ったアホ毛(冠羽)が生え、これを通して彼女とも交信ができるようになった。

北村 元康 (きたむら もとやす)

ネットゲーム「エメラルドオンライン」が存在する日本から召喚された青年。年齢は21歳。四聖勇者の一人で、槍を武器とする「槍の勇者」。茶色がかった金髪をポニーテールにまとめた美青年で、女性に非常にモテる。四聖勇者の中ではもっとも明るく情熱的な性格をしており、一度信じた相手のことはどこまでも信じ切るなど仲間思い。元いた世界で二股をしていたことが原因で、女性に刺されたあとに異世界に召喚された。異世界によく似たエメラルドオンラインをプレイしていたことから、ゲームの世界にやって来たと思っており、勇者としての戦いもゲーム感覚で楽しんでいる。岩谷尚文を騙していたマインのことを信じ抜いたため、彼女を強姦したという疑惑がかけられた尚文とは、敵対することが多くなる。その後は事あるごとにあちこちで尚文一行に遭遇し、マインの策略で彼と決闘を繰り広げている。学業の成績は悪くないものの、深く考えずに突っ込む猪突猛進なところもあり、マインとオルトクレイ=メルロマルク32世にすっかり騙(だま)されてしまう。尚文の説得を聞いてもマインの言うことがウソだと信じることはなく、いきなり彼を疑って殴りかかってくることすらある。もともと女好きであったため女性の従者を多数連れており、元いた世界では複雑な女性関係を抱えていたこともあり、今度こそ仲のいいハーレムを作ることを目的に、あちこちで女性を仲間にしながら旅をしている。ラフタリアやフィーロに一目惚れし、彼女たちが奴隷として酷使されているという一方的な勘違いで、尚文から救い出そうとしたこともある。特に天使のような幼女が好みで、人間体のフィーロのことは気に入っている。

メルティ=Q=メルロマルク

岩谷尚文たちが旅中で出会った少女。当初は尚文たちに対して「メル」と名乗っていた。紫紺の長髪をツインテールにまとめ、水色のリボンを付けている。魔物「フィロリアル」が大好きな明るく優しい少女で、フィーロと意気投合し親友になる。愛称は「メル」。護衛とはぐれたという理由で尚文たちと共に王都へ向かうが、到着後にマインたちと再会した際に、メルロマルクの第二王女であったことが判明する。第二王女でありながら王位継承権は姉のマインより上で、彼女とは異なり王族としての責任感が強く、友人思いなしっかり者でもある。魔法使いとしての適性が高く、水魔法による援護が得意。厄災の波をはじめとする戦いにも、尚文たちの支援という形で参加している。当初は王族への信用をなくした尚文から疑われがちで溝があったものの、いくつかの出来事や戦いを経て苦楽を共にするうちに、尚文にとって信頼できる仲間の一人になっていった。三勇教との戦いのあとは、メルロマルクに帰還した母親のミレリア=Q=メルロマルクと再会。尚文の冤罪が晴れてからは彼との旅で見た亜人奴隷に対する仕打ちについて考え、人間が亜人を差別しない国にしたいと決意する。その後はミレリアと共に、尚文一行をさまざまな形でサポートしている。三勇教の刺客から命を狙われた際に、窮地を救ってくれた恩人でもある尚文のことが気になっているが、彼からは子供扱いされがち。

天木 錬 (あまき れん)

VRMMO「ブレイブスターオンライン」が存在する日本から召喚された男子高校生。年齢は16歳。四聖勇者の一人で、剣を武器とする「剣の勇者」。四聖勇者の中では最年少で、冷静で疑り深い性格をしており、コミュニケーションを取ることは苦手。ちなみにカナヅチで、水に入ると浅瀬ですら動けなくなってしまう。岩谷尚文に次いで常識的かつ理性的だが、異世界とよく似た体感型ゲームのプレイヤーということもあって、異世界がゲームであるという思い込みが強い傾向にある。相手の話には耳を傾けるものの、少々プライドが高く相手を見下すことがある。

川澄 樹 (かわすみ いつき)

コンシューマーゲーム「ディメンションウェーブ」と異能力が存在する日本から召喚された男子高校生。年齢は17歳。四聖勇者の一人で、弓を武器とする「弓の勇者」。育ちのよさそうな巻き毛の短髪の少年で、「命中」の異能力を持っている。日本にいた頃は異能力の弱さがコンプレックスで、少々偏った正義感を抱くようになった。このため、異世界に来てからは自分が勇者であることを隠しながら、悪徳貴族などをこらしめて正義感に浸っている。仲間からも強い忠誠や恩義を抱かれている一方、苦しんでいる民衆の意見しか聞かないことやアフターフォローの不足から、想定外の事態を招くことがある。また、仲間の一人であるリーシア=アイヴィレッドに冤罪をかけて追放したため、彼女を放っておけなくなった岩谷尚文からは敵視されるようになる。

マイン

岩谷尚文の最初の仲間となったメルロマルクの女性従者。赤毛のセミロングの美女で、尚文を気遣ったり励ましたりしながらさまざまな助言を与えるなど、優しく接する。異世界に来たばかりの尚文にとっては唯一味方となってくれた頼れる仲間だったが、宿で彼が寝ているあいだに全財産を盗んで逃亡。尚文に強姦されたというウソの証言で彼を陥れ、北村元康を騙して仲間となった。実はメルロマルク第一王女でもあり、本名は「マルティ=S=メルロマルク」。しかし、王位継承権は妹のメルティ=Q=メルロマルクより低く、問題行為が多いことから母親のミレリア=Q=メルロマルクからはまったく信用されていない。その一方、オルトクレイ=メルロマルク32世からは溺愛されているため、彼と結託してその後も尚文を執拗に迫害するようになる。元康たちの前では優しくか弱い女性を演じているが本性は非常に我儘で、自分の利を最優先し他人を平気で貶(おとし)める、冷酷で傲慢な性格をしている。その後も元康と共に行動するが、尚文に再会するたびに元康をけしかけて二人を決闘させ、時には汚い手を使って尚文を負かそうとしていた。三勇教の事件では戦いに巻き込まれる一方で、メルティを尚文ごと抹殺しようと目論むも失敗。この際に帰還したミレリアに、これまでの悪事をオクトレイと共に裁かれることになり、死刑は免れたものの王族としての権利をすべて剝奪される。さらに尚文の要望で「ビッチ」という不名誉な名前に変えられ、冒険者名も「アバズレ」に変えられてしまった。さらに悪事を働けぬよう強力な奴隷紋を刻まれ、監視を付けられるようになる。その後は多少おとなしくなったものの、改心することはなく尚文を逆恨みしている。

オルトクレイ=メルロマルク32世 (おるとくれいめるろまるくさんじゅうにせい)

メルロマルクの国王を務める男性。マインとメルティ=Q=メルロマルクの父親。メルロマルクが女王制であることから立場は高くなく、不在のミレリア=Q=メルロマルクの代理でしかない。かつては「英知の賢王」などと呼ばれた賢者であったが、現在は傲慢な性格の暴君と化している。三勇教が無断での四聖勇者を召喚することを許容し、盾の勇者として召喚された岩谷尚文を理不尽に迫害し、娘のマインと結託して彼を貶める。尚文を追放したあとは事あるごとに彼を冷遇し、マインたちと共に嫌がらせを続ける。過去の因縁から亜人を嫌悪しており、尚文を迫害するのも亜人が盾の勇者を崇拝しているためである。ミレリアが帰還した際に、マインと共に過去の愚行を裁かれることになり、死刑は免れたものの王族の権利を剝奪される。さらに尚文の要望で、「クズ」に改名させられる。

グラス

岩谷尚文たちが召喚されてから2度目の厄災の波で現れた謎の女性。漆黒の和服をまとった理知的な美女で、魔法の扇で攻撃する。尚文以外の四聖勇者たちを難なく蹴散らせるほどの戦闘力を持ち、尚文のパーティとも互角以上に戦えるほどの実力者。尚文たちを追い詰めるが、波の終了と共にその場を去る。当初は波と関係のある侵略者だと思われていたが、魔物を使役する様子はなかった。その正体は別の異世界の住人であり、伝説の眷属器を持つ扇の勇者で、四聖勇者と敵対する存在。のちにカルミラ島で起こった波で再び尚文たちの前に現れ、ラルクベルクとテリス=アレキサンドライトの仲間であったことが判明する。実は人間ではなく「魂人」という霊体のような特殊な種族であり、尚文が取得した盾の一つ「ソウルイーターシールド」には弱い。カルミラ島の戦いでは尚文に敗れ、ラルクベルクたちに連れられてその場から去った。グラス自身を強化できる魂癒水を求め、ラルクベルクたちと共に尚文たちの住む異世界を再び訪れる。その途中で眷属器の命令を受け、霊亀をあやつって過剰な侵略行為に走るキョウを止めるための戦いに参加し、尚文たちとも共闘する。風山絆の親友であり、ふだんは能天気な彼女を窘(たしな)めることが多い。

エルハルト

メルロマルクの城下町で武器屋をしている中年の男性。岩谷尚文からは「武器屋の親父」と呼ばれていることが多い。冒険者をしていたこともあり、筋肉質な体格をしている。優しく気のいい性格で、冤罪で理不尽に汚名を着せられた尚文を信用し好意的に接するなど、人間不信に陥った彼が信用できる数少ない人物となっている。元は他国の出身で、身近に獣人がいたこともあり、亜人など他種族への偏見も持たない。武器屋としての腕前も優秀で、尚文にオーダーメイドで「蛮族の鎧」を作ったり、彼が持ってきた素材で新しい武器を作ったりもしている。その後も何かと尚文たちに協力し、さまざまな形で彼らの冒険をサポートしている。

リファナ

イタチ系の亜人の少女。ラフタリアの幼なじみ。メルロマルクの最初の厄災の波のあと、ラフタリアたちと共にイドルの奴隷になり、拷問されて衰弱死した。遺体は屋敷の地下に放置されていたが、イドルを倒したラフタリアによって回収され、ヴァンによって埋葬された。盾の勇者にあこがれを抱き、将来は亜人を大切にした盾の勇者のような人といっしょになりたいと語っていた。

キール

ワーヌイ種という亜人(獣人)。ラフタリアの幼なじみ。中性的な顔立ちで少年のように見えるが、親の教育で男だと思わされていただけで、本当の性別は女性。メルロマルクの最初の厄災の波のあと、ラフタリアたちと共にイドルの奴隷になり、地下牢に閉じ込められていた。イドルを倒した岩谷尚文とラフタリアによって救出され、ヴァンに保護された。のちにカルミラ島から帰った尚文たちと再会し、強くなってラフタリアを守りたいという願いから、彼らの仲間になった。霊亀事件では霊亀の使い魔を一人で倒そうとして負傷し、尚文たちの治療を受けたあとは戦いから離脱する。

フィトリア

魔物「フィロリアル」の突然変異種「フィロリアル・クイーン」の少女。フィロリアルたちをまとめているリーダー的な存在。白と空色の巨大な鳥獣の姿で、フィーロと同様に人間体にも変身でき、言葉も話せる。人間体の時は、空色交じりの銀髪と赤目を持つ少女の姿となる。クールで理知的な性格だが、自らの目的のためであれば誰にも容赦はしない。ふだんはフィロリアルの聖域に住み、人里離れた場所で起こる厄災の波に対応している。戦闘力は非常に高く、人間体でも風の魔法を駆使して戦える。また、一人で各地に出向いて波を退けるほどの実力を持ち、その気になれば四聖勇者を皆殺しにすることもできる。次期クイーンとなったフィーロの実力を確かめるため、また新しい四聖勇者たちの内情を知るために、タイラントドラゴンと戦っていた岩谷尚文たちの前に現れる。クラスアップに干渉することで身体面のステータスを倍増できる能力を持ち、ラフタリアとフィーロのクラスアップに干渉した。勇者同士のいがみ合いを危惧しており、メルロマルク以外の波を放置していることに落胆し、場合によっては尚文たちを排除して新しい勇者を召喚させようと考えていた。フィーロとの一騎打ちの中で彼女の実力を認めつつ戦い方を教え、冠羽と祝福を与えることで彼女と交信ができるようになった。これ以降は尚文たちが互いに和解し協力するよう求めながら、フィーロとの交信を通して監視や助言を行っている。霊亀事件では霊亀本体との戦いに駆けつけ、元の巨大鳥の姿になって霊亀と激戦を繰り広げた。

ビスカ

三勇教の教皇を務める中年の男性。岩谷尚文がラフタリアの聖水を購入する際に教会で出会い、この時は優しく慈悲深い人物のように思われていた。実はメルロマルクの四聖勇者を召喚し、盾の勇者の迫害にも加担していた黒幕でもある。教義のためであれば手段を選ばない冷酷な狂信者で、本来は信仰対象であるはずの尚文以外の勇者たちの排除も目論む。さらには王族を殺して三勇教がメルロマルクを支配できるよう画策し、尚文たちだけでなくメルティ=Q=メルロマルクも殺害しようとする。勇者の持つ聖武器すべての能力を備えた「複製品」を武器として持ち、信徒たちの魔法による援護を受けることで、絶大な戦闘力を発揮する。四聖勇者とその仲間たちと対峙するもこれらの力で圧倒し、全滅寸前まで追い込んだ。しかし、ミレリア=Q=メルロマルクの援軍が到着したことで不利になり、尚文によって逆転されて死亡した。

ヴァン

亜人友好派の男性。メルティ=Q=メルロマルクの知己の貴族で、自らの領地に数多くの亜人を迎え、彼らと共に平和に暮らしている。黒の長髪で丸い眼鏡をかけており、穏やかで優しい性格の良識人。三勇教に追われたメルティに助けを求められ、彼女と逃亡中の岩谷尚文たちを屋敷に匿う。兵を連れたイドルに押し入られて誘拐されるが、拷問を受けても口を割らず、尚文たちに救出された。その後はイドルが召喚したタイラントドラゴンの被害に遭った住民たちの救助活動を行いながら、尚文たちが救出したキールを保護し、ラフタリアから預かったリファナの遺体を埋葬した。その後もキールを保護しながら尚文たちをサポートしており、尚文にとっても信頼できる数少ない人物となっている。

イドル

ヴァンの領地のとなりにある街の領主をしている中年の男性。亜人排斥派の貴族。小太りな体型で、醜悪で身勝手な性格をしている。亜人奴隷を弄ぶ歪んだ趣味を持ち、親を亡くしたラフタリア、キール、リファナを買って地下に幽閉・拷問していた。奴隷たちを執拗に痛めつけてリファナを衰弱死させるなど、ラフタリアが抱えるトラウマの元凶となっている。逃亡中の岩谷尚文一行を捕えるためにメルティ=Q=メルロマルクとヴァンを連れ去り、ヴァンを拷問する。救出に来た尚文たちに追い詰められ、再会したラフタリアに復讐されて窓から突き落とされる。しぶとく生き延びて街の中心でタイラントドラゴンの封印を解くが、暴走したタイラントドラゴンに踏みつぶされて死亡した。

ミレリア=Q=メルロマルク

メルロマルクの最高権力者である女王。マインとメルティ=Q=メルロマルクの母親。紫紺の長髪と若々しい美貌を誇り、冷静な判断力を持つ才女。世界中を旅していたこともあり、博識で視野も広い。人間至上主義のメルロマルクを治めているものの、亜人や盾の勇者に対しての差別意識は持たず、異種族との共存政策を進めるなど、戦争が起こらないよう尽力してきた。しばらく留守にしていたが、三勇教との戦いの途中で帰還し、勝利に貢献した。岩谷尚文の意識が戻ったあとはこれまでの非礼を詫び、今後の厄災の波に立ち向かうべく協力することを約束した。次女のメルティのことは次期女王として大切に育てる一方、マインのことは昔から信用していない。かつて「英知の賢王」と賞賛されたオルトクレイ=メルロマルク32世に惚れ込んでいたが、現在は落ちぶれた彼に幻滅している。それでも家族思いの性格でもあるため、マインとオクトレイの裁判の際は命までは奪わぬよう遠回しに尚文に頼み、マインの改心をうながしたり、オルトクレイがかつての賢王に戻ることに期待している。マインたちの処罰が決まったあとは、金銭面や素材提供などさまざまな形で四聖勇者たちをバックアップし、彼らの戦闘訓練のための戦闘顧問なども招集している。カルミラ島で起こった波では自ら大艦隊の指揮を執るなど、戦闘にも参加。全盛期のオクトレイには劣るものの、頭脳明晰で指揮能力が高い。

ラルクベルク

カルミラ島へ向かう船の中で、岩谷尚文たちが出会った冒険者の男性。赤髪短髪で巨大な大鎌を担いだ、長身で筋肉質な体型をしている。愛称は「ラルク」で、明るく気さくで面倒見のいい性格だが、少々スケベなところもある。相棒のテリス=アレキサンドライトと行動を共にし、彼女に好意を抱いている。年下の相手のことは「坊主」や「嬢ちゃん」と呼んでいる。当初は尚文が盾の勇者だという話をまったく信じていなかったが、カルミラ島で再会した際にいっしょにレベル上げをすることになり、魔物を狩ったり、食事をしたりと交友を深めていく。その過程で、尚文が盾の勇者であると信じるようになった。その正体はグラスと同じ異世界に住む眷属器の所有者であり、鎌の勇者でもある。カルミラ島で起こった厄災の波で正体を明かし、自分たちの住む世界を救うために尚文たちとは敵対するようになる。それでも狙っているのは敵対する世界の四聖勇者のみで無関係な者の虐殺行為は好まず、霊亀事件では過剰な侵略行為に走るキョウと敵対し、尚文たちとも共闘することになる。キョウの逃亡後は彼を追って自分たちの世界に帰還するが、そこで尚文たちとはぐれたラフタリアを保護する。

テリス=アレキサンドライト

ラルクベルクといつも共に行動している冒険者の女性。青色の長髪を三つ編みにまとめた美女で、魔法を使う際には髪と瞳が赤く染まる。お淑(しと)やかで上品な性格で、ラルクベルクを窘めることも多い。ふだんはまじめで礼儀正しいが宝石に強い興味があり、宝石やアクセサリーの話になると目の色が変わる。カルミラ島へ向かう船でラルクと共に岩谷尚文一行と出会い、親しくなって共にレベル上げをした。交友の中で尚文の細工の評判を知り、アクセサリー作りを依頼し、彼の最高技術に惚れ込んで絶賛している。実は額に宝石が埋まったジュエル(晶人)という亜人であり、ふだんはサークレットで額を隠している。宝石から力を借りることで特殊な魔法を使用し、宝石やアクセサリーの質がいいほど強力になる。その正体は、ラルクベルクやグラスと同じ異世界に住む眷属器の所有者。カルミラ島で起こった厄災の波で正体を明かし、自分たちの住む世界を救うために尚文たちとは敵対するようになる。それでも狙っているのは敵対する世界の四聖勇者のみで無関係な者の虐殺行為は好まず、霊亀事件では過剰な侵略行為に走るキョウと敵対したため、尚文たちとも共闘する。キョウの逃亡後は彼を追って自分たちの世界に帰還するが、そこで尚文たちとはぐれたラフタリアを保護する。

リーシア=アイヴィレッド

川澄樹のパーティに所属する少女。緑色の長髪を三つ編みにまとめ、童顔だが実年齢は17歳。かなり気弱な性格で、事あるごとに「ふぇぇぇ」と弱々しい声を上げる癖がある。レベルは68だがステータスが異常に低く、仲間たちから冤罪をかけられ、戦闘で役に立たないという理由で樹に解雇されてしまう。樹に見捨てられたことで絶望して入水自殺を図るが、見かねた岩谷尚文に、強くなって樹たちを見返すよう説得され、尚文のパーティに加わることになる。のちの修行の中で「気」をあやつる変幻無双流の才能を見出され、エルラスラの門下生となった。元はメルロマルク北方の没落貴族、アイヴィレッド家の出身で、悪徳貴族に売られそうになっていたところを樹に救われる。人助けをする樹に感銘を受けて仲間となり、彼には恩義を感じている。カルミラ島で入手した着ぐるみの装備を気に入っており、いつも着用している。昔は隣国のフォーブレイの学校に通っていたこともあり、知識も豊富で別の異世界の言語なども習得している。これらのことから、謎の解明や文書の解読など知識面でも活躍している。気弱ながら真っ直ぐでがんばり屋な一面もあり、樹のパーティ内で立場が低く冷遇されても、彼のために一途に雑用をこなしていた。また、助けてもらった樹への恩義は解雇されたあとも変わっておらず、彼のことをいつも気にかけている。人一倍強い正義感を秘めており、卑劣な悪人に対して怒りをあらわにすると同時に隠された力を覚醒させ、ふだんとは見違えるほどに勇敢に戦う。

エクレール=セーアエット

メルロマルクの女性騎士。メルロマルクでも5本の指に入る達人で、剣術大会で上位入賞するほどの凄腕の剣術使い。ストロベリーブロンドのロングヘアで甲冑(かっちゅう)をまとい、生真面目で実直な性格の持ち主。領主をしていた父親が厄災の波によって亡くなったあと、ラフタリアたちの故郷を襲った兵の亜人狩りを止めようとした際に捕らえられ、牢獄に入れられて衰弱していた。のちに帰還したミレリア=Q=メルロマルクによって釈放され、回復後はミレリアの要請で四聖勇者の稽古を担当する戦闘顧問となり、岩谷尚文たちと出会う。この際に領地を守れなかったことを、父親に代わってラフタリアに謝罪し、剣の稽古などを通して親しくなった。尚文たちと共に修行してパーティの一員となり、霊亀事件でも尚文たちと共に行動し、霊亀を封印する戦いに参加した。騎士道にはこだわりがあるが、剣術以外のことには少々疎い。

エルラスラ

戦闘顧問としてミレリア=Q=メルロマルクが招集した老婆。「気」をあやつる変幻無双流の伝承者。かつては病気で死にかけていたが、行商の旅をしていた岩谷尚文が届けた薬によって回復し、カルミラ島での修行を経て戦闘ができるほど元気になった。これらの経緯から尚文に恩義を抱き、彼を「聖人様」と呼んでいる。戦闘顧問となったあとは四聖勇者と、その仲間たちに変幻無双流を伝授しようとするが、尚文以外の勇者はきつい修行を嫌い逃亡した。修行の過程でリーシア=アイヴィレッドに変幻無双流の才能があることに気づき、門下生となった彼女に特殊な訓練を施す。霊亀事件では尚文たちと共に行動し、霊亀を封印するための戦いにも参加した。尚文にも修行方法の相談に乗ったり気の扱い方を教えるなど、戦闘顧問として大いに活躍し、彼らをサポートしている。

霊亀 (れいき)

異世界に存在する守護獣。世界を守護する役割を持つ「四霊」と呼ばれている魔物の1体。山を丸々背負えるほどの巨大な亀の姿をしている。世界の生物の命や自らの存在と引き換えに、厄災の波を防ぐ結界を張る役目を持つ。メルロマルクの東側にある霊亀国という中華風の国で封印されていたが、キョウによって封印を解かれ、心を失いあやつられるようになる。複数の使い魔をあやつり、亀の甲羅が付いた使い魔は死体や人に卵を産み付け、それらを苗床にして数を増やしている。本体は巨体を活かした蹴りや踏みつけなどの物理攻撃のほか、重力魔法やドレイン効果のある電撃を攻撃手段とする。さらに、相手の力を奪って電撃を連発することもできる。キョウにあやつられたことで暴力的で甲羅にトゲが生えた禍々しい姿と化し、トゲをミサイルのように発射するなど広範囲の攻撃もできるようになった。自己再生能力を持ち、頭と心臓を同時に潰さない限り何度も復活する。体内へ侵入するための霊亀洞という洞窟があるが、かなり複雑な構造であるうえに、あちこちに使い魔が潜んでいるため奥に進むのは困難。心臓には目があり、熱線や魔力吸収弾などを放って攻撃することで守られている。キョウの力で強化されたことで心臓の破壊でも倒せなくなっており、さらに奥にあるコアを破壊する必要がある。

オスト=ホウライ

霊亀の人型の使い魔を名乗る謎の女性。チャイナ服をまとった、妖艶な巨乳美女の姿をしている。霊亀国にいるあいだは食えない女性を演じていたが、本来はとても献身的で礼儀正しい性格の持ち主。霊亀の使い魔として霊亀国に取り入り、結界のエネルギーを集めながら行動していた。しかし、キョウが霊亀を乗っ取ったことで守護獣としての役割を果たせなくなり、岩谷尚文に霊亀の討伐と封印を依頼し、彼らを霊亀本体のもとへ導く。自らを盾に尚文たちに協力し、自分の弱さを嘆くリーシア=アイヴィレッドを励ますなど優しい一面も見せ、尚文からも信頼を得るようになる。土の魔法や援護魔法のほか、龍脈法という特殊な術を使用する。その正体は霊亀の心そのものであり、霊亀の精神が人の形として具現化した存在。このため霊亀の死は自らの死を意味するにもかかわらず、人々に憎まれる運命を受け入れ、世界のために死ぬことを覚悟していた。これらの覚悟から、尚文たちに協力しつつも一定の距離を置いて接していた。霊亀のコアを破壊された際は誰にも感謝されることなく死ぬつもりでいたが、尚文たちにその死を悲しんでもらえたことを嬉しく思いながら、感謝の気持ちを告げて消滅していった。

キョウ

霊亀を裏であやつって暴れさせていた黒幕の青年。元はラルクベルクたちと同じ世界から来た眷属器の所有者であり、本の勇者。丸い眼鏡をかけており、根暗で陰湿な雰囲気を漂わせている。身勝手で卑劣な性格で、些細(ささい)なことですぐに頭に血が上って周りが見えなくなるなど、短気で自己中心的なところもある。錬金術師の技術を持ち、私利私欲のために霊亀のエネルギーを使って武器型の魔物を作り出すなど、非人道的な実験を行っている。霊亀をあやつることで尚文たちの異世界を過剰に侵略し、大量虐殺に手を染めたことで、仲間だったラルクベルクたちからも問題視されるようになる。霊亀に戦いを挑んだ天木錬、川澄樹、北村元康を捕らえて霊亀のエネルギー源に利用し、さらに霊亀から得た強力な力を使って使い魔たちを使役していた。コアにたどり着いた尚文たちと対峙し、本の眷属器を使用して彼らを苦しめたものの、オスト=ホウライやグラスたちが戦いに加わったことで重傷を負い、キョウ自身の世界に逃走した。

風山 絆 (かざやま きずな)

岩谷尚文たちがキョウを追ってたどり着いた先で遭遇した少女。ラルクベルクたちと同じ異世界に住む四聖勇者の一人であり、狩猟具の勇者。中学生くらいに見えるが、実年齢は18歳。黒の長髪をツーサイドアップにまとめ、ゴシックドレスの上から、親友のグラスにもらった黒い羽織を肩に掛けている。能天気なところもあるが人当たりがよくまっすぐな性格で、見知らぬ者や敵であっても困っている者は助けようとすることから、出会ったばかりの尚文たちにも親切に接する。一人称は「オレ」。尚文には「ロリババア」呼ばわりされているが、自らの見た目があまり成長していないことは少々気にしている。釣り具のような聖武器を持っているが、魔物への攻撃や釣りに使えるだけで、人を傷つけることはできない。やさぐれる前の尚文と似たようなところもあり、釣りが大好きで大物をいつか釣り上げるのが夢。異世界から迷い込んでラフタリアたちと離れた尚文とリーシア=アイヴィレッドを保護し、三人で無限迷宮から脱出すべく協力するようになる。無限迷宮から脱したあとは自分の世界に戻って来られたことを喜び、その後もしばらくは尚文たちと共に行動する。元は魔竜討伐のために召喚され、魔竜を倒したあとも異世界に残っていた。隣国の草原で魔物と戦っていたグラスと知り合い、ラルクベルクたちとも親しくなって行動を共にするが、船旅の途中で遭難し、仲間とはぐれて敵国のミカカゲに捕らえられてしまう。さらに特殊空間の無限迷宮に幽閉され、歳月を数えるのを放棄するほどの時間を、抜け出せない迷宮の中で過ごす。このため、厄災の波を伝承でしか知らず、勇者同士の仲間割れをはじめとする情報をほとんど知らない。

集団・組織

三勇教 (さんゆうきょう)

メルロマルクの国教で、剣・槍・弓の三勇者のみを信仰対象としている宗派。亜人に対しては差別的で、メルロマルクが亜人の国との戦争に勝利してからは、人間至上主義で傲慢な考えが浸透してしまっている。このため亜人が崇(あが)める盾の勇者のことは迫害し、悪魔扱いしている。四聖勇者を召喚した組織でもあり、オルトクレイ=メルロマルク32世たちによる岩谷尚文の迫害にも加担していた。のちに、期待どおりに動かなくなった北村元康たちを偽者呼ばわりするなど、信仰対象であるはずの三勇者も巻き込んで、王家もろとも排除する国家転覆を企むようになる。教皇のビスカを中心に四聖勇者と王族の殺害を目論むも、尚文たちの活躍により失敗に終わった。その後は帰還したミレリア=Q=メルロマルクによって壊滅に追いやられ、邪教として禁止されるようになった。

(かげ)

メルロマルクの秘密警護部隊。黒子や忍者のような黒い衣装をまとい、王族の警護から暗殺、影武者まで幅広い任務をこなしている。隠密行動のプロであり、ふつうの人間であれば気配をいっさい悟らせない技術を持っている。組織内はいくつかの派閥に分かれており、現在のメルロマルクでは女王派と三勇教派が存在する。

場所

メルロマルク

異世界にある王国。岩谷尚文たちが召喚された国でもある。女王制で、国王よりも女王の権限の方が強く、オルトクレイ=メルロマルク32世は不在のミレリア=Q=メルロマルクの代理を務める王である。人間絶対主義で亜人の奴隷制度があり、真逆の亜人絶対主義である隣国「シルトヴェルト」とは敵対関係にある。このため、シルトヴェルトで信仰されている盾の勇者を悪魔とする三勇教が、国教として信仰されている。

カルミラ島 (かるみらとう)

メルロマルク近海にある保養地として有名な諸島。取得する経験値が上昇する「活性化現象」がたびたび確認されている。三勇教との戦いのあとに活性化が確認され、岩谷尚文一行以外の勇者や冒険者たちがレベルアップの修行地として活用することになった。観光地としても有名で、島のあちこちには開拓者の先住民を模した像が残され、その近くにはかつての四聖勇者が残した専用魔法を収めた碑文もある。ドロップアイテムとして、先住民を模した高性能な「着ぐるみ装備」が出ることがあり、ステータス補正以外にも、一時的に種族を変えたり、カナヅチでも泳げるようにする効果を持つ。海底には水中神殿があり、龍刻の砂時計が沈んでいる。

無限迷宮 (むげんめいきゅう)

風山絆たちの異世界にある「ミカカゲ」という国に存在する謎の迷宮。一度入ると二度と出られないとされる隔絶された空間。かつて魔術師が城塞にするために空間操作魔法を使い、空間と魔力の暴走の果てに、転移系スキルでも出られない牢獄のような異空間と化した。さまざまな場所の空間とつながっており、膜に覆われたアーチを潜るとほかの空間に移動でき、中には別の異世界に移動できる場所もある。

その他キーワード

ステータス魔法 (すてーたすまほう)

主に自分のステータスを確認できる、全世界共通の魔法。視界の端のアイコンに意識を集中することで、ゲーム画面のように表示されるステータス画面を出して確認ができる。自分のレベルだけでなく装備や攻撃力、習得している魔法、勇者の場合はさらにスキルや聖武器の詳細などを確認できる。この魔法の存在とシステムの影響で、別世界から召喚された者はゲームの世界だと勘違いすることが多い。

カースシリーズ

四聖勇者の能力や聖武器に生じる邪悪な力。勇者が強いトラウマや負の感情を体験すると、それらを糧にした七つの大罪の武器が発動し、呪いを代償に強力な力を得ることができる。しかし、呪いの影響で精神汚染やステータスダウンなど、いくつかのリスクも存在する。岩谷尚文は戦いの中で「憤怒の盾」が発現しており、高い防御力のほかにも通常の盾にない攻撃手段が得られる代わりに、体力を消耗したり大ケガをすることがある。

四聖勇者 (しせいゆうしゃ)

異世界に召喚される四人の勇者。盾・剣・槍・弓の「聖武器」という特別な武器に選ばれた人物。現地人では四聖勇者になることはできず、聖遺物で召喚される異世界人のみがなれる。メルロマルクでは国教の関係上、盾の勇者以外の剣・槍・弓の勇者をまとめて「三勇者」と呼んで崇める一方、盾の勇者のことは悪魔扱いしているが、亜人のあいだでは盾の勇者が崇拝されている。勇者の種類や人数は召喚前の段階ではわからないうえに、世界の危機が訪れている時でないと召喚できず、世界の危険度によって増減するため、たいていは一人しかやって来ない。岩谷尚文、天木錬、川澄樹、北村元康の四人が同時に召喚されるのは数えるほどしかない希少な例であり、その分、今代は厄災の波による世界の危機が大きいとされている。大半の勇者は異世界と酷似したゲームを元の世界でプレイしていることが多く、システムや地理も把握している。今代でも尚文以外の三勇者は元の世界で似たようなゲームをプレイしており、異世界をゲームの世界だと思い込み、ほかの者たちとの競争感覚で冒険を進めている。このため、三勇者はスキルばかりに頼って地道な特訓や努力を嫌い、旅の中で得た情報を互いに明かさないなど、信頼関係や協力関係を持たない。このような勇者同士の関係の悪さは、フィトリアからも世界を揺るがすほどの問題として危険視されている。

厄災の波 (やくさいのなみ)

世界を滅びに導く謎の災害。単に「波」と称されることもある。発生すると空に亀裂が走り、そこから大量の魔物が降り注いで人々を襲う。各国には次の厄災の波のタイミングを知らせる「龍刻の砂時計」という巨大な砂時計があり、四聖勇者はこれに登録することで、波の発生時に仲間と共に転送される。実は異世界同士の融合が原因となっている現象であり、何者かが意図的に発生させている。波の向こうにある異世界の勇者を殺すことで、自分たちの世界を滅亡から守れるという伝承があり、グラスたちのように別の異世界に侵入して四聖勇者を狙う者もいる。

クラスアップ

レベル40に達した者が龍刻の砂時計に触れることで、レベルの上限を解除することができる儀式。この際にステータスの成長傾向を選択し、資質に合わせて好きな能力をある程度伸ばすこともできる。フィロリアルやドラゴンといった魔物が干渉することで、物理寄りもしくは魔法寄りに特化したクラスアップも可能で、能力が偏る代わりに2倍近いステータス上昇ができる。魔物がクラスアップした時は、上位種や別の魔物に進化することがある。クラスアップに必要な砂時計は国や組織に管理されているため、それなりの実績や後援を受けている者でなければ受けることができない。

クレジット

原作

アネコ ユサギ

キャラクター原案

弥南 せいら

書誌情報

盾の勇者の成り上がり 24巻 KADOKAWA〈MFコミックス フラッパーシリーズ〉

第1巻

(2014-06-23発行、 978-4040665931)

第20巻

(2022-02-22発行、 978-4046810472)

第21巻

(2022-06-22発行、 978-4046814524)

第22巻

(2022-12-22発行、 978-4046819840)

第23巻

(2023-06-22発行、 978-4046825162)

第24巻

(2023-11-22発行、 978-4046830425)

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