鋼の錬金術師

鋼の錬金術師

荒川弘の初連載作品にして代表作。錬金術師であるエドワード・エルリックとアルフォンス・エルリックの兄弟が、かつて自らの過ちで失ってしまったものを取り戻すための旅の中で、国家を巻き込んだ大がかりな陰謀を知り、それを阻止すべく活躍する姿を描いたダークファンタジー。愛称は「ハガレン」で、テレビアニメ化や実写映画化もされている。スクウェア・エニックス『月刊少年ガンガン』で2001年8月号から2010年7月号まで連載。2017年6月12日からガンガンONLINEでリバイバル連載開始。第8回文化庁メディア芸術祭漫画部門審査委員会推薦作品(2004年)、第49回小学館漫画賞受賞(2004年)、第15回手塚治虫文化賞新生賞受賞(2011年)、第42回青雲賞(コミック部門)受賞(2011年)。

正式名称
鋼の錬金術師
ふりがな
はがねのれんきんじゅつし
作者
ジャンル
バトル
 
ファンタジー
レーベル
ガンガンコミックス(スクウェア・エニックス)
巻数
既刊27巻
関連商品
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世界観

舞台となる国、アメストリスは人口約5000万人の国家で、首都機能を持つセントラルを中心に、東西南北の各エリアから成っている。地域ごとに気候や風景、生活様式などが異なるのが特徴。各エリアは汽車で結ばれており、都市部では自動車、田舎では馬車が主に使われている。機械技術と錬金術が発達しており、義肢として機械鎧が普及している。国家体制は軍部が司法、行政、立法の三権をほぼ掌握しており、軍部のトップに立つ大総統の独裁国家でもある。かつては小国だったが、周辺諸国を次々と併合していき、大国となった。隣国への侵攻や内戦など、常に戦火の絶えない国家でもある。

錬金術

物質の構成や形状を変化させ、新たなものに作り替える技術。万能の魔法ではないので、無から有を創り出すことはできない。等価交換が原則で、なにかを錬成するためには、「物質の理解」「分解」「再構築」の3段階の過程を踏む必要がある。また、錬成には地殻運動によるエネルギーと、錬成したいものの構築式が書き込まれた錬成陣が必要となる。軍事目的で使われるほか、医療行為、壊れたものの修復、工事などにも役立っている。なお、アメストリスで発展した錬金術とは違う技術で成り立つ錬金術もあり、アメストリスの隣国のシンでは医療に特化した錬金術である錬丹術が発展している。

国家錬金術師

アメストリスでは、国が全面的に錬金術師を支援しており、国家試験に合格した者に国家錬金術師の資格を与えている。国家施設の優遇利用や特殊文献の閲覧など、様々な特権が与えられる代わりに、軍部の命令があれば人間兵器として戦争にも参加しなければならない。そのために、一般民衆からは「軍の狗」と蔑まれることも多い。また、国家錬金法により「人を作るべからず」「金を作るべからず」「軍に忠誠を誓うべし」という、3つの決まりがある。なお、錬金術の種類によって、様々な二つ名が名付けられている。

あらすじ

旅の始まり(1話〜41話)

機械技術と錬金術が発達した国アメストリス。その一都市、リゼンブールで暮らしていたエドワード・エルリックアルフォンス・エルリックの兄弟は、幼い頃に母親を流行病で亡くしていた。時を経て、錬金術を学んだ兄弟は、死んだ母親を甦らせるべく、禁断の「人体錬成」を試みるが失敗。その代償として兄のエドは右腕と左脚を、弟のアルは肉体すべてを失ってしまう。エドのとっさの機転で、アルの魂を鎧に定着させることに成功したものの、アルは鎧の姿で生きることを余儀なくされた。

その後、12歳という若さで国家錬金術師の資格を手にしたエドは、「鋼の錬金術師」という二つ名の下に、アルとともにアルの肉体を取り戻す旅に出る。旅の途中、不完全な賢者の石を使い死せるものには復活を与えると民衆を欺いていた太陽神レトの代理人を標榜する教主コーネロの正体を暴く。炭鉱の街では中央の高官にワイロを送り出世を目指すヨキ中尉が炭鉱夫たちを搾取しているのを止めさせる。ハクロ将軍が乗った列車を乗っ取り収監中の指導者の解放を企んだ過激派「青の団」を退けるなどの活躍を見せた。そして東方司令部にて、かつてエドを国家錬金術師に勧誘した「焰の錬金術師」ことロイ・マスタング大佐と再会。マスタングに、生体錬成に詳しい「綴命(ていめい)の錬金術師」ことショウ・タッカーを紹介されたエドとアルは、タッカーの娘ニーナとも親しくなる。しかし、国家錬金術師の資格を維持するために、ニーナはタッカーの手によって人語を理解する合成獣へと変えられてしまう。

タッカーの非道な行為に憤るエドとアル。同時に、ニーナを救えなかったという事実が、兄弟の心に重くのしかかるのであった。しかし、裁判にかけられるはずだったタッカーが謎の人物によって殺害されるという事件が起こる。その人物こそ、国家錬金術師を次々と殺害していた「傷の男」であった。国家錬金術師だということで傷の男に狙われたエドは、機械鎧を破壊されてしまう。壊れた機械鎧を修理するため、故郷のリゼンブールに向かった兄弟だが、その途中で、軍の命令により賢者の石を生成していた医師ティム・マルコーに出会う。マルコーから賢者の石についての資料の隠し場所を聞いたエドは、リゼンブールで機械鎧の修理を終えると、セントラル中央図書館に向かった。そこでエドが知ったのは、賢者の石の材料が生きた人間という衝撃的な事実であった。

さらに賢者の石についての調査を続けるエドは、第五研究所で生身の体を失い空洞の鎧の存在と化した元殺人鬼の死刑囚と戦い、負傷してしまう。さらに人造人間エンヴィーラストと遭遇し、気絶させられ病院に送られる。その病室に突然、キング・ぶらットレイ大総統が訪ねて来て軍内部に敵がいること、これ以上、賢者の石について調べることは危険すぎるため中止するよう命令する。しかし、賢者の石について独自に調査を進めていたマスタング大佐の旧友のマース・ヒューズ中佐もエンヴィーによって殺されてしまう。ヒューズの国葬の最中、マスタング大佐は、いずれこの国のトップに立つことと、ヒューズ中佐を殺した犯人に復讐することを誓うのであった。

その頃、エドの錬金術の師匠であるイズミ・カーティスに会いにダブリスに向かった兄弟は、イズミにすべてを話す。兄弟の話を聞いたイズミは2人を破門。しかしそれは、これからは対等な存在として向き合うという意味だった。その後、エドは単身イーストシティに向かうが、アルはダブリスで人造人間の一人、グリードと遭遇する。そしてグリードとの戦いの中で、アルは「真理」に出会った時の記憶を取り戻すのであった。

その後、兄弟はラッシュバレーで行き倒れ寸前の青年を助ける。実はその青年は、不老不死の方法を手に入れるために賢者の石を求めて旅をしていた、アメストリスの隣国・シンの皇子リン・ヤオだった。一方、マスタングは部下たちとともにセントラルへ異動。そこで軍の暗部について調査を進めていたが、それを阻もうとするラストと交戦。激闘の末、ラストを倒すが、重傷を負った部下のジャン・ハボック少尉がリタイアしてしまう。そしてエドは故郷の母の墓前で、父であるヴァン・ホーエンハイムと再会するのであった。

加速する陰謀(42話〜83話)

ヴァン・ホーエンハイムと再会したエドワード・エルリックだが、ホーエンハイムに対するわだかまりは依然として消えなかった。しかし、ホーエンハイムの発した言葉から、自分が錬成したものは母ではなかったのではという疑問に至り、墓を暴いて確認する。その結果、弟のアルフォンス・エルリックが元に戻れるという確信を得る。そして兄弟は「誰一人失わない道を進んで身体を手に入れる」ことを誓うのであった。

セントラルに戻ったエドは、リン・ヤオたちと再会。ともに人造人間の手がかりを探していると、傷の男と遭遇し戦いとなる。そこへ傷の男を探していたキング・ブラッドレイ大総統が参戦。死闘の末、人造人間の1人、グラトニーを捕獲するも、暴走したグラトニーに飲み込まれてしまう。なんとかグラトニーの体内から脱出したエドは、セントラルの地下深くで、「お父様」と呼ばれる存在と出会う。「お父様」こそが、人造人間を使ってある計画を進めていた黒幕だった。圧倒的な力を持つお父様の前に、錬金術を封じられ捕らえられてしまうエド。そしてウィンリィ・ロックベルを盾に、国家錬金術師でいることをブラッドレイに強要され、やむなく従うことになる。

その後、リザ・ホークアイ中尉からイシュヴァール殲滅戦の話を聞いたエドは、北部のブリッグスへ向かい、オリヴィエ・ミラ・アームストロング少将に会う。オリヴィエ少将にすべてを話したエドは、国土錬成陣の存在に気付き、裏で糸を引いていたのが軍部だと知る。そこでエドは、軍部から派遣されてきたゾルフ・J・キンブリー中佐の命令に従うふりをしながら、ブリッグス兵や傷の男と協力し、反撃の機をうかがう。しかし、キンブリーとの戦闘で瀕死の重傷を負ってしまい、なんとか自分の生体エネルギーを使って応急処置を施し一命は取りとめるが、入院を余儀なくされる。

一方、アルは「傷の男」と合流したのち、「リオール]へと向かい、そこでホーエンハイムと再会する。そしてホーエンハイムから過去のすべての話を聞き、セントラルにいる「お父様」が、「来たるべき日」を待っていることを知る。その頃、セントラルへと呼び出されたオリヴィエは、ブラッドレイの配下に加わることとなり、同時に軍部の恐るべき秘密を知る。あらゆることが、「約束の日」に向けて動き出そうとしていた。

約束の日から旅路の果て(84話〜108話)

ヴァン・ホーエンハイムと合流しすべての話を聞いたエドワード・エルリックは、「お父様」に対抗すべくセントラルに向かう。途中、人造人間の一人、プライドの襲撃を受けるも、アルフォンス・エルリックが囮となってプライドの足止めに成功する。一方、クーデターを企むロイ・マスタング大佐は、グラマン中将の協力もあり、テロに見せかけてブラッドレイが乗る列車の爆破に成功。ブラッドレイは生死不明となる。マスタングはさらに大総統夫人を人質にとり、一気に上層部へ迫る。

同じ頃、エドたちは第三研究所の地下から「お父様」の元へ向かうが、その途中、暴走した人造兵団の襲撃に遭う。人造兵団や人造人間のスロウスの攻勢に苦戦するオリヴィエ・ミラ・アームストロング少将たちだったが、なんとかこれを退け司令部を制圧したかに見えた。しかしそこにキング・ブラッドレイ大総統が帰還。グリードたちが必死に応戦するが、ブラッドレイの強さの前に劣勢を強いられる。人造兵団を倒し「お父様」のもとに向かうエドたちの前に、謎の男と人造人間が立ちはだかり、圧倒的な強さでエドたちを人柱として拘束していく。そしてマスタングを無理矢理5人目の人柱とし、「お父様」は扉を開き、ついに神に等しい力を手に入れる。しかし、それでも、エドたちは決して諦めようとはしない。かくして最後の闘いが始まるのであった。

作風

錬金術というファンタジー要素はあるが、錬金術が必ずしも万能ではなく、かつ、キーアイテムである「賢者の石」が実は人間から作られているという重い設定が、本作がダーク・ファンタジーと呼ばれる要因ともなっている。根底にあるものは、主人公であるエドワード・エルリックがさまざまな困難に立ち向かい、多くの人との出逢いを経て、成長していくという、少年漫画の王道の精神である。ファンタジーでありながら、登場人物の心情やそこから生じる行動はリアリティに満ちているため、読者の共感を呼び、さらに、主人公に敵対する人造人間さえも、ただのステレオタイプな敵役ではなく、様々な思いを秘めていることが丁寧に描写されている。こういった部分が物語に重みを加え、結果として骨太のストーリーに仕上がっている。その一方で、エドが身長のことで何か言われるたびに(言われているとエドが勝手に思った場合も)、見さかいなくキレる様子がギャグタッチで描かれるなど、コメディ的な要素も多分に盛り込まれている。これにより、暗く重い話になりがちな部分とのバランスがうまく取れている。ちなみに、各コミックスの巻末には、ギャグに特化したおまけの4コマ漫画が掲載されており、本編とともに楽しみにしている読者も少なくなかった。

掲載情報

「月刊少年ガンガン」は1991年に月刊漫画誌として創刊。『南国少年パプワくん』『魔法陣グルグル』などの連載が人気を得て、新規に創刊した月刊誌としては異例のヒットとなった。その後、月2回刊となるが、1998年に再び月刊に戻る。2001年、創刊当時の編集長が新会社を設立し、連載中だった作家が作品ごと移籍するという事件が起こる。人気連載を失った「月刊少年ガンガン」だったが、残された連載作品と、新たに加わった連載作品によって支えられていくこととなる。その新連載の一つが、『鋼の錬金術師』であった。少年漫画への回帰を目指す新編集長の下、『鋼の錬金術師』は少年漫画らしい熱い展開で人気となり、「月刊少年ガンガン」の看板作品の一つとなった。

さらに、発行元だったエニックスがスクウェアと合併し、スクウェア・エニックスとなった2003年10月に『鋼の錬金術師』のTVアニメが放送開始すると、人気が爆発。「月刊少年ガンガン」の売り上げは急激に伸び、一時は発行部数37万部を超える大人気漫画誌となった。2010年、『鋼の錬金術師』の最終話が掲載された「月刊少年ガンガン」7月号は各書店で売り切れが続出。それを受け、急遽8月号に最終話を再掲載するという、異例の対応がなされた。ただし、『鋼の錬金術師』連載終了後、同誌の発行部数は急激に落ち込んでしまったことから、あらためて『鋼の錬金術師』の人気が高かったことがうかがえる。

外伝

本編108話のほかに、外伝として『軍部祭り』『軍の犬?』『戦う 少尉さん』『もうひとつの旅路の果て』の4編、ゲームソフトのイントロダクションとして描き下ろされた『翔べない天使 prologue』『-暁の王子-prologue』『-黄昏の少女-prologue』の3編、フィギュア『鋼の錬金術師 BOOK IN FIGURE』に付属するブックレットに描き下ろされた『外伝 シンプルな人々』『外伝 それもまた彼の戦場』の2編、連載前の読み切り用ネームを元に描き起こされた『鋼の錬金術師プロトタイプ』がある。なお、『軍部祭り』『軍の犬?』『戦う 少尉さん』『もうひとつの旅路の果て』『翔べない天使 prologue』『-暁の王子-prologue』『-黄昏の少女-prologue』はコミックス版に収録されており、『外伝 シンプルな人々』『外伝 それもまた彼の戦場』『鋼の錬金術師プロトタイプ』の3編は、書籍『鋼の錬金術師CHRONICLE』(SQUARE ENIX刊)に収録されている。

メディアミックス

TVアニメ

『鋼の錬金術師』

毎日放送製作、TBS系列他で2003年10月4日から2004年10月2日まで全51話で放送された。2003年版と呼ばれることが多い。監督は水島精二、シリーズ構成は會川昇。原作の連載中に制作されたこともあり、原作者の意向によって、ストーリー展開、世界観、キャラクター、人物設定などが原作から大きく改変されており、黒幕や結末などもまったく異なっていて、アニメオリジナル作品と言っても過言ではない。最高視聴率8.4%を記録する人気番組となり、DVD(全13巻)の売り上げも累計100万枚を超える好セールスを記録している。また、主題歌CDなどの関連商品も軒並み好調で、OP、EDを収録したアルバム『鋼の錬金術師 COMPLETE BEST』は、オリコンで初登場1位を獲得。アニメのコンピレーションアルバムとしては初の快挙を成し遂げた。

『鋼の錬金術師FULLMETAL ALCHEMIST』

毎日放送および鋼の錬金術師製作委員会製作、MBS・TBS系列他で2009年4月5日から2010年7月4日まで全64話で放送された。2003年版とは違い、微細な改変はあるものの、ほぼ原作に準拠したストーリー構成、世界観となっている。2003年版と区別するため「FA」と表記されることが一般的になっている。原作の連載終了に合わせてアニメも終了する予定となっていたが、原作の最終話が110ページを超えるボリュームになっていたため、予定していた話数ではまとめきれず、予定より1話多く作られることとなった。製作会社と放送局は2003年版と同じだが、メインスタッフや声優陣は大きく変わっている。ただし、エド役の朴璐美、アル役の釘宮理恵など、一部の声優は2003年版のまま続投している。DVDは全16巻。売り上げでは2003年版に及ばなかったものの、こちらも好セールスを挙げている。

劇場映画

『劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』

2005年公開の劇場アニメ。製作は劇場版「鋼の錬金術師」製作委員会、監督は水島精二。2003年から2004年に放映されたTVアニメ「鋼の錬金術師」の最終話以降を描くシリーズ続編にして完結編。TVアニメ版同様、原作漫画とは設定や世界観が大きく異なっている。110万人を動員し、興行収入も13億円に達する大ヒット作となった。

『鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星』

2011年7月に公開された劇場アニメ。製作はボンズ、監督は村田和也。サブタイトルの読みは「ミロスのせいなるほし」。『鋼の錬金術師FULLMETAL ALCHEMIST』の設定と世界観に準じているが、ストーリーは「語られなかったエピソード」を描く映画オリジナルのもので、時系列的には、原作のコミックス11巻辺りが舞台となっている。興行収入は6.5億円。来場者特典として、本作の序章にあたるオリジナルエピソード「第45.5話」が収録された特別版コミックス『鋼の錬金術師 11.5巻〜旅立ちの前に〜』が先着50万部限定で配布された。

『鋼の錬金術師』

2017年12月公開の劇場実写映画。製作は映画「鋼の錬金術師」製作委員会、監督は曽利文彦、配給はワーナー・ブラザース映画。主なキャストは、エドワード・エルリック(山田涼介)、ウィンリィ・ロックベル(本田翼)、ロイ・マスタング(ディーン・フジオカ)、リザ・ホークアイ(蓮佛美沙子)、マース・ヒューズ中佐(佐藤隆太)、マリア・ロス少尉(夏菜)、エンヴィー(本郷奏多)、グラトニー(内山信二)、ラスト(松雪泰子)。

ゲーム

TVアニメシリーズを元にしたゲームも作られている。2003年版の設定・キャラを元にしたものとして、『鋼の錬金術師 翔べない天使』(PS2)、『鋼の錬金術師2 赤きエリクシルの悪魔』(PS2)、『鋼の錬金術師3 神を継ぐ少女』(PS2)、『鋼の錬金術師 迷走の輪舞曲』(GBA)、『鋼の錬金術師 想い出の奏鳴曲』(GBA)、『鋼の錬金術師 ドリームカーニバル』(PS2)、『鋼の錬金術師 デュアルシンパシー 二人の絆』(NDS)がある。『鋼の錬金術師FULLMETAL ALCHEMIST』を元にしたものは、『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST 暁の王子』(Wii)、『鋼の錬金術師FULLMETAL ALCHEMIST 黄昏の少女』(Wii)、『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST 背中を託せし者』(PSP)、『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST 約束の日へ』(PSP)が発売されている。

小説

2003年2月に、コミックスをノベライズした小説版『鋼の錬金術師1 砂漠の大地』が発売された。以後、『鋼の錬金術師2 囚われの錬金術師』、『鋼の錬金術師3 白い花の舞う谷』、『鋼の錬金術師4 遠い空の下で』、『鋼の錬金術師5 それぞれの絆』、『鋼の錬金術師6 新たな始まり』と続き、これまでに計6巻(著者はいずれも井上真、SQUARE ENIX刊)が発売されている。この他、コミックス6巻の初回限定特装版に付属していたショートノベル『焔の錬金術師』(原作・画:荒川弘、文:井上真、SQUARE ENIX刊)がある。『焔の錬金術師』は、書籍『鋼の錬金術師CHRONICLE』(SQUARE ENIX刊)に新改訂版が再録されている。

登場人物・キャラクター

エドワード・エルリック (えどわーどえるりっく)

赤いマントを羽織った15歳の金髪の少年。エルリック兄弟の兄。アメストリス国のリゼンブール出身。齢12歳にして国家錬金術師の資格を得た類稀なる天才少年で、「鋼の錬金術師」を名乗る。11歳の時、亡くなった母親を生き返らせるため、錬金術師の禁忌中の禁忌とされる人体錬成を行ったが、結果は失敗。錬成の対価として右腕を失い、さらに弟のアルフォンス・エルリック(アル)の魂を呼び戻すために左足を失う。 以来、機械鎧(オートメイル)という義足手を装着している。軍の大佐ロイ・マスタングは、その重々しい鋼の義手と、彼の12歳とは思えない揺るぎない覚悟を見て、「鋼の錬金術師」という二つ名を与えた。右腕と左足、そして弟・アルの体を取り戻すために、兄弟で伝説の秘宝「賢者の石」を探す旅をしている。 背丈の低さがコンプレックスで、「チビ」と言われると激昂する。

アルフォンス・エルリック (あるふぉんすえるりっく)

西洋風の鎧姿をした錬金術師の少年。エルリック兄弟の弟。アメストリス国のリゼンブール出身。兄のエドワード・エルリック(エド)とともに、亡くなった母親を生き返らせるために錬金術師の禁忌中の禁忌とされる人体錬成を行ったが、結果は失敗。その対価として身体を全て失ったが、エドの尽力により、その魂を鎧に定着させることによって一命を取り留めた。 兄の右腕と左足、そして自らの身体を取り戻すために、兄弟で伝説の秘宝「賢者の石」を探す旅をしている。体が鎧であるため痛みや温度などの感覚はなく、しかも元のように自由に動かせるので、今の姿になってからは組手ではエドに全戦全勝している。感情的な兄に比べると沈着冷静で礼儀正しいが、正義感の強さは兄に負けない。

ヴァン・ホーエンハイム (ゔぁんほーえんはいむ)

顎鬚を生やした飄々とした風貌の中年男性。エドワード・エルリック(エド)とアルフォンス・エルリック(アル)兄弟の父親だが、兄弟がまだ幼い時に妻トリシャ・エルリックを置いて家を出ていったため、エドからはトリシャの死の遠因として強く恨まれている。とある目的から各地を転々としており、多くの謎に包まれている。錬金術の腕前は相当なもので、身動きひとつすることなく錬成が可能だが、家族との接し方は不器用で、父親としての振る舞いに苦悩する一面もある。

ウィンリィ・ロックベル (うぃんりぃろっくべる)

金色の長髪を後ろに束ねた、活気のある少女。アメストリス国のリゼンブールに住んでいる。エドワード・エルリック(エド)とアルフォンス・エルリック(アル)兄弟とは幼馴染で、エドが装着している機械鎧という義足手のメンテナンスを任されている。両親をイシュヴァール人に殺されており、祖母のピナコ・ロックベルと二人暮らしをしている。 戦闘技術こそ持っていないが、機械鎧に関しては一流の技師であり、エルリック兄弟を陰ながら支え続けている。芯の強い女性で、彼女の行動が周りの人間に強い影響を与えることも少なくない。

ピナコ・ロックベル (ぴなころっくべる)

ウィンリィ・ロックベルの祖母で、エドワード・エルリックとアルフォンス・エルリック兄弟の父親ヴァン・ホーエンハイムとは酒飲み仲間だった。。アメストリス国のリゼンブールに住んでいる。生まれた時から成長を見てきており母を失ったエルリック兄弟の親代わりのような存在でもある。非常に腕のよい機械鎧技師であり、リゼンブールに住む人々の義足などのメンテナンスも行っている。 ウィンリィの両親の命を奪ったイシュヴァール殲滅戦のことを嘆きつつも、その戦争によって体に障害を負った人々へ義肢装具や機械鎧を提供することで生活しているのを皮肉に思っている。

ロイ・マスタング (ろいますたんぐ)

精悍な顔つきの青年男性で、若くしてアメストリス軍の大佐を務める。「焔の錬金術師」と呼ばれる国家錬金術師で、炎を扱った戦闘を得意とする。大総統の座を狙う野心家であり、洞察力と判断力に優れているが、身近な人物に危険が及ぶと我を忘れるほど感情的になる。親友であるマース・ヒューズ中佐の死をきっかけに、賢者の石にまつわる謎に足を踏み入れていく。

リザ・ホークアイ (りざほーくあい)

アメストリス軍に所属する金髪の女性で、階級は中尉。「鷹の目」と言われるほどの正確無比な射撃の名手である。普段はロイ・マスタング大佐の側近を務めており、彼の援護に回ることが多い。マスタングが彼女の父親の弟子だったころからの知り合いで、直接言葉にして表すことはないにせよ、マスタングに対して絶対の信頼を置いている。

キング・ブラッドレイ (きんぐぶらっどれい)

アメストリス軍の大総統を務める中年の男性である。普段は柔和な表情を浮かべる穏やかな性格であるが、その戦闘能力は凄まじく、特に剣さばきにおいては他の追随を許さない。その正体は「憤怒」の人造人間であり、「お父様」の目的のために各地で内乱を引き起こす画策をしていた。自らの人生を「レールに沿って進むだけの人生」と顧みている。

マース・ヒューズ (まーすひゅーず)

アメストリス軍に所属する家庭思いの男性。階級は中佐で、ロイ・マスタング大佐の親友。危険な現場では身を隠していたり、一見臆病に思われがちだが、実は頭の回転がよく調査活動などでは優秀な成果を上げている。陰でマスタング大佐をバックアップしていたが、人造人間の存在やその奥に潜む大きな陰謀に気付いてしまったため、人造人間のエンヴィーに殺害された。 死亡したことにより2階級特進して准将となっている。

アレックス・ルイ・アームストロング (あれっくするいあーむすとろんぐ)

アメストリス軍に所属する筋肉質の巨漢。階級は少佐。「豪腕の錬金術師」と呼ばれる国家錬金術師。傷の男がエドワード・エルリックを殺害しようとしたのを防ぐ。破壊の裏に創造あり、創造の裏に破壊あり、破壊と創造は表裏一体であり、宇宙の法則であるという信念を持つ。非常に情に厚く、エドワード・エルリックとアルフォンス・エルリック兄弟にも親身になって接する。しかしその優しさ故に非情になることができず、イシュヴァール殲滅戦では軍人失格の烙印を押される。姉であるオリヴィエ・ミラ・アームストロング少将には頭が上がらないが、人造人間のスロウスと戦った際には姉弟で息の合った攻撃を見せた。

オリヴィエ・ミラ・アームストロング (おりゔぃえみらあーむすとろんぐ)

アメストリス軍に所属し、北の守りの要・ブリッグズ要塞の司令官を務める女性。階級は少将。アレックス・ルイ・アームストロング少佐の姉だが、情に流されやすい弟とは違って冷徹なため「氷の女王」という異名を持つ。だが実は信頼した部下とは強い絆で結ばれており、そのためブリッグズ要塞の兵士たちの結束は固いものとなっている。 エドワード・エルリックとアルフォンス・エルリック兄弟から人造人間についての情報を得ると、軍の上層部に潜り込むためにセントラルへと出向いた。

ゾルフ・J・キンブリー (ぞるふじぇいきんぶりー)

アメストリス軍に所属する男性。階級は中佐。「紅蓮の錬金術師」と呼ばれる国家錬金術師で、両掌に刻み込まれた錬成陣を合わせることで錬金術を発動させる。戦争で人を殺害することに独自の美意識を持っており、イシュヴァール殲滅戦では非常に活躍した。上司を殺害したことで投獄されていたが、人造人間たちに協力することで釈放され、国土錬成陣を作るために各地で行動することになる。

傷の男 (すかー)

褐色の肌に銀の髪、紅い眼を持ったイシュヴァール人の本名不明の男性。大柄な身体に似合わぬ軽いフットワークと常人離れした破壊力と錬金術とのコンビネーションで戦う。額に大きな傷がある。人間兵器として国家錬金術師が投入されたイシュヴァール殲滅戦で多くの友と兄を失い、国家錬金術師に復讐する事を誓い、多数の国家錬金術師を殺害する。鉄血の錬金術師グラン准将も殺害し、エルリック兄弟の命をも狙う。イシュヴァラ教の教えと過去のトラウマから錬金術を忌み嫌っており、もっぱら破壊に特化した錬成陣が描かれた右腕を用いて攻撃する。錬金術師とは元来あるべき姿の物を異形の物へと変成する者であり、万物の創造主たる神への冒涜をする者と考え、神の代行者として裁きを下下すという信念を持っている。登場時は復讐心に駆られるままであったが、人々との交流の中でその心に変化が生まれていった。

イズミ・カーティス (いずみかーてぃす)

黒髪を後ろに束ねた気っぷのいい女性。アメストリス国のダブリスに住んでいる。エドワード・エルリックとアルフォンス・エルリック兄弟に師匠と呼ばれており、幼い彼らに錬金術の基礎と体術、そして生きていく上で大切な考え方を教えた。過去に流産した子供を取り戻そうと人体錬成をした経験があり、内蔵を部分的に失っている。 そのためか度々吐血する。敵方に何者かと問われると「主婦だ!」と答えるのがモットーである。

リン・ヤオ (りんやお)

黒髪を後ろに細く束ねた細い目の男性でシン国の皇子である。シン国の皇帝となるため、賢者の石を求めて各地をさまよっていたところ、エドワード・エルリックとアルフォンス・エルリック兄弟と出会った。暗殺から身を守るために武術で鍛えており、生身の人間でありながら人造人間と渡り合うことができる。体内に賢者の石を入れられてグリードという人造人間になってからも、自我を保ち続けることが出来るほどの強い精神力の持ち主である。

ラスト

「色欲」の人造人間。妖艶な容姿をした女性で、自由自在に手の指を変形させることができ、鋭く尖った指を使って攻撃する。そのため「最強の矛」と呼ばれる。軍の動きを探ろうとする中でロイ・マスタング大佐と衝突し、マスタングに不老不死の限界を見抜かれ、死闘の末に敗れる。

グラトニー

「暴食」の人造人間。だるまのような大きな体格に、小さい丸い目をした男性で、一見すると愛らしい容姿だが、何でも噛み砕く恐ろしい口を持っている。暴走すると、摂食部が鋭利な牙と共に腹部まで広がり、射程範囲のものをすべて瞬時に飲み込んでしまうほどの威力を持つ。

エンヴィー

「嫉妬」の人造人間。普段は中性的な顔立ちをした華奢な容姿だが、姿かたちを自由に変えられるため、潜入や騙し討ちを得意とする。本来の姿は、いくつもの人が混ざり合ったような非常に巨大で醜悪なトカゲのような姿で、この姿になると戦闘力が増すが、当人はこれを好んでいない。

グリード

「強欲」の人造人間。ツリ目で短髪の男性で、身体を炭素で硬化して戦う。強欲という名に違わず、欲しいものはすべて手に入れるという考えの持ち主であるが、その分仲間を大事にしている。100年前に「お父様」の下を去ったが、キング・ブラッドレイに捕獲され、賢者の石として再びお父様に吸収される。口癖は「ありえないなんて事はありえない」。

スロウス

「怠惰」の人造人間。大型で筋肉質の男性。非常に皮膚が硬く、まともな攻撃では傷を付けることすらできない。普段は気怠げなセリフを吐きながら悠長な攻撃をするが、本気を出すと目にも見えない速さで突進してくる。100年もの間、地下で巨大なトンネルを掘り続けていた。

プライド

「傲慢」の人造人間。「お父様」が最初に生み出した人造人間で、影を自在に操ることで攻撃する。また、他人を補食しその捕食した人物の能力を手に入れることもできる。人造人間の中では最年長であり、滅多に表には出てこない。その正体は、キング・ブラッドレイの養子であるセリム・ブラッドレイ。

お父様 (おとうさま)

人造人間達が「父」と呼び慕う謎の男。土色の顎鬚を生やしたその姿は、エドワード・エルリックとアルフォンス・エルリック兄弟の父ヴァン・ホーエンハイムと非常によく似ているが、全くの別人であった。賢者の石を作り出すことができたり、一定範囲内で錬金術の使用を禁止したりするなど、非常に特異な能力を持つ、謎の多い人物である。

ショウ・タッカー (しょうたっかー)

アメストリス国のイーストシティに住む国家錬金術師。過去に初めて人語を話す合成獣を錬成させた功績により、国家錬金術師の資格を得た男。国家錬金術師は一年に一度研究の成果を報告し査定を受けなければならない。そこで良い評価を得られないと国家錬金術師の資格を取り上げられる。実は2年前にに錬成した合成獣は妻を実験台にしたもので、前年の査定で良い評価を得られていない彼は国家錬金術師の査定の期限に焦るあまり、娘のニーナと飼い犬のアレキサンダーを錬成して合成獣を生み出した。そのことが明るみになり資格?奪の上、中央で裁判にかけられる予定になっていたが、神の道に背き錬金術師として傷の男に合成獣共々殺害された。   

ティム・マルコー (てぃむまるこー)

元国家錬金術師の中年男性。アメストリス軍で賢者の石の研究に携わっていたが、その材料が生きた人間だったことへの良心の呵責から脱走した。脱走後はマウロと名乗って医師として田舎暮らしをしていたが、エドワード・エルリックの護衛で列車に乗っていたアレックス・ルイ・アームストロング少佐と偶然出会い、さらに人造人間のラストに見つかってしまう。 その後、人造人間たちの住処に監禁されるが、偶然出会った傷の男と行動を共にするようになる。

メイ・チャン (めいちゃん)

シン国の第十七皇女。見た目は可愛らしいお団子頭の女の子であるが、その小さい身体を駆使した俊敏で捉えがたい闘いを得意とする。「龍脈」という大地のエネルギーを利用した錬丹術の達人で、仲間の傷を癒すことができる。風の噂でエドワード・エルリックの評判を聞きつけ、密かに恋心を抱いていたが、その身長の低さに幻滅し、以後はアルフォンス・エルリックにその眼差しを向けることになる。

集団・組織

イシュヴァール

アメストリス国の東方に住む、褐色の肌に紅い目を持つ人々。イシュヴァール人とも。イシュヴァラ教という独自の宗教を信仰している。アメストリス軍のイシュヴァール殲滅戦において、彼らが住むほぼすべての街が焦土と化し、現在は閉鎖状態にある。生き残りはほんのわずかしかおらず、その生き残りも各地に散り散りの状態である。

場所

アメストリス

『鋼の錬金術師』に登場する国で、本作の主な舞台である。人口は約5千万人。アメストリス国軍を有する軍事独裁国家で、中央と東西南北の計5つの地方からなる円形の国である。国家錬金術師という国家資格を定めており、優秀な錬金術師には、多大な支援をする代わりに、「軍の狗(いぬ)」となるよう義務を課している。時には錬金術師を人間兵器として用いることもある。

セントラル

アメストリス国の中央にある大都市。アメストリス軍の中枢であり、大総統であるキング・ブラッドレイもここに居を構えている。錬金術の研究を行う研究所や図書館など、数多くの施設も存在している。「お父様」と人造人間たちも、ここの地下を住処としている。

リゼンブール

アメストリス国にある小さな村。エドワード・エルリックとアルフォンス・エルリック兄弟の生まれ故郷。近所にはピナコ・ロックベルとウィンリィ・ロックベルの住む家もある。エルリック兄弟の生家は、エドが国家錬金術師の資格を取った際に焼き払ったため、なくなってしまっている。

イーストシティ

アメストリス国にある比較的大きな町。ロイ・マスタング大佐はこの町にいたが、後にリザ・ホークアイら部下と共にセントラルに異動となっている。合成獣を錬成したことで国家錬金術師となった、ショウ・タッカーもこの町に住んでいる。

ラッシュバレー

アメストリス国にある町。機械鎧技師も多く住んでおり、また機械鎧を装着している者も多く住んでいる。頑固一徹の職人もたくさんいるため、「機械鎧の聖地」とも呼ばれている。機械鎧技師であるウィンリィ・ロックベルは、エドワード・エルリックとアルフォンス・エルリック兄弟と共にこの地を訪れ、修業も兼ねて働いた。

ダブリス

アメストリス国にある町。エドワード・エルリックとアルフォンス・エルリック兄弟の錬金術の師匠である、イズミ・カーティスが住んでいる。イズミの夫のシグ・カーティスは町で「カーティス精肉店」を営んでおり、そこでメイスンという青年が働いている。修業時代、エルリック兄弟はこの町で暮らしており、錬金術と格闘術を叩き込まれた。

ブリッグズ

アメストリス国の北方にある極寒の地。ここには軍の要塞があり、オリヴィエ・ミラ・アームストロング少将が司令官を務めている。非常に寒冷で、通常の金属製の機械鎧では接合部分が凍傷を起こしてしまうため、寒冷地用のカーボン製の機械鎧が用いられている。この地より北にあるドラクマ国との国境でもあるため、兵同士の固い結束をもって要塞が守られている。

シン

中国をモチーフにした東洋系の国家で、アメストリス国の東側に隣接している。多くの民族を抱えた統治国家で、非常に広大な土地とたくさんの人口を擁する。「龍脈」という大地のエネルギーの流れを利用した、錬丹術という医療方面に特化した錬金術が発展し、アメトリス人にはできない遠隔錬成を行うことが出来る。また、武術に秀でたものは「気」を読むことができ、たとえ暗闇で目が見えない状況であっても、相手の気を感じながら、戦闘を行うことが可能である。

イベント・出来事

イシュヴァール殲滅戦 (いしゅゔぁーるせんめつせん)

アメストリスの兵士がイシュヴァール人の子どもを撃ち殺したことによって起きた内乱に端を発した戦い。国家錬金術師が大量に投入され、錬金術を兵器として使用したため、多くの血が流れた。最終的にはキング・ブラッドレイ大総統が、イシュヴァール人を虐殺する命令を下したため、イシュヴァール人の生き残りはわずかしかいない。 この戦いで兄を殺されたことで、「傷の男」という復讐者が生まれた。

その他キーワード

錬金術 (れんきんじゅつ)

史実における錬金術とは異なり、本作においては、分子レベルでモノの材質、形、運動エネルギーを自由に変化させることができる、魔法に近い術である。習得するには類稀なる才能と並外れた努力が必要とされる非常に高度な学問。錬金術には「等価交換の原則」というものがあり、「何かを得るためには何かを失わなければならない」とされている。

錬丹術 (れんたんじゅつ)

シン国に伝わる錬金術で、主に治癒を目的として使われる。アメストリス国の錬金術とは異なり、地中を流れる「龍脈」の力を源としている。そのため、シンの人間は「気」を感じ取ることができる。大地のエネルギーを利用するので、「お父様」が錬金術を封じた際にも錬成することが可能だった。メイ・チャンは錬丹術を自由に扱えるため、錬金術師が術を発動できないときに強力なサポートができた。

錬金術師 (れんきんじゅつし)

錬金術の理を知り、それを扱う者。その中でも国家資格を得た国家錬金術師は「軍の狗(いぬ)」と呼ばれ、潤沢な研究費や資料閲覧許可のサポートを受けることができる代わりに、軍が課すさまざまな義務に応えなければならず、時として人間兵器のように扱われることもある。

錬成陣 (れんせいじん)

媒介となる物や場所に円形の文様を描き、特定の動作を行うことで錬金術を発動することができる。しかし、人体錬成を通じて真理に触れた者は、身体そのものが構築式を内包しているため、錬成陣を介さずとも手を合わせるだけで錬金術を発動させることが可能となる。

機械鎧 (おーとめいる)

機械鎧と身体は神経で繋がっており、使用者の思うがままに動かすことができる。金属製のため重量感はあるが、非常に丈夫で戦闘に用いても壊れることは稀である。手足としての機能だけではなく、刃物や銃などの武器としての役割も担っている。

賢者の石 (けんじゃのいし)

形状は個体、液体等さまざまだが、すべて宝石のような紅い輝きを放っている。その正体は、人の命を高密度に圧縮した高エネルギー体であり、材料は大量の人間の魂である。賢者の石を使用すると、錬金術師は媒体を必要とせずに望んだ物質を錬成することができる。

人体錬成 (じんたいれんせい)

本作において人体錬成は禁忌中の禁忌とされており、これを行った国家錬金術師は資格を剥奪される。また、成功した例は1度もないうえ、これを行った錬金術師は体の一部、あるいはすべてを、「真理の扉」を通った通行料として支払わなければならない。

合成獣 (きめら)

別の種類の生き物を錬金術で融合させ、1つの生き物として再構成したもの。人間と動物の合成獣も存在し、成功した場合、人間の思考力と動物の身体能力を併せ持った強力な生き物ができるが、失敗した場合は人語をしゃべることも歩くことも出来ない醜い生き物となってしまう。作中では、道徳的観点から人と動物の合成獣の作成は禁止されているはずだが、実際には何体もの合成獣が登場する。

真理の扉 (しんりのとびら)

1人1人の錬金術師の精神世界に存在する。『旧約聖書』の「生命の樹」をモチーフにした絵が描かれており、この扉の中では無数の手と目が蠢いている。真理の扉を通った者は、錬金術の真理の一部を知ることができ、錬成陣を介さずに錬成を行えるようになるが、通行料として身体の一部、またはすべてを失うことになる。なお「真理」を理解しても、その内容は筆舌に尽くし難いため、人に伝えることはできない。

人造人間 (ほむんくるす)

人間の「七つの大罪」に因んだ名前を与えられており、人間の域を超越した特殊能力を有する存在。戦闘能力が高いのみならず、死んでも生き返ることができるので、並大抵の錬金術師では太刀打ちできない。ヴァン・ホーエンハイムによく似た謎の男を「お父様」と呼び、その命令に従って動いている。 賢者の石を核としてできているので、賢者の石が破壊されない限りは肉体を再生することができる。ただし、再生回数には限度があり、賢者の石のエネルギーが尽きると再生できなくなるため、幾度も殺され続けると死を迎える。

アニメ

鋼の錬金術師

舞台は、錬金術が科学として発達した世界にある軍事国家アメストリス。エドワード・エルリックと弟のアルフォンス・エルリックは、亡くなった母を想うあまり、死者を蘇らせるという錬金術の最大の禁忌「人体錬成」を... 関連ページ:鋼の錬金術師

書誌情報

鋼の錬金術師 27巻 スクウェア・エニックス〈ガンガンコミックス〉

第1巻

(2002-01-22発行、 978-4757506206)

第2巻

(2002-05-22発行、 978-4757506992)

第3巻

(2002-09-21発行、 978-4757507913)

第4巻

(2003-01-22発行、 978-4757508552)

第5巻

(2003-06-21発行、 978-4757509665)

第6巻

(2003-10-22発行、 978-4757510470)

第7巻

(2004-03-22発行、 978-4757511651)

第8巻

(2004-07-22発行、 978-4757512306)

第9巻

(2004-11-22発行、 978-4757513181)

第10巻

(2005-03-11発行、 978-4757513860)

第11巻

(2005-07-22発行、 978-4757514966)

第12巻

(2005-11-21発行、 978-4757515734)

第13巻

(2006-03-22発行、 978-4757516380)

第14巻

(2006-07-22発行、 978-4757517196)

第15巻

(2006-11-22発行、 978-4757518124)

第16巻

(2007-03-22発行、 978-4757519657)

第17巻

(2007-08-11発行、 978-4757520646)

第18巻

(2007-12-22発行、 978-4757521759)

第19巻

(2008-03-22発行、 978-4757522374)

第20巻

(2008-08-22発行、 978-4757523531)

第21巻

(2008-12-22発行、 978-4757524392)

第22巻

(2009-04-11発行、 978-4757525382)

第23巻

(2009-08-12発行、 978-4757526020)

第24巻

(2009-12-22発行、 978-4757527423)

第25巻

(2010-04-22発行、 978-4757528406)

第26巻

(2010-08-12発行、 978-4757529298)

第27巻

(2010-11-22発行、 978-4757530546)

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