ヒナまつり

ヒナまつり

インテリヤクザの青年、新田義史のもとに突如転がり込んできたサイキック少女のヒナ。そんな2人の破天荒な共同生活を中心に、ヒナに関わったことで大きく人生を変えていく人々の日常がコミカルに描かれるギャグ漫画。基本的には極道社会を軸とするギャグ作品だが、共同生活の中で育まれる親子の絆といった、ハートフルな要素も盛り込まれている。

正式名称
ヒナまつり
ふりがな
ひなまつり
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
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概要・あらすじ

金の稼げるインテリヤクザとして、所属する組事務所で頭角を現していた新田義史。そんな彼の前に突如、空間を割って1人の少女が舞い降りた。別の世界らしき場所から転送されてきた、その少女の名前はヒナ。どこにも行くあてがないという彼女は、自らが持つ強力な超能力を見せつけることで、半ば脅すように新田の家へと転がり込むのだった。

途方に暮れる新田ではあったが、もともと世話焼きな性格もあってか、悪態をつきながらもかいがいしくヒナの面倒を見ることに。一方のヒナもまた、他の大人たちとは異なり、自らの超能力を利用しようとしてこない新田に少しずつ懐いていくのだった。こうして幕を開けたサイキック少女ことヒナとの共同生活は、毎日のように常識外れの大騒動が巻き起こるのだが、そのことによって図らずも新田が極道社会で成功を重ねる結果にも繋がっていく。

やがて、ヒナが巻き起こす騒動は、彼女を追ってこの世界にやって来た、第二、第三のサイキック少女たちや、中学校のクラスメイトらをも巻き込みながら、さらに大きく広がっていくのだった。

登場人物・キャラクター

ヒナ

豊島区立渡辺中学校に通う中学1年生の女の子(作中の時間経過により、後に高校生に成長)。強力な念動力が使える超能力者だが、組織によって廃棄されたところ、偶然にも転送先となった新田義史の家に転がり込み、血縁はないが彼の娘として共同生活を送っている。かつては超能力者を擁するある組織に所属していたようで、指示された命令をこなすことだけが自分の存在意義であると思っていた。 ヒナの能力は組織内でも最高傑作と讃えられていたが、暴走しやすく扱いにくいため、廃棄されてしまったという。そのせいか、一般常識をはじめ社会のことについては何も知らない。マイペースかつズボラな性格で、いつもボーっとしており、身の回りの世話をはじめ普段から超能力で新田をこき使っているが、彼女なりに絆や恩義を感じているような様子も見せる。 また、食べることが大好きで、特にイクラをこよなく愛しているが、彼女が新田と暮らし始めてから、月あたり200~300万円の出費になっているという。なお、人前で超能力を使わないよう新田から厳命されているものの、頻繁にポカをやらかしており、クラスメイトの数人には能力のことがバレている。

新田 義史 (にった よしふみ)

王道会傘下の暴力団組織、芦川組に所属するヤクザの青年。金の稼げるインテリヤクザとして組織内で重宝される一方、腕っ節の評価はいまひとつだった。しかし、ヒナが引き起こした騒動の結果、たった1人で敵対する暴力団事務所を壊滅に追い込んだり、誘拐犯相手にビルを爆破したりするなど(いずれもヒナの仕業)、尾ヒレのついた伝説が広まる。 結果、図らずも武闘派として評価されることになり、ついには若頭にまで上り詰める。つまりは極端な巻き込まれ体質であり、彼の及び知らぬ所で勝手に話が大きく膨らみ、結果的に酷い目に遭うこともある一方、評価され出世に繋がることも多い。その人柄はヤクザとは思えないほどに世話焼きのお人好しで、炊事、洗濯、料理と、非常に高いレベルの主夫スキルを誇っている。 これは少年時代よりズボラな母と妹に代わって、一手に家事を引き受けてきたことに由来。転がり込んできたヒナにこき使われ悪態をつきながらも、何だかんだで彼女のことを娘のように大切に思っているような様子も見せる。なお、高価な骨董品の収集を趣味としており、特に壺に関してはうるさく、陶芸に凝った末に自ら壺を焼き上げるべく、群馬の山奥に土地まで買ったほど。 また、バー・リトルソングの詩子に惚れており、デートにまで漕ぎ着けるも、子持ちはNGだとバッサリ交際を断られている。

三嶋 瞳 (みしま ひとみ)

豊島区立渡辺中学校に通う女子中学生で、ヒナと同じ1年3組に所属するクラスメイト。好きなバンドはセントラルパーク。頼みごとをされたら断れない優等生タイプの真面目な性格で、なし崩し的に学校でのヒナの世話役を押し付けられることに。そんなヒナと友達付き合いする中で、バーやキャバクラといった大人の世界を知ることになり、これまたなし崩し的に新田が通い詰めるバー・リトルソングでバーテンダーとして働くことになってしまう。 もともと要領が良かったこともあってか、そこでバーテンダーとして天賦の才を発揮、いつしか彼女抜きでは店が成り立たないほどに成長を遂げる。さらにこの仕事が原因で親と喧嘩になり、家を飛び出したことで一人暮らしを開始。 新田の仲介で高級マンションを借りるが、家賃支払のためビル清掃やイベントスタッフにOLなど、仕事を掛け持ちしながらハードワークをこなすことで、優秀な社会人として頭角を現していく。やがて、仕事の中で培われた人脈は、裏社会から政財界にまで至り、一介の中学生でありながら、企業や財界に多大な影響を及ぼすように。 また、英語学習のため渡米するが、手違いで軍事教練所に送り込まれ、そこでも優秀なスナイパーとしての才能を開花させており、サバイバル術や銃火器の扱いにも長けるようになった。なお、基本的には穏やかな人柄だが、悪意なく辛辣な発言をしてしまうこともしばしば。

アンズ

廃棄されたヒナを処分するため、組織によって送り込まれた第二のサイキック少女。ヒナとは顔なじみで、彼女と同じ念動力を操る。ヒナに念動力を使った勝負を挑むが敗れ和解するも、元の世界へ帰る手段を失いホームレス生活を始めることに。当初は好戦的で世間知らずだったが、地元ホームレスたちとの交流の中で社会で生きていくための知識や、人の繋がりが持つ大切さについて学ぶ。 公園に住みながらホームレスたちから娘のように可愛がられていたが、行政による整理事業で住処を追われることになり、中華料理店を経営する林夫妻のもとへ引き取られた。以降、離れ離れになったホームレスたちとの絆や思い出を胸に、献身的に林夫妻の家業を手伝っている。 その姿は素直で気が利く理想的な子供そのものであり、ヒナの世話に疲れきっていた新田の父性を呼び起こさせた。本人が必要性を感じていないため学校には通っていないが、ホームレス時代に出会った三嶋瞳とは友達同士。

詩子 (うたこ)

新田が通い詰めているバー・リトルソングのバーテンダー。女店主として1人でバーを切り盛りしてきたが、三嶋瞳にバーテンダーとしての天性の才能を見い出し、中学生であると知りながらも、半ば強引に彼女を従業員として雇い入れた。結果的に瞳のおかげで店は繁盛するも、彼女自身はバーテンダーとして必要とされなくなり、店に居場所をなくしてしまう。 それでも瞳が稼ぎだす売り上げは彼女にとって魅力的で、仕事がきっかけとなり母親と喧嘩した瞳に家出するようけしかけ、仕事を辞められなくなるよう追い込んだ。当初は余裕のある大人の女性といった雰囲気を見せていたが、瞳との出会いが契機となり、楽して儲けることばかり考えるダメな大人に変貌。 とは言え、ホームレスの炊き出しボランティアに参加したり、身寄りのなくなったアンズを林夫妻に紹介したりなど面倒見がよく、基本的には善人である。なお、過去に何かあったらしく、警察を毛嫌いしている。

新田 美佳 (にった みか)

ズボラで粗暴で酒豪で楽天家な、新田義史の妹。人の顔面を殴るのが大好きという危険人物で、学生時代から空手の道場に通っており、危ない技を試すためにヤンキーを狩っていたという逸話を持つ。なお、現在は黒帯の有段者。役場職員として働いていたが、短気な性格が災いして辞職。夢追い人となり、兄の新田を頼って東京に出てくるも、傍若無人の限りを尽くした後、再び実家へ戻っていった。 その自堕落っぷりは、数か月を共に過ごしたヒナにさえ危機感を覚えさせるほど。

斑鳩 景 (いかるが けい)

ヒナやアンズ、マオたちサイキック少女を擁する組織で警備主任を務める女性。処分できなかったヒナの行動を調査するため送り込まれてきたが、制御を離れたヒナを極端に恐れている。アパートの一室を借り、ヒナの行動調査を続けていたが、資金難により餓死寸前にまで追い込まれることに。 そんな中、飼っていた愛犬に励まされ、生きる気力を取り戻した彼女は、調査そっちのけで生活のためにスーパーで働き始める。その後、組織の命令でヒナを連れ帰ろうとするも、帰還用の装置が失われていたことにより失敗。装置を持ってきてもらうために第三のサイキック少女であるマオを呼び出すが、エラーによって彼女は無人島に転送されてしまった。 なお、警備主任だけあって武術の心得があるようで、一般人程度なら素手で簡単に制圧できる。

マオ

斑鳩景によって呼び出された第三のサイキック少女。少し気は弱いが、ヒナたちとは異なり社会常識を身につけている様子。オシャレにも興味を持っており、超能力者ということを除けば、ごく普通の女の子とも言える。だが、手違いで東南アジア辺りの無人島に転送されてしまい、いきなり過酷なサバイバル生活を強要されることに。 念動力を駆使することで、およそ150日間ほど無人島での孤独な生活に耐えるも、精神に限界が訪れイカダを作って島を脱出する。その後、中国にたどり着いた彼女は、念動力を気功に見立て、様々な神業を再現することで衆目を集め、やがて超人拳法の至宝として祭り上げられていった。その噂を聞きつけて来たロックバンド・セントラルパークのボーカル、アツシと出会い、彼がヒナの友人であることを知ったマオは、恩人である師父の許しを得て、斑鳩景と再会するため日本へと向かう。 なお、無人島での孤独を癒やすため、ヤシの実をヒナやアンズに見立て、念動力で操り友達のように振る舞わせていた。 その癖は中国でも直っておらず、周囲からは気が触れているように思われてしまう。

芦川組組長 (あしかわぐみくみちょう)

新田義史が所属する暴力団組織、芦川組の組長。少し茶目っ気のある老人男性で、構成員からは親父と呼ばれ慕われている。金の稼げる新田を高く買っており、その娘として振舞っているヒナを孫のように溺愛。その愛の深さはヒナが成り行きで生徒会長に立候補した際、顧問弁護士を呼んでスピーチ原稿を用意させるほどである。 また、容体が悪化して心停止状態に陥った際にも、ヒナの声を聞いただけで回復した。後に老齢による体の限界を悟り、若頭に跡目を譲って自らは引退を果たしている。

内藤 龍彦 (ないとう たつひこ)

暴力団組織の芦川組に所属するヤクザで、新田義史にとっては直属の兄貴分にあたる。周囲から人斬り内藤と恐れられる危険な人物で、銃を持った4人を相手に日本刀で立ちまわり、その罪で刑務所に服役していた。怒ると非常に凶悪だが仁義には厚く、意外とユーモラスな一面を持つ。別れたと思われる妻との間に前田仁志という息子がおり、再会を願っているが絶妙なすれ違いが続き、本当の意味でその願いは果たされていない。

前田 仁志 (まえだ ひとし)

豊島区立渡辺中学校に通う中学1年生の男子生徒。所属クラスは1組。ふとしたきっかけでヒナと知り合い、親がヤクザという互いの似た境遇もあってか意気投合する。新田義史の兄貴分である内藤龍彦の息子で、母親に苦労をかけた父親を恨みながらも、ひと目会ってみたいという思いが募り、ヒナに連れられ組事務所を訪問。 その際に内藤と顔を合わせているが、息子だとは信じてもらえず、その場から走り去ってしまった。それ以降も何とか父親とコンタクトを取ろうと模索するも、絶妙なすれ違いの末に失敗している。

集団・組織

セントラルパーク

『ヒナまつり』に登場するロックバンド。家を追い出されたヒナが放浪中に出会ったロックバンドで、ボーカルのアツシを筆頭とする男性4人組。ロックとイリュージョンを掛けあわせた、ロックージョンという新ジャンルの音楽を追求しており、武道館を目指して路上ライブに励んでいた。当初はチャチな手品だったが、本物の超能力を使えるヒナが加入したことでイリュージョンの質は劇的に向上。 オーディエンスを大いに沸かせ、一気にメジャーデビューへと突き進んでいく。ヒナの脱退後も活動を続け、ライブハウスで公演するまでに成長するが、ヒナと組んでいた頃の「本物のロックージョン」には程遠く、メンバーも頭を悩ませていた。 その後、本物のイリュージョンを学ぶべく一時的に活動を休止。動画で見たマオの気功にヒナと同じ不思議パワーを感じ取り、中国にまで渡って彼女に弟子入りしている。その人柄はソウル&パッションをモットーとする陽気な連中で、脱退を決意したヒナを心よく送り出し、進む道は違えど友情を固く誓い合うなど、義理人情にも厚い。

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