エリオットひとりあそび

エリオットひとりあそび

1969年のアメリカを舞台に、複雑な家庭環境に暮らす15歳の少年と年上の女性との心の交流や成長を描く。ベトナム戦争をモチーフに使いながらも、詩的で美しい物語世界を作りだしている。「ぶ~け」1982年10月号から1983年7月号にかけて掲載された作品で、コミックス刊行にあたり61ページ分の加筆がなされている。

正式名称
エリオットひとりあそび
ふりがな
えりおっとひとりあそび
作者
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概要・あらすじ

15歳のエリオット・ブルーは、亡くなった父親の家で1969年10月1日から一人暮らしを始めた。その夜、海岸に向かったエリオットは、3年前、父親が死んだ時のことを思い出していた。そんなエリオットに、エレーン・ネイティが声をかける。エレーンの姿に、3年前に出会った女性を思い出すエリオットだったが、「まさか同じ人物ではあるまい」と、その考えを否定。

その後、エリオットはエレーンに惹かれていくが、彼女は戦争に行った恋人のヘンリーの帰りを待っていた。

登場人物・キャラクター

エリオット・ブルー (えりおっとぶるー)

15歳の少年で、鳥に好かれやすい体質。母親の浮気を原因とする両親の離婚後、父親に引きとられた。軍人で家を空けがちな父親に代わって、叔母に面倒を見てもらっていた。ベトナム戦争で父親を亡くした後、いとこたちに気を使う生活に疲れて、一人暮らしをすることになった。3年前、父親の死の知らせを受けて、海岸で泣いていた時に、帽子に入った鳥を抱くエレーン・ネイティと出会った。 15歳になって一人暮らしを始めた後、エレーンと再会し、不思議な共鳴を覚える。

エレーン・ネイティ (えれーんねいてぃ)

エリオット・ブルーの暮らす街で、一人暮らしをしている体の弱い女性。健康のためにダンスをしており、かなりの腕前だが、人に見せることはあまりない。優しく朗らかで、町の若者たちからも言い寄られている。それに応えることなく、戦争に行ったきり戻らない恋人のヘンリーを待ち続けている。

アレキサンダー・ゴールドスミス (あれきさんだーごーるどすみす)

派手な身なりの男性で、絶大な人気を誇る写真家。エリオット・ブルーに出会い、その瞳を撮りたいという願望を抱く。しかし同時に、エレーン・ネイティに惹かれているエリオットが、帰るあてのない恋人を待ち続けている彼女の心を、かき乱す原因になるのではないかと危惧してもいる。そのため、親友であるヘンリーの安否を確かめようと、単身ベトナムへ渡る。

ラウル・ファルキンバーグ (らうるふぁるきんばーぐ)

一人暮らしの初老の男性。昔は空軍にいたが、今は沿岸警備員をしている。若くして一人暮らしをしているエリオット・ブルーを気に掛け、年齢の離れた友人関係を築く。空軍にいた頃に海に落ちた際、自分が翼を持って自由に飛ぶことに憧れを抱いていたことに気づく。自分の憧れを叶えている鳥たちは嫌いだが、生まれ変わったら鳥になりたい、とエリオットに語る。

ヘンリー

エレーン・ネイティの恋人の男性。3年前、飼っていた鳥をエレーンに託して、ベトナム戦争に行ったが、その後の行方がわからなくなっている。反戦家であったため、最前線に回されたとの噂がある。医者の卵で、平和主義者ということもあって戦いには向かず、アレキサンダー・ゴールドスミスからは、既に生きていないだろうと思われている。

スザンナ・キャサディ (すざんなきゃさでぃ)

エリオット・ブルーの家の隣に住んでいる独身女性。エリオットが転入することになった学校の教師。何ごともそつなくこなし、「平均点」を取り続けるエリオットに、どこか引っ掛かるものを感じている。妻を亡くした同僚の男性教師から熱烈なアプローチを受けているが、曖昧にかわし続けている。

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