火の玉ボーイ

火の玉ボーイ

湘南や横須賀を舞台に、度胸はあるが普段は喧嘩に弱い高校生・火野玉男が、空腹になると発揮される「ハングリーパワー」で、部活動に喧嘩にと活躍する。各話のサブタイトルは、国内外のロックを中心とした曲名から採られている。

正式名称
火の玉ボーイ
ふりがな
ひのたまぼーい
作者
ジャンル
バンド
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

父親・火野麻郎を探して湘南にたどりついたタマこと火野玉男は、現地でウィンドサーフィンを巡る若者たちの抗争に巻き込まれ、驚異的な力を発揮して解決する。神大寺桃子とその祖父に気に入られたタマは、父とも再会し、共に湘南で暮らすことになる。神大寺桃子の祖父が校長を務める真昼野高校に転入したタマは、不良校・斜陽学園をはじめとする様々な悪人の陰謀に巻き込まれるが、空腹になると発揮される凄まじいパワーで危機を突破し、友人たちの信頼を集めていく。

時には恋や友情に悩みながら、タマは高校卒業後の、自分自身の目標を見つけ出していく。

登場人物・キャラクター

火野 玉男 (ひの たまお)

行方不明の父親を探して湘南に現れた、高校生の少年。普段は度胸がある割に喧嘩に弱いが、寝起きの不機嫌や酒、空腹、怒りによって理性のタガが外れ、超人的なパワーを暴走気味に発揮する。特に空腹時は「ハングリィ!」と叫びながら暴れ、強い怒りを感じた時は「アングリィ!」と叫んで更に強力な力を発揮する。 普段からかなりの大食漢で、特にステーキやスキヤキなど牛肉料理を好む。父のマーローと共に各地を転々としていたため転校が多く、真昼野高校へ転入する前は都内の進学校にいた。そのため自分を頭の悪い落ちこぼれと思い込んでいたが、普通の高校レベルでは優秀な学力を持つ。湘南でウィンドサーフィンを巡る抗争に巻き込まれた際に知り合った、神大寺桃子や足柄山金太郎と強い友情を結ぶ。 空腹時のハングリーパワーを活かしてテニス部、陸上部、文化祭でのミュージカルバンド、沖縄でのトライアルレース、アイスホッケー同好会に関わる。母親に似た気配を持つ同級生・暮林真理子や、アイスホッケーで敵対した杏藤摂子らと淡い恋愛関係になり、神大寺桃子も含め穏当な四角関係になるが、卒業間際に解答を出した。 三年生になり自分の目標がない事に悩んでいたが、斜陽学園を掌握した「もう一人のタマ」との抗争をきっかけに教師となることを目指し、東大を受験する。

神大寺 桃子 (じんだいじ ももこ)

湘南の寺に住み、真昼野高校に通う少女。父は外務省の役人でパリにおり、姉の神大寺愛鈴はロンドンに在住。ウィンドサーフィンを巡る抗争にタマと共に巻き込まれ、友情を結んだ。タマの父・マーローからタマを暴走させる手段を聞き、しばしば彼のハングリーパワーを(ステーキで釣るなどして)発揮させるキーとなる。 真昼野高校の校長を務める祖父がタマとマーローを離れに住まわせているため、タマとは同居同然の生活を送るが、仲は進展せず友人のような関係が続いた。暮林真理子の出現からタマへの恋を自覚するが、暮林真理子とも友情を結び、穏やかな三角関係となる。 敵対関係にあった杏藤摂子がタマへ恋した事に当初は反発したが、やがて認めて仲間に迎えた。高校卒業後は絵本作家を志し専門学校に進む。タマの東大受験当日に虫垂炎を発症し、心ならずもタマの受験を妨害してしまったが、最終的にタマと相思相愛になる。

足柄山 金太郎 (あしがらやま きんたろう)

モンの紹介でタマにウィンドサーフィンを教えた男。「冷血人間」とも呼ばれるほどクールで不親切との評判だったが、タマに興味を抱き、一歩身を引いた立場を保ちながらも親友となる。本名で呼ばれることを非常に嫌い、普段は「キイ」の名でバンド活動を行っており多くのファンを掴む。湘南や横須賀の不良たちにも名が通っており、多くの場合、キイの名を出すだけで不良たちを退散させる。 実は世界有数の大財閥「足柄山財閥」の御曹子だが、会長である父を憎んでおり、別居してマンション暮らしをしている。アメリカ留学などの事情もあって、タマたちより2歳年上だが真昼野高校では同学年。ミュージシャンとしての実力は高く、帰国した神大寺愛鈴を含むイギリスのトップアーティストにスカウトされ一時渡英する。 母を死に追いやったとして父を憎んでいたが、時にはその父の名を利用することも辞さず、父が海外で拉致された時には自ら救出に向かった。タマと共に東大を受験し合格するが腕ならしに過ぎず、ハーバード大へ進学する。

火野 麻郎 (ひの まーろー)

タマこと火野玉男の父で、探偵業を営む。普段は「マーロー」とだけ名乗り、本名の読みは不明。仕事のためタマを置いて湘南に住み着いていたが、ウィンドサーフィンを巡る若者たちの抗争を経てタマと再会。そのまま同居する。モンと和尚の家の離れに下宿していたが、探偵業では信用されないと考え、当初は税理士を名乗っていた。 妻の暁子はインテリアデザイナーとしてニューヨークにおり、関係は良好だが離婚しているかどうかは不明。普段は飄々としてやや頼りない放任気味の父親だが、キイの父親が海外で拉致された際には、キイやタマ、傭兵部隊らと共に活躍した。頭の上に10円ハゲがあり、それを笑われるとタマと同様の「元祖アングリーパワー」が発動する。 探偵になる以前の経歴は不明で、東大をはじめ有名大学の偽造と思われる卒業証書を多数所持しているが、知り合いの刑事には「東大出の元エリート検事」と呼ばれていた。

神大寺校長 (じんだいじこうちょう)

神大寺桃子の祖父であり、真昼野高校の校長。寺の住職であり、親しい者からは「和尚」と呼ばれる。小柄で気さくな老人であり、真昼野高校の行事でもファンキーな挨拶を飛ばす。税理士を名乗るマーローを家の離れに住まわせ、またそうとは知らずマーローの息子のタマを気に入り、家に迎え入れた。 転入試験を不安視するタマを独断で入学させるなど、タマやその仲間たちにはかなり甘い裁量をとる(ただし、タマは普通に編入試験を受けても軽く合格したと思われる)。

陰田 剣造 (いんだ けんぞう)

真昼野高校の教師で、タマやモンらの三学年を通しての担任。多くの生徒から「インケン」と呼ばれ嫌われている。厳格な性格で、転校当初は問題児だったタマを敵視していた。顧問を務めるテニス部にタマを押し込んで、部員たちにシゴかせようとするが、外見は強面ながらもテニスには真摯である部員たちがタマと打ち解け、また斜陽学園テニス部との抗争をきっかけに、本気でタマへテニスを教え込む。 自ら語った過去によれば、大学時代は全日本選手権で無敗を誇った帝王で、見えないほど速いスイングと、ボールが発火するほどのショットを持つテニスプレイヤーだった。その一方、大学受験に失敗して二浪した過去も持っており、東大受験に失敗して落ち込むタマを励ました。 独身。

暮林 真理子 (くればやし まりこ)

真昼野高校陸上部のマネージャーで、タマとは同学年。タマが自分の母と似た気配を感じ、恋をした相手。当初は陸上部のキャプテンと交際していたが、裏切りに会い男性不信となる。しかし徐々にタマやモンと打ち解け、大胆で冗談も飛ばす性格を覗かせるようになった。母親の涼子は、タマの母である暁子の双子の妹であり、タマの従姉妹にあたる事が後に判明する。 その後もタマへの恋心は募り、モンとは穏やかな三角関係となる。修学旅行先の京都では、母の故郷であり自らも幼少期を過ごしていた嵐山を訪れ、タマを祖父母と再会させた。卒業間際にタマからふられるが、その後、花園薫の告白を受ける。 文系の大学へ進学した。

花園 薫 (はなぞの かおる)

真昼野高校の生徒で、陸上部部員。暮林真理子と交際していたキャプテンが退部してからは、新たなキャプテンとなる。体育祭で活躍するタマを見て陸上部に誘い続け、やがて部活動以外でも行動を共にするようになる。キイに感化されバンド活動にも興味を持ち、K2こと高橋圭二との出会いからアイスホッケー同好会にも参加した。 かつて暮林真理子に告白してふられており、その後も片思いを続けていたが、タマのことを案じて身を引いていた。卒業間際、タマにふられた暮林真理子の前に現れ、改めて告白し、受け入れられる。体育大に進学。

高橋 圭二 (たかはし けいじ)

北国から来た転校生で、真昼野高校でタマ達の同級生となる。アイスホッケー部の設立を目指しており、まず同好会を作るためタマ達を誘った。一学年下に「PEE(ピー)」、BOO(ブー)と呼ばれる(本名は不明)双子の弟がおり、やはりアイスホッケー同好会メンバー。物腰が柔らかく穏やかな面持ちだがアイスホッケーには非常に真剣で、試合中は荒々しい一面も見せる。 斜陽学園の女子アイスホッケー部とは一時敵対したが、改心して杏藤摂子と共に転校してきた順子と交際を始める。二度女装させられ、その時は「K子」と呼ばれた。

杏藤 摂子 (あんどう せつこ)

斜陽学園アイスホッケー部の部長で、女子だけで構成されるチームのリーダーを務める。満月を見ると「マンスリィ!」と叫んで凶暴化し、空腹時のタマと同等の力を発揮する。真昼野高校アイスホッケー同好会と敵対するが、試合を通じてタマに恋をする。一時は誤解からモンと暮林真理子に敵視されるが、やがて改心して真昼野高校へ転校し、良好な関係となる。 しばしばタマと一緒に暴れ、その際は二人で「マングリィ!」と叫ぶ。卒業間際にタマにふられ、キイに慰められた。卒業後は警察官を目指す。

神大寺 愛鈴 (じんだいじ えり)

神大寺桃子の姉で、普段はイギリスに在住。ロックミュージシャン・アイリーンとして世界的に活躍し、特にロンドンの不良少年たちにとってはカリスマ的存在となっている。「トサカ頭」などと呼ばれる、1980年代の日本ではかなり目立つ髪形が特徴。キイとも旧知で、帰国した際にキイをスカウトしてイギリス行きを誘った。 キイの父親が拉致された際にも、救出作戦に参加した。

カステラ

本名は不詳。斜陽学園でいじめを受ける、メガネと長髪が特徴の少年だった。「カステラ」のあだ名は、その頃受けていたいじめの通称から。メガネを外し短髪にするとタマと瓜二つの容姿となる。斜陽学園の生徒らが持つタマへの恐怖心をも利用し、巧みな話術で生徒たちを洗脳していった。 さらに学習塾「登龍ゼミナール」を拠点として、「バール」という合言葉と共に他校の生徒らを次々に洗脳していった。タマのクラスメイトや暮林真理子も洗脳され、タマや仲間たちに危害を加える。理事長を拉致して斜陽学園と暴力団の武力を用い、勢力をさらに広げようとするが、タマと仲間たち、そして過去に敵対した者らが集結した抵抗勢力の反撃を受け、敗れた。

集団・組織

真昼野高校 (まひるのこうこう)

『火の玉ボーイ』の舞台のひとつ。湘南に存在し、タマたちが通う共学の高校。モンの祖父である和尚が校長を務め、自由な校風を持つ。学業、スポーツとも特に目立つ成績は上げられていない様子で、タマとキイが受験するまで東大合格者を輩出したことがなかった。近隣にある不良校・斜陽学園から、生徒たちがしばしば被害を受ける。

場所

斜陽学園 (しゃようがくえん)

『火の玉ボーイ』の舞台のひとつ。真昼野高校の近隣にある、不良学生の巣窟とされる高校。理事長が暴力団・斜陽会の会長であり、不良生徒たちの悪事はほとんどが表沙汰にならないでいる。スポーツの大会では対戦相手を闇討ちなどで陥れることが多く、テニス部と女子アイスホッケー部は高い技量を持ちながらも卑怯な手段を辞さず、タマと衝突した。 後に、タマそっくりの、かつてカステラと呼ばれていた生徒に多くの者が洗脳され、他校の生徒も巻き込み巨大な集団となってタマと仲間たちを襲った。

SHARE
EC
Amazon
logo