キャプテン

キャプテン

野球部のキャプテンに任命された谷口タカオの頑張りと、彼の跡を継いで新たにキャプテンとなる後輩の丸井、五十嵐、近藤、そして墨谷二中ナインの活躍を描く。第22回小学館漫画賞受賞(1976年)。

正式名称
キャプテン
ふりがな
きゃぷてん
作者
ジャンル
野球
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あらすじ

第1巻

墨谷第二中学校に転入した谷口タカオは、野球部に入部するが、名門の青葉学院野球部に在籍していた事が知れ渡り、チームのタカオに対する期待は大きなものとなっていた。青葉学院野球部では2軍で補欠だったタカオは、その期待の大きさと実力のギャップに悩みながらも、陰で猛特訓を始める。その努力する姿を見ていた先代キャプテンは、タカオを新キャプテンに指名。そんな中、全国中学野球地区予選が始まり、墨谷二中学校は格下の江戸川中学校と対戦。1年生ピッチャーの井口源次に翻弄されながらも、辛くも勝利を収める。2回戦の金成中学校との試合では、タカオは2年生の丸井を外し、1年生のイガラシをレギュラーに抜擢するという苦渋の決断を下す。墨谷第二中学校は金成中学校のデータ野球に苦しめられるものの、本来の実力を発揮し勝利する。決勝進出を決めた墨谷第二中学校だったが、タカオは決勝の相手である青葉学院に勝利するべく、さらに過酷なスケジュールでの練習をスタートさせる。そんな中、丸井は退部届を手にタカオ宅に向かっていた。

第2巻

全国中学野球の地区予選決勝を迎えた墨谷第二中学校野球部は、名門の青葉学院を相手に、攻守共に特訓の成果を生かし、エースの佐野を打ち込む。墨谷第二中学校の2点リードで迎えた9回表、墨谷第二中学校は3点を失うが、交代したイガラシの好投で追加点を許さなかった。墨谷第二中学校の最後の攻撃は、1点を返したあと、キャプテンの谷口タカオが意地のヒットを放つが、一歩及ばずに敗退してしまう。だが、この試合での戦いぶりが認められ、墨谷第二中学校野球部は全国中学大会の選抜校に選ばれる。そんな中、毎朝新聞記者の取材で、青葉学院が墨谷第二中学校との決勝で14人以上もの選手交代をした事実が発覚し、それを受けて全国中学野球連盟は事実上の日本一を決める再試合を決定。だが、青葉学院の熱の入った練習内容を知らされた墨谷第二中学校野球部の士気は急激に下ってしまう。しかし、タカオだけがイガラシの負担を少なくしようと、ピッチングの猛練習に励んでいた。

第3巻

キャプテンの谷口タカオの最後の試合となる、全国中学大会の日本一を決める青葉学院との決勝戦が始まった。地区予選しか知らない墨谷第二中学校は、球場の異様な雰囲気とプレッシャーに飲まれ、エラーを連発して序盤に9点を失う。しかし、徐々に落ち着きを取り戻した墨谷第二中学校は丸井のホームランで3点を奪う。そんな中、タカオが守備で負傷してしまい、リリーフピッチャーがいなくなってしまう。一度は絶望したナインだったが、最後まであきらめようとしないタカオの闘志が、みなを奮い立たせ、8回には3点を加点。しかし最終回、青葉学院はファール打ちでイガラシをつぶしにかかり、ピッチャーはタカオに交代するしかなくなってしまう。この回を無失点に抑えるものの、タカオの指はすでに折れていた。9回裏の攻撃では墨谷第二中学校の猛攻で、ツーアウト満塁のチャンスを迎える。そして気力をふりしぼったタカオが、センター前に抜けるヒットを打ち、辛くも墨谷第二中学校は勝利を収めるのだった。そしてタカオが卒業し、新キャプテンの丸井のもと、1年生の近藤茂一をレギュラーに加え、墨谷第二中学校野球部の新体制がスタートする。

第4巻

全国中学野球「春の選抜大会」で、墨谷第二中学校野球部は広島の港南中学校に1回戦で敗退してしまう。それはひとえに、ライトからピッチャーに交代した近藤茂一の致命的な守備のまずさによるものだった。丸井はそんな茂一に怒りが収まらず、キャプテンらしからぬ態度を取り、一時的にナインの信頼を失ってしまう。だが、自らの態度を反省した丸井は、選抜校を含む36校との練習試合を取り決め、ハードな夏の合宿を敢行。その過酷さから、86人いた部員達は11人まで減ってしまうが、練習試合の川下中学校との試合を迎える事となる。完封に欲を出した茂一のミスで同点に追いつかれてしまうものの、墨谷第二中学校は引き分けからの不戦勝をものにし、それを皮切りに36試合全勝という偉業を成し遂げる。

第5巻

全国中学野球大会の地区予選が始まった。墨谷第二中学校野球部は1回戦でのコールド勝ちをはじめ、破竹の勢いで勝ち進んでいた。迎えた青葉学院との決勝戦は、初回の打撃戦から緊迫状態が続き、2対4と墨谷第二中学校リードで9回を迎えた。だが、近藤茂一の守備ミスからホームランを許し、5対4と逆転される。ピッチャーはイガラシに交代し、一方の相手ピッチャーの佐野も疲れから交代を余儀なくされる。9回裏には墨谷第二中学校の巧みなプレイで同点に追いつき、5対5のまま延長戦にもつれこむ。しかし、回を追うごとに墨谷第二中学校は選手層の薄さを隠せなくなり、選手みんなが立っているのもままならなくない状態の中、イガラシは気力のピッチングを続ける。そして18回裏、2アウトからキャプテンの丸井が渾身のヒットを放つ。

第6巻

新キャプテンとなったイガラシは、大勢の新入生の中から、全国中学野球「春の選抜大会」出場に備え、レギュラー候補をテストで選ぶ事にした。イガラシは、朝5時から夜10時までというすさまじい特訓スケジュールを組み、現在の墨谷第二中学校野球部を全国大会優勝に導こうと舵を切ったが、あまりの練習のハードさに1年生の松尾直樹の母から抗議されてしまう。また新聞社がこの猛特訓を記事にした事で、抗議の電話が墨谷第二中学校に殺到する。そこで保護者会が開かれる事となり、イガラシは保護会の席に呼び出される。そんな中、当の松尾直樹が練習中に負傷する事態が発生する。

第7巻

全国中学野球「春の選抜大会」を辞退した墨谷第二中学校野球部は、宿敵の青葉学院が西日本の和合中学校に敗北した事を知る。また、江田川中学校のエースの井口源次の目を見張る成長を目の当たりにし、キャプテンのイガラシは熱く燃えていた。全国中学野球大会の地区予選が始まり、墨谷第二中学校は金成中学校のエース、小池のコーナーをつくピッチングに翻弄されるが、確実なミートに作戦を変更してコールド勝ちを収める。ある日、丸井が自分の所属する朝日高校野球部との練習試合をイガラシに持ち掛け、墨谷第二中学校は高校生の胸を借り、貴重な経験を積む。こうして、墨谷第二中学校は地区予選を順調に勝ち進み、青葉学院を破った江田川中学校との決勝を迎えた。

第8巻

江田川中学校の井口源次はキレのあるストレートと、直角に曲がる変化球で墨谷第二中学校に立ちはだかるが、井口の守備ミスで1点を失い、9回表にはイガラシのヒットで、さらに1点を失う。9回裏、この試合でいいところがなかったライトの近藤茂一の守備のミスを足がかりとして、江田川中学校は代打攻勢で、交代したピッチャーの茂一から2点を奪い同点に追いつく。イガラシは1アウト満塁の大ピンチにもかかわらず、勝負を茂一に託す。そんな中、2アウト満塁のピンチに、茂一は色気を出して三振を奪いにいくものの痛打を浴びるが、イガラシのファインプレーに救われる。

第9巻

前キャプテンの丸井は、全国中学野球大会のために合宿を行なっている墨谷第二中学校野球部を全面的にサポートし、自身の所属する朝日高校との練習試合を組む。丸井には、自分が叶えられなかった全国中学野球大会優勝の夢を、今のナインに叶えさせたいという強い思いがあったのだ。一方、取材に訪れた新聞記者の清水は、墨谷第二中学校の全国大会での経験不足を懸念していた。迎えた全国中学野球大会の初戦、墨谷第二中学校は慎重かつ大胆な試合巧者の白新中学校に翻弄され、1点リードされたまま終盤を迎えた。ピッチャーに交代したイガラシは、相手ピッチャーの遠藤を真似てスローボールを多用するが、2点の追加点を許してしまう。しかし8回表、墨谷第二中学校はコンパクトなスイングのミート打法で、その攻撃力を発揮する。

第10巻

墨谷第二中学校野球部は3回戦を順調に勝ち進み、ベスト8に進出する。相手の北戸中学校のピッチャー、戸田の立ち上がりの悪さを狙い、4点を先取した墨谷第二中学校だったが、以降、戸田の重い球に抑え込まれる。だが一方のイガラシも、意表をつく変幻自在な投球で相手打線を抑えていた。終盤、北戸中学校はなんとかイガラシをひきずり降ろそうとファール打ちを仕掛けるが、イガラシの頭脳プレイに翻弄される。戸田の疲れが見え始めた8回裏、墨谷第二中学校は1点の追加点をもぎ取る事に成功。さらに前キャプテンの丸井の助言で、疲労困憊のイガラシに代わり、ピッチャーは近藤茂一に交代する。北戸中学校は茂一の強みである重い球を攻略する事に長けているため、得点されても仕方がないという空気が味方に蔓延し、茂一の投球の雲行きがあやしくなってしまう。

第11巻

全国中学野球大会の準々決勝、重い球を得意とする北戸中学校の打線につかまり、墨谷第二中学校の近藤茂一は9回表に同点に追いつかれてしまう。一方、イガラシの助言が功を奏し、球威が落ちてきた戸田から、茂一がサヨナラホームランを叩き込む。試合後、イガラシは反省会を開き、翌日の決勝に備えた練習を行う。そんな中、墨谷第二中学校の運動部員達は野球部のために応援団を結成し、秘密の特訓を行っていた。迎えた準決勝は、南海中学校のエースピッチャーの二谷のキレのある変化球に、墨谷第二中学校は抑え込まれるが、一方の茂一も好投を続け、試合は息づまる投手戦となる。しかし茂一の暴言に端を発した相手キャッチャーの片岡との確執は、茂一とのクロスプレーにより、乱闘に発展。その後、墨谷第二中学校は2点を奪うが、茂一は人差し指の爪を剝がし、前日の疲れが残るイガラシがマウンドに立つ事を余儀なくされる。

第12巻

全国中学野球大会の準々決勝は、2点リードで墨谷第二中学校]優勢のまま終盤戦に突入。ピッチャー・イガラシの巧みな配球とナインの好守により、南海中学校を抑え込んでいた。しかしイガラシの肩はすでに限界に達しており、近藤茂一は爪を剝がしながらも自らを奮い立たせて9回表のマウンドに立つ。スクイズで1点を返されるが、茂一は痛みに耐えながらの力投を見せ、墨谷第二中学校は決勝進出を果たす。小雨降る中で決行された和合中学校との決勝戦では、和合中学校優勢のまま回を重ねるが、墨谷第二中学校の頑強な粘りの前に得点できず、0対0のまま終盤に突入。墨谷第二中学校のピッチャーはイガラシから茂一に引き継がれ、8回の表、ついに和合中学校の打線につかまり、2点を許してしまう。しかし8回裏、茂一のヒットが飛び出す。

第13巻

全国中学野球大会の和合中学校との決勝戦、1点を返した墨谷第二中学校野球部は逆転の望みをつなぐため、球威が衰えた近藤茂一イガラシに代え、0点で切り抜ける道を選んだ。雨足が強くなり、不運なプレーで和合中学校に1点の追加点を許し、試合は中断。ベンチに重苦しい空気が漂うが、前キャプテン・丸井が機転を利かせ、墨谷第二中学校ナイン達は気分を一新させる。9回裏の攻撃では、球威の落ちて来たエースの中川から久保の渾身のヒットで、1点を返す。イガラシもそれに続き、さらに1点を追加し、土壇場で同点に追いつく。キャプテンをホームに返したいという一念で、茂一の打球はサードを越えてイガラシが生還し、墨谷第二中学校は全国制覇を成し遂げる。その後、新たなキャプテンに指名された茂一は、その鷹揚な性格から、前年度優勝校という重圧をものともせず、墨谷第二中学校野球部に入部した大勢の新入生の適性テストに意欲を見せていた。

第14巻

墨谷第二中学校野球部の新キャプテンとなった近藤茂一は、従来の少人数に絞ってしごくというやり方よりも、部員を抑えつけず、多くの中から這い上がった者をレギュラーとして選ぶ選抜方式を採用。茂一の自分本位な性分を憂慮した父親の近藤茂太は、どのようなチームを残したかによって、キャプテンとしての価値がはかられると助言し、後輩を育てる事に目を向けさせようとしたのだ。そして迎えた全国中学野球「春の選抜大会」の初戦、墨谷第二中学校はキレのある変化球が武器の新浜投手を擁する南ヶ浜中学校と、緊迫した投手戦を繰り広げる。試合は0対0のまま最終回へ突入。茂一とキャッチャーの牧野とのバッテリーに乱れが生じ1点を失うが、前キャプテンの丸井が檄を飛ばした事で、立ち直りを見せる。9回裏、2アウトからのチャンスで、茂一は大胆にも1年生の佐々木を代打に起用する。

第15巻

全国中学野球「春の選抜大会」も終盤に突入し、近藤茂一率いる墨谷第二中学校は何とかベスト8に進出し、伊豆の名門校の富戸中学校と対戦。1点先取した墨谷第二中学校だったが、富戸中学校のラフプレーに激怒した茂一が、守備妨害で退場する。この回の攻撃で墨谷第二中学校は、負傷を含め3年生を三人も失ってしまう。これを機に、墨谷第二中学校は1年生を次々に起用する。ふてくされた茂一を尻目に、1年生リリーフの佐々木は持ち前の図太さでバッターの打ち気をたくみに外し、8回までを3点に抑えて2対3で終盤に突入。そして9回の表、相手ピッチャーの杉本が乱闘騒ぎを起こし、審判からの厳重注意を受けるが、墨谷第二中学校の1年生達の冷静な試合運びで、一死満塁一打逆転のチャンスとなり、この日大活躍の佐々木が打席に入る。

メディアミックス

アニメ

本作『キャプテン』のアニメ版が、1980年4月に単発のテレビスペシャルとして初めて放映され、同作に手を加えた劇場用長編アニメ映画が1981年に公開された。これらが好評を博し、1983年1月から7月まで日本テレビ系で、全26話が放送された。監督は出崎哲、製作は村田英拳、プロデューサーは武井英彦と渡辺米彦がそれぞれ務めた。

実写映画

本作『キャプテン』の谷口タカオのキャプテン時代が描かれた実写映画版が、2007年8月に公開された。監督・脚本は室賀厚が務め、製作はキャプテン製作委員会。谷口タカオを布施紀行、丸井を小川拓哉、イガラシを中西健がそれぞれ演じている。CGを一切使わないリアルな野球にこだわった作品で、ゲスト解説者役には元巨人軍の宮本和知が本人役として出演している。

小説

本作『キャプテン』が学研の部活系空色ノベルズよりノベライズ化された。2017年3月に谷口タカオのキャプテン時代を描いた第1弾『キャプテン 君は何かができる』、続いて2017年6月に丸井のキャプテン時代を描いた第2弾『キャプテン 答えより大事なもの』、2017年7月にはイガラシのキャプテン時代を描いた第3弾『キャプテン それが青春なんだ』が発刊された。執筆は山田明が担当した。

続編

本作『キャプテン』の続編にあたる『キャプテン2』の連載が、2019年4月24日発売の「グランドジャンプむちゃ」5月号よりスタート。執筆は『プレイボール』の続編『プレイボール2』を「グランドジャンプ」で連載しているコージィ城倉が担当している。新キャプテンの近藤茂一率いる墨谷第二中学校野球部が、全国野球大会春の選抜で惜しくも敗退したあと、再び全国制覇を目指すところから、物語が始まる。

登場人物・キャラクター

谷口 タカオ (たにぐち たかお)

墨谷第二中学校に通う男子中学生。野球部のキャプテンを務めている。どんぐり眼で中肉中背。2年生の時に青葉学院から墨谷第二中学校に転入し、野球部に入部した。青葉学院野球部ではレギュラーだったと誤解された事をきっかけに、タカオの父親の協力のもと過酷な練習を積み、その実力を買われて先代キャプテンから新キャプテンに任命された。ポジションはサードで4番。目標に向かってひたむきに努力する姿がチームを動かし、地区予選では決勝まで進出した。青葉学院野球部との再試合が決まると、完投に不安を抱えるイガラシをリリーフするため、寸暇を惜しんでピッチング練習に打ち込み、投手としての肩を仕上げた。青葉学院との再試合では、爪を剝がす大ケガを負いながらも、気迫のピッチングを見せた。のちに指の骨が折れていた事が判明した。至ってふつうの中学生という印象だが、内に秘めた闘志は凄まじい。底知れぬ精神力を持ち、部員に厳しい練習を課すかたわら、自らはさらに厳しい特訓を重ねている。一方で試合中は冷静沈着で、ここ一番で勝負強さを発揮する。なによりも、最後まであきらめない姿勢が、チームの士気を高めて団結力を生み出している。

丸井 (まるい)

墨谷第二中学校に通う男子中学生。野球部に所属している。谷口タカオのあとを受けてキャプテンを務める。小柄で栗のような顔をしており、鼻が丸く黒い。おっちょこちょいな性格で、喜怒哀楽が激しい人情家。2年生の頃、イガラシにレギュラーを奪われるが、地区予選の青葉学院との決勝戦では、途中出場して攻守共に見せ場を作るなど、特訓の成果を発揮した。1番・セカンドでレギュラーに復帰し、青葉学院との再試合ではホームランを放ち、優勝に貢献した。タカオを心の底から尊敬しており、献身的にタカオを支えた。新キャプテンになった際にはキャプテンらしからぬ行動を取り、一時はナインの信頼を失うが、己の行動を素直に反省した。その後、あらゆるチームに通用するように練習試合を組み、ハードな合宿を行なって、チームの底上げを図った。迎えた地区予選では決勝まで勝ち進み、延長18回にヒットを打ってキャプテンとしての意地を見せた。タカオがいる墨谷高校に不合格となり、朝日高校に進学したあとも、墨谷第二中学校野球部のサポートに余念がなく、時には観客席から指示を出すなど、面倒見がいい。

イガラシ

墨谷第二中学校に通う男子中学生。野球部に所属している。感情的な丸井のアドバイザー的な役割を担い、あとを受けてキャプテンを務める。クールで物怖じしない性格のため、1年生の頃はほかの部員に反感を買う事も多かった。天性の野球センスを持つマルチプレイヤーで、1年生から丸井に代わりセカンドのレギュラーを獲得した。その後、ピッチャーとしても才能を開花し、インシュートが武器のエースピッチャーとなる。小柄ながらパワーヒッターでもあり、丸井のキャプテン時代には4番打者を務めた。キャプテン時代には、全国中学野球大会での優勝を目指し、過酷な練習をチームに課すが、そのスケジュールが新聞報道されたため、学校で大問題となる。不運にも練習での負傷者が出た事から、春の選抜大会を辞退せざるを得なくなった。一度こうと決めたら絶対後へ引かないタイプで、夏の全国中学野球大会での優勝に向け舵を切り、遂には全国中学野球大会での優勝を成し遂げる。実家は中華そば屋で、2学年下のイガラシ慎二の兄。学年別テストではいつも10番前後と成績もいい。井口源次とは幼なじみで、彼の球を受けていた事もある。

近藤 茂一 (こんどう しげかず)

墨谷第二中学校に通う男子中学生。野球部に所属している。イガラシのあとを受けてキャプテンを務める。大柄な体型で、三角おにぎりのような顔をしており、大きな口を横一文字に結んでいる。関西弁をしゃべり、自分の事を「ワイ」と呼ぶ。実家は裕福で、両親を「パパ」「ママ」と呼んでいる。父親の近藤茂太はノンプロ野球の経験者。投手としてのポテンシャルは高く、重い剛速球を武器に1年生の頃からレギュラーとして活躍した。しかし、バントや守備を苦手としている。また空気を読む事も下手で、その自由奔放でずうずうしい性格から、丸井とたびたび衝突を繰り返している。イガラシのキャプテン時代は、イガラシとの二枚看板で全国中学野球大会の優勝に貢献した。準々決勝では爪を剝がしながらも、弱音を吐かずに渾身の力投を見せた。相当な自信家だが傷つきやすく、すぐ拗(す)ねるために、イガラシが根気よく指示を出す場面も多い。新キャプテンとなってからは、父親のアドバイスを受け、多くの部員の中から這い上がった者をレギュラーとして選ぶ選抜方式を採用した。子供っぽい一面があり、およそキャプテンらしからぬ言動を取るが、その鷹揚さから1年生がのびのびと育ち、全国中学野球「春の選抜大会」ではその成果を発揮した。勉強は大の苦手。

松下 (まつした)

墨谷第二中学校に通う男子中学生。野球部に所属している。ポジションはピッチャーで、右投げ。やや大柄な体型で、鼻先がつき出ている。谷口タカオがキャプテンだった時代のエースで、球速はないものの、打たせて取るピッチングを主にしていた。全国中学野球地区予選の青葉学院戦では、我慢のピッチングを続けるが、レギュラーの登場で打ち込まれ、打球を右肩に受けた事でイガラシと交代した。決勝敗退後は、プレーはできなかったものの、1年生が一人でも多くレギュラーになれるよう後輩を指導した。キャプテンのタカオの事は、いつもみんなをやる気にさせる不思議な人だと思っている。

小山 (こやま)

墨谷第二中学校に通う男子中学生。野球部に所属している。谷口タカオがキャプテンだった時代の副キャプテンを務め、キャッチャーで5番だった。しもぶくれの顔をしている。あがり症のタカオに代わって挨拶するなど、タカオのサポート役を担った。

浅間 (あさま)

墨谷第二中学校に通う男子中学生。野球部に所属している。センターで6番。キャプテンの谷口タカオとは同学年。ひょっとこのような顔をしているが、負けん気が強く、ガッツがある。全国中学野球での日本一を賭けた青葉学院との再試合では、いい当たりを連発した。

加藤 正男 (かとう まさお)

墨谷第二中学校に通う男子中学生。野球部に所属している。丸井と同学年で、ファーストで8番。鼻が横に広がっており、少し顎がしゃくれている。全国中学野球での日本一を賭けた青葉学院との再試合ではヒットを打ち、反撃ののろしをあげるなど、切り込み隊長のような役割を存分に果たした。卒業後、江田川中学校が以前と比べて遥かにレベルアップしている事を伝えようと、丸井と共にイガラシのもとを訪れた。ちなみに、先代キャプテンが新キャプテンに谷口タカオを選んだ際、発表された新オーダーに1番・ファーストとして、そのフルネームが記されていた。

高木 (たかぎ)

墨谷第二中学校に通う男子中学生。野球部に所属している。ショートで2番。顔が長く鼻が上を向いている。1年生のイガラシに守備の手落ちを指摘され、殴りかかるなど気が荒い一面がある。全国中学野球での日本一を賭けた青葉学院との再試合ではファインプレーを連発して、チームの士気を高めた。終盤戦では丸井に続いてヒットを打つなどチャンスにも強い。

遠藤 (えんどう)

墨谷第二中学校に通う男子中学生。野球部に所属している。丸井と同じ学年で、レフトで8番。おとなしそうな風貌で、眼鏡をかけている。全国中学野球での日本一を賭けた青葉学院との再試合では、フェンスに激突しながらもボールを放さないガッツあるプレーを見せる。

島田 (しまだ)

墨谷第二中学校に通う男子中学生。野球部に所属している。丸井と同学年で、ライトで9番。鼻が上を向いており、目が細く眉間にシワがよっている。全国中学野球での日本一を賭けた青葉学院との再試合では、根性で投げ続けるイガラシの投球を無駄にしないと渾身のヒットを放ち、9回裏にも逆転につながるテキサスヒットを打った。守備でもガッツあるプレーでチームを鼓舞する。

久保 (くぼ)

墨谷第二中学校に通う男子中学生。野球部に所属している。イガラシと同学年で、イガラシのキャプテン時代はセンターで3番。面長で耳が大きく穏やかな雰囲気を漂わせている。打撃センスに秀でたパワーバッターで、選球眼もよく、チャンスに非常に強い。

小室 (こむろ)

墨谷第二中学校に通う男子中学生。野球部に所属している。イガラシと同学年で、イガラシのキャプテン時代はキャッチャーで6番。大柄の体型で、ダンゴ鼻をしている。地区予選の江田川中学校との対戦では近藤茂一のふてくされたプレーに激怒し、胸倉を摑むなど冷静さに欠ける一面が目立つ。

牧野 (まきの)

墨谷第二中学校に通う男子中学生。野球部に所属している。近藤茂一と同学年。イガラシのキャプテン時代はレフトで2番。茂一が新キャプテンとなった時には、キャッチャーで3番を打った。鼻が丸く唇が突き出ている。パワーヒッターながら足が速い。几帳面でまじめな性格で、新キャプテンとなった茂一の呑気な性格にイライラを募らす事も多いが、率先してチームをまとめようと尽力している。春の選抜大会では前キャプテンの丸井から、茂一のミスにヘソを曲げた事を厳しく指摘され、ナインを鼓舞するよう叱責されている。ちなみに、牧野が新キャプテンに選ばれなかったのは、チームがピリピリしすぎるため。

曽根 (そね)

墨谷第二中学校に通う男子中学生。野球部に所属している。近藤茂一と同学年で、ショートで6番。つぶらな小さい目をしており、受け口で右頰にホクロがある。トップバッターでは出塁率7割を誇る。全国中学野球「春の選抜大会」、準々決勝での富戸中学校との試合では、負傷した牧野に代わり、1年生の佐々木とバッテリーを組み、茂一に代わって冷静な采配を振るった。ちなみに、曽根が新キャプテンに選ばれなかったのは、神経が細かすぎるため。

佐藤 (さとう)

墨谷第二中学校に通う男子中学生。野球部に所属している。近藤茂一と同学年で、2年生からレギュラーとして活躍した。ポジションはファーストで8番。目が小さく、口がM字の形をしている。インコース打ちが得意で、バントが苦手。全国中学野球「春の選抜大会」、準々決勝での富戸中学校との試合では、相手のスパイクで指を負傷し、全治10日のケガを負う。ちなみに、佐藤が新キャプテンに選ばれなかったのは、神経が細かすぎるため。

イガラシ 慎二 (いがらし しんじ)

墨谷第二中学校に通う男子中学生。野球部に所属している。イガラシの2学年下の弟で、兄がキャプテンとなった年に入部した。容姿は兄そっくりだが、無愛想な兄と違って礼儀正しく愛想がいい。1年生の頃からレギュラーで、近藤茂一のキャプテン時代はサードで1番。兄と同じく優れた野球センスを持ち、ミートがうまい。兄がキャプテンだった時代は、工場からもれる灯りで夜間でも練習できる空き地を兄に教えるなど、陰ながら兄をサポートした。小学校の野球部ではキャプテンを務めていた。実家が中華そば屋のため、ラーメンや炒め物はお手のもの。

松尾 直樹 (まつお なおき)

墨谷第二中学校に通う男子中学生。野球部に所属している。イガラシがキャプテン時代の1年生。小柄で目鼻立ちがくっきりしている。学業優先の松尾直樹の母の命を受け、正規の時間内でしか練習できなくなり、選抜のレギュラー候補から外される。しかし、その悔しさから一人で練習を重ねて、レギュラーを奪回した。イガラシのキャプテン時代にはライトやサードを守っていた。器用なユーティリティープレイヤーで、近藤茂一の新キャプテンのもとではセカンドで2番だった。ここ一番でのファインプレーが光り、勝負強いバッティングが持ち味。

佐々木 (ささき)

墨谷第二中学校に通う男子中学生。野球部に所属している。近藤茂一が新キャプテンとなった時の1年生。くせ毛で鼻が上を向いており、ずんぐりした体型をしている。大舞台でもひょうひょうとした態度で、先輩からは図太い性格だと評されている。左投げのスイッチヒッター。新入生の入部手続きの日には、その厳しさから一旦は入部を止めるが、再度入部した。ユニフォームが届くまで、「JOY」というロゴが入った服を着用していたため、「JOY」と呼ばれるようになった。茂一監修のもと、ピッチャーとしての適性テストに合格した。また、バッティングのセンスもいい。全国中学野球「春の選抜大会」では、9回裏に代打で起用され、見事ライト越えのヒットを放って勝利に貢献。準々決勝の富戸中学校との試合では、退場となった茂一のリリーフとして好投した。

佐野 (さの)

青葉学院に通う男子中学生。野球部に所属している。左投げの小柄な投手だが、伸びのある速球を武器としている。谷口タカオがキャプテンを務めた時期から対戦しており、全国中学野球大会の地区予選では丸井率いる墨谷第二中学校野球部と対戦した。ブレーキの大きくかかった鋭いカーブを得意としている。

井口 源次 (いぐち げんじ)

江田川中学校に通う男子中学生。野球部に所属している。ポジションはピッチャーで左投げ。1年生からレギュラーを務めたエースで、4番を務めている。大きな体軀から繰り出す剛速球を武器としている。ひょうひょうとしているように見えるが、根は大の負けず嫌い。1年生の時に、谷口タカオ率いる墨谷第二中学校野球部と対戦した際は、左打者という弱点をつかれ、敗北を喫する。イガラシとは同じ中学出身で同学年。のちに変化球を変幻自在にあやつる実力を身につけ、直角に変化するキレのあるシュートで、チームを牽引した。イガラシがキャプテンとなった夏の地区予選では、青葉学院を完封した。細かい策は嫌っているが、対墨谷第二中学校では、終盤の頭脳プレーで、幼なじみでもあるイガラシの意表をついた。

谷口タカオの父 (たにぐち☆たかおのちち)

谷口タカオの父親。谷口タカオの母とタカオの三人で下町の一軒家に暮らしている。職業は大工で、きっぷのいい江戸っ子気質。眉毛が太短く、鼻が赤い。墨谷第二中学校野球部で、青葉学院中学校野球部のレギュラーだったと誤解され、思い悩むタカオのために手作りの特訓用マシンを作り、夜な夜な練習に付き合った。そのため、タカオ率いる墨谷第二中学校が地区予選で決勝進出した事を喜び、一升瓶片手に客席から応援した。

吉岡 (よしおか)

墨谷第二中学校の校長を務める初老の男性。キャプテンのイガラシが率いる野球部のハードすぎる練習が毎朝新聞の記事に掲載された事で、学校に抗議が殺到したため、保護者を招いて話し合いの場を持った。イガラシには、できない人間への思いやりを持つよう諭すものの、彼の一途な性格がチームを引っ張っている事も理解している。しかし、松尾直樹が練習中にケガをした事から、やむを得ず選抜出場を辞退するよう勧告した。

松尾の母 (まつおのはは)

松尾直樹の母親。学業優先の教育ママ。墨谷第二中学校野球部のハードな練習スケジュールを知り、息子には正規の練習時間内で終わらすようイガラシに直談判する。自分の主義に反する事は認めないという考え方で、学校での保護者会の席では、息子がレギュラーに復帰したとイガラシから知らされると、自分が息子をレギュラーから外すと断言し、周りをしらけさせた。その直後に息子がケガをしたと聞かされて気を失う。

近藤 茂太 (こんどう しげた)

近藤茂一の父親。「近藤モータース」を営んでいる。大柄な体型で、頭頂部が禿げている。高校やノンプロでの野球経験があり、関西弁でしゃべる。息子と同じく楽天的な性格をしている。墨谷第二中学校の保護者会では、全面的に野球部を擁護した。野球部の事情をよく理解しており、イガラシが卒業してからは、茂一の体調などをきめ細かく管理している。また、マイクロバスで選手の練習試合の送迎をするなどのサポートも請け負っている。息子の自分本位な性分を見越して、自分が卒業したあとにどんなチームを残したかによって、キャプテンとしての価値が測られると、後輩を育てる事に目を向けさせた。

青葉学院 野球部の部長 (あおばがくいん やきゅうぶのぶちょう)

青葉学院野球部の部長を務める男性。黒いサングラスをかけている。谷口タカオ率いる墨谷第二中学校野球部との地区予選決勝戦では、予想外の苦戦に14人以上もの選手交代を行い、観客から「野球を知らない黒メガネ」と野次られた。全国中学野球大会のためにも強いチームが勝つべきとの考え方で、勝ちにこだわりすぎるきらいがある。結果、墨谷第二中学校との試合でのルール違反を全国中学野球連盟に追求され、日本一を決める再試合を行う事になった。墨谷第二中学校との再試合でも、非情ともいえる采配をふるったが、最後は居たたまれなくなり、部員達の気持ちを汲み取り、真剣勝負を許している。

青木 (あおき)

墨谷第二中学校に通う男子中学生。野球部に所属している。小柄な体形で、眉毛が下がっている。イガラシ慎二と同学年で、近藤茂一の1学年下。イガラシのキャプテン時代は、1年生の頃からレギュラー候補として選ばれ、全国中学野球大会でベースコーチを担当した。語尾に「ス」を付けるしゃべり方をする。新キャプテンとなった近藤茂一の覚えたてのカーブを最初に受けた選手でもあり、その角度の鋭さに驚いた。

杉本 (すぎもと)

富戸中学校に通う男子中学生。野球部のリリーフピッチャーを務めている。肥満体型で、目が細く鼻が丸い。全国中学野球「春の選抜大会」では、第一号ホームランを打ったパワーヒッターでもある。準々決勝の試合で、「肉団子」みたいだと墨谷第二中学校ベンチで笑われ、ベンチに殴り込もうとするなど、喧嘩っ早い。その後、茂一のやじであわや乱闘という騒動となり、審判から厳重な注意を受ける事となった。

金成中学校野球部マネージャー (きんせいちゅうがくやきゅうぶまねーじゃー)

金成中学校野球部のマネージャーの男子中学生。学生帽をかぶり、大きな眼鏡をかけている。相手チームの情報を徹底的に分析したデータ野球を指揮しており、プライドが非常に高い。自身のデータに絶大な自信を持っており、データ以上の力を発揮する墨谷第二中学校野球部を前に、自分のデータを疑い始めたチームメイトと激しく衝突する。

二谷 (にたに)

南海中学校に通う男子中学生。野球部のエースピッチャーを務めている。大柄のずんぐりとした体形で、四角い顔と二重顎をしている。球質は軽いが変化球の切れがよく、鋭い角度で曲がる。準々決勝まで失点1という抜群の安定感を誇る。全国中学野球大会の準決勝で墨谷第二中学校野球部と対戦するが、墨谷第二中学校にもなかなか得点を許さない。また、短気な片岡をなだめる役割を担っている。

先代キャプテン (せんだいきゃぷてん)

墨谷第二中学校に通う男子中学生。野球部のキャプテンを務めており、2年生の谷口タカオが入部した時の3年生。大柄で眉毛が太く、よけいな事は言わない寡黙な性格。タカオが青葉学院野球部のレギュラーではない事を一目で見抜いていたが、陰ながら努力して実力をつけたタカオを新キャプテンに指名した。

中川 (なかがわ)

和合中学校に通う男子中学生。野球部のピッチャーを務めている。鼻が赤く、口を真一文字に結んでいる。高校生と見まがうほどの巨体で、その速球は真上からたたきつけるような強烈な印象をバッターに与える。また手元で急にホップするために打ち難く、終盤になっても球威が落ちない。立ち上がりがあまりよくないという評判だっだが、決勝の墨谷第二中学校との試合では慎重な投球を心掛け、大きく崩れる事はなかった。

和合中学校野球部の監督 (わごうちゅうがっこうやきゅうぶのかんとく)

和合中学校野球部の監督を務める中年の男性。面長で耳が大きく、もみ上げが濃い。冷静沈着な性格で、鋭い洞察力を身につけた気骨のある人物。前年度の優勝校としてのプライドがあり、勝負を避けてまで連覇しようという気はないと、9回裏で4番のイガラシを歩かせようと提案したキャッチャーを諫めた。

戸田 (とだ)

北戸中学校野球部に通う男子中学生。野球部のエースピッチャーを務めている。面長でつぶらな瞳をしており、鼻筋が通っている。スリークオーターから投げ下ろされる球は非常に重いが、立ち上がりのコントロールが悪い。墨谷第二中学校との準々決勝では、立ち上がりを攻められて得点を許すも、徐々に本来のピッチングを取り戻す。最終回では味方が同点に追いつくが、球威の衰えは隠せず、近藤茂一にサヨナラホームランを打たれてしまう。

大田原 (おおたわら)

全国中学野球連盟の委員長を務めている高齢の男性。ハゲ頭で丸メガネをかけ、口ヒゲを生やしている。全国中学野球大会が全国高校野球に沿った条件で行われており、常識として14人以上の交代を認めていないと知っていたはずだと、青葉学院野球部の部長を糾弾。同じ条件のもとで墨谷第二中学校と全国一を懸け、決勝戦となる再試合をするように命じた。

小池 (こいけ)

金成中学校に通う男子中学生。野球部に所属している。全国中学野球大会の地区予選1回戦でイガラシ率いる墨谷第二中学校野球部と対戦。球威はないものの、コースをつくきめの細かいコントロールと、手元で変化する変化球が持ち味。初回こそ墨谷第二中学校打線を翻弄したものの、確実にミートする戦法に切り替えた墨谷第二中学校に大量得点を許してしまい、2回コールド負けを喫する。

山口 (やまぐち)

北戸中学校に通う男子中学生。野球部のキャッチャーで4番のパワーヒッター。大きなメガネをかけている。立ち上がりにコントロールの定まらないピッチャーの戸田をよくリードし、チームに指示を与えるキャプテン的役割を担っている。墨谷第二中学校との準々決勝ではピッチャーのイガラシを疲れさせるべく、ファウル打ちを仕掛けるなど、戦略家な一面もある。

(たき)

墨谷第二中学校に通う男子中学生。野球部に所属している。ドングリ眼で三白眼。近藤茂一が新キャプテンとなった時の1年生。全国中学野球「春の選抜大会」では、準々決勝の富戸中学校戦に出場した。バッティングに絶対の自信を持っているが、丸井にバントのサインを出されて失敗。その後、茂一からヒッティングのサインに変更され、みごとサードを抜くヒットを打った。

新浜 (にいはま)

南ヶ浜中学校に通う男子中学生。野球部に所属している。眉毛が濃く目鼻立ちがはっきりした濃い顔をしている。ポジションはピッチャーで左腕のエース。キレのある変化球を武器としている。全国中学野球「春の選抜大会」の初戦では、初回こそ緊張が見て取れたが、終盤まで墨谷第二中学校打線を抑えた。

橋本 (はしもと)

墨谷第二中学校に通う男子中学生。野球部に所属している。近藤茂一が新キャプテンとなった時の1年生。ゾウのように目が小さい事から付いたニックネームは「ゾウ」。太っているために足は遅いが、春の選抜大会ではベンチ入りを果たす。全国中学野球大会の富戸中学校との準々決勝で、負傷した佐藤に代わってファーストを守った。

片岡 (かたおか)

南海中学校に通う男子中学生。野球部のキャッチャーを務めている。大柄な体形で鼻の下が長い。短気な性格で、全国中学野球大会の準決勝で墨谷第二中学校野球部と対戦した際、バントした近藤茂一に送球を当ててしまい、険悪な雰囲気になる。その後、茂一とのクロスプレーで激昂し、乱闘騒ぎを巻き起こす。先に片岡が手を出したために、退場処分となる。

清水 (しみず)

大東京新聞のスポーツ部に所属する記者の男性。眉毛がハの字に下がっている。和合中学校を夏の全国中学野球大会の優勝候補としていたが、上司に墨谷第二中学校も力のあるチームとの声があるので、合宿の取材に行くようにと命じられた。朝日高校相手に練習試合で奮闘する姿を目の当たりにし、その実力を認めるが、全国大会での経験不足を懸念していた。

遠藤 (えんどう)

白新中学校に通う男子中学生。野球部のエースピッチャーを務めている。大柄な体形で手足が長く、ドングリ眼をしている。夏の全国中学野球大会の初戦で墨谷第二中学校野球部と対戦した。変化球やスローボールを同じフォーム、同じテンポで投げる事ができる。コントロールされたきわどいコースを投げ分け、終盤まで墨谷第二中学校に得点を許さなかった。

谷口タカオの母 (たにぐちたかおのはは)

谷口タカオの母親で、谷口タカオの父の妻。夫にどなられても黙ってはいられない、気が強い下町の女性。地区予選での青葉学院野球部との決勝の日には、タカオのために豪華な朝食と弁当を用意した。決勝の観戦に出かけるも、9回裏に2アウト一打逆転のチャンスでタカオの打席が回ってくると、わが子の打席をまともに見る事ができないでいた。

菅野 (かんの)

朝日高校に通う男子高校生。丸井が入部した野球部のエースでキャプテン。大柄でもみ上げが長く、鼻筋が通っており、顎が割れている。丸井の依頼で、快く墨谷第二中学校野球部との練習試合を引き受けた寛大な人物。

市川 (いちかわ)

記者を務める中年の男性。近藤茂太の知り合い。全国中学野球「春の選抜大会」を取材した際、茂太から近藤茂一率いる墨谷第二中学校のチームの現状について、詳しく話を聞く機会を得た。

毎朝新聞記者 (まいちょうしんぶんきしゃ)

毎朝新聞運動部の記者の男性。眼鏡をかけており、顎がしゃくれている。当初、墨谷第二中学校野球部の存在さえ知らなかったが、取材で丸井から青葉学院が墨谷第二中学校との地区予選で14人以上選手を交代させた事を知り、キャプテンの谷口タカオを全国中学野球連盟に連れて行った。イガラシがキャプテンとなった時には、猛特訓の内容を記事にしたのが発端となり、墨谷第二中学校が春の選抜大会を棄権する事となった。

集団・組織

墨谷第二中学校 野球部 (すみやだいにちゅうがっこう やきゅうぶ)

下町風情あふれるエリアに立地する公立の中学校の野球部。以前の野球部は地区予選すら通過できないチームだったが、谷口タカオがキャプテンとなってからは、全国中学野球地区予選で決勝に進出し、決勝では青葉学院との大接戦を演じて惜敗。その実績が買われ、次期春の選抜大会への出場が決定した。同時に、ルール違反をした青葉学院と全国中学野球大会の日本一を賭けた再試合をする事になり、死闘の末、日本一の栄冠を手にする。丸井がキャプテンとなった時には、全国中学野球の地区予選で見事青葉学院を降すが、18回の延長で選手は疲労困憊し、全国大会へは出場できなかったという無念を味わう。続くキャプテン、イガラシの時代には、すでに名門の格を備える有名校になったが、春の選抜大会は負傷者を出し、辞退せざるを得なくなる。しかし、夏の全国中学野球大会で勝ち進み、優勝を果たした。新キャプテンが近藤茂一となってからは、従来の少数精鋭方式から、部員を抑えつけずに多くの部員の中から這い上がった者をレギュラーとして選ぶ選抜方式を採用。春の選抜大会では準々決勝で敗退するが、1年生が目を見張る成長を見せ、チームの選手層が厚くなった。

青葉学院 野球部 (あおばがくいん やきゅうぶ)

全国各地から部員が集まる全国中学野球大会の常連校。野球部の専用の寮と球場を完備し、プロ野球並の設備と陣容を備える。選手層は厚く、地区予選は2軍選手を起用して3回コールド勝ちが基本。地区予選決勝で谷口タカオ率いる墨谷第二中学校 野球部との対戦するが、予想外の苦戦を強いられ、青葉学院 野球部の部長が選手を14名以上交代させ、辛くも勝利。墨谷第二中学校との再試合が決まると、有名選手をコーチにつけ猛特訓を行うが、墨谷第二中学校に惜敗。丸井がキャプテンとなった墨谷第二中学校とは予選大会決勝で延長18回、イガラシのサヨナラホームランで敗れている。イガラシがキャプテンとなり、出場を辞退した春の選抜では和合中学校に敗退し、4年連続の優勝を逃した。その後の夏の地区予選では、井口源次擁する江田川中学校に完封され、敗北している。タカオは墨谷第二中学校に転入する前は青葉学院 野球部に所属しており、当時は2軍の補欠だった。

金成中学校 野球部 (きんせいちゅうがっこう やきゅうぶ)

全国中学野球大会の地区予選では決勝戦の常連である強豪校。谷口タカオ率いる墨谷第二中学校 野球部と地区予選で対戦。金成中学校 野球部は、マネージャー指導の徹底したデータ野球で、無駄のない攻めと完璧な守備を誇り、墨谷第二中学校の攻撃をことごとく封じた。タカオが、墨谷第二中学校のピッチャーが投げると同時に金成中学校の守備が動いている事を見抜き、その牙城を崩す事に成功した。のちに、イガラシがキャプテンとなった墨谷第二中学校と地区予選の初戦で当たるが、当時のデータ野球は鳴りを潜めており、2回コールド負けを喫する。

江田川中学校 野球部 (えだがわちゅうがっこう やきゅうぶ)

かつては、弱小だった墨谷第二中学校 野球部にバカにされるほど弱かった野球部。イガラシと幼なじみの井口源次が入部して以降、頭角を現す。谷口タカオがキャプテンだった時に、全国中学野球の地区大会で墨谷第二中学校と対戦。井口のワンマンチームであったため、守備力や打撃力が今一つであり、井口の左打者に弱いという弱点をつかれて敗北。のちに、変化球を会得した井口のもと、チーム力が底上げされた。地区大会では強豪校だった青葉学院 野球部から4点をもぎ取り、完封勝利を収めている。イガラシ率いる墨谷第二中学校との決勝戦では、息のつまる投手戦を展開し、終盤には代打攻勢をかけて墨谷第二中学校を苦しめた。

場所

北戸中学校 (きたのへちゅうがっこう)

東北の中学校。全国中学野球大会は初出場で準々決勝まで進出し、イガラシ率いる墨谷第二中学校と対戦。粘りがあって接戦になればなるほど、力を発揮するチーム。エースピッチャーの戸田は球は重いが、立ち上がりが悪く、序盤戦に墨谷第二中学校から得点を奪われた。だが、以降は安定したピッチングで墨谷第二中学校を抑えていく。ピッチャーを技巧派のイガラシから、自分たちとの相性がいい重い球の近藤茂一に交代させるべく、ファウル打ちを仕掛けるなど、墨谷第二中学校を苦しめた。

港南中学校 (こうなんちゅうがっこう)

広島では名の知れた強豪校。全国中学野球大会に過去3回の出場経験がある。キャプテンはキャッチャーの内田が務めている。全国中学野球「春の選抜大会」で新キャプテンの丸井率いる墨谷第二中学校と対戦。2点を先取されるが、これでかえって落ち着きを取り戻し、以降はキャッチャーの好リードもあり、墨谷第二中学校打線を抑える。ライトの近藤茂一が穴だと気づき、茂一のエラーで同点に追いつき、さらにピッチャーに交代した茂一のおそまつな守備で、墨谷第二中学校に勝利する。

南ヶ浜中学校 (みなみがはまちゅうがっこう)

名だたる南国の激戦区を勝ち抜いて、全国中学野球「春の選抜大会」に初出場した新鋭中学校。ピッチャーの新浜はキレのある変化球を武器にしているだけあり、打者も変化球を得意としている。初戦で近藤茂一率いる墨谷第二中学校と対戦。序盤は大試合の雰囲気に飲まれていたものの、中盤から徐々に落ち着きを取り戻し、終盤では墨谷第二中学校と互角の戦いとなり、0対0で9回に突入する。

南海中学校 (なんかいちゅうがっこう)

たびたび全国中学野球大会に名を連ねる強豪校。イガラシ率いる墨谷第二中学校野球部と全国中学野球大会の準決勝で対戦。エースピッチャーの二谷は、キレのいい変化球を武器に、準々決勝まで失点1で勝ち上がってきた。キャッチャーの片岡は短気で、近藤茂一に顔をなじられた事を発端に、のちに乱闘に発展して退場処分となる。

川下中学校 (かわしもちゅうがっこう)

全国中学野球「春の選抜大会」では準決勝まで進んだ事のある強豪校。墨谷第二中学校野球部のキャプテンを務める丸井が36校もの中学校と練習試合を組んだ、その第一試合目の相手。エースは右投げ、サイドスローの小川。墨谷第二中学校にリードされるが、近藤茂一のミスで同点に追いつく。しかし、小川に代打を出してしまっていたので延長戦を戦えず、引き分けとなる。練習試合を全勝したい丸井の提案で、墨谷第二中学校の不戦勝を承諾した。

白新中学校 (はくしんちゅうがっこう)

全国中学野球大会に過去7回の出場記録を持つ強豪校。イガラシ率いる墨谷第二中学校と全国中学野球大会の1回戦で対戦。これといった逸材選手はいないものの、名門らしい洗練されたスキのないチームで、俊足の選手が多い。変化球やスローボールを同じペースで投げるピッチャーの遠藤を攻略すべく、イガラシは肉を切らせて骨を断つ戦法で、遠藤のピッチングをまねた投球を敢行。スローボールを多用し、白新中学校の打法から勝利への活路を見いだす事になる。

和合中学校 (わごうちゅうがっこう)

西日本の有名強豪校。前年度の全国中学野球大会での優勝校でもある。イガラシ率いる墨谷第二中学校が辞退した全国中学野球「春の選抜大会」で青葉学院に勝利している。続く夏の全国中学野球大会では決勝戦で墨谷第二中学校野球部と対戦。雨天の中、息の詰まる投手戦を展開。2対1で迎えた9回表に和合中学校が追加点を入れたあと、雨足が強くなり、試合が中断する。和合中学校野球部の監督は勝負を避けてまで連覇しようという気はないという気骨のある人物。

富戸中学校 (ふとちゅうがっこう)

伊豆の名門中学校。全国中学野球「春の選抜大会」でベスト8に進出し、準々決勝で近藤茂一率いる墨谷第二中学校と対戦。打撃力に優れ、この大会をチーム最高打率で勝ち進んできた。多数のピッチャーをそろえるが、柱になるエースがいないため、次々にリリーフを送り込むという戦法を取る。ミート打法で墨谷第二中学校にゆさぶりをかけるも、走塁妨害などのラフプレーが目立ち、それに対して怒りが爆発した茂一が、守備妨害で退場処分となる。負傷で3年生を三人失い、代わって1年生を起用した墨谷第二中学校相手に、2対3とリードを奪って終盤に突入する。また、リリーフピッチャーの杉本がやじに腹を立て、乱闘騒ぎとなり、審判からの厳重注意を受けるという事態も発生した。

続編

プレイボール

『キャプテン』の主人公・谷口タカオの高校での活躍を描いた姉妹篇。墨谷高校野球部に入部した谷口タカオが持ち前のやる気と努力で、弱小だった部を引っ張っていき、強豪校へと成長させていく姿を描いている。第22... 関連ページ:プレイボール

プレイボール2 (ぷれいぼーるつー)

ちばあきおの『プレイボール』の完結から38年を経て、コージィ城倉がちばあきおそっくりのタッチで描く続編。3年生キャプテンの谷口タカオと彼を中心とした、墨谷高校野球部の活躍を描く青春野球漫画。前作の最終... 関連ページ:プレイボール2

キャプテン2 (きゃぷてんつー)

ちばあきおの青春野球漫画『キャプテン』の続編を、コージィ城倉がちばあきおの絵のタッチに近づけ、世界観を崩さないように描いた作品。『キャプテン2』では、墨谷二中の近藤茂一が野球部キャプテンとなり、夏の全... 関連ページ:キャプテン2

アニメ

キャプテン(1980年版)

野球の名門校・青葉学院から墨谷二中に転校してきた谷口タカオは、野球部から青葉学院のレギュラー選手だったと誤解されてしまう。実際には二軍の補欠に過ぎなかった谷口だが、その期待に応えるべく厳しい練習を重ね... 関連ページ:キャプテン(1980年版)

キャプテン(1983年版)

野球の名門校・青葉学院から墨谷二中に転校してきた谷口タカオは、野球部から青葉学院のレギュラー選手だったと誤解されてしまう。実際には二軍の補欠に過ぎなかった谷口だが、その期待に応えるべく厳しい練習を重ね... 関連ページ:キャプテン(1983年版)

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