魔法使いの娘

魔法使いの娘

女子高生・鈴の木初音の養父・鈴の木無山は、見た目はぼんやりしてズボラなお父さんだが、実は日本一の能力を持つ陰陽師である。無山は初音に跡を継がせようと考えているが、初音にその気は全くない様子。そんな初音の成長と自立を描く物語。基本的に1話完結形式で、霊や妖怪にまつわる事件を解決しながら、初音自身の出生の秘密がじょじょに明らかになってゆく構成。続編に『魔法使いの娘ニ非ズ』がある。

正式名称
魔法使いの娘
ふりがな
まほうつかいのむすめ
作者
ジャンル
オカルト
 
推理・ミステリー
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概要・あらすじ

鈴の木初音は、ごく普通の女子高生だが、特別な点がひとつある。養父の鈴の木無山は国家的有力者に珍重される程に能力の高い陰陽師なのだ。無山は初音に跡を継がせようと考えているが、初音にその気は全くない。 しかし霊感の強い彼女が引き起こす出来事や、無山を恨む者の手による様々な事件によって、初音は陰陽師の世界に関わらざるを得なくなってゆく。

幼いころに死別した両親と無山の間にも特別な事情があるようだと気づいた初音は、真相を探ろうとする。

登場人物・キャラクター

鈴の木 初音 (すずのき はつね)

16歳の女子高生。幼いころに両親を亡くし、陰陽師の鈴の木無山に育てられた。無山は陰陽師としての能力は高いが生活能力はゼロなので、初音が小さいころから家事全般をこなして無山の面倒をみてきた。そのため女子高生なのに所帯臭いと言われがちな人格に育ってしまった。霊や妖怪と身近な環境で育ったので対処法にも慣れていて、弱めの怪異ならば自力で追い払うことができる。 護身のために霊を祓う守り刀を持ち、くだ狐のテンテンを飼っている。しかし陰陽師の仕事に興味はなく、無山から後継者にされそうだが、まっぴら御免だと思っている。物語が進行する中で高校を卒業し、無山の世話をする専業主婦状態の身となる。

鈴の木 無山 (すずのき むざん)

37歳の男性。鈴の木初音の育ての親。丸メガネをかけ柔和な顔つきで細身の男性だが、国家に珍重される程の能力を持つ日本一の陰陽師である。家ではジャージ姿のこともあるが、和服や作務衣を着ていることが多い。初音にとっては生活能力のないぐうたら親父。弟子にとっては人使いの荒いサディスト。 陰陽師としての実力は計り知れないが、他人の細かい心の動きには無頓着で、にぶい。それ故デリカシーのない発言や行動が多く、日常的に初音を怒らせてしまう。能力が高いと見込んだ初音を自分の後継者にしたいと考えている。

篠崎 兵吾 (しのざき ひょうご)

陰陽師・鈴の木無山の一番弟子。長髪を後ろで結んでいる。整った顔立ちで高身長だが軽薄そうな雰囲気の青年。高級マンションに一人暮らし。陰陽師は秘密が多い仕事なので友達は少なく、一期一会の出会いを大切にしている(つまりナンパが趣味)。師匠・無山の跡継ぎの座を狙い、娘である初音を亡き者にしようとしたが失敗し、無山によって首筋に呪文を刻印され、絶対服従となった。 初音にも逆らえず、車の運転などを担当し下働きを続ける毎日。

小八汰 (こやた)

見た目は黒髪で小柄な高校生ぐらいの少年だが、大人びた横柄な口をきく。その正体は人間ではなく「鬼」であり、陰陽師・鈴の木無山の「式神」である。式神とは術者の命令に従う存在のことで、小八汰は無山には絶対服従であり、勝手に動くことはできない。真の姿は恐ろしい巨体で、強大な力を持つ。 幽霊や妖怪を食らうことを好む。

茅野 月子 (かやの つきこ)

鈴の木初音の義母。つまり陰陽師・鈴の木無山の元妻。非常に霊感が強く、あらゆる霊や妖怪が見えてしまう。極度の怖がり屋で、怪異を退治してくれる無山と結婚した。しかし常に周囲に怪異がつきまとう無山との生活に耐えきれなくなり、10年前に鈴の木家を出て行った。初音とは連絡を取り合っていて、怪異に動じない初音のことを頼りにしている。

青石 朋絵 (あおいし ともえ)

鈴の木初音と同じ高校に通う女子高生。若干の霊感を持つ。「占い師の娘」と評判の立っていた初音に、謎の怪異にストーカーされているとの相談をした。その後、自分を追うストーカー霊は陰陽師・篠崎兵吾に退治してもらった。助けてもらった兵吾に好意を持っている。自分は無個性で目立たない人間だと思っていたが、事件をきっかけに親しくなった初音とは本音をぶつけ合える仲となった。 ただし、初音と兵吾が親密な関係だと誤解している。高校卒業後は大学に進学。酒には強いらしい。

無畏 (むい)

陰陽師の男性。黒髪の長髪に黒い帽子、黒いコートと全身黒ずくめ。紫外線アレルギーのためこのような格好をしている。色白で無表情。陰陽師見習いの少女・繰名の親代わりとして、共に生活している。陰陽師・鈴の木無山とは同じ流派に属し、彼の弟弟子にあたる。無山とは、初音の知らない過去に因縁がある様子。

繰名 (あやな)

ゴスロリファッションに身を包んだ小学生ぐらいの女の子。陰陽師・無畏に預けられている。いちおう陰陽師だが能力はあまり高くない。鼻っ柱が強く、主人の無畏と過去に因縁のあるらしい陰陽師・鈴の木無山とその娘初音に対抗心を燃やしている。

戸部 (とべ)

初老の刑事。原因不明の火災で家が全焼した鈴の木家を不審に思い、若手刑事の梶原と組んで鈴の木初音の周りをつきまとい、彼女と義父・鈴の木無山の素性を探ろうと試みる。

小市 アヤカ (こいち あやか)

小学6年生の女の子。家が全焼した鈴の木家が引っ越してきたマンションに住んでいる。微妙な霊感を持つので、マンションの屋上にいる鬼の小八汰の姿を見ることができる。彼と話をしてみたいと思い、鈴の木初音に接触してきた。初音は小八汰のことを、死んだ自分の弟の幽霊だと嘘の説明をしてごまかした。

笹木 典明 (ささき のりあき)

色メガネをかけリーゼントスタイル、派手なスーツ姿と外見は完全にヤクザだが、神主である。自分の意思とは無関係に周囲をお祓いしてしまう強力な能力の持ち主。ただし本人に霊感は無く、怪異を見ることも聞くこともできない。父親が鈴の木流の陰陽師で、鈴の木無山や無畏たちの師匠だった。 そのため無山や無山の弟子篠崎からは「二代目」や「Jr.」と呼ばれている。霊感が無いので陰陽は継げず、実家が神主の妻と結婚し、婿として跡を継いでいる。

鈴の木 無定 (すずのき むじょう)

鈴の木初音の父親。鈴の木流の陰陽師として将来を期待されていたが、女性との間に子どもが出来たので自ら破門となり、家族3人で普通の暮らしを続けていた。しかし娘の初音がまだ幼いころに、両親とも死去してしまった。後に遺された初音は、かつて父・無定の弟弟子だった鈴の木無山が引き取り、育てることとなった。

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