すくらっぷ・ブック

すくらっぷ・ブック

作者の初連載作。第13回週刊少年チャンピオン新人まんが賞佳作入選作となった短編『12月の唯』と、『春雨みら~じゅ』『三角定規ぷらす1』の短編2作から長編に発展した作品で、『春雨みら~じゅ』の主人公だった柏木晴と市野清文・青木理美を中心に、他2作のキャラクターもその友人として登場している。なお作者は一連の作品以前に本名名義で『五百羅漢』という劇画風のミステリ作品を発表しており、作風・ペンネームを変えての再デビューという形になっている。

正式名称
すくらっぷ・ブック
ふりがな
すくらっぷ ぶっく
作者
ジャンル
青春
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概要・あらすじ

仲良しコンビ柏木晴市野清文は、長野県にある芦ノ原中学校に通う中学2年生。清文の恋人青木理美に晴も好意を持っているが、友情が壊れることなく学園生活を送っていた。同じクラスの坂口光明もまた理美に持つようになり、3人の絆を知って友達の輪に加わるエピソードを皮切りに、恋愛やクラブ活動、進路等さまざまな悩みにぶつかりながら友達同士の絆で乗り切っていく青春模様が描かれていく。

登場人物・キャラクター

柏木 晴 (かしわぎ はる)

2頭身で焦茶色の髪をした中学生。国語と美術が得意で、美術部に所属し、上級生の引退後は部長となる。親友の市野清文の恋人青木理美に憧れていたが、クラスメイトの迎麻紀と付き合うようになる。普段はおちゃらけた様子のムードメーカー的存在だが、誰よりも人の心の動きに敏感で、傷ついた人を放っておけない優しい性格の持ち主。 2頭身の体型が似ていることから、妖怪の油すまし呼ばわりされており、変身するギャグ描写も多い。男女を問わず、服を着たままの相手のパンツを抜き取る特技を持っている。小さい頃からカミナリが大嫌いで、稲光を見るとゴミ箱の中に隠れたりする。イタズラをする時などは身軽だが、運動全般が苦手。

市野 清文 (いちの きよふみ)

『すくらっぷ・ブック』の登場人物で、柏木晴のクラスメイト。晴とは幼なじみで長年の親友同士。理数系が得意でいつも電卓を持ち歩いており、時に人間の感情も計算で求めようとして失敗する。サッカー部に所属するスポーツマンだが、趣味は機械いじり。理屈っぽい性格で、理論では説明のつかない存在として幽霊を人一倍怖がる傾向がある。 油すましの晴に信州ヒグマの坂口と並んだ際など、電卓型の妖怪ぬりかべ姿で描かれることがある。上級生の引退後、サッカー部の部長になっている。理美と付き合い始めた頃は、本編に先立つ短編「春雨みら~じゅ」で描かれている。

青木 理美 (あおき りみ)

『すくらっぷ・ブック』の登場人物で、市野清文と付き合ってる女の子。柏木晴とは隣のクラス。容姿端麗、頭脳明晰、やさしさ満点と女の子らしい魅力に溢れたタイプ。ただし、けっこうなやきもち妬きでもあり、女子たちに人気のある清文がバレンタインでたくさんチョコをもらうと、2週間口をきかなくなったこともある。ポニーテールの髪型がトレードマークで、クラブ活動は吹奏楽部に所属、楽器はフルートを担当している。 一時、先輩によってマスコット的存在に祭り上げられていたが、清文との交際を続けるため辞退している。

坂口 光明 (さかぐち みつあき)

『すくらっぷ・ブック』の登場人物で、柏木晴のクラスメイト。技術科目が得意な体格のいい男子で、部活動は柔道部に所属。趣味は日曜大工。音楽の授業で晴や市野清文とともに居残りとなったことがきっかけで親友となる。当初青木理美が好きで猛アタックをかけていたが、親友の彼女を奪ったりしないと自ら心に誓っている。誰よりも身体が大きく、力も強いため小柄な晴はもちろん、幼なじみの日生香苗や他の友人たちを両肩に乗せることも多い。 晴が油すましに変身するように、坂口もあだ名の信州ヒグマに変身するギャグ描写が多い。

迎 麻紀 (むかい まき)

『すくらっぷ・ブック』の登場人物で、柏木晴のクラスメイトにして、恋人同士となる明るく元気な女の子。メガネをカチューシャのようにかけている姿がトレードマークで、晴のことは小さい身体が母性本能が刺激すると、以前から好意を持っていたことを表明している。クラブ活動には所属していない。晴が身を挺して自分のことを守ったと市野清文に聞き、それが誤解であると知らずにいきなり晴にキスをした。 あわてん坊でイタズラ好きと、あまり女の子らしくないことから「神出鬼没、妖怪変化、支離滅裂」などと周囲に評価されていることを自覚している。普段太陽のように明るいが、感動屋で意外と涙もろい。お菓子が好きで、青木理美や日生香苗が細くプロポーションもいいことから自身の体型を気にしている。

日生 香苗 (ひなせ かなえ)

『すくらっぷ・ブック』の登場人物で、柏木晴のクラスメイト。おとなしくて内気な性格の持ち主で、長い黒髪が特徴。右目が前髪に隠れていることが多い。晴に好意を持っていて誕生日には柏木るり子を通じてTシャツをプレゼントしたことをきっかけに友達になる。坂口光明とは幼なじみで、「明(あき)ちゃん」と呼んで兄のように慕っている。 引っ込み思案な性格でクラブ活動には入っていなかったが、もともと絵も上手く、晴に誘われたこともあり美術部に入部、その後上級生の引退後は副部長となる。上級生の女子に振られて傷ついた小宮山雅一郎を慰めたことがきっかけとなり、晴への気持ちを残したまま交際を始める。

桜井 光代 (さくらい みつよ)

『すくらっぷ・ブック』の登場人物で、柏木晴のクラスメイト。桜井カメラ店のひとり娘で、学校でも写真部に所属している。クラスメイトたちの中でも特に大人っぽい外見と性格の持ち主で、優しく見守る立ち位置をとることが多い。晴とは美的センスや感性など気が合うところも多く、密かに好意も持っていたが明かさず友達づきあいに留めていた。 周囲の計らいで坂口光明と仲良くなってはいたが、付き合うまでには至らなかった。

小宮山 雅一郎 (こみやま まさいちろう)

『すくらっぷ・ブック』の登場人物で、柏木晴のクラスメイト。大のイタズラ好きで、同じ2頭身の小さい者同士である晴とは顔を合わせるたびにケンカしているが、似たもの同士で互いを認め合う仲。油すましの晴に対抗して妖怪の土ころびに変身するギャグ描写が多い。みずから「甲賀忍法」と呼んでいる不思議な技を使うことができる。 親友のシンこと岡田信也と、ヤッチンこと田島康正と「三角定規」というグループを作っているというエピソードが、シリーズ前日譚にあたる短編「三角定規ぷらす1」に描かれている。イタズラ仲間である戸沢正賢や西尾佳典と一緒に行動していることも多い。上級生の女子に振られて傷ついていたところを日生香苗に慰められて好きになり、猛アタックをかけて恋人の座を勝ち取る。

五島 かがり (ごとう かがり)

『すくらっぷ・ブック』の登場人物で、柏木晴のクラスメイト。喫茶店妖精館のマスターの妹で、4年前に両親を亡くして以来、兄妹ふたりで喫茶店を切り盛りしながら生活してきた。サバサバした性格で恋をしたことがなかったが、喫茶店の手伝いから開放された後、優しい坂口光明に惹かれていく。髪の色が似ていることから「栗きんとん」のあだ名で呼ばれることがあり、時に「男まさりの」という冠がつく。

藤原 秀一 (ふじわら しゅういち)

『すくらっぷ・ブック』の登場人物で、柏木晴のクラスメイト。長い前髪でいつも目が隠れており、アオダイショウの「ニョコ」を髪の中に飼っているのが特徴。生物部に所属しており、となりのクラスの山中美幸と付き合っている。『すくらっぷ・ブック』の17年後として共通した世界感を持つ『むじな注意報』には、結婚し山中姓となった中学校の理科教師として登場している。

正木 義明 (まさき よしあき)

『すくらっぷ・ブック』の登場人物で、柏木晴のクラス担任。美術教師でもある。普段くわえタバコでとぼけた風に自分を見せているが、生徒たちに悩みがあれば話を聞いてさりげなく力づけたりする優しい先生。高校時代同級だった妖精館のマスターと一緒に山登りに行っていたが、教師になる前に登山の趣味は辞めている。

柏木 るり子 (かしわぎ るりこ)

『すくらっぷ・ブック』の登場人物で、柏木晴の妹。兄の友人たちとも仲がよく、特に迎麻紀とは忍術のような技を競い合ったりする仲。兄に似てイタズラ好きで、兄の誕生日プレゼントとして知恵の輪で作ったペンダントを晴と麻紀両方に贈っており、それをくっつけると外せない上、引っ張るとキスをする仕掛けがされていた。幼いながらも、兄以上に大人びた面を見せ、すでにボーイフレンドもいる。

集団・組織

芦ノ原 中学校 (あしのはら ちゅうがっこう)

『すくらっぷ・ブック』の舞台となる中学校。豊かな自然に囲まれ、2頭身でハゲ頭に豊かな口ひげが特徴の校長・多岐間重一の指針、そして柏木晴たちの担任である正木義明の教え方もあって、おおらかな気風と優しい精神を持った在学生が多い。長野県小諸市に実際に存在する私立芦原(あしはら)中学校がモデル。

場所

妖精館 (あるふへいむ)

『すくらっぷ・ブック』の登場人物たちがよく立ち寄る画廊喫茶。五島かがりの家で、本人もよく働いている。中学生である登場人物たちは、保護者の同伴なしで喫茶店に入ることは禁じられているが、「友達の家に遊びに来ている」という理由で黙認されている。山好きで店を留守にすることも多いかがりの兄・五島猛(ごとうたけし)がマスター。 かがりがカウンターに立っていることも多かったが、後に猛や正木義明の後輩である飛田由紀が働くようになる。北アルプスの水でいれた特製のブレンド・コーヒー「アルフ・ブレンド」が看板メニュー。

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