MARS

MARS

心に潜む闇や残忍性といったものがテーマとなっており、他人に怯えて生きる主人公キラと、自分を危険人物だと恐れる零が、互いを想い合うことで強く成長していく姿を描く。ミステリーを織り交ぜた長編ラブストーリー。

正式名称
MARS
ふりがな
まーす
作者
ジャンル
オートバイレース
 
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概要・あらすじ

心に傷を負った少女麻生キラは、周囲の人間を遮断し孤独に生きている。その日もひとり公園で絵を描いていたキラは、自分に道を尋ねてきたのが学校一の問題児樫野零であることに気づく。驚いたキラは、持っていたスケッチに地図だけ描き示し足早に立ち去るのだが、そこに描かれていたデッサンに零は魅了されてしまう。絵の完成品が欲しいと言ってきた零に戸惑うキラであったが、零の持つ無邪気さや繊細さに引き込まれ、次第に心を開いていくのだった。

登場人物・キャラクター

麻生 キラ (あそう きら)

周囲から孤立して生きる少女。人目を引く可愛さを持っていながら、学一の地味女とも噂されている。中学の時「継父」に強姦されたのがきっかけで、完全に心を閉ざしてしまった。女なら誰とでも関係を持つ零を軽蔑していたが、自分が描いた絵を欲しいと言ってきたのをきっかけに、徐々にその無邪気さや優しさに惹かれていく。 零が自分に死んだ弟を重ねているのでは?と不安になるも、零のトラウマを一緒に乗り越えていくことを決意する。最後には本来の明るさを取り戻し、母親や継父とも縁を切って零と生きていく道を選んだ。

樫野 零 (かしの れい)

麻生キラの恋人。190cm近いモデル体型と美しい顔立ちで、西高一の男と騒がれている。入試をトップ合格しているが、タバコに喧嘩、女遊びとやりたい放題。唯一真剣にのめり込んでいるのはロードレースであり、若干14歳で鈴鹿4耐での優勝記録を持つ。13歳までをLAの親戚のもとで育ったため英語も堪能。 目の前で双子の弟が自殺したことや、自分が不倫相手の子供であるという事実に長年苦しみ続けている。また、自分を精神科に入院させた父親をひどく憎んでおり現在は家を出て一人で暮らしている。いつ死んでもいいと思っていたが、キラと出会い、大切な人を守るために生きようと決意する。

木田 達也 (きだ たつや)

零の親友。西校では零の次にいい男と称されている。中学時代からキラに片想いしていたが、キラが男性恐怖症である事を察し想いを伝えるのを諦めていた。零の協力でキラとの距離を縮めるも、自分に対する恋愛感情がないとわかり諦める。晴美とともに零とキラの一番の理解者である。

杉原 晴美 (すぎはら はるみ)

キラの親友。1年の時から零にアタックし続けており、キラばがりが零に構われることを良く思っていない。キラに対して嫌がらせを繰り返し、最終的に指の骨を砕こうとまでするが、キラの零を想う気持ちが並大抵じゃない事を悟り思い留まった。キラになら負けてもいいと潔く身を引き、それ以降は良き理解者としてキラを支えている。

樫野 聖 (かしの せい)

零の双子の弟。活発で喧嘩っぱやい零とは対照的に、大人しい優等生タイプ。幼い頃から絵を書くのが好きで、特に零の肖像画ばかり好んで描いていた。中学の時、零の目の前で屋上から飛び降り自殺してしまう。自殺の原因は謎とされていたが、絵に埋め込まれていた遺書をキラが発見し、真実が明らかになっていく。

桐島 牧生 (きりしま まきお)

零に執着する謎の少年。西高に入学してきた美少年で、入学早々学校中の注目の的になる。女子からの告白に、零のことが好きだからと断った事が噂になる。幼い頃からリンチまがいのイジメに遭っており、14歳の時に加害者である少年を殺害。過去に一度、暴行現場に居合わせた零に助けてもらった事があり、零の持つ異常な凶暴性にシンパシーを感じてしまった。 自分の中にある残忍性を理解できるのは零しかいないと思い、執拗に後つけまわしている。零を普通の人間に変えてしまったキラが邪魔になり殺害を試みる。

樫野 崇之 (かしの たかゆき)

零の父親。零と聖は、妻が弟暁彦との間につくった子供であり実の父親ではない。暁彦の死で精神的に狂ってしまった宵子から子供たちを守るため、宵子を精神科へ入院させる。LAの親戚に零たちを預けたのも、母親の忌まわしい記憶を消すためである。たった一人の家族である零を心から気にかけるも、実の息子でないことからどう接していいかわからずにいる。 コンピューター会社最大手のオークグループの社長。

樫野 宵子 (かしの しょうこ)

零と聖の母親。儀弟である暁彦と密かに愛し合い零と聖の双子を身篭る。暁彦の死で精神がおかしくなり、心中しようと何度も息子たちを殺しかける。自分を精神科医に入れた夫を恨み、父親は冷酷な人間だと零たちに刷り込む。退院後、自宅で発作的に自殺した。

樫野 暁彦 (かしの あきひこ)

零と聖の実父。兄の妻である宵子との間に、零と聖の双子を授かる。双子が生まれる前にカーレース中の事故で他界した。零と同じく他人を惹きつける天性の魅力があり、兄崇之が厳しく育てられたのとは反対に、父親から溺愛され自由奔放に育てられた。

桜沢 しおり (さくらざわ しおり)

零の元カノ。零や聖と同じ中学に通っていた美少女。学校や家でもアイドルのような扱いをされるため、ワガママで自己中心的な性格。最初は聖と付き合っていたが、徐々に零に気持ちが傾き乗り換える。零が精神科に送られたことで2年間音信不通になっていたが、キラが描いた零の絵を見つけ高校を突き止める。 零に再会し愛を告げるが、キラの存在で振られてしまう。

竹邑 修一 (たけむら しゅういち)

零の中学時代の友人。聖と同じ美術部に所属していたことから、零としおりを入れた4人でいつも一緒にいた。屋上から飛び降りようとする聖を最初に発見した人物でもある。聖が自殺した本当の理由を知りたいと望み、いまだに心が整理できずにいる。聖や零を失ったしおりを、近くで支えてきた。

片山 明高 (かたやま あきたか)

零の先輩レーサー。レース中の事故で右足を失い現役を引退。現在は零の監督としてその才能に賭けている。零を弟のように想い、刹那的に生きる零の危うさをいつも案じている。

片山 響子 (かたやま きょうこ)

明高の妻。世界グランプリで走っていたこともあり、並の男より速く優秀なライダーとして知られている。零や聖のことを以前から知っており、辛い体験をしてきた零を姉のように心配している。8耐で零のパートナーを務めたのを最後に現役を引退。妻として、右足を失った夫を支えていくことにした。

零のカウンセリング医師 (れいのかうんせりんぐいし)

心理療育センターに勤めており、零や零の母親を診ていた。母親の自殺現場に遭遇した零たちの将来を案じて、虚構の記憶を植え付けるよう父親に助言する。零が幼い頃の記憶が曖昧なのもそのせいであり、母親の死因も白血病だと信じていた。しかし、真実を闇に葬ったことで零の運命を変えてしまったのではないかと罪悪感を感じており、後に全てを告白する。

奥田 (おくだ)

零を案じる刑事。生活安全課の少年係で、荒れていた頃の零を良く知る人物。桐島が零に対して異常な関心を抱いていることをいち早く感知し、警戒するよう零に忠告する。

浜崎 (はまざき)

西高の不良。先輩に対しても態度のデカイ零に目をつけ、集団で襲いにかかる。しかし、両腕を縛られた零に徹底的にやられてしまいあっさり負けを認める。それ以降、零やキラから浜ちゃんと呼ばれ親しまれている。卒業後は実家の運送屋を手伝っている。

椎名 苑子 (しいなそのこ)

崇之の恋人。不器用な崇之に代わって、零の様子を見に行ったり、実家に帰るよう説得している。

キラの継父 (きらのけいふ)

キラの継父。製鉄所を運営しており、世間では真面目で温厚な人物だと評判。ボランティア活動にも熱心で地域の名士として知られているが、血のつながらないキラに欲情し強姦を行っていた。一度は離れて暮らしていたが、キラの母親が倒れ生活が苦しくなったのを機に寄りを戻すことになった。二度と同じ過ちを繰り返さないとキラに誓うが、またもや異常な行動を取ることとなる。

その他キーワード

MARS (まーす)

『MARS』に登場する石像。美術室に飾ってある石像。神話にでてくる戦いの神マルス。ノストラダムスの予言で1997年に世界を支配すると言われており、世界の終りについてキラと零が会話を交わすキッカケとなった。マルス像に口づけする零を見たキラは、一気に魅了されてしまう。

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