鬼斬り十蔵

鬼斬り十蔵

体内に狗神を宿した凄腕剣士・腕十蔵の活躍を描いた時代活劇。せがわまさきの初長期連載作。グラフィックデザイナーとしての技量を生かし、背景や効果処理にCGを多用。骨太な男性キャラクターと妖艶な女性キャラクターを使って描く剣豪・妖術アクション作家として注目を集める。この後、作品イメージに共通項が多い山田風太郎作品のコミカライズを手掛けるようになり、一躍人気作家となっている。

正式名称
鬼斬り十蔵
ふりがな
おにきりじゅうぞう
作者
ジャンル
バトル
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概要・あらすじ

平安の世、安倍晴明に敗れた蘆屋道満は、晴明に対する呪いの言葉を吐きながら「鬼込の太刀」に封印された。それから800年後の江戸時代。封印されていた道満が腕源蔵の体を乗っ取って復活してしまう。腕十蔵は、許嫁・香奈瑚の体に入ってしまった兄・源蔵、妖狐・尾咲と共に、道満を追って妖怪退治の旅に出る。

だが、その旅路の先には、800年以上も前に仕掛けられた晴明の罠が待ち受けていた。

登場人物・キャラクター

腕 十蔵 (かいな じゅうぞう)

腕家の正妻の子で、腕源蔵の腹違いの弟。狗神のゴウザをその身に宿し、人間離れした体術と闇魔流剣術で妖怪を叩き斬る、凄腕の剣士。粗野で無骨だが、性格は優しく物静か。しかし、敵と見なせば即斬り捨てる。ゴウザの影響で右目が異形となっており、通常は右目をつぶっている。

腕 源蔵 (かいな げんぞう)

腕家でお手付きになった九曜葛葉が産んだ長男。遊興的で軽薄、借金のために勘当されている。騒動を引き寄せるトラブルメーカー気質だが、天性の明るさと包容力で人を惹きつける魅力がある。鬼込の太刀を質入れしようとして蘆屋道満を解き放ってしまい、身体を奪われ、精神は妹の香奈瑚に移されてしまった。

九曜 香奈瑚 (くよう かなこ)

九曜葛葉が腕源蔵を産んだのちに、腕家の下男・修次郎との間に身ごもった異父妹。腕十蔵とは血の繋がりは無く、十蔵の許婚になった。おっとりとして明るく、多少のことには動揺しない性格をしている。蘆屋道満によって兄・源蔵の意識を体に宿す羽目になり、源蔵が眠るまでは意識が表に出てこれなくなった。

尾咲 (おさき)

狐の耳と尻尾を持つ、半人半妖の妖狐。かつて蘆屋道満を愛し子を宿したこともあるが、後に憎むようになり、800年もの間、鬼込の太刀に己と共に道満を封じ続けていた。道満と共に封印から解かれ、逃げた道満を追う十蔵たちの旅に同道することになる。狐火や変化の術などを使い、十蔵たちの旅をサポートする。

蘆屋 道満 (あしや どうまん)

平安時代の人間で、鬼込の太刀に封印されていた平安時代の陰陽師。腕源蔵によって自由を取り戻した後、九曜家に伝わる秘伝書・金烏玉兎集裏三巻を手に入れるために暗躍する。執念深い復讐鬼で、野望の達成のためなら関係のない人間を巻き込むことも躊躇しない。実在したとされる蘆屋道満がモデル。

安倍 晴明 (あべの せいめい)

平安時代にその名を轟かせた陰陽師。才知に長け、傲岸な性格をした人物で、すべての現況を作った人物。その正体は、始皇帝の命令で不老不死の法を探た道士・徐福だった。800年後の江戸時代に再び転生するべく、蘆屋道満を狂わせ、九曜家の血筋を作り出した。

九曜 葛葉 (くよう くずは)

源蔵と香奈瑚の母。重い病に罹ったため失明したが、その代わりに夢使いの能力を得た。安倍晴明のお告げにより娘の香奈瑚に災いが降りかかることを知り、十蔵の夢に出て香奈瑚を守るように刷り込んだ。その後、病死したと偽り小縷羽とともに姿を消している。

九曜 小鳥 (くよう ことり)

『鬼斬り十蔵』に登場する平安期の人物。安倍晴明によって育てられた秦家に連なる女性で、蘆屋道満に誘拐され、子を孕んでしまう。産後の肥立ちが悪く死去するが、残された子供は九曜小鳥の名を継ぎ、安倍晴明との間に子を成し九曜家の始祖となった。

ゴウザ

『鬼斬り十蔵』に登場する、腕十蔵に宿っている狗神。十蔵が呼びかけたり、ゴウザの感情が昂ぶると表に現われ、剛力と俊敏な動きを発揮する。またゴウザ自身が表に出てしゃべるときはどもった喋り方になる。かつては武蔵坊弁慶や柳生十兵衛に取り憑き力を貸したこともある。犬としての特性を持つが故に、情に厚く忠義深い。

多々朗太 (たたろうた)

『鬼斬り十蔵』に登場する、腕十蔵の剣の師匠となった烏天狗。全身真っ黒で翼がある小兵の童だが、闇魔流剣術を極めた剣士にして退魔師である。陰陽師の登場により退魔師の仕事を奪われ、人間嫌いとなってしまった。

小縷羽 (おるう)

『鬼斬り十蔵』に登場する妖魔。烏天狗の多々朗太の姉で、長き世に渡って生きてきた妖魔だが見た目は童女でしかない。闇魔流剣術の達人であり、眠ったままでも敵の接近を察知し、木の枝で撃退するという神業を見せる。狸庵からの依頼により、目の見えない九曜葛葉の護衛をしつつ、温泉巡りの旅をしている。

黒狗のザムザ (くろいぬのざむざ)

各地を放浪し、人に憑りついては悪さをして回っていた狗神。人間の体に犬の顔を持った黒い妖怪で、性格は享楽的にして悪事を行うことに何の痛痒も感じない。宿主の坊主を腕十蔵に斬られ、その後に蘆屋道満に拾われてこき使われるハメになる。元々は人首丸を守護するために作られた存在だった。

その他キーワード

人首丸 (ひとかべまる)

『鬼斬り十蔵』の登場する、安倍晴明が作った鬼の人形。「自分の名前を呼んだ者に付き従う」という命令を受けており、謎解きをして人首丸の名前を呼んだ道満の従者となる。人形故に、気を読まれること無く、人離れした動きで小縷羽や腕十蔵を苦戦させた。

金烏玉兎集 (きんうぎょくとしゅう)

『鬼斬り十蔵』の登場する安倍晴明の秘術を記したという秘伝の巻物。表五巻と裏三巻がある。裏三巻の巻物には、生活続命法の仕上げの法が書かれており、九曜小鳥に連なる九曜家の女性が代々受け継いだ。しかしこれは蘆屋道満をひっかける罠で、実際の裏三巻は、九曜家の女性の体内に封印された安倍晴明の言霊だった。

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