球場ラヴァーズ -私が野球に行く理由-

球場ラヴァーズ -私が野球に行く理由-

女子高生松田実央がいじめに苦しんでいるところから物語は始まる。彼女はプロ野球観戦を通して新しい友人を得て、いじめに立ち向かう強さを得るなど、大きな変化を経験する。また、社会人基町勝子と下仁谷みなみは、仕事の壁にぶつかりながらも、選手たちの一生懸命さに鼓舞され、それぞれの職場で懸命に生きてゆく。このように、野球と共に前向きに生きてゆく人々の姿を描く、珍しいテーマの作品。連載時のプロ野球情勢をリアルタイムで盛り込んでいるので、2010年~2012年の球界事情もよくわかる。本作はシリーズ1作目で副題は「私が野球に行く理由」である。以後、2作目の副題は「私を野球につれてって」、3作目の副題は「だって野球が好きじゃけん」、そして4作目は「こいコイ! ~球場ラヴァーズ~」というタイトルとなっている。

正式名称
球場ラヴァーズ -私が野球に行く理由-
ふりがな
きゅうじょうらゔぁーず わたしがやきゅうにいくりゆう
作者
ジャンル
野球
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概要・あらすじ

女子高生の松田実央は、クラスでいじめの標的となっていた。彼女らに貢ぐ資金をかせぐため、やむなく援助交際までする羽目に。その際に出会った会社員の男性に諭され援助交際は止したものの、衝動的に彼の荷物から金を盗んで逃げてしまった。彼に謝罪するため実央は、金に同封されていた「ジャイアンツ対カープ戦」のチケットを見て会場の東京ドームへと訪れた。

彼が赤い野球帽を持っていたことから、広島東洋カープのファンだろうと推理し、「赤い帽子の人」に再会するため、実央はカープ戦に通い続ける。彼にはなかなか出会えないが、熱狂的カープファン基町勝子下仁谷みなみの社会人コンビと知り合い、プロ野球の楽しさに目覚めてゆく。

観戦を通して選手たちの生き様に触れてゆく中で、実央は成長し強くなってゆく。

登場人物・キャラクター

松田 実央 (まつだ みお)

高校1年生の女子。学校でいじめに遭っている。援助交際までする羽目になったが、その際に出会った男性に諭されて思いとどまった。しかし、衝動的に彼の荷物から金を盗んで逃げてしまった。彼は広島東洋カープのファンらしいという手がかりだけを当てに、実央は彼(赤い帽子の人)と再会して謝罪するため、カープ戦を観に球場へと通い始めた。 もともとは野球にまったく興味を持っていなかったが、球場で熱狂的カープファンの基町勝子と下仁谷みなみと知り合い、野球観戦にのめり込んでゆく中で、彼女自身の心も成長し、変わってゆく。

基町 勝子 (もとまち しょうこ)

メガネをかけた気の強いキャリアウーマン。職場ではベテラン社員としてクールに仕事をこなす毎日だが、球場では大声で応援し、日々のストレスを発散する。広島出身で、子どものころからの熱狂的な広島東洋カープファン。職場で辛いことが起きても、カープを応援することで乗り切っている。 カープ出身の投手黒田博樹と同い年。実家の両親からは早く結婚するようにせっつかれている。

下仁谷 みなみ (かにや みなみ)

パーマをかけた髪が特徴的な、おっとりした女性。フリーのアニメーター。かつて妻子持ちの男と不倫していて、プロ野球観戦はアリバイ工作の手段に過ぎなかった。しかし球場に通い続けるうちに、熱い選手たちの生き様に心を動かされ、男と別れた後も広島東洋カープファンとして観戦を続けている。 筋金入りのカープファン基町勝子とも、球場で知り合った。今では趣味でカープの同人誌をコミケに出店するまでの大ファンに成長した。

加奈 (かな)

松田実央の同級生の女子。実央とは友達だったが、実央がいじめの標的となってからは離れていった。しかし実央がプロ野球観戦を通して次第に心が強くなってくるといじめ甲斐がなくなり、標的は実央と親しかった加奈へと移った。怒りに燃えた実央は、いじめっ子たちに正面きって反撃することに成功し、実央と加奈は以前の友情を取り戻した。

お父さん・お母さん (おとうさん・おかあさん)

松田実央の両親。父はリストラに遭い再就職に忙しく、家計を支えるため専業主婦だった母もパートに出たりとバタバタしていたため、娘の実央が学校でいじめを受けていることを見過ごしていた。しかし実央が広島東洋カープファンになったことで、西武ライオンズファンの父と会話がはずむようになり、遠くなっていた親子の距離は再び縮まった。 そしてついに実央は、いじめ被害を両親に打ち明けることができた。

堂本 嘉邦 (どうもと よしくに)

基町勝子の勤める会社の後輩社員。新人時代には勝子が指導した。天然パーマ気味の快活な男性。勝子に対しては「~っスか」と気安い口をきく。プロ野球ファンで、勝子が広島東洋カープファンと知って喜び、観戦に誘った。勝子は堂本に対して心動きかけたが、彼は勝子のことを趣味の合う仲間としてしか見ていなかったようで、職場の同僚と婚約してしまった。

マミ

基町勝子の勤める会社の後輩女子社員。社長のいとこで、縁故採用された。イケメン若手社員堂本嘉邦を気に入り、婚約したが、その後堂本のことが気に入らなくなり、婚約を破棄した。しかし、この騒動が、堂本が勝子を好きなために社長の親族のマミを振ったと誤解されて伝わり、部長の判断により勝子は雑用係に左遷されてしまった。 その事実を知ったマミは、自分が振られたと誤解されているのは納得がいかないと抗議し、勝子は元の部署に復帰できた。マミは勝子のことを人間としては苦手だが、仕事のできる先輩としては信頼しているのだ。

部長

基町勝子の勤める会社の上司。勝子が社長のいとこマミの彼氏を略奪したと誤解し、勝子に対してつらくあたる。東京在住なのに広島東洋カープファンをつらぬく勝子を揶揄する発言が多いが、自身は横浜ベイスターズのファンである。

千秋 (ちあき)

基町勝子の親戚の男性。小さいころから夏休みになると一緒によく遊んだ。広島東洋カープの応援にもよく通い、カープの話で盛り上がっていた。しかし事故で死去してしまった。勝子は新築されたマツダスタジアムでちい兄ちゃんと一緒にカープを応援できなかったことを残念に思いながらも、マツダスタジアムと交代で取り壊されてしまう旧広島市民球場とちい兄ちゃんを重ねあわせ、いつまでも忘れないと心に誓っている。

浪元 (なみもと)

松田実央の通う高校の1学年下の男子。受験を控えて引退する実央の次に、野球部のマネージャーを引き継いだ。小学校から野球一筋だったが、中学で事故に遭い、野球の道はあきらめた。一時は落ち込んだが、野球に関われる場所にいたいと思い直し、マネージャーを引き受けた。 実央のことが好きな様子。

須藤 竜一 (すどう りゅういち)

OL基町勝子が両親に押し付けられた見合いの相手。広島県の三次市出身。もみあげの長い、がっしりした体格の男性。33歳バツイチ。ワイナリーを経営している。弟がいるが、彼はプロ野球選手になる夢を抱き続け、入団テストを受けると言って数年前に実家を出て、以降音信不通。

太田 日南子 (おおた ひなこ)

大学生になった松田実央が始めた、東京ドームでのビール売り子アルバイトの同僚。このバイトを始めたのはあくまでユニフォームがかわいいからで、「野球なんか大っキライ」と公言している。

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