[新約] 魔法少女おりこ☆マギカ sadness prayer

[新約] 魔法少女おりこ☆マギカ sadness prayer

TVアニメ『魔法少女まどかマギカ』の外伝作品。最悪の未来を予知した魔法少女の美国織莉子が、呉キリカと共に魔女や敵対する魔法少女と戦いつつ、予知の元凶たる存在に立ち向かっていく魔法少女ファンタジー。ムラ黒江の『魔法少女おりこ☆マギカ』をリニューアルした内容となっており、美国織莉子と呉キリカの日常や関係性を、より詳細に描いている。「まんがタイムきらら☆マギカ」2015年10号から2017年30号にかけて連載された作品。

正式名称
[新約] 魔法少女おりこ☆マギカ sadness prayer
ふりがな
しんやく まほうしょうじょおりこ まぎか さっどねす ぷれいやー
漫画
ジャンル
魔法使い・魔法少女
関連商品
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概要・あらすじ

あらすじ

第1巻

見滝原市長の娘である美国織莉子は、成績優秀かつ眉目秀麗、人望も厚く学校中の羨望を集めていた。しかし、そんな織莉子の評価と学校生活は、父親の美国久臣の自殺をきっかけに一変する。父親の死は汚職疑惑をかけられた上での不名誉な事件であったため、遺された織莉子は学校で陰口を言われるようになっていた。だが、キュゥべえと契約し魔法少女となっていた織莉子は、契約で手に入れた予知によって、見滝原市に訪れる「絶望の未来」を予知した事で、周囲の陰口どころではなくなっていた。一方で、陰口を言う者達に言い返さない織莉子を見て苛立つ浅古小巻は、織莉子を気にかけつつ彼女に真正面からぶつかろうとする。織莉子もそんな小巻の姿勢を快く思いながらも軽く流していたが、織莉子は自身が予知した未来をいかにして覆すかという、大きな悩みも抱えていた。織莉子は見滝原市を守るために、「誰も倒せない魔女」となる鹿目まどかの消去が必要だと考える。しかし織莉子は同時に、「未来のためにまどかを消す事が本当に正しい事なのか」という葛藤で苦悩し続けていた。そんなある日、織莉子は小巻が魔法少女として魔女と戦っている姿を目撃する。

第2巻

美国織莉子は返り討ちにした呉キリカを手駒として従え、グリーフシードを集めるために彼女に魔法少女を狩るよう命じる。闇雲に魔法少女を襲うキリカは、織莉子の友人と知らずに浅古小巻を殺害してしまう。しかし、友人を殺した事を責めない織莉子に対し、キリカは崇拝と盲信のような感情を抱く。織莉子を慕う内にキリカは次第に倫理観が壊れて歪んでいき、彼女のあらゆる命令に忠実に従うようになる。そんな中、風見野市では魔女を使って魔法少女狩りをしている優木沙々によって、人見リナの仲間が何人も殺害されていた。仇討ちのために追って来るリナ達から逃れるために見滝原市を訪れた沙々は、単独で戦いを挑んで来た美緒と対峙。しかしそこにキリカが乱入し、攻撃を受けた美緒は死亡する。キリカを通して織莉子と出会った沙々は、互いの目的のために織莉子達と手を組む事となる。一方、沙々を追って見滝原市にやって来たリナ達は美緒が何者かに殺された事を知り、そのまま見滝原に留まって再び沙々を捜し出そうとする。しかし、佐木京は次々と仲間が犠牲になる中で、沙々を追い続けるリナ達の強引な行動に一人で不満を抱いていた。

第3巻

優木沙々が保管していた大量のグリーフシードを求めて、美国織莉子呉キリカ風見野市を訪れていた。市内で活動していた魔法少女が減った事で、風見野市では狩られる事が少なくなった魔女の被害が増えつつあった。そこで以前から囮として利用していた千歳ゆまの姿を見た織莉子は、次第にゆまに関する予知のビジョンが浮かぶようになり、ゆまと自分の過去を重ねる織莉子は苦悩し体調を崩してしまう。ゆまは魔法少女の素質こそあったものの、キュゥべえからは「幼すぎる」と評され、契約はしないまま佐倉杏子といつもいっしょに行動していた。杏子はゆまが魔法少女になる事を望まず、自分とは違う道を歩んでほしいと願っていたが、魔女に襲われた事で事態は急変。一方、幼さと弱さを盾にして杏子に守られるだけのゆまを見るたびに、織莉子はかつての自分の弱さを思い出しそうになっていた。織莉子はゆまも変わるべきだと考え、キュゥべえに接触しつつゆまを焚きつける。織莉子を通して杏子が魔女に襲われている事を知ったゆまはキュゥべえと契約を交わし、幼い魔法少女として戦いに身を投じるのだった。

第4巻

巴マミと遭遇した呉キリカは彼女に襲いかかるものの、返り討ちにされピンチに陥っていた。美国織莉子は間一髪でキリカを助けてその場を逃げ出し、家で介抱するものの傷が回復せず、さらにキリカのソウルジェムにはヒビが入っていた。目を覚ましたキリカの言葉で、美国久臣のまだ見ぬ遺品の存在を察した織莉子は、書斎で久臣の手帳を発見。それには、八重樫健三郎にはめられ、苦悩していた久臣の日記が記されていた。八重樫への復讐を決意した織莉子は、単独で彼の屋敷を訪れる。しかし織莉子は八重樫から、久臣が自殺した本当の理由を聞きショックを受けてしまう。一方、過去の夢を見ていたキリカは、自分がソウルジェムに願った本当の願いを思い出す。すべての者から織莉子を守ろうとするキリカは織莉子のもとへ向かうが、そこには自暴自棄になった織莉子の姿があった。織莉子を諭すキリカは、ソウルジェムの変化で自分がもうすぐ魔女になってしまう事を告げる。だが、それはただの魔女化ではなく、キリカがかつて願った「織莉子にふさわしい者に変わり続けたい」という願いが引き起こした現象であった。キリカは魔女になっても織莉子の願いを叶える存在であろうと、織莉子に誓うのだった。

登場人物・キャラクター

美国 織莉子 (みくに おりこ)

白羽女学院に通う中学3年生の女子で、見滝原市の市長を務める美国久臣の娘。成績優秀かつ眉目秀麗、人望も厚い優等生として学校中の羨望を集めていた。しかし、久臣が自殺した事件によって評価が一変し、周囲から腫れ物扱いされ、陰口を言われるようになる。これによって自分が「市長の娘」としての価値しかなかった事を悟り、生まれて来た意味に思い悩んでいた。その際に出会ったキュゥべえと契約し、「生きる意味を知りたい」という願いと引き換えに魔法少女となる。魔法少女としての固有魔法は予知(未来視)で、予知夢を見たり、未来に起こり得る光景が突如脳裏に浮かぶ事もある。予知魔法が発動すると魔力を大きく消耗するため、自ら戦闘するのは極力避けている。契約したばかりの頃に、見滝原市に災いが降りかかる「絶望の未来」を予知する。以来、その未来を回避するために活動しているが、そのために必要な鹿目まどかの消去が本当に正しい事なのかと葛藤し、苦悩し続けている。冷静で温和だが警戒心が強く、つねに慎重に行動する。目的のためであれば周囲の者を利用するなど、冷酷な一面も持つ。のちに遭遇した呉キリカを返り討ちにして従え手駒とし、彼女にグリーフシードを集めさせている。

呉 キリカ (くれ きりか)

見滝原市で活動をしている魔法少女。美国織莉子に強い崇敬の念を抱くあまり倫理観がほぼ完全に崩壊しており、織莉子のためだと思えば、殺人を含むありとあらゆる行為を行う。特に魔法少女は織莉子の障害になりがちなため呉キリカに殺される者も多く、一部では「黒い魔法少女」と呼ばれて恐れられている。もっとも、織莉子にとって不利益なことを行うのは本意ではないので、できる限りは彼女の命令に従って事を起こすことが多い。 変身時は先端に鉤爪のついた棒状の武器を扱い、速度低下の固有魔法を使う。

暁美 ほむら (あけみ ほむら)

見滝原市で活動している魔法少女。魔法少女になった背景から目的までが一切謎に包まれている。ただし、ある少女が傷つけられる可能性が少しでもある場合は率先して動き、その都度阻止している。そのため、美国織莉子からは守護者と呼ばれ警戒されているが、ある少女を守るためには手段を選ばないという暁美ほむらの行動原理を逆手に取った織莉子に、敵対する魔法少女を排除するため利用されたこともあった。

キュゥべえ

白いぬいぐるみのような外見を持つ謎の存在。第2次性徴期の少女と契約を交わすことで、魔法少女に変身する能力を授けることができる。しかし、必ずしも魔法少女の味方というわけでもなく、美国織莉子を何らかの理由で危険視しており、彼女を排除するために暗躍している。

浅古 小巻 (あさこ こまき)

見滝原市で活動している魔法少女。気が強く、曲がったことが嫌いな性格。美国織莉子とは同級生で強烈なライバル心を抱いているが、彼女が魔法少女であることは知らない。ある時、変身前の織莉子が魔女結界に訪れた際、織莉子を巻き込まれた一般人と誤認。魔女を倒し織莉子を救出するが、自分が魔法少女であることを知られてしまったため、ちょっかいを掛けられなくなってしまう。

行方 晶 (なのかた あきら)

見滝原市に暮らす中学生の男子で、浅古小巻、および浅古小糸の友人。明るくひょうきんな性格で、暴走しがちな小巻の抑え役にまわることがしばしばある。小巻が魔法少女であることは知らず、小糸から近頃小巻の様子がおかしいという話を聞いて密かに尾行していたところ、小巻と呉キリカによる魔法少女同士の争いを目撃してしまう。

浅古 小糸 (あさこ こいと)

見滝原市に暮らす中学生の女子。浅古小巻の妹で、行方晶の友人でもある。姉の小巻が魔法少女であることは知らないが、彼女の奔放な性格に手を焼いている。近ごろ夜中に外出することが多くなった彼女を心配し、晶に相談を持ちかける。

優木 沙々 (ゆうき ささ)

風見野市で活動している魔法少女。一見人懐っこいが、心根は非常に悪辣。人見リナたちの仲間である魔法少女を殺害したため、仇として付け狙われて見滝原市へ逃亡。追ってきたリナたちと交戦した末に、美国織莉子および呉キリカと出会い、お互い利用し合う形で手を組む。戦闘能力は高くないが、洗脳の固有魔法を持つ。

人見 リナ (ひとみ りな)

風見野市で活動している魔法少女。スタンバトンから電撃を発生させ、攻撃能力を備えた結界を作り出すことができる。正義感が強く勇敢な性格で、優木沙々を倒すために仲間の魔法少女と共に見滝原市へやってきた。かつて姉の人見マナが自分をかばう形で事故死しており、母親にそのことを責められ続けて絶望していた。その際にキュゥべえと出会い、母親から姉の記憶をなくすことを願い事にして、魔法少女となった。 誰かから責められることに、病的なまでのトラウマを抱えている。

朱音 麻衣 (あかね まい)

風見野市で活動している魔法少女。古風な喋り方をする長身の少女。人見リナおよび佐木京の仲間で、優木沙々を倒すため、仲間たちと共に見滝原市を訪れる。長刀を武器としており、呉キリカと互角に渡り合うほどの集中力を持つ。

佐木 京 (さき みやこ)

風見野市で活動している魔法少女。アニメなどの魔法使いに憧れて魔法少女になったという風変わりな女の子。人見リナたちの仲間として優木沙々と戦うために見滝原市を訪れるが、リナの強引とも言えるやり方に疑問を抱く。その疑念を美国織莉子に利用されてしまう。

美国 久臣 (みくに ひさおみ)

美国織莉子の父親。名家である美国家の末弟で、優しい心の持ち主で、また理想家的な面もある。弁護士を営んでいたが、見滝原市の発展に貢献したいと考え、選挙に出馬。見滝原の市議会議員となる。織莉子にとっても自慢の父親だったのだが、のちに汚職の嫌疑をかけられ、失意のうちに自ら命を絶ってしまう。彼の死は、残された家族に大きな傷を残すこととなった。

美国 寿美 (みくに すみ)

美国久臣の姉。久臣が汚職の果てに自殺をしたという事実を受け、家族から距離を置いている。美国家の家名に誇りを抱いており、それを傷つけた久臣をよく思っていない。しかし、美国公英から家名に囚われていることを指摘されて動揺する。美国織莉子からは幼い頃から良い印象を持たれておらず、美国寿美も彼女に対して恐怖心と警戒心を抱いている。

美国 公秀 (みくに きみひで)

美国久臣および美国寿美の兄。衆議院議員で、現在は美国家の家長を務める。内心では家の威光を借ることを嫌っており、弟妹に対して家名に縛られないように求めている。美国織莉子からは、久臣を切り捨てたとして憎まれているが、実際は密かに久臣を高く評価していた。また織莉子のことも気にかけており、久臣のような結末を迎えないようにと願っている。

場所

見滝原市 (みたきはらし)

近代化が進んだ地方都市。美国織莉子や呉キリカらが住んでいる。美国久臣はかつて、この街で市議会議員を務めていた。織莉子の予知によると、近い未来に絶望の結末が待っているとされており、織莉子はその結末を防ぐため、行動を続けている。

風見野市 (かざみのし)

見滝原市の隣に位置する都市。佐倉杏子や人見リナ、朱音麻衣、佐木京など、大勢の魔法少女が拠点としている。しかし、最近では魔女の被害が激増しており、リナが調査したところ、優木沙々の仕業であることが判明。被害を防ぐため、沙々とリナの一派の間で戦闘状態に陥っている。

その他キーワード

魔法少女 (まほうしょうじょ)

魔法を使い、魔女を狩る使命を課せられた少女たち。キュゥべえと契約することによって変身が可能となる。契約の際には願い事をひとつだけ叶えることができ、魔女に対抗するための強力な身体能力と専用の武器を獲得できる。また、叶えた願いに応じた固有魔法を使用することも可能となる。しかし魔法少女としての使命は過酷なもので、願い事を叶えるだけのリスクが存在する。

魔女 (まじょ)

世界を脅かし、人間の害となる謎の存在。魔女と呼ばれてはいるが、生物とすら呼べないような不可思議な姿形をしているものが多い。普段は結界の中に潜んでおり、ターゲットに選定した人間を結界の中に引きずり込む。引きずり込まれた人間は自ら命を絶つか、魔女に命を奪われてしまう。

ソウルジェム

魔法少女の契約を行った際に、身体から分離する宝石状の物質。魔法少女の証であるとされる。魔法を使用することによって黒く濁っていき、それに応じて身体能力の低下や魔法の制限など、さまざまなデメリットに見舞われてしまう。これを回復するには、魔女を倒し、グリーフシードを使って浄化する必要がある。

グリーフシード

魔女が撃破される際に落すことのある謎の物体。黒一色で円形のアクセサリーのような形状をしている。魔力を消費して濁ったソウルジェムを接触させることにより、濁りを浄化することができる。魔法少女は魔法を使うほかに、肉体の維持にも魔力を費やす。グリーフシードが魔力を回復させる唯一の品であるため、事実上、グリーフシードは魔法少女が生存するための必須アイテムとなっている。 そのため、グリーフシードの奪い合いで魔法少女同士が争うことも少なくない。

予知 (よち)

美国織莉子が所有する固有魔法。彼女がキュゥべえと契約する際に願った「自分が生きる意味を知りたい」、という願い事から発現した。夢や幻覚という形で、近い未来に起こり得る事象が頭の中に入ってくるものだが、提示された未来は織莉子自らが介入することによって、変えることが可能である。しかし、魔法をコントロールすることができないため、自分の意思で未来を予測することはできない。 突発的に発動するうえに、発動時には魔力を大きく消費してしまうため、戦闘時には大きなリスクとなりうる。

速度低下 (そくどていか)

呉キリカが所有する固有魔法。キリカは魔法少女になる際、キュゥべえに何を願ったか覚えていないため、どのような願いから発現したのかは不明。相手の速度を低下させる力場を発生させる効果があり、この魔法を受けた相手はキリカの速度が上昇したように錯覚する。キリカは近接戦闘に秀でており、この魔法を併用して反撃の隙を与えず撃破するスタイルを得意としている。

洗脳 (せんのう)

優木沙々が所有する固有魔法。キュゥべえと契約する際に願った「自分より強い者を従わせたい」という願い事から発現した。ありとあらゆる存在を自らに従わせるという非常に強力な魔法で、魔法少女や魔女すらも支配下に置くことができる。沙々はこの能力で魔女を使役し、敵対する魔法少女や魔女を屠(ほふ)っている。また、使役する魔女のエサとして、一般人を毒牙にかけることもあった。

クレジット

原案

Magica Quartet

関連

魔法少女おりこ☆マギカ

本作『[新約]魔法少女おりこ☆マギカ sadness prayer』のもとになった関連作品として、ムラ黒江の『魔法少女おりこ☆マギカ』がある。絶望の未来を予知した魔法少女・美国織莉子が、未来を変えるために呉キリカと共に暗躍する魔法少女ファンタジーであり、基本的な設定や登場人物は本作と同じだが、細かいストーリー展開などが異なる。

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