賭博堕天録カイジ 和也編

賭博堕天録カイジ 和也編

漫画『賭博堕天録カイジ』の続編で『カイジシリーズ』4作目。主人公の伊藤開司が、宿敵である帝愛グループ総帥の兵藤和尊の息子、兵藤和也にゲームを提案され、互いの信念を賭けて勝負に挑む様子を描いたギャンブル漫画。講談社「ヤングマガジン」2009年第27号より連載。

正式名称
賭博堕天録カイジ 和也編
ふりがな
とばくだてんろくかいじ かずやへん
作者
ジャンル
ギャンブル・賭博
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概要・あらすじ

前作『賭博堕天録カイジ』で村岡隆との死闘、変則麻雀17歩を終えた主人公の伊藤開司。その様子を観戦していた兵藤和也、彼は宿敵である帝愛グループ総帥の兵藤和尊の息子で、次なるギャンブルを提案され、伊藤開司はこれを受ける。兵藤和也はギャンブル勝負の前に自身の人間に対する考え方を語り、著書である『愛よりも剣』を見せるが、伊藤開司はその思想に真っ向から反論。

対立した兵藤和也に実験と称した友情確認ゲーム救出を提案され、どちらの言葉が真実か、お互いの信念を賭けた勝負が始まる。

登場人物・キャラクター

伊藤 開司 (いとう かいじ)

身長178cm。『賭博黙示録カイジ』で多額の借金を背負い、借金返済の為に裏社会のギャンブルに染まっていった青年。性格は怠惰で自堕落な駄目人間だが、命を賭けたギャンブルにおいては天才的発想による博才を発揮する。かなりのお人好しでもあり、他人を信頼し共に危機へ立ち向かうも、毎回手酷く裏切られている。 だが、それでも他人を疑う事が出来ない甘い面を持ち、どんな状況でも信念を貫く人間が居る事を信じている。今作では宿敵である帝愛グループ総帥の兵藤和尊の息子、兵藤和也と、自身の信念を賭けて友情確認ゲーム救出での勝負に挑む。

兵藤 和也 (ひょうどう かずや)

裏社会を牛耳る帝愛グループの総帥、兵藤和尊の息子。茶髪でサングラスを掛け、ストライプのスーツとマフラーを着用している。酒や煙草を嗜むが、伊藤開司の見立てでは年齢は10代。性格は冷酷なサディストで、周囲の人間が兵藤和尊のご機嫌とりばかりする環境で育った為、人間の良心など虚構だと信じてやまない。 一方で、不利を被ろうと約束は守る、妙に義理堅い面も持つ。また、父親の威光ではなく、小説家として自身の才能を示し尊敬される為に活動をしており、その一環で『愛よりも剣』という小説を出版している。今作では伊藤開司に自身の信念を否定され、友情確認ゲーム救出での実験を提案する。

組長 (くみちょう)

兵藤和也が書いた小説『愛よりも剣』に登場する人物。暴力団の組長。醜い風体をしており、自身もその事を認めている。通い詰めているクラブの女、亜理沙に、5000万円を渡し囲おうとするが、その金を渡した亜理沙とその彼氏である達也に逃げられてしまう。その行動に激怒した結果、捕らえた2人に対し、逃亡する程の愛がどれくらいのものか確かめる危険なゲーム、愛よりも剣を強いる。 『愛よりも剣』のキャラクターでは唯一架空の人物だが、その所業は著者である兵藤和也をモデルにしている。

亜理沙 (ありさ)

兵藤和也が書いた小説『愛よりも剣』に登場する人物。クラブで働いている。組長が彼女を囲う為に渡した5000万円を持ち、彼氏である達也と共に逃亡するが、あえなく捕まる。その後、組長に逃亡する程の愛がどれくらいのものか確かめる危険なゲーム、愛よりも剣を強いられる。 ゲーム序盤は達也に自身を守るよう懇願し、その通りに事は進行していくが、自身を無傷で生き残らせて欲しいと要求した事がきっかけで、完全に愛を失う。

達也 (たつや)

兵藤和也が書いた小説『愛よりも剣』に登場する人物。クラブで働くイケメンのボーイ。組長が亜理沙を囲う為に渡した5000万円を持ち、亜理沙と共に逃亡するが、あえなく捕まる。その後、組長に逃亡する程の愛がどれくらいのものか確かめる危険なゲーム、愛よりも剣を強いられる。 ゲーム序盤は亜理沙を守り抜こうと奮起するも、自身を無傷で生き残らせて欲しいと要求する亜理沙を見て、愛を捨て保身に走るようになる。

高利貸の社長 (こうりがしのしゃちょう)

裏社会を牛耳る帝愛グループの末端である金融会社の社長。本名は不明。光山に、腎臓を売り飛ばしての借金1000万円返済を強いる。しかし、B型肝炎を患っていた事を知らずに金を貸していたせいで債権回収が出来ず、取り立てに失敗した人間の末路、帝愛グループの地下強制労働を控え虚ろな顔をしていた。 その後、突如乱入したチャンとマリオが代わりに借金を背負うと言い出し、喜々として受け入れようとするも、その様子を見ていた兵藤和也が、光山、チャン、マリオの身柄を買い取ると申し出て、間接的に助かる形を迎える。

光山 (みつやま)

自転車操業の会社の元経営者。年齢は40歳過ぎの冴えない中年男性。高利貸の社長に、腎臓を売り飛ばしての借金1000万円返済を強いられる。しかし、B型肝炎を患っていた為に腎臓の価値は無いに等しく、借金返済が出来ない人間の辿る末路、帝愛グループの地下強制労働を控え困り果てていた。 その後、突如乱入した職場の同僚であるチャンとマリオが身を呈して返済の手助けをすると言い出したが、兵藤和也にチャン、マリオ共々身柄を買い取られ、友情確認ゲーム救出に挑まされる。ゲームでは、経験豊富な大人の対応で窮地を乗り切る。

チャン

顎髭を生やした、面長で長身の青年。中国の貧しい家の次男として生まれたが、一人っ子政策の影響で戸籍を得られず、10歳で親元を離れ過酷な労働環境に身を置く。次第に、戸籍を買って普通の生活を送るという夢を持つ様になり、夢を叶えるべく必死で日本語を勉強。裏社会の力を借り、出稼ぎの為に日本へやってきた。 その後、職場の同僚である光山の借金返済問題を知り、マリオと共に身を呈して返済の手助けをしようとしたが、兵藤和也に光山、マリオ共々身柄を買い取られ、友情確認ゲーム救出に挑まされる。ゲームでは、冷静沈着な判断、優れた洞察力を発揮して窮地を乗り切る。

マリオ

まだ年若い、頼りなさげな青年。フィリピンの貧民層で生まれ、スカベンジャーを生業としていた。兄のアントニオに連れられ、いつか出稼ぎに行く時の為、ホセじいさんの世話をして日本語を教えてもらっていた。だがその事を無駄に感じており、正しい人間は報われるとアントニオに語りかけられては、心の中で煙たがっていた。 ある日、アントニオ、ペドロと共に、ホセじいさんが大金を持っている現場を見てしまい、結果的にアントニオ、マリオの母、ホセじいさんの手助けを受け、出稼ぎの為に日本へやってきた。その後、職場の同僚である光山の借金返済問題を知り、チャンと共に身を呈して返済の手助けをしようとしたが、兵藤和也に光山、チャン共々身柄を買い取られ、友情確認ゲーム救出に挑まされる。 ゲームでは、他人の足を引っ張る面もあったが、必死の覚悟で窮地を乗り切る。

アントニオ

フィリピンの貧民層で生まれ、スカベンジャーを生業としていた青年。マリオの兄。正しい人間は報われるとマリオに語っては、心の中で煙たがられていた。いつか出稼ぎに行く時の為、ホセじいさんの世話をして日本語を教えてもらっていた。ある日、マリオ、ペドロと共に、ホセじいさんが大金を持っている現場を見てしまい、日本へ出稼ぎに行きたいと懇願する。 その後は、ホセじいさんが金を託してくれるようになるまで、辛抱強く待つ様になる。

ペドロ

フィリピンの貧民層で生まれ、スカベンジャーを生業としていた青年。明るく快活な性格だったが、過酷な生活に押し潰され生きる気力を失っていた。ある日、マリオ、アントニオと共に、ホセじいさんが大金を持っている現場を見てしまい、日本へ出稼ぎに行きたいと懇願する。その後は、ホセじいさんに気にいられるべく世話などを行い、積極的に点数稼ぎを行う様になる。

ホセじいさん

フィリピンの貧民層で暮らす、バーコード頭で眼鏡を掛けた老人。足を痛めており、スカベンジャーの生活は出来ないものの、アントニオの世話のお陰で平穏な日常を過ごしていた。バブル期の日本へ出稼ぎに行き大金を稼いだという経歴を持ち、大金を持っている現場をマリオ、アントニオ、ペドロに見られてしまった事で、日本へ出稼ぎに行く手助けをしてほしいと懇願されてしまう。 最初のうちこそ渋ってはいるが、徐々に信頼のおける若者に金を託すのも悪くないと考え、アントニオとペドロ、どちらに託すかで揺れる様になる。

マリオの母 (まりおのはは)

フィリピンの貧民層で暮らす、スカベンジャーを生業としている女性。マリオとアントニオの母親。いかなる時も我が子の事を想っており、マリオとアントニオを守る事に尽力している。

兵藤和也の同級生 (ひょうどうかずやのどうきゅうせい)

兵藤和也を取り巻いていた中学生時代の友人達。金に飽かして豪遊する兵藤和也に便乗して散々遊んでおり、兵藤和也も彼らに友情を感じていた。しかし、高級クラブで遊んでいた際、兵藤和也を拉致する目的で乱入してきた不良連合J・F・Kにあっさりと身柄を売り渡し、兵藤和也に人間に対する癒えない不信感を植え付けた。

兵藤 和尊 (ひょうどうかずたか)

伊藤開司が最も忌み嫌う相手。日本最大の資産家にして、帝愛グループの総帥。兵藤和也の父親でもある。賭博に負けた者や失敗した部下に器官破壊、指切断、焼き土下座、地下強制労働などの懲罰を強制的に与える。今作では、兵藤和也が見せる冷酷なサディストの一面に、伊藤開司はその幻影を見る事になる。

坂崎 孝太郎 (さかざき こうたろう)

『賭博破戒録カイジ』で伊藤開司と共に、一玉4000円の台であるパチンコ沼に立ち向かった52歳の中年男性。前作『賭博堕天録カイジ』では、離婚していた妻とヨリを戻し、愛する娘、坂崎美心とも再会する事が出来た。沼に立ち向かった後、何もせずに自身の家に居候を続ける伊藤開司を煙たがり、300万円の手切れ金を渡し縁を切った。 今作ではギャンブルから足を洗い平穏な日常を過ごしている様子と、伊藤開司がギャンブルから抜け出せない様が対比され、後者を哀れんだかたちで描かれている。

坂崎 美心 (さかざき みここ)

伊藤開司に惚れていて、膝枕をねだったり腕に抱きついたりとベタベタ接している。20歳という花盛りな年頃だが、父親である坂崎孝太郎と瓜二つの見た目をしており、お世辞にも美人とは言い難い。自身と伊藤開司をモデルにしたイカジくんという漫画を描いている。

村岡 隆 (むらおかたかし)

裏カジノの社長。前作『賭博堕天録カイジ』で、伊藤開司と変則麻雀17歩というギャンブルで死闘を繰り広げた。かつて伊藤開司と共に艱難辛苦を乗り越えた盟友、三好と前田を従えている。性格は強欲かつ悪辣で、細かい所にいちいちセコイ。今作では三好と前田に対して当たり散らしている様子が描かれている。

三好 (みよし)

『賭博破戒録カイジ』で、伊藤開司と共に帝愛グループの地下強制労働という艱難辛苦を乗り越えた盟友。前作『賭博堕天録カイジ』では、前田と共に村岡隆が社長を務める裏カジノで働いており、伊藤開司を再びギャンブルの世界へと誘った。盆暗な性格で、村岡隆の悪辣な人間性を見抜く事が出来ずに利用されている。 今作では村岡隆に当たり散らされている様子が描かれている。

前田 (まえだ)

『賭博破戒録カイジ』で、伊藤開司と共に帝愛グループの地下強制労働という艱難辛苦を乗り越えた盟友。前作『賭博堕天録カイジ』では、三好と共に村岡隆が社長を務める裏カジノで働いており、伊藤開司を再びギャンブルの世界へと誘った。強気な性格をしているが、村岡隆の様に立場が上の人間には弱い。 今作では村岡隆に当たり散らされている様子が描かれている。

集団・組織

不良連合J・F・K (ふりょうれんごうじぇい・えふ・けい)

『賭博堕天録カイジ 和也編』に登場する集団。中学生時代の兵藤和也が、高級クラブで兵藤和也の同級生達と豪遊していたところへ乱入してきた愚連隊。暴力団も一目置く程の危険な集団で、帝愛グループの威光も通用しない、底無しの無鉄砲達でもある。兵藤和也を拉致して金をせしめ、高飛びしようと計画していた。 「J・F・K」とは、「ジャパン・不良・ケンカ同盟」の略である。

その他キーワード

イカジくん

『賭博堕天録カイジ 和也編』に登場する漫画。坂崎美心が伊藤開司を恋い慕い、その想いを描いた漫画に登場するキャラクター。モデルはもちろん伊藤開司である。ストーリーはイカジくんがギャンブルから足を洗って真人間になり、坂崎美心と暮らす事を決心する様子から始まる。だが、最後に1度だけと言い、坂崎美心から1万円を借りてパチンコをしてボロ負けし、結局ループしてしまうという内容になっている。

愛よりも剣 (あいよりもけん)

『賭博堕天録カイジ 和也編』に登場する小説。小説内に登場するゲームも同名である。兵藤和也が書いた小説で、内容はほぼノンフィクション。主な登場人物は組長、亜理沙、達也の3人。組長が通い詰めているクラブの女、亜理沙に5000万円を渡し囲おうとするが、その金を持った亜理沙は彼氏である達也と逃亡する。 だがあえなく捕まり、激怒した組長は逃亡する程の愛がどれくらいのものか確かめるため、危険なゲームを2人に強いる。ゲームのルールは、7つの穴がある箱に閉じ込められた2人が、計14個ある穴を1つずつ指定し、9本の剣を穴に刺していくという物。穴の位置は胴体に5個と足に2個。14個の穴の内、9個には鉄板が仕込んであり、そこを選べば無傷という仕様になっている。 指定する穴は自身の物で無くとも良いというのが肝で、他人を救うか、自身を救うか、窮地においての人間性が現れるゲームである。

救出 (きゅうしゅつ)

『賭博堕天録カイジ 和也編』に登場するゲーム。兵藤和也が実験と称して行う友情確認ゲーム。3つの席がある階段で、光山、チャン、マリオの3人がクジを引き、それぞれ席に拘束される。その後ルーレットにより3人が被ったメットの頭頂部ランプが点灯した者を救出者、していない者を人質とし、ゲーム開始。メットは音を遮断するので、頼りは視覚のみ。 その都合上、席が下の者ほど情報は少ない。ゲーム開始後、救出者は30秒過ぎたと感じたら席のスイッチで拘束解除、正面の台にあるスイッチを60秒以内に押せばゲームクリア。クリア毎に賭け金2150円は倍々に増加していき、16回クリアで上限1億円が得られる。だが、人質がスイッチを押した場合、人質のメットは圧縮され死亡。 救出者のみ生き残り、金は没収となる。また、救出者がスイッチを押しても30秒より前であれば、3人の命は助かるが、金は没収される。だが、誰もスイッチを押さず60秒が過ぎた場合、人質は死ぬが、救出者は生き残り、そのゲームまでの金を総取り出来るというルールも存在する。

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