劇画ヒットラー

劇画ヒットラー

世界史上最も有名な独裁者であるアドルフ・ヒットラーの生涯を青年期から辿るドキュメンタリー。過剰な演出は少なく、淡々とした事実が積み重ねられていく。ユダヤ人に対するホロコースト政策やヒットラーが持っていたと言われる神秘主義者的側面に関する記述は少ない。

正式名称
劇画ヒットラー
ふりがな
げきがひっとらー
作者
ジャンル
自伝・伝記
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概要・あらすじ

1908年ウィーン、画家志望の青年アドルフ・ヒットラーは、日々の食費にも困る不遇の日々を送っていた。やがて第一次世界大戦が勃発、ヒットラーも従軍するが、祖国ドイツは破れ戦後の混乱期へと突入する。

政治的混迷と不況が続く中、泡沫政党ドイツ労働者党に入党したヒットラーは、演説の才を発揮し、党首に就任。数多くの支持者を集めるようになっていく。以来十数年、さまざまな紆余曲折を経て、政権の座に付いたヒットラーは、ドイツ国民の圧倒的な支持のもとで独裁体制を確立。ドイツを破滅に繋がる戦争へと導いていく。

登場人物・キャラクター

アドルフ・ヒットラー (あどるふひっとらー)

オーストリア=ハンガリー帝国に生まれるが、人種的にはドイツ人であり、自身もドイツを祖国とし、ドイツへの愛国心を持ち続けた。当初は画家を志していたが果たせず、ウィーン、ミュンヘンなどで半放浪生活を送る。第一次大戦が勃発するとドイツ軍へと志願し、6年の従軍生活を送る。終戦後、政党ドイツ労働者党へ入党。 演説の才を発揮し、支持者を集め、党首に就任する。さらに党名を国家社会主義ドイツ労働者党と改めた。いわゆるナチス党の誕生である。その後ミュンヘン一揆の失敗により投獄されるも、出獄すると、再び政治活動を開始。党内の権力闘争を制しながら、勢力を拡大させていく。1933年、ついにドイツ首相に就任。 次々に法案を成立させ、独裁体制を固める。翌年には、国民の高い支持を得て、新たな国家元首であり、ドイツの全権を握る総統となった。

ルドルフ・ヘス (るどるふへす)

ヒットラーの演説に感銘し、ナチス党に参加した青年。ヒットラーに心酔し、後にナチス党副総裁となる。ヒットラーによる『我が闘争』第1章の口述筆記を行うなど、常にヒットラーに付き従っているかのように描かれていたが、第二次世界大戦中に単身スコットランドへ向かったという知らせを最後に姿を消してしまう。

ゲーリング

ヒットラーの思想に感銘を受け、ナチス党に参加した軍人。劇中ではミュンヘン一揆の際に初めて登場し、ナチス党突撃隊を率いた。さらにナチス党がドイツの政権を得る過程でも、多くの人間を粛清した。第二次世界大戦時には、国家元帥の地位を与えられ、主に空軍を指揮していたが、敗戦が目前となると多くのナチス党幹部たちと同様に、ヒットラーが固執するベルリンから脱出してしまった。 最終的には、政敵であったボルマンの命により逮捕されている。

ゲッベルス

ナチス党内の実力者であったシュトラッサーの秘書として入党した青年。当初は、党内の権力闘争においてヒットラーとは敵対的な立場に立たされていたが、後にヒットラー支持を表明した。さらにナチス党が政権を取ると宣伝相となって再登場し、以後ヒットラーの側近として描かれるようになる。 終戦間際、ヒットラーが篭るベルリンの防空壕でも生活を共にし、その最期を看取った後に、自身も命を絶った。

シュペーア

ヒットラーの親友であり、第二次世界大戦下のドイツで軍需相を務めた。ドイツの敗戦が目前となり、ヒットラーから焦土作戦を命じられるが、戦後のために最低限のものは残さねばならないと考え、これを実行しなかった。劇中では、物語の終盤に初めて登場し、それ以前のことは描かれていない。

ルーデンドルフ将軍 (るーでんどるふしょうぐん)

第一次大戦で活躍したドイツの英雄。ミュンヘン一揆の際にヒットラーと共に首謀者となる。史実では、ミュンヘン一揆鎮圧後の裁判で無罪を勝ち取っているが、劇中では一揆の失敗以降の消息は語られない。

エヴァ・ブラウン (えゔぁぶらうん)

ヒットラーの愛人。ナチス党の公式写真家ホフマンの助手としてヒットラーと出会い、ヒットラー私有の別荘などで彼の身の回りの世話をするようになる。1945年、敗戦間際のベルリンの地下壕内でヒットラーと結婚し、共に自殺した。

ゲリ

ヒットラーの異母姉の娘。ヒットラーの出獄後、オーバーザルツブルグの山荘で初めて登場する。母親が山荘でヒットラーの身の回りの世話をするようになったため、ゲリも家族としてヒットラーに親しみ、『我が闘争』の口述筆記なども任されるようになった。ヒットラーはゲリを溺愛し、過保護とも言える干渉を彼女に強いた。 それが原因なのか、ゲリは自殺してしまう。ヒットラーは彼女の死に狂乱し、その後もしばらく錯乱状態が続いた。

アウグスト・クビツェク (あうぐすとくびつぇく)

オーストリア出身の音楽家で、ヒットラーの青年時代の親友。ヒットラー不遇の時代を良く知る人物である。一時ウィーンの下宿屋で共同生活を送っていたが、ヒットラーがウィーンを離れたことで、関係は絶たれる。後に両者は、ドイツ総統とオーケストラ指揮者として再会するが、その様子は劇中では間接的にしか描かれなかった。

ムッソリーニ

イタリアの独裁者。ヒットラーおよびドイツのナチス党政権の同盟者となる。ただし、同盟の条件や具体的な協力体制はほとんど描写されず、時折困った事態を引き起こす制御しにくい味方、といった描かれ方をしている。何度かヒットラーの援助を受けるが、最終的には政権を失い、愛人と共に殺害されたというニュースが、自殺直前のヒットラーのもとに届けられる。

チェンバレン

イギリスの首相で第二次世界大戦前にヒットラーとの外交交渉を重ねた。劇中では、両者の外交戦は常にヒットラー側が目的を達する形で終わっており、有能な政治家とは言い難い描かれ方をしている。

集団・組織

国家社会主義ドイツ労働者党 (こっかしゃかいしゅぎどいつろうどうしゃとう)

『劇画ヒットラー』に登場する政党。前身は党員も少ない泡沫政党だったドイツ労働者党で、ここにヒットラーが入党した翌年の1920年に国家社会主義ドイツ労働者党へと党名を変更した。やがてヒットラーが党首となり、それと共に支持者・党員を増大させていく。1923年、ミュンヘン一揆の失敗により、一旦は解散させられるが、翌年末にヒットラーが監獄から解放されると、間もなく再結成された。 以後ヒットラー個人の独裁政党として成長を重ね、ドイツの政権党にまで上り詰めていく。

イベント・出来事

ミュンヘン一揆 (みゅんへんいっき)

『劇画ヒットラー』内で描かれている歴史上の事件。1923年、ドイツ中央政府と対立していたバイエルン州の首都ミュンヘンを舞台に、ヒットラーら国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス党)を含むドイツ闘争連盟が起こしたクーデター。このクーデターそのものは失敗に終わり、ヒットラーも被告人として裁判に処されるが、公判の場で彼が振るった愛国的熱弁が大いに話題となり、結果的にはヒットラーの声望を高めることとなった。

その他キーワード

我が闘争

『劇画ヒットラー』で、主人公のヒットラーが著した書物。第一巻がミュンヘン一揆でヒットラーが投獄されたランツベルグ刑務所内で、第二巻がオーバーザルツブルグの山荘で執筆されている。どちらも口述筆記であり、第一巻はルドルフ・ヘス、第二巻は姪であるゲリが筆記者となったことが劇中で描かれている。 ただし、その内容についてはほとんど触れられていない。

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