レンアイ漫画家

レンアイ漫画家

葬儀屋に勤めるあいこが、好きだった先輩の葬式に出た。亡き先輩の子どもレンは引き取り手がいなかったが、先輩の兄清美に子供を引き取らせる。売れっ子少女漫画家である清美はあいこに、漫画のネタにするために恋愛をしてこいという条件を出す。

正式名称
レンアイ漫画家
ふりがな
れんあいまんがか
作者
ジャンル
恋愛
関連商品
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あらすじ

あいこと清美の出会い

葬儀会社に勤務している久遠あいこは、学生時代にあこがれていた先輩の刈部純の葬儀を担当することになった。仕事中だからと必死に涙をこらえて業務にあたっていたあいこだったが、純の息子である刈部レンを誰が引き取るのかを、親戚で押し付け合っている場面に遭遇。怒りを覚えたあいこは、純の兄にあたる刈部清美にレンを引き取って欲しいと頼み込む。すると清美はあいこの申し出を受け入れる代わりに、自らの下僕になるよう交換条件を突きつける。少女漫画家を生業とする清美は、あいこに恋愛をさせ、それをマンガのネタにしようと考えていたのである。あいこはレンを守りたい一心から、その条件を受け入れる。こうしてあいこはさっそく清美の命令により、早瀬剛に接近して距離を縮めていく。最初は清美の命令を受け、しぶしぶ従っていたあいこだったが、次第に早瀬との時間を純粋に楽しいと感じるようになり、恋人として意識するようになる。一方の早瀬もあいこに好意を抱くようになり、二人は自然と両思いになるものの、清美はあいこに今すぐ早瀬と別れるようにと命じる。

傷心のあいこと次のターゲット

久遠あいこは刈部清美の命令により、好意を抱いていた早瀬剛に不本意な別れを告げ、心に傷を負っていた。そんな中、清美は次なるターゲットとして、離婚間近の前田と恋愛するよう命令する。あいこは早瀬のトラウマから、前田には必要以上にかかわらないように注意しつつも、相手に好意を持ってもらうように奮闘する。だが、そんなあいこのどっちつかずな態度に前田は呆れ、あいこは後味の悪い別れを経験することになる。一方、あいこのことがあきらめ切れない早瀬は、彼女のストーカーと化していた。そんな中、あいこは清美の代理として刈部レンの授業参観に参加する。そこであいこは、保護者から詰め寄られていたレンの担任の大倉シンゴを目撃し、さりげなく彼をフォローすることで、あいことシンゴの距離は縮まっていく。その様子を密かに観察していた清美は、あいこに対して次は大倉と恋愛するように命じる。

二階堂からのアプローチを受けるあいこと姉の登場

大倉シンゴには既に心に決めた女性がいることを知り、久遠あいこは再び心に傷を負ってしまう。そんなある日、あいこが勤務している葬儀社に二階堂藤吾が入社して来る。人当たりがいい二階堂はすぐに職場に溶け込み、あいこにもアプローチを開始する。しかし二階堂はいわゆる「女たらし」で、あいこの目の前でもほかの女性と親しそうにしているため、あいこの気持ちはどんどん冷めていく。女たらしである自覚のない二階堂は、あいこのことが本当に好きなのだと訴え、なんとか自分に興味を持ってもらおうと奮闘する。そんな中、あいこの姉があいこを訪ねて上京し、妹のあいこに二階堂から熱烈なアプローチを受けていると知る。さらに、ストーカーの早瀬剛もあいこを思いを寄せていることを知り、二人のどちらかと結婚させようと勝手に話を進めていく。

男性であることを知られる清美と自身の恋心に気づくあいこ

金條麻央のおばで、少女漫画家の金條カレンは、刈部清美の大ファンだった。カレンは清美が男性であることを知らず、きっと美しい女性に違いないと日々妄想していた。そんな中、麻央のクラスメイトの刈部レンが、清美となんらかのつながりを持っていると気づいたカレンは、ついに清美の自宅を突き止め、清美が男性であることを知る。ショックを受けたカレンだったが、次第に自らの性別を女性だと偽って創作活動を続けている清美を守りたい気持ちが高まり、勝手に清美のもとへ押し掛けて結婚を申し込むなど暴走を繰り返すようになる。そんなカレンの様子を見ていた久遠あいこは、自らが清美を男性として意識していたことに気づく。そんな中、清美が男性である事実がインターネット上で何者かに暴露され、裏切られたとファンの一部が騒ぎ出す。さらに真実を突き止めようと、清美の自宅までファンが押し寄せる騒ぎも発生し、あまりの反響の大きさに清美は編集部から今月は休載するとの連絡を受ける。すると清美は創作意欲を一気に失い、漫画が描けなくなってしまう。

メディアミックス

TVドラマ

2021年4月から、本作『[レンアイ漫画家』のTVドラマ版『レンアイ漫画家』が、フジテレビ系列で放送された。キャストは、久遠あいこを吉岡里帆、原作では刈部清美にあたる「刈部清一郎」を鈴木亮平が演じている。

登場人物・キャラクター

久遠 あいこ (くおん あいこ)

葬儀社「あかり葬祭」に勤務している独身女性。年齢は22歳。学生時代にあこがれていた先輩の刈部純が急死し、葬儀を担当することになる。その際に純の息子の刈部レンの行き場がないことを知り、純の実兄の刈部清美にレンを引き取ってもらえないかと懇願する。清美からはレンを引き取る条件として、自分の下僕となってさまざまなパターンの恋愛をし、その経過を逐一報告するように命じられてしまう。情に厚く、思ったことはすぐに口に出すわかりやすい性格の持ち主。中学高校時代はヤンキーで、学校内でも目立つ存在だった。

刈部 清美 (かりべ きよみ)

少女漫画家を生業にしている独身男性。弟の刈部純が急死して葬儀に参列したところ、甥の刈部レンを引き取ってくれないかと、純の後輩の久遠あいこから頼まれる。あいこの申し出を受ける代わりに、自らの下僕となってさまざまなパターンの恋愛をし、その経過を逐一報告するようにと条件を出す。ボサボサの髪に無精ひげを蓄えており、周囲には不審者と間違われることがある。内向的でコミュニケーション能力が低く、担当者の向後以外には親しい友達もいない。仕事熱心で生真面目な性格ながら、突然怒り出すなどつかみどころがない。少女漫画誌「少女モーニング」で「銀河天使」を連載しており、雑誌の看板作家的な存在で、刈部清美にあこがれて漫画家を志した者も多い。漫画家として活動している際には自らの性別を女性だと偽っており、ペンネームは「刈部眞理子」。

向後 (こうご)

少女漫画誌「少女モーニング」の編集部に所属している男性。刈部清美の担当者で、そのつながりで久遠あいこと知り合う。仕事のやりがいに悩んでいた際に、新人の持ち込みの場で出会った清美の才能に感激し、以降18年間ずっと彼を担当しており、公私共に面倒を見ている。清美が甥の刈部レンを引き取る条件として、あいこに清美自身の下僕となってさまざまなパターンの恋愛をし、その経過を逐一報告するようにと命じてからは、あいこへの指示を伝えたり男性との出会いの場をセッティングしている。学生時代はラグビー部に所属し、イケメンだったこともあり、女性から非常にモテた。しかし、人を褒めることが苦手だったこともあり、ほとんど恋愛経験はない。頭皮が薄いことを気にしており、人前では基本的にカツラをかぶって生活している。

刈部 レン (かりべ れん)

刈部純の息子。小学2年生。母親とは既に死別しており、さらに父親の純も突然亡くしてしまう。純の葬儀の際にスタッフとして働いていた久遠あいこと出会い、あいこを通じて、おじの刈部清美に引き取られることになる。物静かな性格で、年齢の割に大人びている。物わかりも非常にいいが、年相応に友達と遊びたがったり、よく見られたいと見栄を張ってしまうこともある。ミステリアスな存在であることから、それがかえって同級生たちからは面白がられており、友達に恵まれている。クラスで一番の美少女の金條麻央から、好意を寄せられている。木登りが得意で、何か考えごとがあると一人で上まで登って景色を楽しんでいる。

刈部 純 (かりべ じゅん)

刈部清美の弟で、刈部レンの父親。転倒した際に頭を強く打ち、そのまま亡くなる。妻とは早くに死別しており、シングルファーザーとしてレンを育てていた。清美とは正反対の明るく社交的な性格で、生前はそりの合わない清美とのかかわりはほとんどなかった。刈部純自身は気づいていなかったが、学生時代は久遠あいこからあこがれられていた。

早瀬 剛 (はやせ つよし)

向後の学生時代の後輩の男性。向後と同じラグビー部に所属していた。刈部清美が下僕扱いしている久遠あいこ対して「恋愛をしろ」と命じたことから、一人目のターゲットとなる。あいこと両思いになったものの、彼女が清美から別れるように命じられたため、突然振られてしまう。その事実が受け入れられず、あいこのストーカーと化す。その一方であいこの姉に気に入られており、二階堂藤吾とあいこを巡って競わされることが多い。

前田 (まえだ)

花屋「フローリスト」に勤務している男性。仕事上、久遠あいこが所属する葬儀社「あかり葬祭」とつながりがある。既婚者ではあるが妻とは別居しており、もうすぐ離婚することが決まっている。刈部清美が下僕扱いしているあいこ対して「恋愛をしろ」と命じたことから、二人目のターゲットとなる。素直な性格で、洞察力にも優れている。あいこが自分にちょっかいを出しながらも、気持ちが入っていないことを見抜き、何がしたいのかわからずに呆れて離れていった。しかし、その後もあいこと顔を合わせると快く相談に応じるなど、優しく接している。趣味はパチンコ。

金條 麻央 (きんじょう まお)

金條カレンの姪。小学2年生。刈部レンと同じクラスになり、そのつながりで久遠あいこと顔見知りになる。大人びた性格の美少女で、クラスでも一番人気がある。両親が多忙なため、おばのカレンが学校行事に参加している。ほかの同級生とは違う、ミステリアスな雰囲気を漂わせたレンに片思いしている。

金條 カレン (きんじょう かれん)

金條麻央のおば。少女漫画家を生業にしている独身女性で、多忙な両親に代わって麻央の行事に参加するため学校を訪れ、その際に刈部レンの保護者代理の久遠あいこと知り合いになる。少女漫画誌「少女モーニング」で「毒舌モモンガ」を連載している。刈部清美にあこがれて漫画家になり、彼を女性だと思い込んでいた。清美が男性だと知ってショックを受けたものの、次第に彼を守りたいと気持ちが変わっていき、結婚をせまるなど暴走するようになる。

大倉 シンゴ (おおくら しんご)

刈部レンが通う小学校に勤務している若い男性教師。授業参観の際に、理不尽な保護者から責められていたところを助けてもらったことで、久遠あいこと知り合う。その後、刈部清美が下僕扱いしているあいこ対して「恋愛をしろ」と命じたことから、三人目のターゲットとなる。優しく穏やかな性格で生徒からは人気が高いものの、経験不足から保護者との対話は苦手としている。若くてさわやかな顔立ちであることから、一部の保護者からはアイドル的な扱いを受けているほか、生徒からは「韓流」というあだ名で呼ばれている。

二階堂 藤吾 (にかいどう とうご)

葬儀社「あかり葬祭」で働く男性。久遠あいこの後輩にあたる。入社してすぐにあいこのことが気に入り、アプローチを開始する。女性から好意を抱かれることが多く、最初はあいこからも興味を持たれていたものの、それを拒否することなく受け入れてしまうことから、女たらしと距離を置かれるようになる。その一方であいこの姉に気に入られており、早瀬剛とあいこを巡って競わされることが多い。前職はホテルマンで仕事の段取りがうまく、職場では新人ながらも頼りにされている。またコミュニケーション能力が高く、誰とでもすぐになかよくなれる。

あいこの姉 (あいこのあね)

久遠あいこの姉。年齢は37歳。小さな頃から年の離れたあいこの世話をしており、母親兼姉のような立場で見守っていた。非常にマイペースな性格で、人の話は聞かないところがある。あいこには早めに幸せな結婚をして欲しいと望んでおり、あいこに好意を寄せている早瀬剛と二階堂藤吾のどちらかを選ぶべきだと勝手に話を進めている。過去に一度結婚しているが、その時の夫とは死別している。

純・ホルスト・ヘミング (じゅんほるすとへみんぐ)

刈部清美が雇ったハウスキーパーの男性。金條カレンが自宅で勝手に妻として振る舞う状況を変えるべく雇われた。大柄で屈強な体格をしており、顔に傷があるなど一見強面(こわもて)だが、心穏やかで優しい性格の持ち主。口数が少なく、コミュニケーション能力は低いものの、家事のスキルは非常に高い。自分になんとなく似ていると感じている刈部レンから慕われている。

クレジット

原案協力

西田大輔

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