給食の時間

給食の時間

いじめが原因で不登校になった鳥谷未来は、祖母の住む田舎に預けられる事になり、子供達に美味しい給食を作る事を生きがいとする藤川健と出会う。食育を通して、生きる意味について考える学園ドラマ。

正式名称
給食の時間
ふりがな
きゅうしょくのじかん
作者
ジャンル
料理
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あらすじ

第1巻

鳥谷未来は東京の小学校でいじめが原因で不登校になり、田舎にある祖母の家に引き取られた。そんな祖母の家には、学校の給食室で働く藤川健という男性が下宿しており、偏食のうえに食わず嫌いが多くて給食が食べられない未来のために、健は必死で献立を考える事となる。一方、未来のとなりの席の赤星彗は未来の事が気になるあまり、つい気持ちとは正反対の態度を取ってしまう。そんな中、未来が東京でいじめにあった原因についての噂が流れ始め、彗からみんなの前でそれを指摘された未来は傷つき、学校へ通えなくなってしまう。未来がかつて教師からストーカー行為をされた事と、その原因を作ったとして不当ないじめに遭ったという真相を聞き出した健は、そこから未来の偏食の理由を悟る。そして未来のために、美味しいごはんを作り続けるのだった。(Vol.1「ごはんの時間」)

第2巻

鳥谷未来は、にんじんとピーマンを相変わらず苦手としていたが、藤川健らの作る給食をとても美味しいと感じる事ができるようになった。そんな中、社会科の授業で、未来や赤星彗達は給食費滞納について調べる事になる。その過程で未来達は、父親が給食費を払わないせいで、同じクラスの杉村春男が給食を食べられないという事態を知る。一計を案じた未来達は、杉村の父親がいつも社員食堂で食べる定食を給食にすり替え、給食が実は美味しいという事を知ってもらい、春男の給食費を払わせる事に成功。さらに未来達の研究発表はその功績を認められ、東京のシンポジウムに参加する事になる。その頃、健もまた東京に来ており、女性と小さな女の子の二人連れと会っていた。偶然その場面を目撃した未来は、ショックのあまり涙を流し、自分が健に恋をしてしまった事を自覚する。(Vol.2「ナポリタンの時間」)

東京で健が会っていた女性が、小さな女の子を連れて未来達の住む田舎にやって来た。そして、女性は健の亡くなった妻の妹であり、小さな女の子は健の娘だという事が分かる。健にあこがれていた女性達は大きな衝撃を受けるのだった。一方の健は、義妹であるさやかからの頼みを断りきれず、夏休みのあいだの2週間、彼女の東京のレストランを手伝う事になる。しかし、約束の2週間が過ぎても健は帰って来なかった。そんな中、未来は健がもう戻って来ないという噂を聞き、激しく動揺する。(Vol.3「パンの時間」)

市議会議員の若林は、学校の給食室を廃止して給食センターに任せる事で、コストを削減することを検討していた。その話を聞いた未来達は、これまでの美味しい給食を守るために策を練る。健は当初は協力を拒んでいたものの、未来達の熱意に動かされ、若林の心を動かす給食メニューを考える事になった。後日、未来達は学校を訪れた若林に農業体験として稲刈りをさせ、空腹でたまらなくさせたところで、この土地で取れた米と野菜の漬物を出す。貧相なメニューに最初は激怒した若林だったが、そのあまりの美味しさに感動する事となる。(Vol.4「空腹の時間」)

第3巻

金本るみ子は、背が小さくぽっちゃりしている自分の体型にコンプレックスを抱き、スタイルがいい鳥谷未来をうらやんでいた。ある日、ダイエットのため食事制限をしていたるみ子は、体育の時間に倒れてしまう。るみ子が赤星彗を思っている事を知る未来は、るみ子を保健室に運ぶよう赤星に頼むが、それが裏目に出てるみ子に八つ当たりされる事となる。初めての友達を傷つけてしまった未来は、るみ子と同じ思いを共有するために太る事を決意する。そんな二人の事情を知った藤川健は、るみ子やるみ子の母親に、正しいダイエット方法を伝えるのだった。(Vol.5「ダイエットの時間」)

さやかが結婚を機に、麻理亜も連れて海外で暮らす事になった。日本での最後の1週間を父親である健といっしょに過ごすために、麻理亜はたんぽぽ荘にやって来る。健には、妻が孤独の中で拒食症になって自殺し、道連れにされそうになった麻理亜は心に深い傷を負い言葉を話せなくなってしまった、というつらい過去があった。それ以来、健は妻の苦しみに気づいてやれなかった罪悪感から解放される事はなく、麻理亜の心を治してやりたいと願いつつも、有効な手だてを思いつかなずにいた。そんな中、麻理亜とコミュニケーションを取りたいと考えた未来は、手話を教えるのだった。1週間が過ぎ、麻理亜はさやかに連れられて行く直前に、健に向かって手話でパパと呼びかける。(Vol.6「過去の時間」)

未来を放って仕事ばかりしていた美代子は、未来に東京の中学校に進学するよう勧め、いっしょに住む事を提案する。しかし未来は母親の気持ちをありがたいと思いつつも、田舎の中学校へ進学する事を決断する。そんなある日、かつて未来にストーカー行為をして学校を追われた教師が田舎に姿を現す。襲われそうになった未来は、健に助けられるものの、未来を守ろうとした彗は教師に殴られてケガをしてしまう。この事件をきっかけに、未来は健への思いを決して外に出さない事を決意する。一方の健は、未来に別れを告げないまま、黙ってたんぽぽ荘を出て行くのだった。やがて時は流れ、未来は大学生になっていた。健がアフリカで子供達を助ける活動をしていると知った未来は、健のもとへと駆けつけるのだった。(最終話「最後の時間」)

登場人物・キャラクター

鳥谷 未来 (とりたに みく)

小学6年生の女子。美人で背は高いがひょろりと痩せており、偏食で食わず嫌いな食べ物が多い。かつて東京の小学校で教師からストーカー行為をされ、その事が原因でいじめに遭っていた。それ以来不登校になってしまい、小春の家に預けられる事になった。両親が小さい頃に離婚しており、仕事で忙しい母親にほったらかされて育ったため、家庭の味というものを知らない。

藤川 健 (ふじかわ けん)

小学校の給食室で働いている男性で、下宿屋「たんぽぽ荘」に住んでいる。普段は眼鏡をかけており、寡黙なうえに冴えない地味な風貌をしている。しかし料理の腕は確かで、給食の完食率を95%に引き上げたカリスマ栄養士である。以前は高級レストランで働いていたが、パリ留学の際に同行した妻ミチルが慣れない外国で孤独のあまり自殺してしまって以来、自分を責めながら生きている。

小春 (こはる)

鳥谷未来の母方の祖母で、美代子の母親。下宿屋「たんぽぽ荘」を経営している。美代子に頼まれ、未来を引き取った。未来のこれまでの境遇を理解し、不憫に思っている。

赤星 彗 (あかぼし すい)

小学6年生の男子で、鳥谷未来のクラスメイト。背が低い事にコンプレックスを抱き、背の高い未来の事を内心うらやましく思っている。実は未来の事が好きなのだが、いつも気持ちとは裏腹な態度を取ってしまう。実家の米農家で作る米は美味しいと評判で、インターネット販売などもしている。

金本 るみ子 (かねもと るみこ)

小学6年生の女子で、鳥谷未来のクラスメイト。赤星彗の事が好きなのだが、その事は打ち明けられずにいる。背が低く、ぽっちゃりした体型にコンプレックスを抱いており、スタイルのいい未来の事をうらやましく感じている。

美代子 (みよこ)

鳥谷未来の母親。早くに夫と離婚し、一人で未来を育てながら働いている。仕事にかまけて未来の事をないがしろにしており、あまり関心を示さない。また味オンチで、食べる事にあまり興味がない。

さやか

藤川健の妻だったミチルの妹。健とはかつて同じ料理学校に通っていた。サバサバした性格で、実は健の事が好きだったが、その気持ちを打ち明けられないまま胸の内に隠している。

麻理亜 (まりあ)

藤川健の4歳になる娘。2年前に母親ミチルが自殺した際、その道連れとして首を絞められ殺されかけたものの、奇跡的に息を吹き返した。しかし、それ以来ショックで話せなくなってしまっている。現在はさやかに引き取られて暮らしている。

ミチル

藤川健の妻。かつて健がパリに留学した際に同行したが、外国に馴染めず、孤独のあまり拒食症になってしまう。無理心中を図り、娘・麻理亜の首を絞め、自分は刃物で自殺した。

狩野 (かのう)

小学6年生の男子で、鳥谷未来のクラスメイト。眼鏡をかけており、嫌味っぽい性格をしている。東京に2回行った事があるという経験を鼻にかけ、田舎者のクラスメイト達を馬鹿にしている。

杉村 春男 (すぎむら はるお)

小学6年生の男子で、鳥谷未来のクラスメイト。両親が離婚して母親が出て行ってしまい、父親と二人で生活している。少々太めの体型をしている。優しい性格で、相手の気持ちに遠慮するあまり思っている事を言えずにいる。

保健室の先生 (ほけんしつのせんせい)

鳥谷未来の通う学校の保健室の先生。若くて色気のある女性で、藤川健に色目を使っている。

綱吉 (つなきち)

藤川健が飼っている猫で、下宿屋「たんぽぽ荘」のマスコット的存在。カツオ節が大好き。

場所

たんぽぽ荘 (たんぽぽそう)

小春が経営している下宿屋で、藤川健が住んでいる。かつてはにぎわっていたが、今はあまり下宿人はおらず、開店休業状態。

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