神撃のバハムート マナリアフレンズ

神撃のバハムート マナリアフレンズ

ソーシャルゲーム『神撃のバハムート』のスピンオフ作品。「マナリア魔法学院」と呼ばれる学校を舞台に、特異な出生ゆえに孤立していたグレアが、学友たちと絆を深め、やがて学園で発生する数々の事件に立ち向かっていく。竜と人のハーフであるグレアとマナリア王国の王女であるアン、そして彼女たちを取りまく生徒や教師たちの青春が描かれている。「サイコミ」で2016年5月更新分から2017年11月更新分にかけて連載された作品。

正式名称
神撃のバハムート マナリアフレンズ
ふりがな
しんげきのばはむーと まなりあふれんず
原作者
Cygames
漫画
ジャンル
学園
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

「人」「魔」「神」、あらゆる種族の入り混じる神秘の世界ミスタルシア。この地に存在する魔法の名門校「マナリア魔法学院」に、グレアという少女が編入してきた。彼女は人と竜の混血ゆえに周囲とうまくなじむことができず、自由時間はつねに音楽室で、一人でピアノを弾いてばかりいた。孤独ゆえに自分の人生に彩りを感じられず、「自分の時は止まったまま」と嘆くグレアだったが、そんな彼女の前に、マナリア王国の王女であるアンが現れ、友達にならないかと誘われる。グレアは、屈託のないアンの態度にとまどいつつも、楽しいという感覚をはっきりと実感し、初めての友達ができたことに喜びを覚える。さらに、アンの従者であるオーウェンや、召喚士のルゥといった生徒たちと交流を育み、一転して学園内の人気者となる。そんな中、マナリア魔法学院とルナル魔術教会による魔術交流戦が催されることとなった。ルナル魔術教会所属の魔術師プリスは、アンにライバル心を向け、彼女の人懐っこさに毒気を抜かれつつも正々堂々と戦おうとするが、プリスの義父であるフロウが自らの野望のために学院を襲撃する。プリスの実父であったマナリアの教師、ハインラインの尽力もあってフロウは撃退されるが、彼が放った退行魔術によってアンが幼児化させられてしまう。グレアたちはアンにかけられた退行魔術を解除すべく、交流戦の会場とされていた迷宮の奥にあるセラフ・マナリアの祭壇へと向かう。

第2巻

セラフ・マナリアの祭壇にたどり着いたグレアたちは、迷宮の主であるセラフ・マナリアと邂逅。そして、アンにかけられた退行魔術を解除するために必要となる、セラフの力を獲得する試練を受けることになった。しかし、マナリアの展開する結界の強度はすさまじく、グレアとオーウェンの渾身の攻撃でも傷一つ付けることはかなわなかった。一行は、このままではアンを救えないと焦るが、学園生活の中で多くの絆を育んできたグレアは、マナリアの結界が力によって破られるものではなく、その存在を受け入れることで中和されることに気づく。そしてみごとに試練を乗り越え、アンを元の姿に戻すことに成功する。日常に戻ったグレアとアンたちは、後輩のリディの悩みを解決しつつ学校生活を満喫していたが、ある日、アンが魔法を学ぶために留学するという話が持ち上がる。グレアはアンを見送ってその帰りを待っていたが、功を焦った数名の生徒が独断でケイオスプリズンを開放し、モノリスから暗獄の魔物たちを呼び寄せてしまう。魔物たちはこれ幸いと破壊の限りを尽くそうと暴れ回り、ついにマナリア魔法学院自体を占拠。アン不在の状況で最悪の事態を迎えたグレアは焦りを見せるが、ハンナたちの声援によって奮起し、ついにモノリスの破壊を成し遂げる。しかし、実際はモノリスはケイオスプリズンの鍵に過ぎず、さらに強力な魔物が出現。彼らの総攻撃でグレアは負傷し、万事休すかと思われたその時、駆けつけたアンがグレアの窮地を救う。そしてグレアとアンは力を合わせて、ケイオスプリズンの封印を成し遂げる。

メディアミックス

アニメ

本作『神撃のバハムート マナリアフレンズ』のTVアニメ版にあたる『マナリアフレンズ』が、2019年1月から6月にかけて放送された。製作はCygamesPicturesで、シリーズ構成を関根聡子が担当した。キャストは、アン役を日笠陽子が、グレアを福原綾香が、それぞれ務めている。舞台や登場キャラクターは本作とほぼ同様だが、ストーリーは一新されている。また、「ウィリアム」や「ミランダ」「ジル」など、アニメ版にのみ登場するキャラクターも存在する。

ソーシャルゲーム

ソーシャルゲーム『グランブルーファンタジー』において、マナリア魔法学院を舞台としたイベントである「孤独の竜姫」と「蒼空の向こう側」が期間限定で開催された。前者は、グレアを主人公としたもので、本作『神撃のバハムート マナリアフレンズ』の最終章にあたる、ケイオスプリズンにかかわる事件を、グランブルーファンタジーの主人公たちと共に解決していくクロスオーバーシナリオとなっている。後者は、グレアやアンのほか、オリジナルキャラクターとなる不良生徒たちが活躍するシナリオが展開される。

登場人物・キャラクター

アン

マナリア魔法学院に通っている少女で、マナリア王国の王女でもある。学院の中でもトップクラスの魔力と、英霊をあやつる能力を備えている。明るく朗らかな性格の持ち主で、人とは異なる特徴を持つグレアに対してまったく臆することなく友達になろうとした。そして、ピアノの連弾を行うなどして交流を深めていき、グレアの心を開いてやがて無二の親友となっていく。それからは、グレアや従者であるオーウェンたちと共に、学園生活を楽しみつつ生徒たちの悩みを解決していく。成績も優秀で、生徒や教師問わず多くの関係者から注目されていたが、学園内における活躍が知れ渡るにつれて、グレアと共に多くの生徒たちから、さらに高い人気を集めるようになる。ルナル魔術教会との魔術交流戦では、ルナル側の魔術師であるプリスからライバル心を向けられるが、それを受け止めたうえで正々堂々とした戦いを望み、その最中にフロウが引き起こした事件を共に解決する。その過程でフロウの放った退行魔術を受けて幼児化してしまうが、グレアがセラフ・マナリアの祭壇で獲得した力によって元の姿を取り戻した。のちに魔法を学ぶため、他国に留学に赴いている。

グレア

マナリア魔法学院に転校してきた少女。竜と人間のハーフで、「竜姫」という異名で呼ばれることもある。姿形はヒューマンと大して変わらないが、竜を思わせる翼と角、尻尾が生えており、右手を変異させることで強大な力を発揮できる。特異な生まれであることから、故郷でもマナリア魔法学院においても孤立しており、自分の居場所などどこにもないと悲観的だった。そのため、放課後は音楽室にこもってピアノばかりを弾いていたが、ある時、ピアノの音に惹かれてやって来たアンと知り合う。当初は自分の姿や力を恐れてアンとも距離を置こうとしていたが、ありのままを受け入れてくれる彼女に心を開き、やがて親友となった。それからは音楽室にこもることもなくなり、アンと二人で学院の生徒たちの相談に乗るにつれて、たちまち人気者となっていき、「音楽室に咲く花」と称えられるようになる。さらに、ルナル魔術教会との魔術交流戦の中でフロウの野望を打ち砕いたり、退行魔術によって幼児化したアンを救ったりと随所で活躍を見せる。ケイオスプリズンから暗獄の魔物が現れた際も、一度は手傷を負わされるが、アンと力を合わせてケイオスプリズンを封印し、魔物たちを一掃した。

オーウェン

マナリア魔法学院に通っている少年。マナリア王国の騎士でもあり、王女であるアンの護衛を務めている。身体能力が非常に高く、剣や馬の扱いにも長けている。また、魔法の腕前も高く、魔法を剣に宿す「魔法剣」と呼ばれる技術を自在に使いこなすため、主人であるアンからも頼りにされることが多い。一方、筋金入りの方向音痴で、ルナル魔術教会との魔術交流戦では一回戦となる魔術騎馬戦に参加したものの、会場をまちがえて不戦敗となっている。アンに対しては高い忠誠心を抱いており、彼女がオーウェンを頼る理由の一つにもなっているが、しばしば忠誠心を暴走させてしまう悪癖があり、心配するあまり女子更衣室の中に駆け込んだりしている。さらに、些細な失態を見せただけでも重大な処分を求め、そのたびにアンを呆れさせている。アン以外に対しても人当たりがよく、彼女の親友となったグレアに対しても、アンと同じようにうやうやしく接している。

ハンナ

マナリア魔法学院で生徒会長を務めている少女。後輩であろうと丁寧な所作で接することが多いが、感情が昂ぶると慌てることも少なくない。面倒見が非常によく、すべての生徒が快適な学校生活を送れることこそが、生徒会長としての使命であると考えている。転入生であるグレアも例外ではなく、彼女が孤立していることを知るや否や、親身になって相談に乗り、彼女を気にかけているアンと、なかよくするように働きかけた。ルナル魔術教会との魔術交流戦では、実家に問題が発生していたために参加することはかなわなかった。しかし、ケイオスプリズンが開き、暗獄の魔物たちが学園内を占拠した際は、大勢の生徒が嘆く中でも決して希望を失わず、アン不在の中でくじけそうになっていたグレアを励まし、彼女や学園の仲間たち、そして帰還したアンやオーウェンらをまとめ上げ、事件解決の立役者の一人となった。

ルゥ

マナリア魔法学院に通っている少女。少々天然気味で要領が悪く、学院での成績もあまりよくない。そのため、何をするにも自信を持てなくなっている。先輩であるアンのことを尊敬しており、アンからもかわいがられているが、彼女から誘いを受けても、引っ込み思案な気質からなかなか前向きになれないことが多い。ルゥ自身は、自分を劣等生であると思い込んでいるが、体の中に秘められた魔力は決して少なくなく、偶然出会ったボールアイのオメメちゃんを使い魔に任命することで、召喚士として適していることが判明する。ルナル魔術教会との魔術交流戦では、第二回戦の召喚戦でなし崩し的にアンと組んで戦うことになるが、オメメちゃんを使役して周囲の魔物を一掃するという活躍を見せている。

オメメちゃん

ルゥの使い魔として使役されている魔物。ボールアイと呼ばれる種族で、ボールのような形状と、巨大な一つ目が特徴となっている。入学式で迷子になったルゥの前に現れ、彼女に懐いたことで使い魔となり、「オメメちゃん」の名前を与えられた。ルナル魔術教会との魔術交流戦では、ルゥの命令に従って魔物の群れに立ち向かい、これらを一掃するという活躍を見せた。ケイオスプリズンが開いた際も、ルゥと共に暗獄の魔物たちに立ち向かったが、あまりの力の差により一蹴された。

リース

マナリア魔法学院に通っている少女で、呪術師として鍛錬を積んでいる。髪飾りに火のついた蠟燭をつけ、さらにつねに五寸釘を持ち歩いている。陰気な性格で嫉妬深く、グレアやアンが人気であることを知ると、強い妬みを向け、二人を呪うそぶりを見せた。マナリア魔法学院が暗獄の魔物たちに占拠された際は、オルドと共に魔物たちの排除を引き受け、巨大な藁人形を武器に戦い抜いた。

オルド

マナリア魔法学院に通っている少年。召喚術を得意としているが、厳つい容貌と不まじめな態度から、周囲からは筋金入りの不良として知られている。グレアが急に学院内で人気になったため、アンからその理由を尋ねられたが、授業から抜け出したいために質問には答えずに立ち去った。マナリア魔法学院が暗獄の魔物たちに占拠された際は、グレアの援護を引き受け、リースと共に魔物たちに立ち向かった。

ルシウス

「ゴブリンスレイヤー」の異名を持つ青年。剣の使い手で、家族の仇であるゴブリンを追って旅をしている。その最中にマナリア魔法学院を通りがかり、グレアとアンから学院に関する質問を受けるが、心当たりがなかったために答えることができなかった。

プリス

ルナル魔術教会に通っている少女。召喚術を得意としており、相棒のリュートからは「お嬢」と呼ばれている。プライドが高く、自分の力に自信を持っており、その自信に見合った高い魔力を誇っている。マナリア魔法学院きっての優等生であるアンに対してライバル心を抱いているが、それはあこがれの裏返しで、魔術交流戦ではアンと戦えることをひそかに楽しみにしていた。実際にアンと出会った時は、ライバル心から若干とげのある態度を向けていたが、彼女が人懐っこい様子を見せてきた時は、気圧されながらも嬉しそうにしていた。魔術交流戦の第二回戦である召喚戦でアンと勝負するが、その際に英霊の力を見せられたことで、彼女が非凡な才能を有していることを認識する。それでも負けまいとリュートと共に召喚術を駆使して魔物の大群を打ち倒していくが、その最中に義父のフロウが不正を働き、さらに退行魔術でアンを幼児化させたことに愕然とする。しかし、生き別れていた実の父親であるハインラインに助けられた。その際、実の娘として名乗り出ようか迷っていたものの、アンの助言を受けたことで、娘として彼の前に出ることを決意する。召喚戦が終了したあとは、エルザと共に迷宮戦に参加する傍らで、アンの退行魔術を解くための手助けを行った。

リュート

ルナル魔術教会に通っている少年。屍術の使い手で、遺骸を組み合わせて作り上げた魔物を自在に使役する力を持つ。プリスの相棒で、彼女を「お嬢」と呼んでいる。彼女の素直になれない性格も熟知しており、アンに対してとげとげしい態度を取っていたプリスが、実際はアンにあこがれていることを暴露し、場を和ませた。魔術交流戦では召喚戦に参加し、プリスと共に多数の魔物を退けるが、アンの召喚した英霊の強大さを目の当たりにした際には、驚愕していた。洞察力に長けており、戦いの中で魔物が何者かによってあやつられ、アンを狙っていることを見抜いている。

フロウ

ルナル魔術教会で教師を務めている男性。プリスの義理の父親でもあり、彼女と同様に召喚術を修めている。魔法の腕は超一流で、アンを上回る魔力と、それを自在にコントロールする技量を持ち合わせている。かつて旧友のハインラインとアレアを奪い合い、彼女がハインラインの娘であるプリスを妊娠していることを知らずに結婚に至った。冷徹な性格の野心家で、フロウ自身の地位向上をもくろみ、薬物で思考を奪ったアレアを利用して魔術交流戦の魔物をあやつり、アンを排除させることでルナルを勝利させようとした。それを悟ったハインラインと相対するが、彼との戦闘を避けて、自らの手でアンの妨害を果たすべく、彼女に退行魔術をかける。さらに駆けつけてきたグレアと戦い、彼女を退けるが、そのあいだに追いついてきたハインラインの召喚した使い魔に敗れ、捕縛された。

アレア

ルナル魔術教会で教師を務めている女性で、プリスの母親。優秀な召喚士で、複数の魔物の行動を同時にコントロールする力を持つ。かつてはフロウとハインラインのあいだで心をゆらしていたが、半ば強引にフロウと結婚することになった。しかし、そのあとでハインラインの子供を身籠っていることに気づき、それを利用しようともくろむフロウから止められることなくプリスを出産した。やがて野心をむき出しにしたフロウに警戒心を抱くようになるが、マナリア魔法学院との魔術交流戦が開催された際に、薬物によって思考を奪われ、召喚戦で発生した魔物に対してアンを襲わせるように強制された。しかし、フロウがハインラインに倒されたことで、彼から解放される。

ハインライン

マナリア魔法学院で教師を務めている男性。プリスの実の父親だが、かつての恋人であったアレアがフロウに奪われてからはその消息がつかめず、プリスの存在についても知らずにいた。召喚術と闇魔法を使い分けることができ、その実力はフロウを上回る。ルナル魔術教会との魔術交流戦でフロウとアレアの姿を見かけ、何かを仕掛けてくるのではないかと警戒しており、ひそかにあとを追っていた。そして、召喚戦でフロウがアンを排除しようと行動を起こすと、彼を止めるために戦いを挑む。一度は彼を逃がすものの、アンやグレアが戦っていたあいだに追いつき、召喚獣をけしかけて彼を拘束した。事件解決後はプリスから娘であることを打ち明けられ、彼女を娘として受け入れた。

エルザ

ルナル魔術教会に通っている少女で、光魔法の使い手。甘いものが大好きで、子供じみたしぐさを見せることが多いが、ルナル随一の魔力を誇るといわれており、プライドの高いプリスからもその実力を認められている。マナリア魔法学院との魔術交流戦では、最終戦となる迷宮戦に出場する予定だったが、先に行われた召喚戦でフロウが不正を行ったうえに、アンが退行魔術を受けたため、迷宮戦の中止が危ぶまれる。しかしアンを元に戻すために、迷宮戦の舞台であるセラフ・マナリアの祭壇へたどり着く必要があることが発覚すると、アンを送り届けるため、迷宮戦という形を取って魔物の排除を引き受けた。迷宮の深奥部では多数の魔物に襲撃されるが、強力な光魔法を展開し、その一撃で全滅させている。

ミケ

タコのような形状の巨大な魔物。「海の王」の異名を持ち、鈍重そうな見た目に反して機動力に優れている。オーウェンが海に修行に訪れていた際に遭遇し、なりゆきで格闘戦を演じるが、戦いの末に種族を超えた友情が芽生えて、オーウェンによって騎乗されることになった。マナリア魔法学院とルナル魔術教会の魔術交流戦では、一回戦の魔術騎馬戦においてオーウェンと共に参加する。その際に多数の魔物を退けるが、オーウェンが方向音痴ゆえに会場をまちがえ、不戦敗となった。三回戦の迷宮戦でも、オーウェン、グレアと共に参加するが、足をエルザに嚙まれてしまうなど、不遇な様子が目立つ。

セラフ・マナリア

マナリア王国に魔法の力を与えた熾天使(してんし)で、迷宮の奥に存在するセラフ・マナリアの祭壇に鎮座しているといわれている。「リイア」という仮の姿で迷宮の管理や魔術交流戦の企画などに携わっているが、その正体は一部の関係者にしか知られていない。フロウによって退行魔術をかけられたアンたちの前にリイアの姿で現れ、退行魔術を解除するためにセラフ・マナリアの祭壇に向かうように指示する。そして、みごとたどり着いたグレアたちの前で正体を現し、魔術解除に必要となる力を継承するための試練として戦いを挑んだ。魔法の祖というだけあり、マナリア魔法学院の生徒たちとは桁違いの魔力を持っており、展開した結界は、本気を出したグレアですら傷一つ付けることはできなかった。しかし、熾天使の魔力を継承するために必要なものが他者との絆であることに気づいたグレアを認め、退行魔術を解除するための魔力を譲渡した。

リディ

マナリア魔法学院に通っている少女で、アンやグレアより一つ年下。淫魔族という特殊な種族の出身。ある時、将来は男性を惑わす運命にあることを知らされるが、そのことに猛反発して人の役に立つための魔法を学ぶことを志し、マナリア魔法学院への入学を目指して猛勉強に励んだ。その結果、入学試験ではトップの成績で合格を果たし、自分が淫魔族であることを隠してマナリア魔法学院に入学した。学内では優等生として知られており、ハンナからは次期生徒会長候補として目をかけられている。ギガース山の競争ではアンやグレア、オーウェンとチームを組み、彼女たちの力になれるように一生懸命サポートを行う。そのかいあってアンたちからも気に入られるが、ふとしたことから自分が淫魔族であるとばれて、いたたまれなくなって逃げ出してしまう。しかし、追いかけてきたグレアから、かつて自分の出自における悩みを仲間たちに解決してもらったことを聞かされて、自分が淫魔族であることを受け入れる決意を固めた。

集団・組織

暗獄の魔物 (あんごくのまもの)

暗獄界と呼ばれる異世界をすみかとしている魔物たち。ミスタルシアに生息している魔物と異なり、高い知能を持っている。人間に対して敵対心を抱いており、ミスタルシアを制圧する機会をうかがっている。功を焦ったマナリア魔法学院の一部の生徒によってケイオスプリズンが開かれると、これを好機として行動を開始。ケイオスプリズンを使ってミスタルシアに顕現し、大軍で攻め寄せて一時はマナリア魔法学院を制圧する。ハンナの主導によって、生徒や教師たちが蜂起した際も、圧倒的な力をもって彼らを撃退しようとするが、グレアの決死の反撃にてこずり、さらに留学から帰還したアンとオーウェンによって撤退を余儀なくされる。さらに、アンとグレアの手によってケイオスプリズンを封印されたことで増援を望めなくなり、やがて殲滅(せんめつ)された。

場所

マナリア魔法学院 (まなりあまほうがくいん)

ミスタルシアと呼ばれる世界に存在する、魔法を専門とした教育機関。光魔法や闇魔法、召喚術、呪術など、さまざまな分野の魔法を学ぶことが可能となっている。入学するためには難解な試験に合格しなければならず、入学後も厳しい訓練や勉学を課せられる。入学試験自体は一定の年齢であれば誰でも受けることが可能で、竜と人間のハーフであるグレアや、淫魔族であるリディも在籍している。また、つねに新しい魔法の研究がなされており、その中には禁忌に指定されているものもある。勉学以外に関する規則は緩く、マナリア王国の王女であるアンも在籍しているが、従者であるオーウェン以外からはふつうの生徒として扱われている。

ルナル魔術教会 (るなるまじゅつきょうかい)

マナリア魔法学院の姉妹校にあたる、魔法の教育機関。マナリア魔法学院ほどではないにせよ規模が大きく、プリスやエルザのような優秀な魔法使いが在籍している。年に一度、魔術交流戦を開催しており、生徒や教師の中にはマナリア魔法学院に勝利するために心血を注いでいる者も少なくない。

セラフ・マナリアの祭壇 (せらふまなりあのさいだん)

マナリア魔法学院の敷地内にある迷宮の奥深くに存在する祭壇。聖なる力に満ちており、熾天使(してんし)であるセラフ・マナリアが住むといわれている。グレアやオーウェン、プリス、エルザが、マナリア魔法学院とルナル魔術教会の魔術交流戦の最中にアンにかけられた退行魔術を解除するために訪れ、奥に鎮座していたセラフ・マナリアの試練を受けた。

ギガース山 (ぎがーすやま)

巨人が住むといわれている山で、巨人のほかにも強力な魔物が多数徘徊している。遠足の名目でマナリア魔法学院の生徒たちが訪れることがあるが、実際は魔力や魔法に関する技能を測るためのテストに利用されている。アンやグレアたちが訪れた際は、新入生の一人をサポートして頂上を目指すという試練が与えられ、迎え入れたリディと共に挑戦した。途中でリディが淫魔族であることが発覚し、逃げ出すといったハプニングがあったものの、グレアの説得によって復帰し、その結果、一番早く頂上にたどり着くことができた。

その他キーワード

英霊 (えいれい)

アンが使役している召喚獣の一種で、騎士の姿を模している。数ある召喚獣の中でも特に強い力を持っており、魔物の大群を蹴散らすことも可能。マナリア魔法学院の教師や生徒や、ルナル魔術教会のプリスから一目置かれているほか、一度はマナリア魔法学院を占拠した暗獄の魔物たちも、英霊と真っ向からやり合うのは分が悪いと判断して撤退するなど、強い影響力を持っている。

ケイオスプリズン

マナリア魔法学院の一室に存在する魔法陣。学院の関係者たちからは「闇の扉」と呼ばれており、ミスタルシアと「暗獄」と呼ばれる異世界をつなぐ役割を果たしている。また、闇魔法を増幅する装置としても機能しているが、ある時、功を焦った一部の生徒が、闇魔法の研究を強引に進めようとケイオスプリズンに干渉する実験を行った。その結果、ケイオスプリズンが暴走を起こし、暗獄の魔物たちが学院に大挙して押し寄せ、一時は学園を占拠されてしまう。しかし、ハンナの立てた作戦に応じて動いた生徒たちの活躍によって、魔物たちは駆逐され、ケイオスプリズンも封印された。

モノリス

ケイオスプリズンの端末の役割を果たしているといわれている、直方体型の魔法石。「暗獄の鍵」の異名を持つ。ケイオスプリズンへの干渉によって姿を現し、莫大な魔力を抽出できるといわれている。マナリア魔法学院の一部の生徒が、闇魔法を研究するためにケイオスプリズンに干渉する実験を行った結果、顕現した。しかし、モノリスからは魔力だけではなく多数の暗獄の魔物が発生し、学院に被害をもたらしてしまう。モノリスから魔物が現れたことから、当初はモノリスを破壊することで魔物の発生を食い止められると思われていた。そのため、ハンナによってモノリス破壊作戦が立案され、竜の力を解放したグレアによって破壊された。しかし、実際はケイオスプリズンの拡大を防ぐために設置されていたものであったため、事態はさらに悪化することとなった。

退行魔術 (たいこうまじゅつ)

フロウが得意としている魔法で、命中させた対象の時間を巻き戻す効果を持っている。退行魔術をかけられた者は、放置しておけば時間が戻り続け、やがて無へと帰してしまう。解除の方法が限られているうえに、魔術交流戦の二回戦である召喚戦の最中に、マナリア魔法学院の生徒で最も強い力を持つアンを無力化させるために使用され、彼女を幼児化させた。さらに、フロウ本人も魔法を解除できないことが判明するが、リイアの姿を取ったセラフ・マナリアの助言により、セラフ・マナリアの祭壇で得られる力によって解除できることが判明。試練を攻略し、聖なる力を得たグレアの手によって、アンにかけられた退行魔術は解除された。

魔術交流戦 (まじゅつこうりゅうせん)

マナリア魔法学院とルナル魔術教会のあいだで年に一度開催される交流試合。馬や魔法生物の背に乗ったまま戦う魔術騎馬戦、召喚魔法を使って倒した魔物の数を競う召喚戦、そしてマナリア魔法学院の施設内にある迷宮の最奥迷宮戦に分かれており、魔術騎馬戦は一人ずつ、ほかの二戦は二人ずつ、それぞれの学園から代表を選出し、それぞれの対戦における総合成績を競う。また、複数の試合で同じ生徒を代表にすることも認められている。のちに、魔術交流戦は互いの学院が切磋琢磨して腕を磨くために、セラフ・マナリアが考案したことが判明している。

クレジット

原作

Cygames

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