腹話術

腹話術

高橋葉介が最初期に描いた短編。腹話術師の父と死に別れた少年の希望の旅立ち、悲しい生涯、そして最期の顛末を描く。怪奇やユーモア、ブラックコメディなど様々なジャンルの作品が描かれた初期短編作品の中でも、童話めいた美しい物語が高い評価を得た。作者の初単行本の刊行時には、表題作として選ばれている。

正式名称
腹話術
ふりがな
ふくわじゅつ
作者
ジャンル
旅行
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概要・あらすじ

高名な腹話術師として鳴らした男の息子ジョン。父の死を見届けた後、彼は腹話術で身を立てるべく旅立つ。周囲の物を何でもしゃべらせるその腹話術は見事なものだった。しかし、興行主の親方には認められず、街角に立って披露してもおひねりは貰えない。疲弊したジョンは雪の降る街頭で座り込む。やがて朝が来て、浮浪者が死んでいるジョンを見つけた。

その時街中のすべての物が、哀悼の祈りを捧げた。

登場人物・キャラクター

ジョン

有名な腹話術師を父親に持つ少年。様々な声色を使い分け、周囲にある人形、パイプ、鳥、街灯など、指をさした物を喋らせることができる。父親が死んだ後、希望をもって旅に出るが、その技を認めてもらえず、都会の街角で息を引き取った。

親方 (おやかた)

見世物興行をしているやせぎすで鷲鼻の男性。ジョンの技量は認めたものの、人形を持っていない、若くて話題が少なそう、すでに腹話術師を雇っている、という3つの点から雇うのをやめている。

ガッポ

親方に雇われている中年の太った腹話術師。名人ガッポと異名を取り、詩を吟じることからエロ小話まで広い話芸を持つ。『宵闇通りのブン』においてコミカルになってはいるが、同名の腹話術師が登場している。

お嬢さん (おじょうさん)

ジョンが旅の途中、森の中で見かけた裕福そうな少女。チョウチョに話しかけているのを見て、ジョンは陰に隠れたままチョウチョの受け答えを演じてみせた。

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