貴族探偵

貴族探偵

麻耶雄嵩の小説『貴族探偵』のコミカライズ作品。新米探偵の高徳愛香と謎の男性である貴族探偵が遭遇する事件や、二人が繰り広げる推理合戦を描くミステリー。「月刊YOU」2017年5月号から2017年8月号にかけて連載された。

正式名称
貴族探偵
ふりがな
きぞくたんてい
原作者
麻耶 雄嵩
漫画
ジャンル
推理・ミステリー
関連商品
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あらすじ

第1巻

高名な師匠を継いだ新米探偵の高徳愛香は、探偵業に慣れ始めた頃に大学時代の友人の平野紗知に招かれ、紗知の父親が買った別荘「ガスコン荘」を訪れる。実はガスコン荘の地下には昔からいわくつきの古井戸があり、愛香はその古井戸に好奇心をくすぐられていた。そんなガスコン荘の地下室で殺人事件に遭遇した愛香は、雪で警察の到着が遅れる中、さっそく現場検証を開始。被害者は大学院生の笹部恭介で、愛香は山奥にあるガスコン荘が周囲と断絶されている状況から、犯人はガスコン荘に招かれた人物の中にいると推測する。アリバイや状況証拠などから導き出した犯人は、妙見千明の恋人として訪れていた亀井という男性だった。問い詰められた亀井は「貴族探偵」を名乗ると同時に愛香の推理がまちがっていると指摘し、さらにはこの事件を解決すると宣言。その場に呼び出した使用人の山本に推理を披露させ、真犯人をみごと暴いてみせた。こうして貴族探偵と山本によって事件は無事解決するが、愛香は推理を使用人任せにして探偵を名乗る彼のことを快く思わず、怒りをあらわにする。それでも貴族探偵に推理で完敗した事実は変わらず、心から悔しく思った愛香は、彼に対して強い対抗心を抱くようになる。こうして愛香と貴族探偵による因縁が始まり、二人は行く先々で遭遇した事件で壮絶な推理対決を繰り広げていく。

登場人物・キャラクター

高徳 愛香 (こうとく あいか)

大学を中退して探偵になった女性。昔からミステリーや推理小説にあこがれており、有名な探偵だった師匠のあとを継いで、探偵になる道を選んだ。探偵業に慣れてきた頃に友人の平野紗知の別荘「ガスコン荘」に招かれ、殺人事件に遭遇。そこで誤った推理を披露してしまい、犯人扱いしていた貴族探偵に推理で完敗する。貴族探偵からは「女探偵」と呼ばれる。新米探偵ながら探偵としてのこだわりや信念は強く、師匠の教えを大切にしている。このため、推理を使用人に任せている貴族探偵のことは快く思わず、彼に完敗した悔しさをきっかけに対立するようになる。それ以来、行く先々に起こる事件で貴族探偵に遭遇しては、彼と推理対決を繰り広げている。明るく飾らない性格で誰に対しても気さくに接し、思ったことも口に出すタイプ。また、師匠からはつねに冷静であれと教えられていたが、貴族探偵からの挑発やあおり文句にはよく怒りをあらわにしている。推理力や洞察力に優れているが、小さな誤解のある惜しい推理で無実の者を犯人にしてしまうなど、探偵としては少々未熟。正義感は強いが好奇心旺盛な性格で、探偵になった現在もミステリーや推理へのあこがれが強く、いわくつきのガスコン荘の古井戸にも強い興味を抱いていた。貴族探偵に二度も完敗したのをきっかけに低評価の口コミが広まり、依頼数が少しずつ減ったことに悩んでいる。

貴族探偵 (きぞくたんてい)

ガスコン荘に招かれた、上品なスーツを着た謎の男性。ガスコン荘で起きた殺人事件をきっかけに高徳愛香と知り合い、彼女に犯人扱いされた際に誤った推理を指摘して挑発する。探偵を名乗っているものの、推理やトリック明かしなどは山本をはじめとする自分の使用人に任せている。探偵であることを明かす前に名乗っていた「亀井」は世を忍ぶ仮の名前であり、探偵趣味を持つ上流階級出身の紳士であること以外は本名を含めてすべて謎で、インターネット上にもまったく情報がない。愛香をはるかにしのぐ推理力で真犯人を明かし、彼女を完敗させてからは強いライバル心を抱かれるようになり、行く先々の事件で遭遇しては推理対決を繰り広げている。いつも執事や料理人といった使用人を連れ歩いたり、事件のたびに現場に呼び出したりしては、代わりに推理させている。使用人たちからは「御前」と呼ばれている。少々気まぐれで女好きな性格で、行く先々で違う女性を連れていたり、すぐに美女を口説いたりする。基本的に女性に対しては紳士的で優しく接するが、愛香に対しては挑発的な態度が多く、探偵として少々未熟な彼女を見下したような発言をしたり、からかったりすることが多い。玉村依子をはじめとするさまざまな上流階級の人間とつながりを持つ。

平野 紗知 (ひらの さち)

女子大学生で、高徳愛香の大学時代の友人。愛香が大学を中退してからも交流を続けている。通っているゼミの後輩たちをガスコン荘に招くことになり、同時に愛香のことを誘った。ガスコン荘の古井戸近くで起こった殺人事件に巻き込まれ、容疑者の一人となる。事件解決後もたびたび愛香と連絡を取り、相談相手になっている。

笹部 恭介 (ささべ きょうすけ)

大学院生の青年で、平野紗知が通っているゼミの後輩。ほかの後輩たちと共にガスコン荘に招かれるが、地下室の古井戸近くで何者かに撲殺され、死体で発見される。実は共にガスコン荘に来ていたゼミ仲間とは、いくつかの恋愛トラブルや怨恨を抱えていた。

妙見 千明 (みょうけん ちあき)

眼鏡をかけたおとなしい性格の女子大学生で、平野紗知が通っているゼミの後輩。ガスコン荘に招かれ、恋人の亀井(貴族探偵)と共に参加する中で、笹部恭介を殺した容疑者の一人となる。

山本 (やまもと)

貴族探偵の執事をしている初老の男性。まじめな性格で、誰に対しても礼儀正しく接する。貴族探偵に呼び出されてガスコン荘に現れ、彼の代わりに推理を披露して真犯人を言い当てた。

玉村 依子 (たまむら よりこ)

高徳愛香の友人で、探偵の重要顧客である玉村家の令嬢でもある。過去に温泉宿の殺人事件に巻き込まれたのをきっかけに、愛香と知り合う。三人の恋人を別荘に招いて家族に紹介しようとしていたが再び殺人事件に巻き込まれ、愛香を呼び出して解決を依頼する。また、バラの展示会で出会った貴族探偵のことも、三人目の恋人として招いていた。ふだんは凛としたお嬢様だがのんびり屋で変わり者なところがあり、殺人事件に巻き込まれてもあまり動じることなく、平常心を保っている。恋人の性別を問わないタイプで、別荘の事件をきっかけに愛香を気に入るようになる。具同真希とは遠縁で幼なじみでもあり、彼女に招かれて亀来島のバカンスに参加する。

宗道 (そうどう)

N県警の刑事をしている中年男性。玉村依子の別荘で起こった殺人事件の捜査を担当し、高徳愛香や貴族探偵と知り合う。庶民派なため愛香とは気が合うが、金持ちで変わり者の貴族探偵や依子とは感覚が合わず振り回されがち。

高橋 (たかはし)

玉村依子の別荘に、料理人として派遣されていた男性。いつもニコニコしているおだやかで優しい老人で、実は貴族探偵の使用人。別荘で起こった殺人事件の容疑者の一人となったが、貴族探偵の代わりに推理して事件を解決した。

具同 真希 (ぐどう まき)

亀来島の所有者である具同政次の孫娘。明るく愛らしい雰囲気を漂わせたお嬢様で、玉村依子とは遠縁で幼なじみ。亀来島の別荘にバカンスに来ていたところで、高徳愛香や貴族探偵と知り合う。

具同 政次 (ぐどう まさつぐ)

日露戦争で軍部とかかわりがあった元伯爵で、亀来島の所有者。現在でも財政界に多大な影響力を持つ。具同真希をはじめとする三人の孫がいる。

広田 (ひろた)

亀来島で具同政次の別荘を管理している使用人の中年女性。クールで無口だが使用人としての仕事は忠実にこなし、別荘の管理や給仕なども一人で受け持っている。具同真希たちのバカンス中に何者かに絞殺される。

有岡 葉子 (ありおか ようこ)

具同政次の孫、具同佳久の先輩の女性。佳久に誘われて亀来島に訪れる。2年前に街中でひき逃げを目撃し、犯人の顔を忘れていたが、亀来島で雨に打たれて思い出す。しかしそれを語った夜に、何者かに撲殺された。

場所

ガスコン荘 (がすこんそう)

平野紗知の父親が買った、山奥にある古い山荘。地下室には江戸時代から存在するいわくつきの古井戸があり、投げ込まれた死体が上がってこないことから、闇討ちされた侍や口減らしの子供などが捨てられていたという噂がある。また、ガスコン荘を建造したイギリス人夫婦も謎の怪死を遂げている。

亀来島 (かめぎしま)

直径1キロ程度の小さな孤島で、高知県西岸から出ている船で行ける。元伯爵の具同政次が所有している島で、具同家の別荘もある。春には大量のウミガメが産卵のために訪れるため、ウミガメ見学ができる観光地として有名。

クレジット

原作

麻耶 雄嵩

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