不成仏霊童女

不成仏霊童女

安土桃山時代を舞台にした物語。主人公である不成仏霊童女は三途の川を渡りそこなった童女の霊であり、現世と霊界を行き来する。仏教的世界観の下、地獄に勝るとも劣らぬ、人の業によって為される現世の出来事を不成仏霊童女の視点からグロテスクに描く。

正式名称
不成仏霊童女
ふりがな
ふじょうぶつれいどうじょ
作者
ジャンル
怪談・伝奇
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概要・あらすじ

河豚の毒に中ってしまい、三途の川にやってきた童女(不成仏霊童女)は三途の川を渡ろうとするが大きな魚に阻害され現世に戻ることになった。しかし正しい手順で現世に戻ることが出来なかったので、童女(不成仏霊童女)は不成仏霊となる。現世で人の業の生み出す地獄と変わらぬ残酷な事件の数々を、現世と霊界を行き来する不成仏霊童女は第三者視点から見守っていく。

登場人物・キャラクター

不成仏霊童女 (ふじょうぶつれいどうじょ)

河豚の毒に中り、三途の川にやってくる。導かれるように三途の川を渡ろうとするが、三途魚と呼ばれる巨大な魚に止められ、三途の川の住民に現世に戻る宿命だと告げられる。しかし正しい方法で現世に戻らなかった為、霊体のまま現世を彷徨う不成仏霊となる。とある出来事を境に霊樹の精である樹霊様と呼ばれるようになる。 また自分が死んでいるという認識がない。

修行僧 (しゅぎょうそう)

町で病に苦しむ多くの貧しい人々を救うため、霊能力を得ようと弟子と共に山奥にやってきた祈祷師。巨木と一体化するという想像を絶する奇怪な修行法を経て無事霊能力を手にし、しばし不成仏霊童女と行動を共にする。

修行僧の弟子 (しゅぎょうそうのでし)

修行僧と共に山奥に修行にやってきた少年。元は武家の生まれだったが父は討死し、残された母親は貧しいまま病に倒れて死んだ。貧しい人々を病から救おうとするお師匠様に心を動かされ行動を共にしている。修行に励むお師匠様を甲斐甲斐しく世話していたが、無防備なお師匠様を山の邪霊たちから守るため、ついにはその命をなげうつ。

蛇月の弟子 (じゃげつのでし)

町娘たちにいじめられ、激しい恨みから彼女たちを呪ってもらうため、師匠である祈祷師蛇月の下へと駆け込む。蛇月と共に呪い呪われを体験していくうちに自らも呪力を行使できるようになった。

蛇月 (じゃげつ)

町娘にいじめられていた蛇月の弟子の師匠であり、祈祷師で頼まれれば呪詛もやるので町人たちからも重宝されている。弟子の恨みを晴らすため、呪詛神様に祈祷し、町娘たちを呪い殺す。

町娘のリーダー (まちむすめのりーだー)

蛇月の弟子をいじめていた町娘たちのリーダー格であり、仲間が次々と死んでいった後も反省せず、蛇月の弟子に突っかかり、親戚の祈祷師に頼んで彼女を呪う。結局蛇月によって呪われ、半身が爛れた様になり苦しむこととなる。

少年 (しょうねん)

家の床下に暮らす母親とへその緒で繋がった少年。床下から出られず、食べるものもない母親の為に栄養のある土を煮て食べ、へその緒で繋がった母に栄養を分け与えている。

母親 (ははおや)

少年とへその緒でつながった母。不義で子供を身ごもり、世間に顔向けできないとあばら家に住み込み、一人で子を産む。へその緒を切らないままでいたら息子とへその緒で繋がったままになってしまった。人目を気にして死を考えたこともあったが、草や虫、土などを食べている内に生きながらえる。下半身が巨大な土虫の様に変貌している。

童女を殺した少年 (どうじょをころしたしょうねん)

人の壊れやすさを見たかったという理由で二人の童女を殺したサイコパス。自らの死刑が近づこうとも、同じ牢屋に入れられていた男の死を見ようとも一切動じなかったが、娘を殺された母が長い間かけて溜めた地獄汁をのみ、村人の皆に地獄行きを祈られ、苦しみながら死んだ。死んだ後も鬼の便所に埋まり、一万年間鬼の糞便を喰らい続けなければならない鬼の厠地獄に落とされ、苦しみ続けた。

娘を殺された母 (むすめをころされたはは)

二人の娘を殺された悲しみと苦しみから体中の皮膚の表面が鱗の様になり、気が狂ってしまった。童女を殺した少年に飲ませる為、毎日「じごく、じごく」と唱え続けることで口の中に出てくる地獄汁を壺の中に溜め続けている。童女を殺した少年が死亡し、地獄行きになった後は外見も元通りになり、理性も取り戻した。

お銀 (おぎん)

童女を殺した少年の母親で、息子の無実を信じて疑わず、息子を殺した村人たちを憎み、村の農産物を食い荒らさせる為に息子の供養もせず、地獄怨霊虫というゴキブリのような虫を背中で大量に育てている。結局育てていた虫たちに食われてしまい、虫として息子と同じ地獄に落ち、息子を食み続けることとなる。

信心深い女 (しんじんぶかいおんな)

息子を殺された恨みで我を忘れているお銀を、死罪撤廃を訴える安穏衆を連れてきたり仏教を持ち出して説教する。息子が殺されても自分は誰かを憎んだりしないとお銀に言い張るが、武士に無礼を働いた息子が殺され、激しい憎しみから怨念を抱えて死ぬ。

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