概要・あらすじ
幽霊が見える体質の椎名天音は、そのことをひた隠しにしていたが、ひょんなことからオカルト好きなクラスメイトの松田真由にその事実を知られ、ともに幽霊退治をすることになる。それを見ていた、異界から来た天使の浜崎竜彦、天堂正斗、姫野ひとしは、天音と真由が迷い天使であるかもしれないと、天音の学校に転校してくる。
そんななか、とある事件をきっかけに、天音と真由の背中には翼が出現。天使としての覚醒を果たすが、異界の記憶がなかったため、天使見習いとなる。そして天音と真由は姫野たちに見守られながら、見習い天使として悪霊退治をする毎日を送っていく。だが、真由は姫野たちの会話を盗み聞きし、天音か真由のどちらかが堕天使で、狩られる運命にあることを知ってしまう。
真由はその事実を天音に打ち明け、異界の記憶を思い出しても、2人だけの秘密にしておくことを約束する。どちらかが狩られる運命という不安のなか、天音と真由には好きな人ができてしまうのだった。
登場人物・キャラクター
椎名 天音 (しいな あまね)
幽霊が見えることを隠して生活している女子中学生。雨漏りのする教会に、父親の椎名神父と2人で暮らしている。ひょんなことから異界から来た天使として目覚める。記憶のない見習い天使として、浜崎竜彦、天堂正斗、姫野ひとしの3人の天使のもとで、松田真由とともに一人前の天使になるために修行をするようになる。 困っている人は放っておけないお人好しな性格で、悪霊退治に巻きこまれることが多い。エクソシストである椎名神父の仕事を間近で見ていたので、多くの呪文を知っており、悪霊退治では、それらを駆使して戦う。
松田 真由 (まつだ まゆ)
椎名天音のクラスメイトの女子中学生。浜崎竜彦、天堂正斗、姫野ひとしの3人の天使のもとで修行する、見習い天使仲間でもある。気が強く、真っ直ぐな性格をしている。オカルト好きで、幽霊や悪霊といったものに目がない。出会った当初は天音のことを嫌っていたが、天音が悪霊を退治できることを知り、それをきっかけによく話すようになる。 魔物に魂を抜かれてしまった天音を、自らの命と引き換えに救おうとするなど、見習い天使として天音と接するうちに、かけがえのない親友となっていく。
浜崎 竜彦 (はまざき たつひこ)
椎名天音と同じ学校の高等部に通う男子高校生。サッカーがうまく、Jリーグ期待の星と目されている。その正体は異界からやって来た天使。天音や松田真由とは違って最初から覚醒しており、異界の記憶もある。無愛想で冷たく見えるが、実際は周囲をよく観察しており、人をさりげなくフォローする優しさを持っている。天音の天使としての力に一目置いている。
天堂 正斗 (てんどう まさと)
椎名天音と同じ学校の高等部に通う男子高校生。高い人気を誇る芸能人だが、その正体は異界からやって来た天使。天音や松田真由とは違って最初から覚醒しており、異界の記憶もある。両親は離婚しており、一人暮らし。幼い頃に母親から愛情を受けなかったので、心の奥に傷を負っている。愛想が良く優しく見えるが、心の中では人を嘲笑うような冷たい面もある。 天音に惹かれている。
姫野 ひとし (ひめの ひとし)
椎名天音と同じ学校の高等部に通う男子高校生。先生すら凌駕するほどの秀才で、生徒会長をしている。その正体は異界からやって来た天使。天音や松田真由とは違って最初から覚醒しており、異界の記憶もある。規律を重んじる性格で、浜崎竜彦、天堂正斗をまとめるリーダー的役割を務めている。仲間には少し甘い面もある。
うさっち
椎名天音が一番最初に祓おうとしたウサギの霊。生前は天音の学校で飼われていたウサギで、いつも草をくれる女の子を好いていた。教師になって帰って来るという女の子の言葉を信じ、死んでからも待ち続けている。悪さをしないという約束で、霊として学校にいることを認められ、天音や松田真由とよく行動をともにするうちに、2人の友達になる。
椎名神父 (しいなしんぷ)
椎名天音の父親。天音と2人で、雨漏りのする教会に住んでいる。凄腕のエクソシストだが、お人好しで報酬を受け取らないため、常に貧乏。何よりも天音を大事にしており、天音が天使として覚醒しないよう、封印を掛けていた。
エチェ
椎名天音の過去の姿。異界の王が自分の身を切り落として作った異界の姫。膨大な魔力を持つゆえに、強い魔力を求める魔物たちに命を狙われている。城の中に隔離されていたため、孤独で外の世界を知らない。ドリューとイェルカを話し相手として取り立てるが、自分を狙った魔物もろともドリューを殺してしまう。
イェルカ
浜崎竜彦の過去の姿。異界の住人で、エチェの話し相手候補として王宮にやって来る。おどおどして頼りなく見えるが、王宮に魔物が入り込んだ際にはエチェを魔物から守るなど、実際は肝が据わっている。最下級とされる紫の羽を持つために、ドリューや他の天使から嫌悪されていた。のちに宮廷の護衛長になる。
ドリュー
異界の住人の女の子。エチェの話し相手として王宮にやって来た。最下級と言われる紫の羽を持つイェルカを毛嫌いしていた。成績優秀で博識なこともあり、エチェに多くの魔法を教えた。城に隔離されているエチェにとって、数少ない友達のような存在だった。しかし、エチェを狙う魔物が現れた際に裏切り、結果的に魔物とともに殺されてしまう。
ミウッチャ マーセ
松田真由の過去の姿。異界の住人であり、イェルカと同郷で首領の娘。イェルカとは、幼い頃に結婚の約束を交わしている。王宮に仕えてからイェルカが地元に帰らなくなったため、彼を訪ねて何度も王宮にやって来ていた。優しく臆病な性格だが、想い人を追いかける大胆さも持っている。
場所
異界 (いかい)
死んだ魂や魔物、翼を持つ天使がいる世界。王宮にいる異界の王によって治められている。魔力の強い王族は命を狙われることが多いため、王宮の周りには結界が張られている。天使の翼は白ければ白いほど上級と言われ、鮮やかな白い羽は羨望の眼差しで見られる。政府に逆らい、掟に背いた天使は堕天使とされ、胸に逆さ十字の烙印が押される。
その他キーワード
天使 (えんじぇる)
死んだ魂や魔物がいる異界の番人。現世に赴き、迷っている魂を回収したり、異界からの不法侵入者を強制送還することを任務としている。現世における人間の生死には興味がなく、人間からは「悪魔」や「化け物」と評されることもある。
堕天使 (だてんし)
もとは天使だった者。異界の掟に背いたため、天使に追われる立場になった。胸の中央に、逆さ十字に稲妻の烙印がある。天使と同じように翼を持っていることもあり、外見からは判別することが難しい。天使のことを政府の狗(いぬ)だと思っており、天使こそが悪だと反感を抱いている。
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