花と奥たん

花と奥たん

東京中心部に出現した謎の植物群により、関東周辺は人の入れない場所になってしまう。帰ってこない夫の正太郎を待つ奥たん(モモ)は、今も植物の下で生きていると信じて、日々旦那のために料理を作る。語り部は飼っているミニウサギのPたんで、ウサギから見た奥たんの日々描いている。一話の終わりに、実際に作った料理のレシピと、食卓に並んだ料理一式の様子、そして奥たんに連れて行ってもらったPたんの冒険レポが写真で掲載されている。

正式名称
花と奥たん
ふりがな
はなとおくたん
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
 
グルメ
レーベル
ビッグ コミックス(小学館)
巻数
既刊5巻
関連商品
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概要・あらすじ

一年前、東京中心部に出現した謎の植物群。原因不明、未曾有の災厄に近づくことも出来ず、その場にいた人間が帰ってくるのは絶望的だと思われている。関東周辺は地形もすっかり変わり、食べ物や電気の供給もままならなくなってしまう。一部地域では農作物が異常な大きさに育ち、人々は混乱。夫の旦那たんこと正太郎が帰ってこない奥たんことモモは、今でも旦那は生きているはず、と信じて、退避勧告の出ているうるわしが丘西4丁目から去ろうとしない。

毎日奥たんは、まだ帰らぬ旦那たんの分も料理を作り続けていた。「残され主婦」と呼ばれる、政府の退避勧告を聞かずにうるわしが丘に残っているメンバーとは仲良しで、食料不足なら実際に作ろうと、稲を自分たちで育てるようになる。

しかし、大量発生した巨大バッタや、次々いなくなる仲間たちに耐え切れず、うるわしが丘を一人また一人と去っていく。それでも奥たんうるわしが丘旦那たんの帰りを待ち続ける。

登場人物・キャラクター

モモ

北海道出身。ほとんどの人からは「奥たん」と呼ばれている。小柄でショートカット、エプロンにつっかけ姿で買い物に出る。若干方向音痴で、かなりのんきで楽観的。一度決めたら絶対食べる、食べられるものは持ち帰る、などアクティブな一面を見せる。頑固な性格で、住んでいるうるわしが丘から決して動こうとせず、災害共済の勧誘も一切聞こうとしない。 汚染被害を気にして住民たちがマスクをしていても、決してマスクをつけない。米が不足した時は、自分たちで田んぼを作ろうと言い出した。「生えた植物たちが人を殺すようなものなら、その下で無事だと信じる『帰るべき人』たちが生きていられない」、という信念の元、異常に肥大化した野菜を使って、旦那たんと自分とPたんのための料理を作り続けている。 口数はあまり多くないが感情表現が豊か。色々な脱走動物を拾っては飼っている。

Pたん

ミニウサギ。実際はしゃべれないが、奥たんの物語の語り部として、常に彼女の側に寄り添う存在。道に迷ったり無茶をしたりする奥たんをいつも心配している。

正太郎 (しょうたろう)

一年前に東京中心部で突如発生した巨大植物群「東京森」から帰ってこない、奥たんの旦那。新婚。やさしい性格で、奥たんにとても気配りが出来る人物。梅干しが好き。奥たんは今でも彼が生きていると信じて帰りを待ち、料理を作っている。

農家のエロオヤジ (のうかのえろおやじ)

毎日、奥たんの胸をもんでは、もんだ数だけたまごを分けている。本人いわく、元気づけるため。娘が東京中心部の巨大植物群「東京森」から帰って来ず、生きてはいないとあきらめている。関東近辺の農家の作物は、巨大植物に汚染されているという風評被害があり、きっちり育てた作物が売れず嘆いている。 米不足の際、奥たんの発案でうるわしが丘に田んぼを作ることになったときは、率先して指導役を買って出た。次々町を去っていく人が多い中、残っている数少ない人物。

脱走兵 (だっそうへい)

東京中心部の巨大植物群の調査隊から逃げ出し、うるわしが丘に辿り着いた兵隊の青年。奥たんが、彼を拾って食事を与えた。巨大植物群に汚染されているかもしれない地域の食物と聞いて食べるのをためらうが、食欲に負けて奥たんと一緒に食べるようになる。「東京森」の真実を知る人間であるため、軍に追われている。

斉藤 (さいとう)

『花と奥たん』の登場動物。奥たんが拾って育てている、巨大なバッタ。引っ越した「斉藤さん」の犬小屋に住まわせているため斉藤と呼ぶようになった。急増した巨大バッタ退治のためのサンプルケースとして、引きこもりの青年コースケが調べていた。

アサミ

鍵と手紙だけを旦那たんに残していたため、奥たんが嫉妬する。実際は旦那たんのスクーター(ベスパ)を預かっていたオーナーで、男性。

ガソリンスタンドの青年

奥たんが食料調達で走り回るために乗り回しているスクーターを整備している。巨大バッタが大量発生したときは車で援護に向かった。かつていじめられていた経験があり、その時今は引きこもりの青年コースケに助けられたことがある。東京森を焼き払おうとした炎を目撃した。奥たんの作るお菓子が好き。

コースケ

引きこもりの青年。パソコンを所持しているため奥たんが勝手に家にあがりこんで調べ物をすることがある。昆虫が大好きだった過去の経験を活かして、奥たんたちが作った稲を襲おうとした巨大バッタ大量発生を防ぎ止める。東京森を焼き払おうとした炎を目撃した。奥たんの作るお菓子が好き。

学者 (がくしゃ)

うるわしが丘の廃墟化した家で、こそ泥に襲われていた奥たんを助けた。怪しいジープに乗り、うるわしが丘にテントを張って、東京森の植物を観察している。花の秘密を探ろうとしているも未だつかめず、周辺をうろうろとしている。豪快な性格で、怪しい行商人にナイフを突きつけることもある。 彼の中にある東京森の真実の仮説になかなか向き合えずにいたが、生きることに向き合う奥たんに出会って心を決める。おいしいハムのレシピを知っている。人妻が好き。

闇業者の魚屋 (やみぎょうしゃのさかなや)

奥たんがタラがほしいと買いに出た時、迷い込んだ闇市場で魚を売っていた。指がウロコで覆われている。

その他キーワード

残され主婦 (のこされしゅふ)

『花と奥たん』の用語。うるわしが丘に住む、奥たんのように旦那が戻ってこない女性たちのこと。ぎりぎりまでこの場所で生きていきたい、と考えているものの、退避勧告地域のため、電気や食料も徐々に支給が止まりつつあり、仕方なく立ち退いていく人が絶えない。

東京森 (とうきょうもり)

『花と奥たん』の用語。1年前に東京中心部に突如出現した巨大植物群のこと。当時その場所にいた人たちは、ヒロインのモモの夫・旦那たんを含め、帰ってきていない。高濃度酸素スポットがある、高温多湿のマラリアの発生の可能性が高い、など学者の仮説があげられているが、誰一人として戻ってきていないためなにもわかっていない。 また、軍が乗り込んでいるものの、生存者の救出は行なっておらず、何を行なっているのかも不明。一度は焼き払おうとするものの、失敗。近辺の植物が異常に肥大化するため、汚染されたと食べるのをためらう人が多い。東京のみならず、世界各国でこの現象は起きている。

うるわしが丘 (うるわしがおか)

『花と奥たん』の用語。奥たんの住んでいる住宅地で横浜のはずれに位置する。奥たんは4LDKの一戸建てに住んでいる。昔ながらの畑と新しい宅地が混在している地域。東京中心部に巨大植物群が出現してからは流通がすっかり狂い、買い物は主に行商人から購入している。政府が食料を一部管理しているため、肉や魚などはなかなか手に入らない。 退避勧告が出ており、住んではいけない地域とされているものの、どうしても捨てきれず住人が残り続けている。そのため国からの電気などの供給が途絶えることもある。残され主婦たちが多く住んでいたが、徐々にうるわしが丘を去り始めている。

書誌情報

花と奥たん 5巻 小学館〈ビッグ コミックス〉

第1巻

(2009-04-30発行、 978-4091825339)

第2巻

(2013-03-29発行、 978-4091848437)

第3巻

(2019-07-30発行、 978-4098604296)

第4巻

(2019-08-30発行、 978-4098604401)

第5巻

(2019-09-30発行、 978-4098604784)

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