愛ダンサー

愛ダンサー

横浜を舞台にラブダンサーと呼ばれその名を轟かせる一匹狼の走り屋半次郎が、命懸けのレースで亡くしたライバルの走り屋集団グループF1日本のボス原鷹との約束の為に、名前も告げず原鷹の妹で目の不自由な原朝乃の手術費用を出し、借金取りから追われる日々を描いたカーアクション漫画。

正式名称
愛ダンサー
ふりがな
らぶだんさー
作者
ジャンル
アクション
 
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概要・あらすじ

横浜では名の知れた一匹狼の走り屋ラブダンサーこと半次郎は、ライバルの走り屋集団グループF1日本のボス原鷹と、深夜の操車場で遺言状を取り交わした一対一の勝負を行う。しかし、レースの途中で起きた不慮の事故で原鷹は命を落としてしまう。半次郎はやって来たグループF1日本の一団に気付くと、とっさに車内に落ちた首を抱えてその場を立ち去り、原鷹と暮らすたった一人の妹原朝乃の元へと向かう。

そこには目が不自由な娘が兄の帰りを待っていた。ライバルは、時には無二の親友となる。勝負で取り交わした遺言には、自分が死んだらその眼を妹に移植して欲しいと書かれていた事から、友の遺志を貫きたい一心の半次郎は、手術の費用をサラ金から借りて工面し、名前も告げずにそっと術後の回復を見守る事にする。

その間も半次郎の所には荒っぽい借金取りからの執拗な取り立てが続いていく。

登場人物・キャラクター

半次郎 (はんじろう)

横浜で暮らす一匹狼の走り屋。具志堅用高のパートナーも務めた事のあるボクサー崩れで、ハンドルを握らせれば車はダンスを踊ると言われるほどの腕前。愛車はホンダ・シティ・ターボの改造車だが、本人は改造ではなくシェイプアップして綺麗に化粧をさせた恋人だと言っている。男は中身で勝負する事が持論で、車の性能やナンバーに拘る者にはドライバーならば腕を誇れと喝を入れる。 走り屋のライバルグループF1日本のボス原鷹と一対一で命懸けの勝負を行うが、その際に不慮の事故で原鷹が命を失ってしまう。取り交わした遺言状に、自分が死んだら妹に目を移植して欲しいと書かれていた事から、友の遺志を貫きたい一心の半次郎は、サラ金から借りた金で原朝乃の手術費用を出す。 恋人はミュージカルスターを夢見るケイ。

原 朝乃 (はら あさの)

半次郎が勝負をしたライバル原鷹と2人暮らしをしている妹。目が不自由な為、兄の首を持って現れた半次郎が誰かも分からず、ずっと兄の帰りを待ち続けていた。原鷹の遺言を貫こうと決めた半次郎がサラ金から工面した金で手術を受け回復に向かっていくが、半次郎の正体は知らず、目が見えるようになったら毎週病室に花を届けてくれるその人に会ってみたいと思うようになる。 原鷹の友人だと名乗る男からは半次郎は兄を殺した邪魔な悪党だと聞かされ、きっと恐ろしい男に違いないと思い込んでしまう。退院当日、半次郎が追いかけていた銀行強盗の車がたまたま病院に逃げ込み、捕らえられて人質となってしまう。

原 鷹 (はら たか)

横浜の走り屋集団グループF1日本のボス。半次郎と深夜の操車場で遺言状を取り交わした一対一の勝負を行うが、その際に不慮の事故で命を失ってしまう。遺言には、自分が死んだ場合は自殺で一切の捜査や警察の届けは不要である事、死後は直ちに自分の角膜を目の不自由な妹の原朝乃に移植して欲しいと書かれていた為、半次郎はその首と原朝乃を連れて医者に駈け込んだ。 原朝乃とは二人暮らし。命知らずだが、死後も子分達には「タカさん」と呼ばれ慕われていた。子分達は二人の対決の場にいなかった為、彼の首を持って消えた半次郎を仇として復讐を誓い、その首には新車のトヨタ・セリカ一台の賞金を懸け暴走族の間でビラを巻いている。

ミスター

大塚の劇場ジェルスホール上のスタジオ、ダンスィング SOMETHINGでケイ達に稽古をしているダンス教師。演出や運営全般も一人で担い、劇団員たちからの信頼も厚い人物。金を無心に来て稽古の邪魔をする半次郎と2人きりで話を付けるつもりで乗った車で、パトカーとのカーチェイスを行う。 しかも無免許だった。半次郎の所に取り立てに来た男達の車を勝手に中古車屋に売り飛ばして金を払ったり、ダンスの素質を見出した半次郎に入団を勧めるといった予測不能で大胆な行動の数々に、さすがの半次郎も調子を崩されてしまう。なんとか半次郎が女から金を搾り取らず自分で稼ぐようにと、低賃金でもドライバーなどに雇い便利に使っている。 半次郎が賭けレースに使う金を劇場に支払う費用から出す優しさを見せるが、しっかり賭けの勝ち分から劇団の不足を補おうという魂胆だった。劇団員達が揃って暴走族を嫌う中で、約束を守り、半次郎の為に公演を一日延ばして手抜きなしで真剣に取り組む男らしい面も見せる。

ケイ

半次郎の彼女。ミュージカルスターを夢見てミスターの下で日夜稽古に励んでいる。度々稽古場に現れ金の無心をする半次郎に他の劇団員達が迷惑する中、せっせと金を支払い、尽くし続けている。取り立て屋に借金の形として売り飛ばされそうになった事もある。半次郎によると二人の関係は肉体関係ではなく金銭関係だけの清い繋がりとの事。 気が強い面もあり、同じ劇団の女性が半次郎の事をサラ金に追われるような暴走族の恋人と馬鹿にすれば、その女の窃盗癖をネタにやり込めた。しかしやがて半次郎の奔放過ぎる性格に付いて行けなくなる。

バラ

女の子にモテたくて土曜の原宿を友人のジャンボ、シゲ坊と一緒にうろつく軟派な男。車はミニカーしか持っていない内は全く相手にもされなかった。ようやく中古車を買って女の子を引っ掛けたが、半次郎にタクシー代わりに使われて愚痴る。半次郎の事を番長と呼び、リンチが怖くて逆らうことができないでいる。 三人組の涙ぐましい努力は続き、エンジン無しのアメ車を7万5千円で手に入れて何とか女の子を口説こうとする。仲間達によると、運転は下手だが口は上手いらしい。

借金取り (しゃっきんとり)

子分を二人従えて半次郎の所に取り立てに現れた借金取り。半次郎が原朝乃の手術費用としてサラ金から借りた金を引き継いだ取り立て専門業者で、支払いが滞れば腕を斬り落とす事も厭わない荒っぽい手段を使う。何度も取り立てに現れ、借金の形としてケイを売り飛ばそうとする事さえあったが、本人達はいつの間にか半次郎を追い回す事自体が生活の張りになってきている。 ヒットラーに顔が似ている。

タバコ屋のばァさん (たばこやのばぁさん)

半次郎が姉の所に金の無心をしたときに使った公衆電話の置いてあったタバコ屋の店主。半次郎にイチャモンを付けてきた不良達から騙し取った1万円の口止め料代わりに買ったマイルドセブンのお釣りを、全て缶に入った10円玉で払った。電話の内容を聞いて借金の理由を知り、半次郎に惚れ込んだ為、毎日コツコツと貯めた2万円以上の小銭を手術代の足しにしてくれと渡した。

病人 (びょうにん)

雨の日に半次郎の車にテレビ局へ行く為に乗り込んだミスターを見て駆け寄ってきた、息も荒く見るからに具合の悪そうな男。病院まで連れて行ってもらう事になったが、途中でちり紙交換車に扮した銀行強盗の追跡騒ぎで半次郎がパトカーに追われる事態になってしまった為、降りる機会を失ってしまう。

ガードマン

ちり紙交換車にカモフラージュした銀行強盗の逃走車を追いかける為に半次郎の車を停めて追跡させる。警察官と信じた半次郎に金一封をチラつかせ、さらに銃で脅して警察の取り締まりをかわして追いかけさせる。しかし、1か月前に警官をクビになった単なる銀行のガードマンだった事から、スピード違反に取締り妨害、信号無視などの交通違反が重なりパトカーに追われる事になる。

警官 (けいかん)

連続する速度違反取締のオービスを破壊する事件で半次郎に容疑が掛かり、事件当夜のアリバイを聞きに来た刑事が連れて来た警官。素直に自供せずのらりくらりとかわす半次郎に合わせながら、あの手この手で聞き出そうとして苦労する。ケイの前でアリバイを口にできない半次郎の前で、参考人として留置すると迫る。 傍から見れば奔放な半次郎とは違い手堅く安心のできる人間。

集団・組織

港グループ (みなとぐるーぷ)

『愛ダンサー』に登場する暴走族。10台のノーマル日産・フェアレディZで構成される、別名ハマのベスト・テンZ。明朝までに利息分を支払わないと借金取り達にケイを売り飛ばされてしまう事になった半次郎が賭けレースの勝負を挑む。リーダーは突然現れた半次郎がラブダンサーである事に気付かず、すっかり馬鹿にして本気で取り合わなかった上に冗談も通じず、いくら立派な車に乗っていても中身はお粗末だという皮肉も笑って聞き流した。 半次郎の手持ちの10万円とミスターが劇場に支払う前金の20万円を掛け金として対決する。やり方は車体の横に槍、後部にタイヤチューブを括りつけて先に割った方が勝ちという港ルールで、半次郎は全員を相手に十対一の勝負に出る。

夕倶礼族 (ゆうぐれぞく)

『愛ダンサー』に登場する暴走族。半次郎の新しい恋人となった原朝乃を集団で襲った。原朝乃の部屋に落ちていたチームのステッカーを見つけた半次郎が間一髪の所で駆けつけた為、暴行は未遂に終わり、その場にいた5人全員が倒された上にやってきた警察に逮捕されてしまう。その事が原因でリーダーは半次郎に激しい恨みを持つようになり、濡れ衣を着せて逮捕させようと計画する。

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