極黒のブリュンヒルデ

極黒のブリュンヒルデ

頭脳明晰な高校生の村上良太と、研究所を脱走した「魔法使い」の少女たちの、凄惨な逃亡生活を描く。黒羽寧子をはじめとする魔法使いの少女たちは「鎮死剤」と呼ばれる延命薬を定期的に飲まなければ、全身から出血して絶命してしまう。タイムリミットのある生命を精一杯生きようとする少女たちの切ない心情が、スプラッター描写をまじえながら描かれる。また、村上良太がブレーンとなり、超絶的ではあるものの、限定的な黒羽寧子らの超能力を用いて、刺客として送り込まれる格上の魔法使いを撃退するという頭脳バトルの要素も含まれる。

正式名称
極黒のブリュンヒルデ
ふりがな
ごくこくのぶりゅんひるで
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
 
アクション
 
ラブコメ
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概要・あらすじ

自分の不注意により幼なじみの少女クロネコを事故で死なせてしまった村上良太は、事故から10年後の高校2年生になっても贖罪の意識に囚われていた。ある日、村上のクラスに、転校生の少女、黒羽寧子がやってくる。クロネコに似た面影の黒羽寧子は、村上良太に未来を告げ、落下する巨石を破壊することで予知された村上の死を回避させた。

彼女は研究所を逃げ出してきた「魔法使い」と呼ばれる超能力者であり、同じように研究所から脱走してきた仲間がいるという。穏やかで平和な普通の生活を望む黒羽寧子魔法使いのもとに、研究所から格上の魔法使いが、刺客として送り込まれる。

登場人物・キャラクター

村上 良太 (むらかみ りょうた)

高校2年生の男子。小学生の時、いつも一緒に遊んでいた幼なじみの少女クロネコを自らの不注意で死なせたことが原因で、10年後の今も贖罪の感情に囚われ続けている。クロネコが信じていた宇宙人の存在を証明するため、NASAの研究員になることを目標にし、学校でただ一人の天文部員として、毎夜、天文台の望遠鏡を覗いている。 全国模試で全国3位に入るほどの頭脳の持ち主。一度目にしたものは決して忘れないという記憶能力を持つ。クロネコの死がトラウマとなり、現在も女子が苦手。2歳の時に父親と弟を事故で亡くし、現在は仕事で多忙を極める厳格な母親と二人暮らし。家では家事全般を担当する。アルバイトで近所に住む八田結花の家庭教師をしている。

黒羽 寧子 (くろは ねこ)

村上良太と同じクラスに転校してきた少女。村上良太の死んだはずの幼なじみ、クロネコにそっくりな容姿をしている。実は橘佳奈とともに研究所の護送車から脱走した魔法使いで、遠隔から物体を破壊できる「破撃」の魔法を使える。巨大な岩を破壊できるほど強力だが、細かい調整はできない。 また、強力な魔法を使いすぎると記憶の一部が欠落してしまう。外界と隔絶された研究所で10年間実験台にされていたため、教育を受ける機会がなく、九九もわからず、一般常識にも疎い。ただし、頭脳は明晰である。精神的にも未発達で、村上良太に好意を抱いているが、自覚はない。普段は冷静だが、村上良太に関することでは時に感情を爆発させる。

橘 佳奈 (たちばな かな)

髪を縦ロールにして、ゴスロリ服を着た14歳の女子中学生。研究所に処分される前、黒羽寧子とともに脱走したBランクの魔法使いで、2日先までの範囲で人の死に関する未来のビジョンを受信できる予知能力を持つ。その予知能力は100パーセントの確率で的中するが、行動により未来を変えることができる。 魔法使いになるための実験により、全身不随の寝たきりとなり、呼吸も困難な状態だが、わずかに動く左手の指を使ってキーボード入力をすることで意思の疎通ができる。口は非常に悪いが優しい性格で、自分の命を救ってくれた黒羽寧子に多大なる恩義を感じている。

カズミ=シュリーレンツァウアー (かずみしゅりーれんつぁうあー)

日本人の父親とオーストラリア人の母親の間に生まれたハーフ。父親譲りの関西弁で話す。黒羽寧子、橘佳奈とともに研究所の護送車から脱走したBクラスの魔法使いで、ふたりとは別行動を取っていた。ネットワーク経由でさまざまなセキュリティを解除できる「操網」の魔法を使う。のちに村上良太、黒羽寧子と同じクラスに転入してくる。 下ネタを中心に軽口を叩くが、それは処女コンプレックスの裏返しであり、元気に振舞っているが、それも死の不安の裏返しとなるカラ元気である。自分がこの世に生きた証として、村上良太の子どもを産みたいと願っている。

鷹鳥 小鳥 (たかとり ことり)

カズミと同じ日に転入してきた高校1年生の女子。黒羽寧子らと同じタイミングで研究所の護送車から脱走した魔法使いだが、彼女らと面識はなかった。対象と瞬時に場所を入れ替える「転移」の魔法を使えるが、能力を1回使用するごとに必ずハングアップしてしまうという欠点も持つ。巨乳。 やや天然ボケのおっとりとした性格をしている。研究所からは、識別番号1107番として追跡されている。

斗光 奈波 (とこう ななみ)

ヴィンガルフが1107番(鷹鳥小鳥)の捜索のために送り込んだAAクラスの魔法使い。識別番号は5210番。他人の目を見ることで記憶を覗き見ることができ、その記憶を消去できる「視憶」の魔法と、同じく目を見ることで記憶を新たに書き込むことができる「操憶」の魔法を使用できる。 このうち「操憶」の魔法については、研究所にその存在を隠していた。「視憶」の魔法による記憶の読み取り、「操憶」の魔法による記憶の改竄は、ともにサングラスをかけることで回避可能。甘いものに目がない。

若林 初菜 (わかばやし はつな)

黒羽寧子らと同じタイミングで研究所の護送車から脱走した魔法使いで、彼女らとは別行動を取っていた。たとえ体が溶解しても、ハーネストさえ無事ならば、生き返ることが可能な「再生」の魔法を使える。村上良太を信頼に足る人間だと認め、行動をともにする。

柱谷 小五郎 (はしらたに こごろう)

村上良太の叔父。32歳独身。生化学の天才的な研究者。アメリカの研究機関から招聘の話が出るほどの頭脳の持ち主だが、極度の乗り物酔い体質で、徒歩でしか移動することができないため、その申し出を断っている。傲岸不遜な性格で、自分の才能が欲しければ、徒歩圏内に研究所を用意すればいいと考えている。 自らの知的好奇心が満たされることを第一とし、金や情では動かない。超常現象の類は一切信じないリアリスト。東京大学の同期として同じゼミにいた九千怜のことを、自分以上の天才だと認めている。

八田 結花 (はった きっか)

中学3年生の少女。村上良太に家庭教師をしてもらっている。のちに橘佳奈と親しくなる。

九 千怜 (いちじく ちさと)

ヴィンガルフの所長。冷酷無比な性格で、目的のためには手駒の魔法使いたちを容赦なく使い捨てる。東京大学で同じ生化学ゼミを受講した柱谷小五郎が「私は彼以上の俊英に出会ったことがない」と評するほどの天才。著しく人間性を欠いており、「不死の生命」研究のためならば、どんな犠牲を払っても構わないと考えている。 妹の怜那を病気で亡くしている。

黒服 (くろふく)

ヴィンガルフの上級研究員。本名は明らかにされていない。ヴィンガルフの全情報を開示されている数少ない人間で、脱走した魔女たちの捕獲を担当する。美樹=ノイマイアーのかつての上司にあたる。趣味はギター演奏だが、致命的な音痴で自作の曲を歌うことができない。

美樹=ノイマイアー (みき=のいまいあー)

元ヴィンガルフの女性研究員で、ヴィンガルフの非人道的研究に嫌気がさしてレジスタンス組織ヘクセンヤクトを設立する。アラサー。任務時にはシスター服を着用している。

イニシャライザー

ヘクセンヤクトの構成員。見た目は小柄な少年。ヴィンガルフの上位組織である「高千穂」の出身らしい。魔女たちの能力を中和させ、無効化する魔法を使用できる。また、孵卵したドラシルを一撃で滅する能力も持つ。ただし、新月の前後2日間は魔法が使用できない。

クロネコ

小学生時代の村上良太が、よく一緒に遊んでいた幼なじみの少女。宇宙人の存在を信じており、彼女の知る「宇宙人のいる場所」に向かう途中、足を滑らせた村上良太を助けようとして転落死する。脇の下に三角形のホクロがある。

集団・組織

ヘクセンヤクト

『極黒のブリュンヒルデ』に登場する組織。「ヘクセンヤクト」とは、魔女狩りの意味。ヴィンガルフの元構成員たちが、非人道的で危険な機関の計画を阻止するために結成したレジスタンス組織。構成員はシスター服、牧師服を身にまとっている。魔女たちの孵卵を恐れ、魔女を見かけ次第、イジェクトしようとする。

その他キーワード

ヴィンガルフ研究所 (ゔぃんがるふけんきゅうじょ)

『極黒のブリュンヒルデ』に登場する機関。「ヴィンガルフ」とは、魔女の宮殿の意味。表向きは高次生命機構研究所という名前の国家研究機関。通称「研究所」。魔女研究の名のもとに、非人道的な人体実験を繰り返している。100年前、ドイツのドレスデン郊外で偶然発見された宇宙人の遺跡がきっかけとなり、「神を滅ぼす」ことを最終目的としている。 巷では「V機関」という名で噂され、その存在を追ったジャーナリストたちが何人も失踪や不審死を遂げていると恐れられている。通称「高千穂」という名称の上位組織が存在する。

魔法使い (まほうつかい)

『極黒のブリュンヒルデ』に登場する用語。研究所における人体改造手術により生まれた存在。さまざまな超能力を有するが、強力な魔法を使い過ぎると「ハングアップ」し、丸一日、魔法が使用できなくなる。また、首の後に埋め込まれた「ハーネスト」と呼ばれる機械の右下にある「ハングアップ」ボタンを押すことで、魔法を丸一日使えなくできる。 左下にある「イジェクト」ボタンを押すと、体がドロドロに溶けて死に、無数の目を持つアメーバ状の生物「ドラシル」が排出される。超能力のレベルにより、S、AAA、AA、A、B、Cにランク分けされており、Bランク以下は役立たずとして処分される。

アニメ

極黒のブリュンヒルデ

主人公の村上良太はかつて事故で亡くなった幼馴染みの少女クロネコにそっくりな黒羽寧子と出会う。寧子は物体を破壊する超能力を持った魔法使いで、人体実験を受けていた研究所から逃げてきたのだという。 他の魔法... 関連ページ:極黒のブリュンヒルデ

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