下弦の月

下弦の月

ある事件から記憶を失い、幽霊となった女性の正体を探るため、小学生4人組が真相解明に挑む。「りぼん」平成10年4月から平成11年6月号まで連載された少女漫画作品。全15話で構成され、単行本は全3巻が刊行されている。その他の形態として、平成16年9月に愛蔵版『下弦の月 Last Quarter』、平成25年3月に文庫版が共に上下巻で刊行されている。

正式名称
下弦の月
ふりがな
かげんのつき
作者
ジャンル
推理・ミステリー
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概要・あらすじ

家庭不和と恋人の裏切りにより、どこにも居場所のない女子高校生の望月美月。ある日彼女は、街でギターを奏でるイギリス人のアダム・ラングと運命的な出会いをする。急速に惹かれ合い、古い洋館で一緒に暮らすようになる2人。やがて美月は日本を去るアダムについていく決心をするが、待ち合わせ当日、交通事故に遭ってしまう。

意識不明となった彼女は、夢とも現実ともつかぬ不思議な場所で、1人の少女と出会う。

登場人物・キャラクター

望月 美月 (もちづき みづき)

笹原女子高校に通う高校3年生。複雑な家庭環境と恋人の裏切りにすべてを諦めていた際にアダム・ラングと出会い、恋人同士になる。しかし彼との待ち合わせ中に事故に遭い、目を覚ました時にはアダムと暮らした洋館に閉じ込められていた。現在は記憶喪失の幽霊のような状態で、館から出られず、白石蛍以外の人間には姿も見えない。本名すら忘れていたため、蛍たちには便宜上「イヴ」と呼ばれている。 アダムとの約束を果たせなかったことを悔やみ、彼との再会を強く願っている。

白石 蛍 (しらいし ほたる)

日翔学園に通う小学5年生で、おかっぱ頭と学年一小さな身体が特徴のおっとりとした雰囲気の少女。行方不明の飼い猫ルルを探していた際に交通事故に遭い、意識不明中に見た夢の中で望月美月と出会う。真面目で一生懸命な根気強い性格だが、ややズレた天然ボケな一面も。特技はピアノで、所属クラスは3組。自分だけに見える存在となった美月を誰よりも気にかけ、彼女の願いを果たそうと奔走する。

杉崎 哲 (すぎさき てつ)

白石蛍のクラスメートで、日翔学園に通う小学5年生。明るくおちゃらけた雰囲気だが、心優しく人の気持ちに敏感な少年。常に周囲を細やかな気配りで支えており、蛍も「サッカー上手で明るくて人気者」と評している。実家は蛍が入院していた杉崎医院で、将来は家を継いで医者になることが夢。香山沙絵のピンチに偶然居合わせたことから、事件に関わることになる。

香山 沙絵 (かやま さえ)

白石蛍の友人で、日翔学園に通う小学5年生。三つ編みヘアに眼鏡がトレードマークの、公正でしっかり者の少女。蛍とは3年生からの付き合いで、いじめられて泣いている彼女を助けたのがきっかけで仲良くなった。退院以来、不可思議なことを語る蛍を心配していたが、彼女を信じ事件に協力を申し出る。クラスは蛍、杉崎哲と同じ3組に所属しており、剣道を習っている。 優しい父親を尊敬する一方で、批判的な性格の母親とは折り合いが悪い。

三浦 正輝 (みうら まさき)

杉崎哲の友人で、日翔学園に通う小学5年生。クールで落ち着いた雰囲気の美少年で、分析力・判断力に長ける頼りがいある人物。非常に大人びており、やや周囲を見下したところがある。しかし間違いは即座に認め、認識を改めるなど素直な一面もある。母親は元アイドルの美人女優で、父親は映画俳優。両親の離婚後は父親と高層マンションの最上階で2人で暮らしている。 哲同様、香山沙絵のピンチに居合わせて以来、事件の真相解明に協力。4人のリーダー的役割を担うようになる。クラスは4人の中で唯一違い、1組に属している。

アダム・ラング (あだむらんぐ)

望月美月の恋人。イギリスのロックバンド「EVIL EYE」のギターボーカルで、2週間だけ日本に訪れた際に美月と知り合った。穏やかで淋しがりやな性格。笑顔に隠した美月の悲しみに触れ仲を深めていくが、美月を過去の恋人と混同しているなど、人間的に不安定な部分があった。腕に残る注射痕から、ドラッグ中毒の疑いがある。

上條 さやか (かみじょう さやか)

アダム・ラングと望月美月が過ごした洋館で、20年ほど前に暮らしていた女性。ピアニストとしての才を持ちイギリスに留学するが、留学先で身体を壊して亡くなった。留学前は父親と母親、飼い猫のメリーと住んでおり、近所の堂島家とは深い親交があった。美月と容姿がよく似ている。

安西 知己 (あんざい ともき)

望月美月の元恋人。真ん中で分けた長髪が特徴。浮気癖があり、度重なる裏切りにより美月と別れた。事故当日美月を目撃し謝罪しようとしたが、声をかけられずにいた。結果彼女が事故に遭ったと思い込み、深く悔やんでいる。

望月 唯 (もちづき ゆい)

望月美月の妹で、小学4年生。美月には義母が連れてきた子供と紹介されているが、実際は美月の父親の実の娘。美月に母親を取られることを危惧し、彼女に嫌がらせを行っていた。ふんわりした髪質や太目の眉が、母親によく似ている。

(あや)

望月美月の親友。肩につくほどの金髪と、厚い唇が特徴。以前美月と異性関係でトラブルになったことがあり、彼女を傷つけたことを悔やむあまり、美月が死んだら自分のせいであると思い込んでいる。美月と撮ったプリクラを、今も大切に鞄に付けている。

杉崎 華 (すぎさき はな)

杉崎哲の姉。哲をからかうことが生きがいだが、事件を調査する彼に、「空き家の前で女性を目撃した」という重要な証言を残す。高い位置で結んだお団子頭が特徴。テレビゲーム「パラサイト・イヴ」で遊んでいる。

ルル

白石家で飼っている猫。白石蛍が事故に遭う1か月ほど前から行方不明となり、捜索中の蛍を夢の中で望月美月と知り合わせた。猫種はバリニーズで、シャム猫の毛を長くしたような容姿。現在も見つかっておらず、蛍は探し続けている。

蛍の母 (ほたるのはは)

白石蛍の母で水商売を営んでいる。商売柄夜間は不在だが、昼間は家におり、蛍が学校を休んだ際などは一緒に過ごすようにしている。蛍も内心それを楽しみにしている節があり、入院期間は母娘にとって特別な時間になっていた。父親のいない蛍を女手1つで蛍を育てた女性として、香山沙絵の父に尊敬されている。

澄代 (すみよ)

白石蛍の母の店で働く女性。ワンレングスに巻き髪のロングヘアが特徴で、蛍の母には、夢中で働くうちに婚期を逃したと言われている。白石家とは長い付き合い。蛍の送り迎えや食事等、面倒をよく見てくれるため、蛍にとっても親しい存在。

三浦 正人 (みうら まさと)

三浦正輝の父親。職業は役者で、世間にはしぶい映画俳優として認知されている。元アイドルの美人女優と結婚し正輝をもうけるがその後離婚。以来正輝と2人で暮らしているが、撮影等で不在がちなため家事は家政婦に任せている。主演作に「闇の宴」があり、キャッチコピーは「せちがらい世の中だぜ……」。愛煙する煙草は「峰」。

集団・組織

EVIL EYE (いーぶる あい)

アダム・ラングが所属するイギリスの4人組ロックバンド。ファーストアルバムは「LAST QUARTER」で、同タイトルの曲が存在する。レコーディングには、ある日本人ピアニストの参加も予定されていた。アダムはギターボーカルとして活動している。

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