あらすじ
第1巻
居酒屋でアルバイトをしている27歳の溝口は、競馬で負けて手持ちのお金が小銭だけになってしまう。給料日まではまだ13日もあるため、溝口は5000円を貸していた友人のもとへ借金の取り立てに行くが、その友人も金がなく、咲くと幸せになれるという怪しい花の種が植えられた鉢を手に入れるだけだった。その後、アルバイトに遅刻してクビになった溝口が自室で落ち込んでいると、友人からもらった鉢の植物が花を咲かせており、100円玉や500円玉の実をつけていた。植物から小銭をもぐと、2万円ほどになり、溝口はこれを元手に新しいアルバイト先を見つけて頑張ろうと決意する。しかし翌日、溝口は花から手に入れたお金をすべて競馬につぎ込み、失ってしまう。だが、溝口は自分の身に不幸がふりかかればかかるほど、それがお金となって花の実となることに気がつくのだった。溝口は花から金を手に入れるため、チンピラに喧嘩を売るなどして、自ら不幸になるように行動を始める。(第2話「M」。ほか、9エピソード収録)
登場人物・キャラクター
フミ
第1話「B」に登場する。子供を身ごもっている女性。お腹の赤ちゃんは順調に育っており、出産を控えて実家に帰っている。年老いた母親と二人で過ごし、時おり夫の隆も仕事の合間を縫って様子を見に訪ねて来る。ある朝、目覚めると膨らんでいたお腹がすっかりへこんでおり、お腹の胎児が年老いた母親のお腹へ移っているという、異常な事態を迎える。
溝口 (みぞぐち)
第2話「M」に登場する。ギャンブル依存症の青年。生活費をすべて競馬で失ってしまうようなダメ人間。年齢は27歳。居酒屋でアルバイトをしているが、周囲からは仕事ができないと陰口を叩かれており、仕事に遅刻をしたことでクビになる。金を貸していた友人から、咲くと幸せになれるという怪しい花の種が植えられた鉢をもらう。その花は、溝口の身に不幸が降りかかれば、その不幸の大きさに応じた金額の硬貨が実になることがわかり、溝口の人生を狂わせていく。
シノブ
第3話「ピクチャーブック」に登場する。飼い犬のマサルといっしょに、ひとりぼっちで家で留守番をしている男子。絵本の「青い鳥」を読んだりして、母親が帰って来るのをお腹をすかせて待っている。失くしてしまっていた大好きな本「モーリーをさがせ!」をマサルが見つけてきてくれて、久しぶりに本を開くが、本の中でたくさんの登場人物が惨殺されている恐ろしい光景を目撃してしまう。
カズオ
第4話「4月6日」に登場する。妻のカオリと飼い猫のハルと暮らしている男性。ある日、一人で自宅にいる時に妻の日記を見つけて、妻が自分に多くの不満を持っていることを知る。その日記を読み進めることで、妻が毒薬を手に入れて、自分のことを殺そうとしている事実をつかむ。
田辺 (たなべ)
第5話「老婆」に登場する。老人を騙して金を手に入れている男性。弁護士と偽って、老婆から金を騙し取るために老婆の家を訪ねたところで、その老婆から実の息子と間違えられてしまう。金に目がくらんで、老婆の息子として振る舞ううちに、恐ろしい目に逢う。
清司 (きよし)
第6話「Potion」に登場する。配送の仕事中、子供を車で轢いて死なせてしまった男性。罪の意識にさいなまれ、ものを食べても味もわからないほどで、笑うこともできなくなって苦しんでいる。懺悔した神父からもらった謎の薬を飲みほしたところ、気分が軽くなり、久しぶりに熟睡する。しかし、神父にもらって飲みほした薬によって、感覚や感情が逆転したせいであることに気づく。
横尾 サツキ (よこお さつき)
第7話「COLORS」に登場する。人付き合いが苦手で、学園生活に憂鬱を感じている地味な女子学生。ある時から、人がまとった炎の色で、その人の心がわかるようになる。そのおかげでクラスメートの悩みの解決に一役買い、多数の生徒や教師からも相談を持ち掛けられる人気者となる。
面接に来た男 (めんせつにきたおとこ)
第8話「面接」に登場する。とある会社の入社面接にやってきた男性。決まり文句の自己アピールをしたものの、面接官の男性からスマートフォンを提出するように要求される。メール履歴や着信履歴、ネットアクセス履歴、あらゆる履歴を解析して、身上調査をすると言われて、面接会場から逃げ出す。
キミコ
第9話「P」に登場する。男性を嫌悪している女性。男は不潔で野蛮であり、その存在自体が怖いと考えており、一度だけ付き合った男性とも何もせずに別れている。ある日、自宅に宅配便で男性器が届き、なんとなく裸になって股間にあてがってみたところ、取れなくなってしまい、さらに全身が男性化していく。
漫画家志望の男 (まんがかしぼうのおとこ)
第10話「3時15分」に登場する。漫画家になることを夢見ている男性。商業誌デビューを目指して、10年間漫画を描き続けている。あと1か月で30歳を迎えるが、20代のうちにデビューすることを目標にしており、精神的に追い詰められている。ここ1年間は、ネームすらできず、何を描いたらいいのかも見失っているが、ある日、描いた覚えのない不気味な原稿が多数手元にあることに気づく。
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