レッツ☆ラグーン

レッツ☆ラグーン

無人島に漂着した山田壮太と衣舞瀬チカの2人の高校生男女が、島からの脱出を目指す。SF要素が強く盛り込まれた作品で、大きなテーマである2人の恋愛模様もさることながら、先の見えない展開と巧妙に張り巡らされた伏線が魅力。「週刊ヤングマガジン」2007年No.47に特別読み切りとして掲載されたのを皮切りに、不定期連載を開始。その後、第3話から掲載誌を「別冊ヤングマガジン」に移し、現在は「月刊ヤングマガジン」にてほぼ隔月で連載中。

正式名称
レッツ☆ラグーン
ふりがな
れっつ らぐーん
作者
ジャンル
サバイバル
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概要・あらすじ

修学旅行先の離島へと向かうフェリーは、航行中に突如深いに覆われ、衝突事故を起こしてしまう。この事故で山田壮太は海へ転落。目を覚ました彼は、自分が無人島にいることを知る。一人、無人島生活を続けていた山田だったが、数日後に同じく事故で遭難したという衣舞瀬チカと出会う。共同生活を続けるうち、徐々にチカに心を惹かれていった山田は、無人島生活も悪くないと思い始めるが、自分の通う真澄田高校の教師である柴田が新たに漂着したことで雰囲気が一変。

事態は急展開を迎えていく。

登場人物・キャラクター

山田 壮太 (やまだ そうた)

真澄田高校2年の男子生徒。毛先がハネたショートカットの髪が特徴。修学旅行に向かう途中、航行中のあさなぎ丸から転落し、無人島に漂着してしまう。当初は事故のショックで、修学旅行に向かっていたことすら忘れていたが、徐々に記憶を取り戻していく。人付き合いが苦手な性格ではないが、神山ノリによれば、あまり友人がいない様子で、同い年の衣舞瀬チカに対しても丁寧語を使って話す。 無人島での共同生活を経て、徐々にチカに好意を寄せていく。

衣舞瀬 チカ (いまいせ ちか)

1年前に山田壮太とクラスメイトだった女の子。修学旅行に向かう途中、航行中のあさなぎ丸から転落し、山田と同じ無人島に漂着した。前髪をV字状にカットしたミディアムショートの髪型をしている。目が悪く視力は両目共に0.1以下。メガネをかけていたが、漂着した際になくしてしまったため、今はほとんど物が見えない。漂着した後、山田の存在には気が付いていたが、警戒してしばらくの間声をかけないでいた。 視力が悪いのを差し置いても、少し抜けたドジなところがあり、無防備でおっとりした性格。

柴田 (しばた)

山田壮太や衣舞瀬チカが通う真澄田高校の男性教師。三白眼で切れ長の垂れ目、密度の薄い顎鬚、短く刈りそろえた髪が特徴。衣舞瀬チカのクラスの担任を務め、また過去に所属していた陸上部の顧問も受け持っている。山田とチカが無人島に漂着してから9日目の朝、同じ無人島に漂着。漂着した際にケガをしたのか、横腹に痛みを感じるようでまともに動くことができない。 無人島に漂着したのに「タバコがない」と贅沢を言い、山田に対してもかなり横柄な態度をとる。口調はぶっきらぼうで不愛想。実は教え子の衣舞瀬ミキと恋人の関係にあり、世間的には当然秘密にしているが、チカや神山ノリにはバレてしまっている。

衣舞瀬 ミキ (いまいせ みき)

衣舞瀬チカの姉。1度目の漂着から戻って入院中の山田壮太に会うため病院に現れた。同じ真澄田高校の3年生で、陸上部に所属する神山ノリの先輩でもある。姉妹だけあってチカとはよく似ているが、目元が少しきつく、前髪を右寄りのサイドで分けている。当初は山田が無人島でチカと過ごしたという話を信じていなかったが、自分のブラジャーを山田が持っているいきさつや、チカ以外に知らない情報を聞いて、信用するようになる。 チカを助けるため、また柴田を救うために、山田と共に2度目の漂着に向かう。

神山 ノリ (かみやま のり)

1年前に山田壮太とクラスメイトだった女の子。紫色のバレッタでポンパドールにした長い髪が特徴。喜怒哀楽が激しく、思い切りも良くて元気な性格。山田が2度目の漂着を果たした際、同じ入り江に漂着していた。衣舞瀬チカや衣舞瀬ミキとは同じ陸上部の仲で、特にチカとはお互いに親友と呼びあうほど仲がいい。同じクラスだった頃から山田にベタ惚れしており、山田からすると謎の行動に見えたものの、本人としてはすでに告白済みと認識している。 無人島では山田に対する熱烈な好意を隠さず、常に直球勝負を仕掛けてくる。良くも悪くも体育会系で語尾に「~っス」をつけてしゃべる。

未来の山田 (みらいのやまだ)

3度目の漂着を果たし、10年後の未来からやってきた山田壮太。島を覆う霧が発生した時に迷子になっていた衣舞瀬チカを殴って気絶させ、浜辺へと運んだ。また、その翌日には地震によってできた地割れに落ちてしまったチカを助け、正体を明かしている。顔を覆い隠すほど髪が伸びており、少し精悍な顔立ちに変わっている。 左目の上には渓流の岩場でついたものと見られる傷跡がある。2度目の漂着から生還を果たしたことの顛末を知っており、また未来のチカから聞いた記憶を頼りに行動しているというが、深くは黙して語らない。チカのことを現在の山田のように苗字ではなく、下の名前で呼ぶ。

山田 ともみ (やまだ ともみ)

山田壮太の中学2年生の妹。ミディアムショートボブで、右サイドの一部をピッグテール状に結った髪型をしている。兄妹仲は良く、1度目の漂着から戻って入院している山田の世話をする他、病院を抜け出して追悼船に乗り込むという山田の決意を、両親に黙っていると約束した。山田が入院中の7月6日に誕生日を迎えており、電波腕時計を父親からプレゼントされたことが自慢。 見舞いの帰りに駅前で見つけた9800円のワンピースがほしいと、山田にねだる。小学4年生までオネショをしていた。

場所

無人島 (むじんとう)

山田壮太や衣舞瀬チカが修学旅行に向かう途中、あさなぎ丸から転落し、漂着してしまった島。山田の見立てでは直径1キロメートルほどの小さな島で、文明的施設は見当たらない。しかし浜辺にはポリタンクやペットボトルなどが漂着することもあり、モリやシュノーケルなど落ちていた。電波腕時計に時刻合わせの電波が届く場所にあることが分かっている。 また小さな島ながら真水が流れる渓流があり、害虫、害獣の類がほとんど見当たらないなど、不自然な点がある。

浜辺 (はまべ)

山田壮太らが漂着した無人島の一部を占める浜辺。山田や衣舞瀬チカが主に生活する場所として確保している。浜辺は2メートルほどの高さの岩を挟んで2つあり、海に向かって右側を山田の生活区域、左側をチカの生活区域として分けている。のちに柴田が山田の生活区側の浜辺に漂着してきた。

水汲みの滝 (すいげんのたき)

山田壮太らが漂着した無人島にある滝。数メートルほどの落差がある滝で、滝の下は小さな池ぐらいの水たまりになっており、ここで水を汲むことができる。また流れている水は真水であり、飲用水、生活用水として使用可能。2度目の漂着で、現在と未来の2人の山田が遭遇しそうになった場所でもある。

渓流の岩場 (けいりゅうのいわば)

山田壮太が、崖から落下してしまった地点。柴田の漂着後、「旅に出る」と書き残して消えた衣舞瀬チカを、山田が探しているときのこと。山田は落下して負傷し、朦朧とする意識の中で、鬼のお面をかぶったもう一人の自分の幻想を見る。またこの場で負傷した山田を見つけたチカは、自分がつけていたブラジャーで山田の傷の応急処置を施した。

入り江 (いりえ)

柴田の漂着後、柴田から離れるために島を探索していた衣舞瀬チカが発見した場所。島の周囲を歩くだけでは到達できないような断崖に囲まれており、島の渓流が流れ込んで入り江を形成している。渓流の岩場で負傷した山田壮太とそれを見つけたチカが2人でこの場所にたどり着いたのち、山田が魚を獲ろうとしたところで霧が発生。 霧に飲まれた山田が、あさなぎ丸の事故直後にタイムスリップすることになる。また、2度目の漂着で山田と衣舞瀬ミキ、神山ノリが漂着してきた場所でもある。

山頂 (さんちょう)

無人島のほぼ中心に位置する山の頂上。2度目の漂着を果たした山田壮太、衣舞瀬ミキ、神山ノリの3人が、タイムスリップのカギとなる霧の発生場所や、フェリーと追悼船が衝突した場所を探るために登った。

温泉 (おんせん)

岩に囲まれた窪地。衣舞瀬チカらが拠点にしていた浜辺を海に向かって左側に周ったところにある。そこだけ水が温かく、満潮時には海水が入り込んでぬるくなるが、干潮時には入浴するのにちょうど良い温度になる。

真澄田高校 (ますみだこうこう)

山田壮太らが通っている高等学校。山田らの学年の修学旅行では離島へ行く予定だった。制服は紺色のブレザータイプだが、シャツに規定はないのか、山田はブレザーの下にパーカーを着用している。なお、女子のリボンは学年によって色が異なり、衣舞瀬ミキら3年はえんじ色、衣舞瀬チカや神山ノリら2年生はブルーのリボンを着用している。 ジャージの上着は肩から袖先にかけて2本のラインが入ったデザイン。胸の部分には円の中に「MSMD」の文字が入ったプリントがある。

イベント・出来事

1度目の漂着 (いちどめのひょうちゃく)

山田壮太らが、修学旅行に向かうために乗っていたあさなぎ丸が事故を起こし、山田と衣舞瀬チカが無人島に漂着した出来事。1日目から3日目まで、山田とチカはそれぞれ単独で行動。4日目に合流し、9日目には新たに柴田が漂着した。そして10日目に姿を消したチカを山田が探しに行き、合流した後、2人で入り江にいる際に霧が発生。 山田のみが霧に飲まれ、あさなぎ丸事故直後にタイムスリップした。

2度目の漂着 (にどめのひょうちゃく)

山田壮太と衣舞瀬ミキが、7月8日に出発した追悼船から霧へ飛び込み、無人島へと漂着した出来事。漂着した日時としては6月28日、時系列的には1度目の漂着の8日目が2度目の漂着の1日目にあたる。また、1度目の漂着の9日目に発見された柴田も、追悼船から無人島へ漂着したと見られ、さらに追悼船から飛び込むミキの姿を追って飛び込んだ神山ノリも漂着している。 ほぼ同タイミングで追悼船から飛び出したにも関わらず、山田とノリが入り江に漂着したのは初日の昼、ミキはその晩、柴田はその翌日で、しかも浜辺に漂着するなど、時間と漂着場所には誤差がある。

島を覆う霧 (しまをおおうきり)

2度目の漂着から3日目、6月30日の昼に現れた霧。無人島全体を覆い囲うように現れ、それまでの霧とは違って途切れた部分が見当たらず、また島から一定の距離を保って内側には入ってこなかった。出現してから間もなく、動きが激しくなり、それと同時に島全体に大きな震動が発生。その後、島全体に霧が充満した直後、時間が昼から夜に突如切り替わった。 通常の霧とは違うこと、昼から夜に突然切り替わったことなどから、山田壮太は島全体がタイムスリップしたのでは、と考察している。また翌日には、それまでに夕日が沈んでいた方向から朝日が昇るという現象が起きている。

地震 (じしん)

2度目の漂着から4日目、無人島を揺るがした大きな地震。何度か断続的に起き、これによって無人島が大きく2つに割れてしまう。衣舞瀬チカは、最初の地震によってできた地割れに落ちて挟まり、身動きがとれないでいたところを未来の山田に助けられた。

3度目の漂着 (さんどめのひょうちゃく)

「やり残したことのケジメ」をつけるため、未来の山田が10年後の未来から無人島へやってきた出来事。10年後の5月21日にゆうなぎ丸に乗船して霧に飛び込み、無人島に漂着したのは4月5日。衣舞瀬チカを地割れから助けるまで、実に87日間を一人で過ごした。自分の過去の記憶と、未来のチカから聞いた体験談をもとに、地割れに飲まれたチカを助け、山頂へと連れていくなどの行動を取る。

その他キーワード

(きり)

あさなぎ丸や追悼船の航行中に出現した、手を伸ばした先が見えなくなるほどに濃い霧。あさなぎ丸から放り出されて霧に包まれた山田壮太や衣舞瀬チカが無人島に漂着し、また1度目の漂着の10日目に霧に飲まれた山田があさなぎ丸の事故現場に出現したことから、山田らは、この霧がタイムスリップのトンネルとしての役割を果たしていると考えている。 2度目の漂着で山頂から見た際には、霧はひとつの塊ではなくいくつかの断片で出現し、その断面は刃物で切り取ったかのように平面的で、唐突に途切れている。

(ふね)

山田壮太が漂着した無人島で作った舟。一部を石で削って人がまたがれる窪みを作った大きな木の幹に、流木を使って浮きをくくりつけた形状。当初からの想定通り、搭乗人員は一人分。山田は一度、この舟で無人島を脱出して助けを呼びに行くことを考えていたが、残された衣舞瀬チカのことを思って断念。その後バラして放置してある。

あさなぎ丸 (あさなぎまる)

7月1日、山田壮太らが修学旅行先の離島へ行くのに乗船していたフェリー。目的地まであと1時間程度というところで、周囲に濃い霧が出現。その後、大きな汽笛を鳴らしながら何かに衝突、事故を起こす。この事故によって4人の生徒が海に放り出され、衣舞瀬チカのみが行方不明になったとされる。なお、事故後の検証で船底付近に数メートルにわたる塗料の剥がれが確認された。 そのため、事故の原因は岩礁との接触とされているが、事故現場付近には船と接触するような岩礁は確認されていない。

追悼船 (ついとうせん)

7月8日、朝9時に出港したチャーター便。あさなぎ丸の事故から1週間が経過し、衣舞瀬チカの捜索が打ち切られたことを受け、チカの家族や友人、学校関係者を乗せて事故現場の視察を行うという名目で出港する。しかし、事実上の追悼船であると、衣舞瀬ミキが語っている。山田壮太は1度目の漂着の際の記憶から、この船に乗ることでもう一度無人島に行けると予測。 2度目の漂着を目指して乗り込む。

電波腕時計 (でんぱうでどけい)

柴田が漂着してから、浜辺を離れた衣舞瀬チカが無人島の中で拾った腕時計。電波で日付や時刻を更新する機能が備わっている。のちに山田ともみが父親からプレゼントされたものであることが判明する。

鬼のお面 (おにのおめん)

渓流の岩場から転落し負傷した山田壮太が、朦朧とする意識の中で出会ったもう一人の自分がつけていたお面。のちに、1度目の漂着から戻った際、2度目の漂着に備えて山田が持って行った節分の豆まき用の豆についていたオマケであったことが判明する。

レインコート

渓流の岩場から転落し負傷した山田壮太が、朦朧とする意識の中で出会ったもう一人の自分が着ていたもの。のちに、1度目の漂着から戻った後、2度目の漂着に向けて追悼船に乗った時に配布されたものであったことが判明する。

ブラジャー

渓流の岩場から転落し負傷した山田壮太の応急手当をするために使ったブラジャー。衣舞瀬チカが着けていたものを外して使ったが、のちに本来は衣舞瀬ミキの持ち物であることが判明する。カップ・サイズはFの70。タグには「株式会社いまむら」とある。

人骨 (じんこつ)

2度目の漂着時、入り江の片隅で神山ノリが見つけた人の頭蓋骨。無人島と現実の時間軸がバラバラなため、山田壮太は「もしかするとこれは、過去か未来かに無人島に漂着した自分の骨かもしれない」と不安に駆られる。しかしノリは「そんなはずがない」と一蹴。無造作に拾い上げ、海に向かって放り投げた。

山頂の木 (さんちょうのき)

無人島の山頂に生えている木。3度目の漂着を果たした未来の山田が、衣舞瀬チカを連れて訪れた。木には金属製のプレートがかけられており、そこで未来の山田はチカに島の真実を語る。

金属製のプレート (きんぞくせいのぷれーと)

山頂の木にかけられているプレート。かけられた当時は人が見える高さにあったが、木の成長に合わせて位置が高くなってしまい、今は地上から6メートルほどの高さにある。無人島に関する重要な情報が刻印されている。

ゆうなぎ丸 (ゆうなぎまる)

2度目の漂着から5日目、島の近くに霧の中から現れたフェリー。山田壮太と神山ノリが船名を確認しており、のちに未来の山田が3度目の漂着をするための手がかりとなった。

紙の花飾り (かみのはなかざり)

色紙やティッシュを丸めて輪ゴムで束ね、花のように開いて作るもの。1年前、山田壮太らの学校で文化祭が開かれたとき、クラスで飾り付けのために作ることになった。作るのは簡単だが、非常に単純な作業で、皆が50個も作れば飽きてやめていく。しかし、山田だけは悟りを開いたように、不平不満を漏らさず、2000個もの紙の花飾りを作り上げた。 その自然体のままひたむきに頑張る姿は、神山ノリが山田に惚れるきっかけとなった。

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