鴉MAN

鴉MAN

凶悪犯罪の増加がピークに達した西暦2050年の東京を舞台に、黒いカーボンスーツに身を包んだ若きフェンサーの六堂戎斗が、暗躍する巨大犯罪組織である黒焔竜団と死闘を繰り広げていく姿を描いた物語。週刊少年ジャンプ誌上で平成13年24号から40号まで掲載された。

正式名称
鴉MAN
ふりがな
からすまん
作者
ジャンル
スーパーヒーロー
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概要・あらすじ

警察組織の弱体化と犯罪の激増によって混沌と化した西暦2050年の東京。「東京スラム少年強盗団」のリーダーを務め、近隣を暴れまわっていた少年六堂戎斗は、追っ手の警察を撃退していた最中に突如として現れた黒ずくめの男に叩きのめされ、特別治安維持機関SHRECの施設へと連行されてしまう。そこで出会ったエージェントの女性は戎斗に対し、今後はSHRECの戦士フェンサーとなって東京の治安を守るために働くように指令する。

さらに、孤児の戎斗を育てていた坂下が、実は巨大地下組織である黒焔竜団のメンバーであり、戎斗の家族の命を奪ったのも黒焔竜団であるという衝撃の真実を伝える。一瞬の隙をついて施設を脱出した戎斗は、この一連の情報を虚偽と考えて坂下に報告するが、正体が発覚した坂下は追ってきたフェンサーの石黒とともに戎斗をガス室へと閉じ込め、両者の抹殺を実行しようとする。

石黒から黒いカーボン繊維のスーツを受け取り、驚異的な身体能力を発揮して坂下を叩きのめした戎斗は、半ば強制されつつも次代のフェンサーとしての道を歩みだすのだった。

登場人物・キャラクター

六堂 戎斗 (りくどう じゅうと)

最強最悪を自称する「東京スラム少年強盗団」という、犯罪組織のリーダーを務めるスラム出身の少年。13歳。累計500件以上もの強盗殺人、公務執行妨害などの罪で指名手配されていた孤児で、全国危険犯罪者リストでは若くして「最警戒」レベルに指定されている。根が単純で頭の回転はいささか悪いが、カリスマ性とリーダーシップに優れた活動的なタイプで、仲間の少年たちからの信望は厚かった。 強盗団での活動後、追っ手の警察を撃退している途中で特別治安維持機関SHRECが送りこんだフェンサーである石黒の攻撃を受け、SHRECの施設へと連行される。そこでエージェントの萩里祥子からSHRECへの編入命令を受けると同時に、犯罪組織黒焔竜団についての情報、そしてその黒焔竜団こそが戎斗の家族を殺害したことを知らされる。 隙を突いて一度はSHRECを脱走したものの、その後に石黒から渡されたカーボン繊維の黒いスーツを着込み、自分を操っていた犯罪仲間の坂下を撃退。犯罪者としての居場所を失ってからは、嫌々ながらもSHRECの一員として働くようになった。戦闘員としてろくに鍛錬もしないうちからハードな実戦に投入されていたが、それでも軽々と黒焔竜団の構成員を叩きのめしたり、至近距離からの銃撃をかわすなど、フェンサーとして抜群の素養を発揮。 SHRECからは「新種」と呼ばれる能力の高い人類であるとされている。フェンサーが着る専用スーツを「恥ずかしい鴉男のカッコ」と言い切るなど、非常に滑稽なものだと認識しており、SHRECの職員に無理やりスーツを着せられた時は「てめぇらの服も全部ひっぺがしてやる」と激怒していた。 普段はやや粗暴な言動が目立つが、ひとたび任務を離れればゲームや買い食いが大好きという年相応の無邪気な面を見せる。また、漢字を読むのが大の苦手。

璃々 (りり)

任務の下見のために街に出た六堂戎斗がゲーム屋に出向いた際、偶然に出会うことになった少女。優しくはかなげな雰囲気を持つ美少女で、戎斗は一目で心を奪われる。盗みを働いて店員に追われていた戎斗のことを助けた際は、「他人の気がしなくて、放っておけなかったの」と語っていた。実は犯罪組織である黒焔竜団のメンバーによって育てられた殺し屋で、育ての父親である竹本によって偽の記憶を植えつけられ、催眠状態にされてから殺人などの犯罪を犯すように洗脳されている。 戎斗の尽力で黒焔竜団から救い出された後は、ごく普通の少女として、都内の中学校に通うようになった。

岬 真桜 (みさき まお)

フェンサーの少女。14歳。SHREC本部のとある施設で育てられていた「新種」と呼ばれる能力の高い人間の一種で、六堂戎斗と入れ替えを図るために本部から東京支部へと送られてきた。見た目や言動は年相応の明るく元気な少女そのもので、戎斗とは出会ったその日から他愛もない理由で喧嘩を繰り返していた。フェンサーとしての実力は非常に高く、とくにスピードは戎斗をも凌駕するほど。 戎斗と同様に子供っぽく我も強いため、戎斗と2人で出動した際は、互いに自分こそが真のフェンサーであることを証明するために激しく競い合い、結果的に素早く事件を解決していた。任務中に爆発に巻き込まれた戎斗を助けるために、危険を顧みず炎の中に入ろうとするなど、本当は心優しい性格。

萩里 祥子 (はぎさと しょうこ)

特別治安維持機関SHRECの東京支部に所属する、いついかなる時もクールな物腰を崩さない女性司令官。13歳にして全国危険犯罪者リストの「最警戒」になった六堂戎斗の能力に着目し、フェンサーの石黒を使って戎斗の身柄を確保させた。戎斗に対してこのまま重犯罪者として死刑に甘んじるか、SHRECの一員になり自分のもとで働くかを迫った。 有能な司令官として部下からは信頼されている。常々反抗的な態度を取る戎斗に対しては厳しく冷徹な姿勢で相対するものの、それは表面的なもので、実際は不祥事を起こして上層部から睨まれ、抹消されそうになった戎斗をかばい、組織内をほとんど寝ないで立ち回るなど、情熱的な一面も持ち併せている。

石黒 (いしぐろ)

特別治安維持機関SHRECに所属する執行官フェンサーの男性。黒いカーボン繊維の専用スーツを身にまとい、周辺地域の治安を維持する活動に従事している。上官である萩里祥子の命を受け、六堂戎斗をSHRECへ連行した。脱走した戎斗を追った際、黒焔竜団の一員である坂下の策謀でガス室に閉じ込められ、戎斗を助けるために専用スーツを彼に託す。 戎斗が坂下を倒したあとにSHRECによって身柄を回収されたものの、その後の生死や消息は不明。幼い頃に身を挺して自分を守ってくれた正義感の強い警察官に憧れを抱き、フェンサーとなったことを戎斗に語っていた。

(じん)

黒焔竜団が作りあげた人類型戦闘兵器。見た目は人間の青年だが、実はアークと呼ばれる特殊なウィルスが遺伝子に組み込まれたアークヒューマノイドと呼ばれる生命体で、六堂戎斗や岬真桜すら上回る戦闘力を備えている。主人からの命令を絶対とし、自身を「命令通りに動く道具」と認識している冷淡で無感情な性格。人質として捕らえた璃々に興味を持つが、彼女から「あなたはわたしと同じなの」と言われた際は、わずかだが感情を乱されていた。

高楠 (たかくす)

SHRECの本部に所属する司令長官。ナンパな雰囲気を漂わせる美形の男性で、堅物の萩里祥子に対しても「相変わらず美人」「今晩空いてる?」など、物怖じせずにセクハラじみた発言をしていた、フェンサーの岬真桜を送り込むためにSHRECの東京支部を訪問したが、本当の目的はもう1人のフェンサーである六堂戎斗の人間性を見極めることにあった。

竹本 (たけもと)

犯罪組織である黒焔竜団に所属する男性。表向きは璃々の育ての父親、そして彼女を助け出したヒーローとして振る舞い、彼女にもそう信じ込ませているが、璃々のことは数ある使い捨ての道具としか認識していない。暗示と催眠によって璃々を操り、数々の犯罪に利用していた。黒焔竜団の組織そのものに心酔していた狂信的なタイプで、怒りにかられた六堂戎斗との戦いで完敗を喫した際は、爆発物を使って自爆した。 自身では一度も名乗らなかったが、のちに間宮のつぶやきによって苗字が明らかになる。

ユージ

「東京スラム少年強盗団」に所属する少年。六堂戎斗からは信頼されているが、ユージの方は戎斗によってリーダーの地位を奪われてしまったと逆恨みしており、戎斗を慕うほかの仲間に対しても強い不満を抱いている。戎斗が石黒によって連れ去られたあとに犯罪仲間である坂下のもとを訪れ、戎斗が敵に坂下を売ったと讒言していた。

坂下 (さかした)

六堂戎斗の犯罪仲間である中年男性。戎斗のことを「正真正銘の悪党」と認め、「東京スラム少年強盗団」に各種の犯罪の依頼をしていた。石黒に連れ去られた戎斗が帰還した際は、追ってきた石黒もろともガス室へと閉じ込め、自らが犯罪組織黒焔竜団の一員であることを明かしたうえで、2人を抹殺しようとしていた。目的遂行のためなら手段を問わない非情な性格。

間宮 (まみや)

犯罪組織の黒焔竜団に所属する男性。竹本亡き後、普通の少女としての道を歩み始めた璃々の中学校に警備員として潜り込んでいた手下の報告を受け、学校に姿を現した六堂戎斗と岬真桜に対し、人類型戦闘兵器である刃をぶつける。

有坂 (ありさか)

特別治安維持機関SHRECに所属する遊撃部隊員。エリート意識が強く、スラム上がりの六堂戎斗を見下しており、フェンサーとして特訓を続ける戎斗の相手をした際は、彼の頭に模擬弾を4発も撃ち込んでいた。のちの訓練中に専用スーツの使い方を勉強した戎斗によって尻を攻撃され、担架で運ばれることになった。

集団・組織

SHREC (しゅれっく)

警察の手に負えない凶悪犯罪に対抗するために設置された政府直属の極秘特別治安維持機関。この世には存在しないという扱いで、法が適用されない治外法権の組織となっており、法では裁けない犯罪者であっても裁く権限を持っている。現場で悪党を取り締まるフェンサーと呼ばれる執行官を擁しており、その戦闘力の高さが犯罪組織から恐れられていた。

黒焔竜団 (こくえんりゅうだん)

闇社会に潜伏し、数々の犯罪に携わっている巨大犯罪組織。その規模と影響力は警察の捜査にすら圧力をかけられるほど。親を殺害して子供をさらい、団員の身代わりや兵隊として育てるという非道な行いにも手を染めている。新種のウィルスであるアークを使った人類型戦闘兵器の開発にも力を注いでいた。どの団員も身体のどこかに黒い竜を模した「黒焔竜」の入れ墨をしている。

その他キーワード

フェンサー

SHRECの執行官。カーボン繊維で作られた黒ずくめの専用スーツをまとい、犯罪現場に出向いて悪党を裁く戦闘員的な役割を果たしている。専用スーツは弾丸も容易に通さない耐久性を誇り、背中から大きな翼を展開して自在に飛翔することもできる。世間一般では悪党と戦う謎のヒーローという認識をされており、翼が生えた黒ずくめの格好から、親しみをこめて「鴉マン」と呼ばれていた。

アーク

過去に地球に落ちた、「ARK(アーク)」と名づけられた隕石から発見されたウィルス。地球のあらゆる生命を強化できる力があることが判明し、その危険性の高さから各国政府はアークの研究に中止命令を出した。しかし、どの国もウィルスを軍事産業に転用しようと密かに研究を進めていたため、情報を盗み出した黒焔竜団はアークを活用してアークヒューマノイドを作り出すことに成功する。

アークヒューマノイド

ウィルス「アーク」を遺伝子に組み込んだ、強大な戦闘力を備える人型生命体。世界を支配するための戦闘兵士の素体にするべく黒焔竜団が研究が進めていた。刃が完成体にあたる。しかし、プロトタイプとなるアルファ型は思考に人間的な部分が強く出ていたため、研究員からは失敗作と呼ばれていた。

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