世界はハッピーエンドでできている

世界はハッピーエンドでできている

下西屋のデビュー作品。ハッピーエンドな童話をテーマとした4コマ漫画のオムニバス作品で、4コマ漫画24本で一つの物語が構成される。引用元となっている童話の登場人物やキャラクターは、全員が善人であるという特徴がある。「comico」で連載の作品。

正式名称
世界はハッピーエンドでできている
ふりがな
せかいははっぴーえんどでできている
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
関連商品
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あらすじ

誰も不幸にならない桃太郎

ある日、川で洗濯をしていたおばあさんは胎動する巨大な桃を拾う。おばあさんがおじいさんを伴って桃を産院へ持ち込むと、桃の中から元気な男の子が生まれた。正義と名付けられた男の子、は鬼を退治するために法律を学び始める。

誰も不幸にならない三匹の仔豚

ある日、仔豚の長女をはじめとする三姉妹は、三匹の仔豚の母親から自立を促され、財産の生前贈与を受けて、それぞれ一人暮らしを始める事になった。早々に無駄遣いをしてしまった長女は仕方なく藁で家を作るが、リフォーム業者のオオカミに、欠陥住宅という理由で家を吹き飛ばされてしまう。

誰も不幸にならないかぐや姫

ある日、町内ボランティアで竹やぶの雑草刈りをしていたおじいさんは、胎動する竹を発見する。おばあさんを伴って竹を産院へ持ち込むと、竹の中からは美しい女の子が生まれた。かぐやと名付けられた女の子はオタクに育ち、結婚の気配がない事から、おじいさんからの勧めでお見合いをする事になる。

誰も不幸にならない赤ずきん

ある日、森番のオオカミは、森の中で見かけた赤ずきんに一目惚れしてしまう。手始めに屈強な猟師である赤ずきんの祖母と親しくなろうとしたオオカミは、赤ずきんと付き合いたいのなら、健全な精神と健全な筋肉を備えた強い男になれと言われ、赤ずきんの祖母に弟子入りして修行を開始する。

誰も不幸にならないシンデレラ

母親の死を回避する代わりに、家族で巨額の借金を背負った灰かぶりと呼ばれる少女は、ある日、行き倒れていた狐の魔女ら三人を介抱する。宿泊費やスープ代を要求した灰かぶりだが、狐の魔女達に所持金はなく、その代わりに王子の花嫁を決めるパーティーで、栄養たっぷりの食事を摂ってくる事を勧められる。

誰も不幸にならない白雪姫

白雪姫の継母となったは、昼ドラマのようにドロドロとした人間関係を夢想して胸を躍らせる秘書のに適時つっこみを入れながら、実質的な一国の責任者として多忙を極めながらも、世界一の美しさを保つために研究を重ねていく。

誰も不幸にならないブレーメンの音楽隊

ギャルにモテたいと願う老齢男性のロバ作は、孫のロバ助の助言を受けながら、ジジ友の犬蔵タイガートリと共に、ロックバンドのザ・ブレーメンズを結成する。楽曲やアーティスト写真の撮影などプロデュースを担当しながらも、クレジットを断るロバ助の様子を、ロバ作は怪訝に思い始める。

誰も不幸にならない狼と七匹の子ヤギ

子ヤギたちの母親がパートに出ているあいだ、家の留守を任された一郎以下七匹の子ヤギ達。誰がきても鍵を開けてはいけないと話す一郎だが、自分達をヒーローに任命しようとする正義の使者が来てもダメなのかと問われ、心が揺らぐ。そんな中、母親から見回りを頼まれた森番のオオカミが訪れる。

めでたしのその後

特撮番組の悪役首領を任された正義や、赤ずきんの両親に挨拶に行く森番のオオカミ、クリスマス前にサンタクロースに手紙を書く一郎達七匹の子ヤギなど、それぞれ物語のその後を覗き見る。

なんでもない日

子供の離乳食を食べさせるオオカミや、ライブハウスで販売するバンドグッズを考えるロバ作、二次創作の魅力を語るかぐやや、悪役オーディションに臨む正義など、それぞれのごく普通の1日の様子を覗き見る。

連載経緯

本作『世界はハッピーエンドでできている』は当初、無料WEBコミックサイト「comico」の読者投稿部門への投稿作品だった。これが読者からの支持と応援を受けた事で、下西屋は「comico」公認作家となり、本作が毎週連載される事となった。

登場人物・キャラクター

正義 (ぴーち)

エピソード「誰も不幸にならない桃太郎」「誰も不幸にならないブレーメンの音楽隊」「めでたしのその後」「なんでもない日」に登場する。巨大な桃の中から生まれ、おじいさんとおばあさんに育てられた男性。川を流れていたところをおばあさんに拾われたが、桃が大きく胎動していたため産院に持ち込まれ、分娩室にて誕生した。鬼退治のために法律を学び、国立大学の法学部を首席で合格している。 当初は「桃太郎」と名付けられる案があったが、出自への誇りと将来の希望を込めた名前として「正義(ぴーち)」と名付けられた。しかし正義自身は、桃から生まれた異常誕生者である事をコンプレックスにしており、また名前に「正義」の字を与えられた事から、英雄になるしか道はないと思い詰めていた。 そんな中、鬼退治の依頼をするために赤鬼と面会した事をきっかけに、正義自身の考えがただのエゴイズムである事に気づき、正義自身の考える「正義」を貫くために、赤鬼の経営する悪役派遣会社にて悪役として所属する事を決意。日曜朝の特撮番組にて悪の首領役に選ばれた。

仔豚の長女 (こぶたのちょうじょ)

エピソード「誰も不幸にならない三匹の仔豚」「めでたしのその後」「なんでもない日」に登場する。仔豚の次女、仔豚の三女の姉。ブタ耳とブタ鼻の付いた、赤いカチューシャが特徴の女性。炊事洗濯、掃除をすべて三匹の仔豚の母親に頼っていたため生活力がない。生前相続した財産をおしゃれな高級ソファにつぎ込む計画性のなさで、妹達から見放されかけた。 残りの資金で建てたのが藁の家だったため、オオカミに家を吹き飛ばされ、台風前のリフォームを勧められた事でオオカミに一目惚れ。オオカミが姉である母オオカミといる場面を目撃して恋人と勘違いしたが、次女のアドバイスを受けて玉砕覚悟で告白した。オオカミと結婚後、五人の子供をもうけている。妹達からは「姉さん」と呼ばれている。

かぐや

エピソード「誰も不幸にならないかぐや姫」「めでたしのその後」「なんでもない日」に登場する。胎動する竹の中から生まれ、おじいさんとおばあさんに育てられた女性。表情が乏しいが、「萌え」には情熱を燃やしており、最も萌えているものは句読点や感嘆符。しかしそれらの擬人化に対しては嫌悪感すら抱いている。幼少期はおじいさんと結婚すると話していたが、成長してオタクとなってからは異性にほぼ興味がない。 五人の男性と同時にお見合いを行った時に挙げた「異性に求める条件」には「二次元」と答えている。その後、かぐやの出した難題に答えた主上とは友人関係からはじめ、同人誌サークルを組んで同人誌即売会にいっしょに参加する仲となっている。実は月世界の住人で、成長してからは月に戻っているが、月でのアニメ放送が1週間遅れな事や、荷物の整理が終わっていない事を理由に、週末ごとにおじいさん、おばあさんの家に帰って来ている。 幼少期はおじいさんから「かぐちゃん」と呼ばれており、長じてからはほとんどの人物から「姫」と呼ばれている。

森番のオオカミ (もりばんのおおかみ)

エピソード「誰も不幸にならない赤ずきん」「誰も不幸にならない白雪姫」「誰も不幸にならない狼と七匹の子ヤギ」「めでたしのその後」「なんでもない日」に登場する。オオカミの甥で、母オオカミの息子。狼耳と尻尾が付いており、少年期は青いパーカー、森番となってからは青いツナギに毛皮のベストとキャスケット帽を身につけている。 少年期に、赤ずきんに一目惚れし、叔父であるオオカミのアドバイスを受けて、赤ずきんの祖母に弟子入りした。格闘訓練や筋肉トレーニングの結果、非常に筋肉質な体格に成長する。しかし赤ずきんをデートに誘う時などはパニック状態に陥ると、語尾に「性的な意味で」と付けてしまう。寝入る直前になると、その日しでかした恥ずかしい事を思い起こして苦悶する癖がある。 赤ずきんと結婚後は、森番として森の民家のパトロールなども行っているほか、妃の御用掛も務めている。子ヤギたちの母親に頼まれて、一郎ら子ヤギ達が留守番をしている家に見回りに行った際には、「変態」と呼ばれた事に怒り、敷地内に入って一郎から七郎の全員を捕縛し、反省を促した。

灰かぶり (はいかぶり)

エピソード「誰も不幸にならないシンデレラ」「めでたしのその後」「なんでもない日」に登場する。行き倒れていた狐の魔女とイナリ、ムスビを自宅に連れ帰った少女。灰かぶりの母の病気の治療で負った借金を返済するため、昼夜問わず煙突掃除業や内職に身をやつしており、介抱した狐の魔女達にもスープ代やベッド使用料を要求した。 王子の花嫁の座には興味はなかったが、一晩でも栄養たっぷりの食事を摂れば健康な体に近付き、将来の高額医療費を減らせる可能性があると説かれ、王子の花嫁を決めるパーティーに参加した。ドレスや装飾品のレンタル延滞金が発生する12時直前に、パーティーの食事をタッパーに詰め込んで逃走したが、その際にスニーカーを落としていたため、王子から「世界で一番働き者で実直で不幸な人物」として求婚された。 しかし市井の人間全員を少しずつ救ってほしいと頼み、求婚は断っている。両親の不在や借金の理由に納得して気丈に振る舞っていたものの、狐の魔女達が居候して家の中が賑わい、温かな食事を提供される日が続く事で、自分の中に隠されていた孤独と寂しさに気づいた。 狐の魔女とイナリ、ムスビを嫁と娘達のように感じている。

(きさき)

エピソード「誰も不幸にならない白雪姫」「なんでもない日」に登場する。エピソード「誰も不幸にならないシンデレラ」に登場する王子が「王」に就任したあと、後妻に入った女性。還暦を過ぎているが非常に若々しく、シミやシワが一つもない。幼少の頃、古物店にて200円で購入した、強く古い魔力で動いている鏡を秘書として使っている。 病床についている王に代わって国政を行っているが、一国の責任者として忙しい日々を送っている。もともとは薬師として働いており、王が病に倒れた際に調剤を担当していた。青森出身で、時折実家からリンゴが届く。王からプロポーズされた際に、世界一の美しさを保つ事を約束しており、自分より美しい人間が現れた時には、即座に実家に戻る覚悟を持っている。 しかし「世界一美しい」と称されたのは、心の美しさを意味していたと知ると、涙を流して感激した。継子である白雪姫に「母上」と呼ばれると、前妃に申し訳ないという理由から、「義母さん」または「義母上」と呼ばせている。ちなみに白雪姫と初めて対面した際には、その風貌からレスラーではないのかと疑っていた。

ロバ作 (ろばさく)

エピソード「誰も不幸にならないブレーメンの音楽隊」「めでたしのその後」「なんでもない日」に登場する。ロバの耳が生えた老人男性で、ロバ助の祖父。赤いワイシャツを着て口周りに髭を蓄えている。夏フェスや海の家などのバイトに応募してギャルにモテたいと考えているが、ロバ助からは年甲斐もないと反対されている。犬蔵、タイガー、トリと共にロックバンドのザ・ブレーメンズを結成した。 若い頃にクラシックギターを弾いていた経験から、バンド活動においてもギターを担当している。ライブ会場では客席に名刺を投げまくるが、連絡先は家の電話番号となっている。過去にロバ助が楽曲の盗作をした事を知っても、一言も責めず、穏やかにその後の成長を見守っている。 バンドグッズとして、自分達がほしいと思うものを作る事になった際には、永代供養の墓を挙げた。

おばあさん

エピソード「誰も不幸にならない桃太郎」「誰も不幸にならないかぐや姫」に登場する。正義とかぐやの養い親であり、正義の入った巨大な桃を川で拾った老婆。桃から胎動を感じた事で、夫であるおじいさんを伴って産院に持ち込んだ。おじいさんが生まれたばかりの正義に「桃太郎」と名付けようとしたところ、安直すぎると抗議した。 かぐやが月に帰る事になった際には別れを惜しんだが、週末にカレーを食べに帰るよう勧めた。

おじいさん

エピソード「誰も不幸にならない桃太郎」「誰も不幸にならないかぐや姫」に登場する。おばあさんの夫で、正義とかぐやの養い親であり、正義には当初「桃太郎」と名付けようとしていた老人。鬼退治のために剣術を習いたいと申し出た正義に、「暴力を振るえばお前も捕まる」と諭し、法律を学ぶ事を勧めた。正義が悪役として活躍する中、「輝く悪党の一等星になれ」と応援している。 また正義が独立したあと、町内ボランティアで竹やぶの雑草刈りに行ったところ、かぐやの入った胎動する竹を発見し、産院に持ち込んだ。最初は初めての娘を溺愛するばかりだったが、オタク趣味に走るあまり男っ気のないかぐやの姿に危機感を覚え、見合いさせる事にする。

赤鬼 (あかおに)

エピソード「誰も不幸にならない桃太郎」に登場する。赤鬼の経営する悪役派遣会社の社長であり、普段は柔和で眼鏡をかけている赤鬼の男性。自他の命を惜しまず戦う建前となる「正義」という概念の恐ろしさを深く考察している。鬼退治の予約のために会社を訪れた正義が、桃から生まれたというコンプレックスと、名前に「正義」という字を与えられたプレッシャーに押し潰されかけている事を知り、逆に悪役として活躍する事で正義を浮き彫りにさせていく道を示した。 正義という概念の難しさにぶつかる前段階にいる子供達には、「正義」は明確に存在すると信じてもらいたいと願っており、悪役はそのためにこそ存在するという信条を持っている。

ハチ公 (はちこう)

エピソード「誰も不幸にならない桃太郎」に登場する。鬼退治の予約のため外出した正義が遭遇した柴犬。正義が間食用に持っていた「キビ団子」を目当てにお供を申し出た。しかし、正義からは、所持しているキビ団子が人間用で、犬にとっては危険が伴う事、団子一つで命を危険に晒してはいけない事、お供の必要性がない事をとつとつと語られ、拒否されて電車の改札前で正義を見送った。 正義の帰りを待つ決意をしたが、見知らぬ猿に「主人のもとまで連れて行ってやる」と言われて飛行機に乗り、中国大陸へと渡ってしまった。

仔豚の次女 (こぶたのじじょ)

エピソード「誰も不幸にならない三匹の仔豚」「めでたしのその後」「なんでもない日」に登場する。仔豚の長女の妹で、仔豚の三女の姉。ブタ耳とブタ鼻の付いた、赤い花の髪飾りが特徴の女性。合コンをメインとする婚活で、年収1000万円超えのイケメン次男坊を捕まえると豪語している。生前相続した財産で木造の一戸建てを購入し、婚活で優位になるよう画策している。 姉が騙されやすい事を踏まえ、姉がオオカミに恋した経緯を聞いた際には、オオカミをリフォーム詐欺ではないかと疑っていた。オオカミが善人である事を知ってからは、姉に具体的なアドバイスを行ったりと、積極的に応援している。長女からは「ブタ美ちゃん」と呼ばれている。

仔豚の三女 (こぶたのさんじょ)

エピソード「誰も不幸にならない三匹の仔豚」「めでたしのその後」「なんでもない日」に登場する。仔豚の長女、仔豚の次女の妹。ブタ耳とブタ鼻の付いた、赤い眼鏡とチョーカーが特徴の女性。他家に嫁ぐ気がなく、単身用マンションの頭金の用意を終え、老人ホーム資金の積み立てを行っている。レンガ風の外観を持つデザイナーズマンションを経営しつつ、生前相続した財産を含め、株で資産運用を行っているキャリアウーマン。 長女に金銭的な計画性がまったくない事を知り、家族としての縁を切ろうとしていたが、長女の結婚後は姉妹仲は円満。長女からは「ブタ恵ちゃん」と呼ばれている。

オオカミ

エピソード「誰も不幸にならない三匹の仔豚」「誰も不幸にならない赤ずきん」「めでたしのその後」「なんでもない日」に登場する。狼耳と尻尾が付いた、青いツナギを着ているのが特徴の男性。リフォーム業を営んでおり、脆弱な造りの家は大息で吹き飛ばしてからリフォームを勧めるなど、少々強引な営業を行う。お菓子の家の魔女が作ったお菓子の家を目にした際には、耐震もされていない違法建築物として怒鳴り込んだ。 独身で、恋愛関係にある相手もいなかったが、仔豚の長女から告白と同時にプロポーズをされた事をきっかけに付き合い始めた。ベジタリアンで魚も摂らないが、恋愛面では草食ではない。結婚後は五人の子供をもうけている。母オオカミの弟で、森番のオオカミの叔父にあたる。 赤ずきんへの片思いに悩む少年時代の森番のオオカミに「将を射んと欲すればまず馬を射よ」と、森に住む赤ずきんの祖母と仲よくなる事を勧めた。

三匹の仔豚の母親 (さんびきのこぶたのははおや)

エピソード「誰も不幸にならない三匹の仔豚」に登場する。仔豚の長女、仔豚の次女、仔豚の三女の母親。アラフィフのため、生前贈与をすべく三人を自立させた。長女の生活力のなさと、次女が婚活に失敗するタイプである事、三女がしっかりしすぎて男性が寄りつかないであろう事を心配している。

お菓子の家の魔女 (おかしのいえのまじょ)

エピソード「誰も不幸にならない三匹の仔豚」に登場する。頭から紫色のローブをかぶっている女性。頭部に獣の耳が生えている様子が見られる。森の中にお菓子だけで構成された家を建てて住んでいるが、耐震補強もしていない設計だったため、オオカミに怒鳴りこまれた。以前はとある城のお抱え魔女だったが、主人の家系が絶え、新王を迎えたのを機に引退した。 しかし、これまで同じ仲間としか関係を持ってこなかったため、新しい知り合いを作る方法がわからず、近所の子供達を集めようとお菓子の家を作ったが、防犯意識の高い子供達に警戒されていた。オオカミの勧めで、仔豚の長女のお菓子作りの先生をはじめた。

主上 (おかみ)

エピソード「誰も不幸にならないかぐや姫」「めでたしのその後」「なんでもない日」に登場する。かぐやの結婚相手を決める合同見合いで、最後に登場した高貴な男性。「なんにでも萌えるかぐやが萌えないもの」という難題に、「自分の親」と回答し、友人関係からはじめる事となった。かぐやの「萌え」の理解者であり、漫画原稿のアシスタントも務めているほか、いっしょに同人誌サークルを結成し、即売会にも参加している。 つねに柔和な表情と落ち着いた物腰を見せ、かぐやが〆切前のハイテンションで暴走しかけると、制止する役割を担っている。

! (かんたんふ)

エピソード「誰も不幸にならないかぐや姫」に登場する。かぐやが描いた同人誌内のキャラクター。赤い色の「!」の文字で、イメージはスポーツが得意で快活な少年。一人称は「オレ」。「っ」と付き合っているが、そそっかしい自分をいつも落ち着かせてくれる「?」の事が気になっており、学校が火事になった際には、しなびた昆布と「?」を見間違え、炎の中に飛び込んでいった。 語尾に「!」が付く事が多いが、「?」と共にいる時は語尾に「?」が付く事がある。弟に「!!(ダブルエクスクラメーションマーク)」がいる。

? (ぎもんふ)

エピソード「誰も不幸にならないかぐや姫」に登場する。かぐやが描いた同人誌内のキャラクター。青色の「?」の文字で、イメージは読書家で、常になにかを考え込んでいる眼鏡少年。一人称は「僕」。「…」と付き合っているが、精神的に引っ張ってくれる「!」の事が気になっている。しかし何かと面倒くさい性格の自分では、「!」にはふさわしくないと考えている。 語尾に「?」が付く事が多いが、「!」と共にいる時は語尾に「!」が付く事がある。

(ちいさいつ)

エピソード「誰も不幸にならないかぐや姫」に登場する。かぐやが描いた同人誌内のキャラクター。姿はピンク色の「っ」の文字で、イメージは明るく快活な少年。一人称は「ボク」。「!」と付き合っているが、かつては「…」と付き合っていた。

(さんてんりーだー)

エピソード「誰も不幸にならないかぐや姫」に登場する。かぐやが描いた同人誌内のキャラクター。緑色の「…」の文字で、イメージはクールな眼鏡少年。一人称は「私」。「?」と付き合っているが、「?」が「!」に惹かれている事を知っており、かつて付き合っていた「っ」を苦しめたように、「?」の事も幸せにできていないのではないかと思い悩んでいる。

赤ずきん (あかずきん)

エピソード「誰も不幸にならない赤ずきん」「めでたしのその後」「なんでもない日」に登場する。腰まであるウェーブがかった金髪と紫色のワンピース、赤い頭巾が特徴の女性。森番のオオカミとは一度会ったきりだったが、赤ずきんの祖母のもとで修行に励んでいる事を知っており、再会を楽しみにしていた。華奢な見た目に反してアウトドアな遊びが好きで、釣りや虫取りに関する知識や仕掛け技術は、素人では太刀打ちできない。 結婚後は早寝早起きを心がけ、毎朝愛妻弁当を作っている。

赤ずきんの祖母 (あかずきんのそぼ)

エピソード「誰も不幸にならない赤ずきん」に登場する。赤ずきんの祖母で、筋骨隆々で成人男性よりも巨軀を誇る老婆。森の中で一人暮らししながら、猟師として生計を立てている。森番のオオカミが赤ずきんと付き合いたいと申し出た際には、健全な精神と健全な筋肉を備えた強い男になる事を条件に出して弟子入りさせた。また森番のオオカミが条件を整えたのを見届けると、赤ずきんの祖母自身のネグリジェを貸し出し、「騙し討ちで押し倒せ」という少々過激なやり方で赤ずきんとの仲を取り持った。 森番のオオカミからは「師匠」と呼ばれている。

母オオカミ (ははおおかみ)

エピソード「誰も不幸にならない赤ずきん」に登場する。森番のオオカミの母親で、オオカミの姉。狼耳と尻尾が付いた、髪の長い女性。少年期の森番のオオカミに対し、狼の一族として誇り高くいる事、群れの掟を守る事、家族を大切にする事、一族に危害を及ぼすものには命をかけて立ち向かう事、生涯ただ一人を愛する事を教えた。

狐の魔女 (きつねのまじょ)

エピソード「誰も不幸にならないシンデレラ」「めでたしのその後」「なんでもない日」に登場する。胸元が大きく開けたドレスを着た女性。腰まである長い金髪に、狐の耳が生えている。寡夫を探して後妻におさまる目論見でいたが、発見できずにイナリ、ムスビと共に生き倒れているところを灰かぶりに介抱された。要求された金銭を支払う代わり、一宿一飯の恩義にと、灰かぶりを王子の花嫁を決めるパーティーに参加させた。 その後も行き場がなく、灰かぶりの家に居候を続けている。権力者を堕落させる魔法道具として生み出されたため、男を惑わせる魔法しか使えない。またそのため他者から疎まれる事が多く、自分の存在や行動が灰かぶりにとって幸せをもたらすものになっている事に感慨を覚えていた。 灰かぶりの家に居候するにあたって、家賃などに苦心していたが、灰かぶりの家で食事の準備などをする内に家事好きと気づき、家事代行業をはじめた。

イナリ

エピソード「誰も不幸にならないシンデレラ」に登場する。狐の魔女と共に行き倒れていた少女。腰まである長い金髪と、狐の耳が生えているのが特徴で、狐の魔女と違って目が細く、つねに閉じている。ムスビとまったく同じ容姿をしている。金銭を要求しつつも自分達を介抱してくれた灰かぶりに感謝しており、王子が灰かぶりを探しに来た際には「パーティー料理を窃盗した罪を咎められる」と考え、身代わりを申し出た。 写真投稿SNS内で双子コーデモデルとして人気を博しており、雑誌取材の依頼などを受けている。

ムスビ

エピソード「誰も不幸にならないシンデレラ」に登場する。狐の魔女と共に行き倒れていた少女。腰まである長い金髪と、狐の耳が生えている事が特徴で、狐の魔女と違って目が細く、つねに閉じている。イナリとまったく同じ容姿をしている。金銭を要求しつつも自分達を介抱してくれた灰かぶりに感謝しており、王子が灰かぶりを探しに来た際には「パーティー料理を窃盗した罪を咎められる」と考え、身代わりを申し出た。 写真投稿SNS内で双子コーデモデルとして人気を博しており、雑誌取材の依頼などを受けている。

灰かぶりの母 (はいかぶりのはは)

エピソード「誰も不幸にならないシンデレラ」に登場する。灰かぶりの母親。灰かぶりが幼少の頃に、外国でしか治療法の確立していない難病にかかって死にそうになっていたが、「自分が死んだら意地悪な継母が来て娘がいびられる気がする」という理由で闇医者に駆け込み、巨額の借金と引き換えに健康な体を得た。現在は借金返済のためにマグロ漁師として活動しており、自宅には年に二度ほどしか帰らない。 灰かぶりからは「母ちゃん」と呼ばれている。

王子 (おうじ)

エピソード「誰も不幸にならないシンデレラ」「誰も不幸にならない白雪姫」「めでたしのその後」に登場する。王子の頃、花嫁を探すパーティーにおいて灰かぶりが落としたボロボロのスニーカーを目にし、「世界で一番働き者で実直で不幸な人物」だと考えて求婚した。しかし灰かぶりから、同じように苦労している同僚達を紹介され、市井の人間全員を少しずつ救ってほしいと頼まれた事で、市井の様子をよく見回るようになり、世界で一番心が美しいと感じた女性を前妃に迎えた。 「王」に就任してからも善政を敷いており、前妃に先立たれたあと、妃を後妻に迎えた。

(かがみ)

エピソード「誰も不幸にならない白雪姫」「なんでもない日」に登場する。背の高い成人男性の体を持っており、首から上が鏡になっている。妃の秘書として仕えており、忠実に働いている。昼ドラマのようなドロドロの人間関係を楽しむところがあり、妃が白雪姫に差し入れようとしたリンゴの蜂蜜漬けを毒リンゴかと疑ったり、外見を重視した愛のない結婚に悩んだ妃が王を毒殺する展開を考えていたりと、妃に悪女設定を付与した妄想をしがち。 かつて古物店で特売されていたところ、幼少期の妃に「財産のある名家に継母として君臨する」気配を感じて売り込み、200円で購入された。芸能人の噂や金の話に関する質問に答えるのが得意。妃を最後の主人にしたいと願い、妃の死の直前には割られる事を希望している。

白雪姫 (しらゆきひめ)

エピソード「誰も不幸にならない白雪姫」「めでたしのその後」に登場する。前妃の娘で、妃の継子。妊娠中の前妃が「雪のように清廉潔白で、黒檀のように頑固一徹、血のように熱く燃える闘魂を持つ娘がほしい」と願った事から、レスラーのように筋骨隆々で色黒の姫となった。怒りんぼやねぼすけなどの七つの煩悩を打ち消すため、森の中で修行を行っている。 どんなに深く眠り込んでいても、カウントを取られると条件反射で目を覚ます事ができる。むずかしい話は、筋肉で例えてもらわなければ理解できない。妃の死後は「白雪王」として王座に就き、命を狙ってきた刺客に対しても、自身に非があるためと推察し、素手で搾った林檎ジュースを差し出して話を聞くなど、寛大な姿勢を見せる。 しかし、あまりに屈強すぎるので恐れられている。

前妃 (ぜんひ)

エピソード「誰も不幸にならないシンデレラ」「誰も不幸にならない白雪姫」「めでたしのその後」に登場する。世界で一番心の美しい女性として、王子に求婚され、妃となった。その後、白雪姫を出産している。白雪姫がようやく歩く事ができるようになった頃、ぬいぐるみにジャーマンスープレックスを決めるのを見て驚愕していた。

ロバ助 (ろばすけ)

エピソード「誰も不幸にならないブレーメンの音楽隊」「なんでもない日」に登場する。ロバ作の孫で、アラサーの男性。ロバの耳が生えており、水色のTシャツを着ている。口が悪く、人当たりも強いように見えるが、話す内容は老人に気を遣ったものや客人をもてなすものであり、そのギャップに、犬蔵からは「くっそかわいい」と評価されている。 ロバ作達がロックバンドのザ・ブレーメンズを結成するに辺り、楽器に割り当てや楽曲提供、アーティスト写真の撮影など実質的なプロデュースを行っているが、ポスターなどに名前を記載する事を断っている。かつてはプロを目指してバンド活動を行っていたが、25歳までに売れなければ、プロになる事をあきらめて就職しなければならないと思って悩み、アイドルグループの楽曲を盗作した事から、ネット上で炎上。 それ以降パクリミュージシャンと揶揄され続けた事から、音楽の道をあきらめていた。しかし、ザ・ブレーメンズでロバ作達が楽しそうに演奏しているのを目にして勇気づけられ、自作サイトで新曲を発表した。

犬蔵 (いぬぞう)

エピソード「誰も不幸にならないブレーメンの音楽隊」「なんでもない日」に登場する。ロバ作の友人の老人男性。つねに枯草色のニット帽をかぶっているが、顔つきが犬のブルドッグとなっている。なにか新しい事を始めたいと考え、ロバ作発案のロックバンドのザ・ブレーメンズに参加した。寺の住職をしており、日々木魚を叩いているリズム感から、ドラムを担当している。 ロバ助から楽曲提供を受けた際に、彼が物憂げな様子だった事を気にかけ、インターネットでロバ作の事を調べた。バンドグッズとして自分達がほしいと思うものを作る事になった際には、腰痛ベルトを挙げた。

タイガー

エピソード「誰も不幸にならないブレーメンの音楽隊」「めでたしのその後」「なんでもない日」に登場する。ロバ作の友人の老人男性。つねに背が曲がっているほどの猫背で、禿頭が特徴。ネコの耳が生えた付近にのみ黒い毛が生えている。なにか新しい事を始めたいと考え、ロバ作発案のロックバンドのザ・ブレーメンズに参加した。琴の指導者をしている事からベースを担当しているが、あまりに猫背なためベースを抱える事ができず、琴のように床に置いて演奏する。 ネコ特有の喉のゴロゴロ音を、ネコラップと称してライブ中に披露する事がある。バンドグッズとして自分達がほしいと思うものを作る事になった際には、温泉旅行を挙げた。ロバ助からは「ネコじいちゃん」と呼ばれている。

トリ

エピソード「誰も不幸にならないブレーメンの音楽隊」「めでたしのその後」「なんでもない日」に登場する。ロバ作の友人の老人男性。非常に背が低く、禿頭だがふわふわとしたトサカが頭頂に立っている。なにか新しい事を始めたいと考え、ロバ作発案のロックバンドのザ・ブレーメンズに参加した。消去法でボーカルに選ばれたが、ロバ助が悲鳴を上げるほどのデスボイスと、オペラのような美声を使い分ける事ができる。 バンドグッズとして自分達がほしいと思うものを作る事になった際には、国家の明るい未来を挙げた。ロバ助からは「トリじいちゃん」と呼ばれている。

一郎 (いちろう)

エピソード「誰も不幸にならない狼と七匹の子ヤギ」「めでたしのその後」「なんでもない日」に登場する。子ヤギたちの母親の長男であり、二郎から七郎ら弟達の兄。兄弟そろいの青い着物と、全員同じ水色の髪、ヤギの耳を持っている。優しくて頼れる兄として信頼を得ており、母親から「変な人が来ても鍵を開けるな」と留守を言いつかった。 その際、自分達をヒーローに任命しようとする正義の使者でもダメなのか、と弟達に問い詰められ、返答に窮し、のちにその考えに感化された。また、「変な人とはどんな人間か」と問われた際には、「パンツが好きそうな顔をした変態」と回答している。森番のオオカミが見回りにやって来た際にインターフォン越しに会話し、正義の使者でないなら変態だと断じて罵声を浴びせた。 弟達からは「兄者」と呼ばれている。

二郎 (じろう)

エピソード「誰も不幸にならない狼と七匹の子ヤギ」「めでたしのその後」「なんでもない日」に登場する。子ヤギたちの母親の次男であり、一郎の弟で、三郎から七郎らの兄。兄弟そろいの青い着物と、全員同じ水色の髪、ヤギの耳を持っている。運動好きで足が速いが、せっかちな性格。母親から「変な人が来ても鍵を開けるな」と留守を言いつかった際、自分達をヒーローに任命しようとする正義の使者でもダメなのか、と真っ先に問い詰めた。 森番のオオカミが自宅敷地内に入ったあとは身を隠したが、ベッドの下を念入りに家捜しすると言われ、免除を嘆願した。

三郎 (さぶろう)

エピソード「誰も不幸にならない狼と七匹の子ヤギ」「めでたしのその後」「なんでもない日」に登場する。子ヤギたちの母親の三男であり、一郎と二郎の弟で、四郎から七郎らの兄。兄弟そろいの青い着物と、全員同じ水色の髪、ヤギの耳を持っている。絵がうまく、のんびりとしたマイペースな性格。母親から「変な人が来ても鍵を開けるな」と留守を言いつかった際、二郎が言った正義の使者来訪説に便乗した。 森番のオオカミが自宅敷地内に入ったあとは身を隠したが、ベッドの下を念入りに家捜しすると言われ、免除を嘆願した。

四郎 (しろう)

エピソード「誰も不幸にならない狼と七匹の子ヤギ」「めでたしのその後」「なんでもない日」に登場する。子ヤギたちの母親の四男であり、一郎から三郎の弟で、五郎から七郎の兄。兄弟そろいの青い着物と、全員同じ水色の髪、ヤギの耳を持っている。五郎とは双子で、家族でも見分けがつかない。森番のオオカミが自宅敷地内に入ったあとは庭園に身を隠したが、吹き出しの位置によって発見された。

五郎 (ごろう)

エピソード「誰も不幸にならない狼と七匹の子ヤギ」「めでたしのその後」「なんでもない日」に登場する。子ヤギたちの母親の五男であり、一郎から四郎らの弟で、六郎、七郎の兄。兄弟そろいの青い着物と、全員同じ水色の髪、ヤギの耳を持っている。四郎とは双子で、家族でも見分けがつかない。森番のオオカミが自宅敷地内に入ったあとは庭園に身を隠したが、吹き出しの位置によって発見された。

六郎 (ろくろう)

エピソード「誰も不幸にならない狼と七匹の子ヤギ」「めでたしのその後」「なんでもない日」に登場する。子ヤギたちの母親の六男であり、一郎から五郎らの弟で、七郎の兄。兄弟そろいの青い着物と、全員同じ水色の髪、ヤギの耳を持っている。臆病で泣き虫な性格。森番のオオカミが自宅敷地内に入ったあとは庭園に身を隠したが、吹き出しの位置によって発見された。

七郎 (しちろう)

エピソード「誰も不幸にならない狼と七匹の子ヤギ」「めでたしのその後」「なんでもない日」に登場する。子ヤギたちの母親の七男であり、一郎から六郎らの末弟。兄弟そろいの青い着物と、全員同じ水色の髪、ヤギの耳を持っている。まだ幼いためたどたどしい話し方しかできず、基本的に一郎の頭上にしがみついているが、達観したところがある。

子ヤギたちの母親 (こやぎたちのははおや)

エピソード「誰も不幸にならない狼と七匹の子ヤギ」に登場する。一郎から七郎の母親であり、物腰の柔らかな女性。緑の着物の上から赤い菱襟コートを着ており、水色の髪と黄色い角が特徴。パートのために子供達を残して外出したが、心配して森番のオオカミに見回りを依頼した。一郎ら子供達からは「母上」と呼ばれている。

集団・組織

赤鬼の経営する悪役派遣会社 (あかおにのけいえいするあくやくはけんがいしゃ)

エピソード「誰も不幸にならない桃太郎」に登場する。赤鬼が経営している悪役派遣会社。正義が鬼退治にやって来た際に予約を勧め、用件と希望のシチュエーション、倒したいタイプを面接調査した。「正義の味方」になりたい者同士が争う事のないように、世界には悪役が必要であると考えた赤鬼によって設立された。正義がタレントとして所属している。

ザ・ブレーメンズ (ざぶれーめんず)

エピソード「誰も不幸にならないブレーメンの音楽隊」に登場する。ロバ作が発案、リーダーとなって結成したロックバンドグループ。メンバーは犬蔵、タイガー、トリとなっており、全員が老齢男性。全体的なプロデュースはロバ助が行っているが、クレジットされていない。ライブで登場した際の決め台詞は「今夜お前をブレーメン!」。 なお、決め台詞の没案としては、「今夜お前を胃腸炎!」「今夜お前をフレデリック!」などがあった。

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