V-K☆カンパニー

V-K☆カンパニー

面白ければ許される、のんびりとした南向高校が舞台。お調子者でリボンの似合う少年で美術部部長の近江廉と、その監視役にならざるを得ない副部長の原田萠梨のラブ・コメディをメインとしたドタバタ学園青春コメディー。断続的に連載され、番外編として『A-Kカンパニー』、『日出次・その愛』も発表された。通しで連載として企画されたものではないため、時系列が混乱していることを作者山口美由紀自身が認識しており、近くに「イソノ」家があるため、と作中で説明している。

正式名称
V-K☆カンパニー
ふりがな
びびっど きっず かんぱにー
作者
ジャンル
ラブコメ
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

南向高校美術部の副部長・原田萠梨は新入部員がこないことを憂えていた。そこに生徒会が「成りあがり生徒会」のイベントを企画。部長の近江廉は単純に目立ちたいと考え、萠梨は目立って新入部員の獲得につなげようと考えて参加。見事1カ月「成りあがり」となった。だが、それを面白く思わない、イベントを病欠した空手部の城戸七五三太との決闘騒ぎとなる。

七五三太を撃退し、「成りあがり」の最後は舞台公演と廉から萠梨への告白で締められた。その後、美術部顧問の一田一子の発案による合宿や、ライバル校北頼学園との運動会対決、新入部員の三つ子の恋を巡る部員全員の家出騒動を経て、廉は本当に次期生徒会長として立候補した。

それを妨害する非常勤講師の坂浦譲治と、実は弟だった七五三太の二人は廉を罠にはめる。

登場人物・キャラクター

原田 萠梨 (はらだ もり)

硬いくせっ毛のショートカットで左額が出ている女子。南向高校美術部の副部長。絵が普通に描ける貴重な存在。当初は抵抗があったが、部員たちを仕切る小姑役に甘んじている。近江廉が好きだが、ロマンチックなムードと無縁なのを残念に思っている。独占欲が強く廉が生徒会長になるよりも美術部の廉でいてほしいと思っていた。 廉が夢見る「絵に描いたようなキスシーン」に協力する気はあったが、次第に楽しくなってワザとタイミングを外していた。

近江 廉 (おうみ れん)

茶色がかったふわふわのネコっ毛の少年。南向高校美術部部長。クラスの女の子にしてもらったリボンが自分で見ても似合うので、いつもつけるようになった。その姿を原田萠梨から変態と呼ばれるが、懲りることはない。常にたくさんの種類のリボンを用意している。美術部部長のくせに絵を描かないが、美術的センスは決して悪くない。 おもしろそうなことが大好きで、常に全力で学校生活を楽しんでいる。萠梨が大好きで好意を隠さない。「絵に描いたようなキスシーン」を夢見ているが萠梨との身長差がそれほどないため、身長を伸ばそうと食事に注意するなどして努力中。美術部に入ったのは、部室の前を通り掛かったときに見た、絵を描いているときの萠梨の表情に惹かれて。

梶 日出次 (かじ ひでじ)

派手に垂れた線目で長身の男子。南向高校美術部部員。入学式で見かけた花畑妃沙子に一目惚れして美術部に入り、彼女のために尽くしている。パイナップルのようなツンツン髪にしているのは、妃沙子が好きな角刈りにしようとして挫折したため。妃沙子のちょっとした言葉や行動で幸せになれる。

花畑 妃沙子 (はなはた ひさこ)

ふわふわな髪をポニーテールにしている小柄な女子。南向高校美術部部員。いつもにこにこふわふわしている。困ったことがあると、必ず梶日出次がいることを不思議に思っていたが、それが当然のようになってきている。文系はまったくできないが、理数系は学年でもトップクラス。美術部に入ったのは、友人の原田萠梨がいたから。 作品が進むにつれて、身長が低くなる。

生徒会長 (せいとかいちょう)

前髪をまっすぐに切り揃え、いつもサングラスをかけている男子。南向高校の生徒会長で、本名は不明。学校を面白楽しくするためにイベントを開催したりする。代表者が制限時間内に指定区域に隠された委任状を手に入れた部は1カ月生徒会に成りあがれる「成りあがり生徒会」など、発想豊かなイベントが行われた。 引退後は生徒会長職を近江廉に引き継いでもらおうと、立候補を勧めた。

城戸 七五三太 (きど しめた)

垂れ目だ方眼光鋭い大柄で筋肉質の男子。南向高校空手部主将。自らの正義を信じ、正しい道を周囲に強要する硬派。強さ=権力=生徒会長という発想から、軽薄な近江廉が「成りあがり生徒会」に勝利して、生徒会長に就いたことが許せず、廉に挑戦。敗退のショックからか、治りかけのおたふくかぜとはしかをこじらせて入院したことがある。 しばらく修行をした後、戻ってきて兄・坂浦譲治の口車に乗せられて生徒会長になり、南向高校美術部取りつぶしなど独裁の限りを尽くす。兄の不正を知り、歪んだ性格を嘆くが、その原因の一端は自分にあると廉に再戦を挑む。敗退して兄とともに南向高校を去った。再起を誓って。 苦手なのはメンタル攻撃と強力なふわふわオーラを持つ花畑妃沙子。

一田 一子 (いちだ いちこ)

ソバージュの入った長い黒髪の女性教師。南向高校の代講教師で南向高校美術部顧問。度を越えたマジメで、無理をしがちな頑張り屋。強度の遠視で乱視。最初はコンタクトを着用していたが、近江廉が落ちたコンタクトを踏みつぶしたため、昔の眼鏡を着用する。眼鏡によって細い目が拡大されると美人になる。 近江然とは高校1年のときのクラスメイトで、クラス委員も一緒に務めていた。その頃から然に憧れていて、再会したときにさらにかっこいいと感じてしまった。裸眼でも然のことはシルエットで判別できる。然と婚約中。

近江 然 (おうみ ぜん)

明るくハンサムな青年。近江廉の兄で10歳年長。ポルノ専門のフリーライター。一田一子は高校1年生のときのクラスメイトで、クラス委員も一緒に務めていた。責任感が強く孤軍奮闘していた一子に、眼鏡を外して楽になるようにアドバイスしたことがある。一子に頼ってほしかったとのこと。 再会後、婚約。廉が「絵に描いたようなキスシーン」に憧れる原因となったキスシーンを14歳のときに演じていた本人。弟の廉をからかうのが楽しみで、そのため反発する廉から変質者と呼ばれる。

近江 烈 (おうみ れつ)

近江廉の弟で10歳年下。利発でちゃっかり者。兄弟の中では最も堅実。「絵に描いたようなキスシーン」のために理想的な男女の身長差は15㎝だと注進した。兄の廉をからかうのが楽しみ。

三条 深海 (さんじょう ふかみ)

少し吊った三白眼の男子。北頼学園に通う学園随一の資産家の息子。中学時代の同級生・近江廉をライバル視していて、嫌がらせのためなら財力もつぎ込む。廉にダメージを与えるため、原田萠梨に恋の告白をした。さらに萠梨を北頼学園に招き入れ、転校手続きまでしてしまう。 廉との一騎討ちで敗れて一旦は手を引くが、坂浦譲治による女生徒監禁事件では補給物資を届けるなど、その後も嫌がらせを続ける。

室井 琴子 (むろい ことこ)

少し気の強そうな美人で、腰まである長い髪を毛先近くで縛っている。北頼学園に通う女子高生。幼いころに知り合った三条深海が好きで、近江廉への嫌がらせに協力した。南向高校の制服を着て、転校生のように振る舞って作戦を勧める。外国に引っ越す前に思い出を作りたいから、恋人になってほしいと廉に迫り、原田萠梨との関係をこじらせることに成功。 作戦と知りつつも深海の側にいる萠梨に嫉妬していたという。

小笠原 真赤 (おがさわら まこ)

中性的な見かけの女子。南向高校の新入生。三つ子の長女で、小笠原真青(おがさわらまお)と小笠原真黄(おがさわらまき)も同級。の垂水林太(たるみりんた)と将来を誓っているが、元ヤクザの父小笠原百彩(おがさわらひゃくさい)に反対されて家出していた。真青が南向高校美術部に入部したことに加え、近江廉が垂水林太と瓜二つだったために、美術部と百彩との抗争に発展。 自分が決めた相手ならいつでも手元に戻せるから、と反対していた百彩が折れ、真赤は戻ってきた林太とともに新婚旅行に向かった。戻って復学後、美術部入部との約束を残した。

坂浦 譲治 (さかうら じょうじ)

右目を長い前髪で隠し、口髭と顎鬚を生やした男性。31歳で妻子持ち。城戸七五三太の兄だが、婿養子に出されたため苗字が異なる。南向高校の非常勤講師。一田一子を口説いたが近江然への思いが強く、然本人にも阻まれて失敗。その後、南向高校美術部全員を敵視する。生徒会長改選に修行に出ていた七五三太を呼び戻し、選挙では完敗したが原田萠梨を丸め込んで選挙の不正をでっち上げた。 七五三太を利用し、バカンスに出た校長先生の不在をいいことに南向高校の支配を強める。ついには男子生徒を追い出し、女子生徒を監禁。近江廉の退学と全男子生徒の空手部入部を要求する。萠梨の手引きで女生徒が脱出し、校長先生が戻ったことで七五三太に悪事が露顕。 廉との一騎討ちで七五三太が敗北して南向高校を去る。再起を誓って。

校長先生 (こうちょうせんせい)

丸い体型で首もなく、きれいな禿げ頭の男性。口髭はある。南向高校の校長で、学校の雰囲気そのままの呑気で陽気な人物。50年前に南向高校に通っていたOBで、今はない「食いだおれ同好会」の会長だったという。同好会は部室がないため、自分たちで1年生の教室の床下に部室として地下室を建造。 小笠原真赤が家出先として利用するなど、密かに利用され続けた。

集団・組織

北頼学園 (きたよりがくえん)

市街地を挟んで南向高校と相対する高台にある学校。私立のお坊っちゃま学校で、資産家の子弟が通っている。生徒会長はスキンヘッドで丸いサングラスをかけ、カンカン帽と扇子を愛用する男子生徒。南向高校の生徒会長と、お互い対抗心を持ちあっている。

南向高校 (みなみむきこうこう)

市街地の高台に立つ、木造校舎のビンボー学校。陽気でのんびりした校風で、生徒や職員も呑気な人が多い。守衛も生徒たちに理解があり、多少の問題なら簡単に見逃してくれる。

南向高校美術部 (みなみむきこうこうびじゅつぶ)

部長・近江廉、副部長・原田萠梨、平部員梶日出次、花畑妃沙子の総勢4人で、新入部員を待ち焦がれる弱小団体。ただ、絵を描くのは萠梨のみ。その後、小笠原真青が廉のパワフルさに憧れて入部し、後を追って小笠原真黄、さらに小笠原真赤も入部予定となった。 ただし、真青は廉の身代わりに家庭科部(別名・倒錯衣裳部)に売られ、真黄は柔道部の出張コーチに呼ばれ、真赤は休学中。さらに後日談として、廉が生徒会長に就任後、優秀な人材が集まるようになり、美術部=生徒会=南向像とまで言われるようになった。

SHARE
EC
Amazon
logo